アジア経済
Online ISSN : 2434-0537
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論文
  • 羽渕 有稀
    原稿種別: 論文
    2026 年67 巻1 号 p. 2-32
    発行日: 2026/03/15
    公開日: 2026/03/24
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    近年,人々の民主主義への支持の低下を指摘する研究が数多く登場している。これらの研究は,民主主義への支持の低下に伴って権威主義的な政策や政治家への支持が増加し,それによって国家権力を手にした政治家が民主主義的制度を瓦解させる試みを容易にしていると主張する。この傾向を最もよく反映していると考えられるのが,イスラエルの司法制度改革の事例である。2025年1月現在の首相,ベンヤミン・ネタニヤフらの推進するこの改革は,政府の政策に異議を唱える最高裁判所をはじめとする司法の権限を弱体化させるものであり,イスラエルの民主主義的性格を損なうとして国内外から多くの批判を集めた。またイスラエル社会はネタニヤフ首相への支持態度を軸とした深刻な分極化状態にあり,これに起因する社会の分断が司法制度改革とイスラエルの民主主義をめぐる議論を激化させたと考えられている。そこで本稿では,コンジョイント実験を用いてイスラエル国民の民主主義への支持態度の測定を試みた。その結果,ネタニヤフ首相の支持者は民主主義の原則のひとつである司法の独立に対する支持が低いことが明らかになった。本研究の分析結果は司法制度改革に対するイスラエル国民の選好を明らかにするとともに,強力な政治指導者への愛着が民主主義に対する支持の低下を引き起こす可能性を示唆するものである。

研究レビュー
  • 伊藤 亜聖, 于 海春, 御器谷 裕樹, 林 載桓
    原稿種別: 研究レビュー
    2026 年67 巻1 号 p. 33-57
    発行日: 2026/03/15
    公開日: 2026/03/24
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    2010年代以降,量的テキスト分析による研究が社会科学の諸分野で増加してきたが,中国研究において同手法は「古くて新しい」方法である。本稿では同手法に着目し,①冷戦期の研究の存在とその背景,そして後の縮小,②近年の増加と主要な応用例,③さらなる可能性および課題を検討する。まず冷戦期にはデータの制約下で同手法が積極的に採用されたが,1980年代以降には新たなデータ環境のもとで同手法が下火となったことを確認する。つぎに2010年代以降の増加を論文データから示す。そして近年の代表的研究を取り上げ,検閲と情報操作をはじめとする権威主義体制の統治メカニズムの解明に寄与してきたことを確認する。最後に同手法の可能性として機械学習のさらなる応用と研究課題の多様化がある一方で,データ規制への対応や質的知見との接合といった課題に加え,地域研究との間には一定の緊張関係があることを論じる。

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