日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成20年度日本調理科学会大会
選択された号の論文の191件中1~50を表示しています
口頭発表
  • 山根 あずさ, 臼井 亜希, 平野 義晃, 西堀 すき江
    セッションID: 1A-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     現代人の問題点の1つとして、食生活の欧米化やストレスなどの要因による生活習慣病があり、動脈硬化、虚血性心疾患、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などがあげられる。それらの治療法として主に抗血小板療法が行われている。これまで演者らは人血において様々な食品について血小板凝集抑制を含む血液レオロジーについて測定し、多くのデータを得ている。今回は、ラットの血液を用いて血小板凝集抑制効果について測定し、人血との差について検討した。
    【方法】
     サンプルは新鮮な野菜の可食部を搾汁し、搾汁液を3分間遠心分離し(12,000rpm)上澄み液を0.8μmのDISMIC-25のフィルターでろ過し、実験に使用した。血液は9~13週齢のラットより腹部大静脈より採血(凝固阻害剤はクエン酸Naを0.1%の濃度で添加)し、1,300rpm10分間遠心分離し、その上層を多血小板血漿(PRP)とした。残りの沈殿をさらに3,000rpm15分間遠心分離し、乏血小板血漿(PPP)とした。惹起物質とてコラーゲンを使用した。
    【結果】
     ラット血での血小板凝集は人血よりも低いことが分かった。野菜による血小板凝集抑制効果を人血と比較すると、惹起物質の濃度が高くなったため、IC50値は約1.2~5倍の差がみられた。今回は各種トマト、特にクッキングトマトについて測定し、玉葱、椎茸、大葉などと比較検討した。野菜の血小板凝集抑制活性の強さは人血と同じ順になることが認められたため、今後は栄養成分をラットに与える摂食実験を進めていく。
  • 阪中 專二, 石原 裕也
    セッションID: 1A-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     食酢は調理の場で酸味調味料としてだけでなく,強い酸の性質を利用して使用されている。また一部飲料用としての利用も行われている。演者らは西条柿の総合的利用として西条柿を原料とした柿酢について試験している。本研究では,柿酢と市販の各種酢とのポリフェノール含量の比較,各種ラジカルに対する消去活性を比較した。同時に食品モデルとしてマグロの脂身を用いた過酸化脂質生成抑制効果についても試験した。
    【方法】
     市販の酢(柿酢2種類,米酢,黒酢,りんご酢)を試験に用いた。酢の総ポリフェノール含量はFolin-Ciocalteu 法により測定し没食子酸換算で示した。抗酸化能はDPPHラジカル消去活性,ヒドロキシラジカル消去活性(デオキシリボース酸化法),スーパーオキシドラジカル消去活性(XOD法)を測定した。対照としてアスコルビン酸も同時に測定した。食品モデルとしてマグロの脂身(脂質含量10.4%)磨砕物に各種酢を添加し保存後の過酸化物の生成をチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)測定により比較した。
    【結果】
     総ポリフェノール含量は柿酢,黒酢が多く,柿酢には800μg/ml含まれていた。アスコルビン酸は検出できなかった。ラジカル消去活性では,DPPHラジカル,ヒドロキシラジカル,スーパーオキシドラジカルのすべてのラジカルに対して西条柿由来の柿酢が最も強い消去活性を示した。マグロ脂身磨砕物の過酸化脂質生成抑制においても柿酢,次いで黒酢に強い抑制効果が認められた。以上の結果から,柿酢は飲む酢としての利用だけでなく,調理用素材としても有用であると考えられる。
  • 武知 明希, 西本 登志, 浅尾 浩史, 鷲田 和人, 山口 智子, 高村 仁知
    セッションID: 1A-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     ヤマトマナ(Brassica rapa L. Oleifera Group)はアブラナ科に属する奈良県の伝統野菜であり、コマツナに似た葉菜類の一種である。ヤマトマナには数種のグルコシノレートが含まれており、ミロシナーゼの作用によって強い抗炎症作用を有するイソチオシアネートに変換される。ヤマトマナは一般に加熱調理して食するが、加熱調理によるこれらの成分の損失等については明らかではない。本研究では、ヤマトマナ加熱調理過程におけるグルコシノレートおよびイソチオシアネートの変化を解析した。
    【方法】
     ヤマトマナの葉を種々の条件で加熱した後、凍結乾燥試料を調製した。1,2-ベンゼンジチオールを加え、イソチオシアネートを誘導体化した後、HPLCで定量した。グルコシノレートを定量する場合はミロシナーゼを加え、グルコシノレートをイソチオシアネートに変換した後に誘導体化を行った。
    【結果】
     未加熱のヤマトマナの葉では、グルコシノレートがすべてイソチオシアネートに変換されていたのに対し、1分以上のゆで加熱調理によりミロシナーゼは失活し、イソチオシアネートの生成は見られなかった。また、グルコシノレートの残存量は加熱時間の経過とともに減少した。また、濃度1%以上の食塩を加えてゆで加熱調理を行った場合、水と比べてグルコシノレートの損失が有意に小さくなった。
  • 山口 智子, 鈴木 景子, 筒井 和美, 高村 仁知
    セッションID: 1A-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     奈良漬は、奈良の特産品の一つとして広く知られている高級漬物である。ウリをはじめ、キュウリ、スイカ、ダイコンなどの野菜を6ヶ月から12ヶ月間塩漬けした後、酒粕で数回漬け替えて作られる。キュウリの奈良漬は、「朝風」という品種を用いて製造されることが一般的であるが、昨今、大和野菜の一つである「大和三尺」を使った奈良漬が新たに製造されている。「大和三尺」は、全長30~35cmの長型のキュウリで、果肉は緻密で歯切れがよく、種が少ないことが特徴とされている。本研究では、「朝風」および「大和三尺」を原材料とした奈良漬キュウリの化学的特性、物理的特性および嗜好性を調査することを目的とした。
    【方法】
     奈良市内の製造業者で製造されている「朝風」および「大和三尺」の奈良漬キュウリを試料とした。一般成分として水分、タンパク質、灰分、アスコルビン酸量、嗜好成分としてpH、Brix糖度、塩分、エタノール含量、褐変度を測定した。さらに、機能性成分としてラジカル捕捉活性および総ポリフェノール量、物理的特性として破断特性の測定を行うとともに、官能検査により嗜好性を調べた。また、加工前の生のキュウリについても同様に測定した。
    【結果】
     奈良漬キュウリは生キュウリに比べて高いラジカル捕捉活性を示し、奈良漬に加工するにより機能性を付与できることが明らかになった。奈良漬キュウリにおいて、「朝風」と「大和三尺」の一般成分、嗜好成分、機能性成分に大きな差はみられなかった。しかし、破断特性に違いがみられ、官能検査においても「大和三尺」の方が「朝風」より硬いと評価された。また、「大和三尺」は色が濃く、アルコール風味も強く感じることから好まれない傾向にあった。
  • 三森 一司, 小澤 昌子
    セッションID: 1A-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     カット野菜はその鮮度が重視され、消費期限が来たものは大量に廃棄処分されている。本研究では、資源の有効利用と消費期限設定の妥当性を探る目的で、カット野菜の冷蔵に伴うビタミンC含量の変化を調べ、野菜の種類によってビタミンの損失量に違いはないか、保管条件がビタミン残存量に及ぼす影響等について検討を加えた。
    【方法】
     試料のカット野菜は、個人向けの300g包装の商品を秋田市内で購入後、速やかに冷蔵庫に入れ、7℃で0~7日間保管し、経時的にビタミンC含有量を測定した。総ビタミンCの定量はヒドラジン法、還元型ビタミンCは、インドフェノール法を用いた。
    【結果】
     カット野菜に使用されている個々の野菜100g当たりの総ビタミンC量を比較したところ、キャベツでは、製造直後から製造後4日目にかけて急激に減少し、22.8mgから10.7mgと半減した。これに対し、もやしでは冷蔵期間を通してあまり減少しなかった。にんじんは、製造直後7.3 mg 、4日目7.2 mg、7日目 7.1 mgと更に変化が少なかった。キャベツの還元型ビタミンCを測定した結果、製造直後の還元型ビタミンC量を100%とした時、4日目85%、7日目63%と、還元型ビタミンCは総ビタミンCと異なり4日目から7日目にかけて大きく減少していた。このことからカットキャベツの製造直後から4日目にかけては、還元型ビタミンCの酸化も進むがそれ以上に、酸化型ビタミンCの2,3ジケトグロン酸への酸化が進行するため総ビタミンCの定量値が低くなったものと考えられた。にんじんのビタミンC減少が少ないのは、にんじんに含まれるカロテノイドの抗酸化作用によるものと考えられた。カット野菜の消費期限は製造日から4日間と短く設定されているが、本研究の総ビタミンC量の分析結果からも、妥当であると考えられた。
  • 佐藤 幸子, 数野 千恵子, 西島 基弘
    セッションID: 1A-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     ハーブ類は料理の香り付けや臭み消しなどに広く利用されている。中でもタイムは西洋料理によく使われておりマスキング効果が認められている。そこで、魚介類で、特有のにおいを持ち加熱したときに臭気が強くなるホタテ貝柱をタイムと共にオーブン加熱し、加熱臭気を確認する方法を検討した後、そのマスキング効果について検討した。
    【方法】
     タイムはハーブ園より購入した生葉を用いた。タイムは1cm長さにカットし、それを厚さ半分にしたホタテ貝柱にのせ、アルミホイルで包み、オーブンで170℃、5分間加熱した。香気成分は、精油定量器を用いた蒸留法で精油成分を捕集した。また、臭気物質を改良ランキン法の捕集方法に改良を加え、ジクロロメタンを用いた通気蒸留法を用いて、GC-MS分析により構成精油成分を検討した。また、精油成分をにおい嗅ぎ分析装置(GC-O)を用いたAEDA分析を行い、匂い強度(FD-factor)を測定し、アロマグラムを作成した。
    【結果】
     オーブン加熱したホタテ貝柱の臭気は、蒸留法によりtrimethyl oxazoleとtrimethyl pyrazineが認められた。しかし、蒸留法では、ホタテ特有の加熱臭は検出できなかった。そこで、通気蒸留法を改良した方法で香気成分を捕集し、GC-MS分析の結果、dimethylsulfideを検出することができた。タイムを加熱すると、生ではほとんど感じられないdimethylsulfideが多く検出された。そこでタイムと一緒にオーブンで加熱を行なった結果、dimethylsulfideのにおい強度は約50%減少することがわかった。
  • 坂倉  有紀, 吉田  啓子
    セッションID: 1A-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     リステリア症は、foodborne diseaseのひとつでありListeria monocytogenesを原因とする動物由来感染症である。リステリア菌は、家畜、魚などの動物や、河川など環境中に広く存在するため、さまざまな食品が汚染される可能性がある。また、4℃以下でも増殖が可能であるため、食品の低温での流通や保存を食品衛生の基本としているわが国において、この低温増殖性は今後重大な食中毒の発生が危惧される。本研究では、食品中におけるListeria monocytogenesの消長および有機酸を添加した際の増殖抑制効果について検討を行った。
    【方法】
     供試菌としてListeria monocytogenes ATCC 7644 を用い、in vitroの検討においては0.6% Yeast extractを含む Tryptone soya brothに乳酸、酢酸、クエン酸、塩酸がそれぞれpH 4.5、5.0、6.0および0.2%となるように調製し、10℃および30℃におけるリステリア菌の増殖抑制効果を検討した。また、米飯を含む食品中にリステリア菌を接種し、有機酸の存在下もしくは非存在下で4℃、10℃および15℃に1週間保存した後、それぞれ経時的に取り出しPALCAM選択培地を用いて分離培養を行い、菌数を測定した。
    【結果】
      その結果、in vitroにおける有機酸の増殖抑制効果は、同一のpHおよび%濃度において効果の強い順に酢酸、乳酸、クエン酸、塩酸 であった。食品中では10℃および15℃の24時間の保存試験において、1から2オーダーのリステリア菌の増殖が認められたが、0.1%以上の酢酸を添加することにより増殖が抑制された。
  • 逵 牧子, 水野 良美, 石黒 厚, 武政 二郎, 寺本 忠司
    セッションID: 1A-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     市販カット野菜の消費期限当日の細菌汚染調査では、大腸菌群陽性率が82%と高率であり、その生菌数および大腸菌群数はいずれも10~106個/g以上と広範囲の汚染が明らかになった。カット野菜の生菌数を減少あるいは維持する要因として洗浄剤の選択が重要な課題である。今回、各種洗浄による除菌・殺菌処理したカットキャベツを低温保存して生菌数測定を実施した。
    【方法】
     材料は市販のキャベツをカットしたものである。洗浄処理方法は各メーカの使用方法通りに実施した。カットキャベツを4種類の洗浄剤(中性洗剤、次亜塩素酸ナトリウム、野菜専用除菌洗浄剤、高度さらし粉)および水洗で処理後、それぞれ約100gをP-plus袋(住友ベークライト)に入れて密封して5℃および10℃で3日間保存し、保存日毎に生菌数を測定した。生菌数測定は公定法に準拠した。
    【結果】
     カットキャベツを4種類の洗浄方法および水洗処理したものを3日間測定した結果は次のとおりである。中性洗剤処理では5℃と10℃保存で増加し、水洗処理と生菌数の差はなかった。次亜塩素酸ナトリウム処理では5℃と10℃保存とも1日目で減少し、2日、3日後に増加した。野菜専用除菌洗浄剤および高度さらし粉は、5℃と10℃保存とも1日目で減少し、2日3日後は1日目の菌数を維持した。また、水洗処理では5℃と10℃保存とも1日目に増加した。今後、生食用野菜の生菌数を減少させる洗浄剤ならびに処理方法を検討する。
  • 木下 伊規子, 田村 朝子
    セッションID: 1B-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     真空調理は食材を軟らかく且つ煮くずれしにくく仕上げることができる。また真空包装することから調理中の二次汚染、好気性菌の増殖を抑えるといった利点がある。そこで本研究ではHACCPに基づく衛生管理が真空調理と通常調理の作業管理に及ぼす影響を比較、検討した。
    【方法】
     調理様式、調理方法、主材料の異なる料理の中から5品を選び、それぞれの料理ごとに真空調理と通常調理の作業工程表、作業動線、危害分析リストを作成した。測定項目はくし型タイムスタディ法による作業所要時間ならびに消費エネルギー量とした。作業所要時間の記録は1人の被調査者の動作に対し、1人の測定者が追い、その動作1つ1つを記録した。作業の表記は野菜洗浄、材料計量、真空包装袋に詰める、手洗いなどで、それ以外は手待ちと記入した。手待ちとは、材料の入荷が遅れたので待機するという場合や、次の作業が始まるまで待っている時間とした。
    【結果、考察】
     1.真空調理は通常調理より所要時間は長くかかり、消費エネルギーは通常調理より高値を示した。2.真空調理は通常調理に比べ、約2倍の作業時間がかかることが明らかとなった。スチームコンベクションオーブンやブラストチラーに入れている時間は手待ち時間だが、手待ち時間に他の料理を調理することが出来るため、料理の品数、量を増やした場合は通常調理より真空調理の方が効率よく作業できると推察された。3.真空調理は通常調理に比べ、真空包装する時点から管理基準が多くなった。真空調理は真空包装機にかけてから袋を開けるまでは、落下細菌による汚染や異物混入といった危害はなくなるため、真空調理は衛生管理が徹底しやすいと言えた。以上より、作業管理と衛生管理ともに真空調理が優れていることが明らかになった。
  • 前田 文子, 早瀬 明子, 蓮沼 良一, 永嶋 久美子, 黒川 理加, 小澤 陽子, 大坂 佳保里, 陳 美慧, 福永 淑子
    セッションID: 1B-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     今回提案の調理方法はオーブンを使い、60~90℃の範囲に保ち、温度管理を行ってセミドライ食品を製造する方法である。一般にはセミドライとは、常温で乾燥する方法を言うが、今回の提案した方法では、温度70~100℃の中温で乾燥する方法なので、中温乾燥セミドライ乾燥方法と名づけた。今回の発表ではこの方法により、各種の肉・果物・野菜についてその好適な温度設定などについて明らかにするために行ったことについて報告する。
    【方法】
     食材には肉類として鶏肉、豚肉、牛肉を、野菜としてトマト、キュウリ、ダイコンを、キノコ類としてエノキ茸、しめじ、エリンギを、果物としてりんご、パイナップル、キュウイを選び実験に供した。実験装置としては日立オーブンMRO-BV100型を改造して温度設定が可能ものを使用した。今回は70~100℃に設定し、90~120分間処理した。
    【結果および考察】
     全般的に生鮮食材の40~50%の水分量にすると、食材の味は損なわれずに旨味を引きだせることがわかった。肉類の好適な温度は水分の多い果物と比べてやや低い温度の方が良質のものが仕上がることが分かった。ささみ鶏肉の場合は添加物を一切使わなくとも冷蔵保存の場合より、数十倍長く保存できることがわかった。一部の素材では食塩で下処理することにより食味の向上、変色防止に効果があることがわかった。
    【まとめ】
     食材の味をそのまま生かし、旨味を引き出すことができること、温度設定だけで簡単に美味しい加工食品が出来、食塩を添加しなくても日持ちがよいセミドライ加工が製造できることがわかった。
  • 福永 淑子, 船山 敦子, 高崎 寿江, 永嶋 久美子, 臼井 照幸, 蓮沼 良一
    セッションID: 1B-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     冷蔵庫を用いて強性通風した庫内において肉、魚および野菜を低温で乾燥させることより新鮮さを保ちつつ保存性が高まった美味しいセミドライ食品製造する方法を開発した。セミドライ食品は一般には野外の通風のよい所にさせるものであるが、本開発技術では冷蔵庫内の低温乾燥した空気より食材を乾燥させてセミドライ食品を製造する方法であり、この方法を冷風乾燥法と名づけた。
    【実験】
     材料としては、肉類、魚類、野菜類、キノコ類および果物類を選び、その効果を検討した。今回は市販(日立R-SF60XM型)に強制通風させて8~12℃に設定した、約25cm×15cm×12cmのプラスチック性箱を製作し、この中に網棚を設けた。上記の食材をこの網棚に並べ約一日から二日間乾燥させた。
    【結果および考察】
     この操作により、個々の食材によって風味や色および味が異なるが、従来の常温乾燥セミドライものと比べて全体的に以下のような優れた特徴を持つ食品を製造できることが明らかになった。_丸1_常温乾燥のものと比べて、全体的にも元の生の色に近く、肉類については特に透明感と光沢感が強いこと、_丸2_特に肉類では生臭みはなくなり、野菜類ではその特有の風味が強まること、_丸3_一部の食材では熟成作用もあることが感じられ、果物と野菜では濃縮した美味しい味とともに、テクスチャーが変わり、新たな食感の食品となること、_丸4_キノコ類では水で戻すと速やかに旨味成分が溶出し、しかも濃いだしがとれること、エノキ茸ではそのまま食すると非常に美味しい新たな食品となることが、わかった。以上のように低温乾燥セミドライ法により新しい特徴を持った加工食品・食材が製造できることがわかった。
  • 比江森 美樹, Koh Eunmi, E. Mitchell Alyson, 鈴木  麻希子, 木本  眞順美, 山下  広美, 辻 英明
    セッションID: 1B-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     黒米に含まれる色素成分のアントシアニンは、抗酸化作用をはじめとする様々な機能を有することが知られている。カリフォルニアはアメリカにおける米の主要な生産地の一つであり、黒米が生産されているが、カリフォルニア産黒米のアントシアニンに関する報告は無い。本研究ではカリフォルニア産黒米(ジャポニカ種)のアントシアニンの分析・定量を行った。さらに、炊飯によるそれらアントシアニンへの影響について検討した。
    【方法】
     まず、粉砕した黒米より塩酸含有メタノールにてアントシアニンを抽出した。次いで、フォトダイオードアレイ検出器を用いた高速液体クロマトグラフィーにより各々のアントシアニンを分離し、標準品とのHPLCにおける溶出パターン、UV-VIS吸収スペクトル、および質量分析の比較から、それらアントシアニンを同定した。さらに、黒米を炊飯器、圧力鍋、ステンレス鍋にて炊飯し、凍結乾燥後、粉砕した試料からアントシアニンを抽出して、個々のアントシアニンをHPLCにて定量した。
    【結果】
     総アントシアニン含量は黒米1 gあたり630 μgであった。そのうち、91%を占める主要な成分としてシアニジン-3-グルコシドを、4.7%を占める成分としてペオニジン-3-グルコシドを同定し、その他に4つの成分の存在を明らかにした。また、炊飯によりそれらアントシアニンは未処理の黒米に対して有意に減少し(残存率20~35%)、特に、圧力鍋を用いたもので顕著であった。以上のように、カリフォルニア産黒米に含まれるアントシアニンの組成分析の結果をもとに、炊飯による個々のアントシアニンの量的変動を検討した結果、全てのアントシアニン含量は炊飯により劇的に低下することが示された。
  • 馬橋 由佳, 大倉 哲也, 香西 みどり
    セッションID: 1B-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     米飯の食味には物性と共に化学成分が密接に関係し,糖やアミノ酸は炊飯過程で増加する。演者らは先に炊飯昇温期の温度履歴の違いが米飯の糖およびアミノ酸量に及ぼす影響を示した*。本研究では米飯の糖およびアミノ酸量を増加させる炊飯方法として,低温長時間浸漬が米飯の化学成分に及ぼす影響を調べた。
    【方法】
     試料米にRO水または2mMクエン酸水溶液を1.5倍加水し20℃1h(標準),20℃16h,4℃1h,4℃16hの浸漬後, 沸騰継続13min, 蒸らし15minの炊飯を行った。50%エタノールによる振とう抽出で米飯抽出液を調製し, 全糖量(フェノール硫酸法), 還元糖(ソモギー・ネルソン法), グルコース量(酵素法)および遊離アミノ酸(アミノ酸分析計)を測定した。
    【結果】
     RO水を用いて炊飯した米飯抽出液の全糖量,還元糖量,グルコース量は,長時間浸漬により大幅に増加し,20℃16h>4℃16h>20℃1h≒4℃1hの順となった。一方アミノ酸量は20℃16h浸漬のみで標準より有意に増加した。2mMクエン酸溶液を用いてpH5~6の弱酸性下で炊飯を行ったところ,低温長時間浸漬による成分増加はさらに大きく現れた。2mMクエン酸を用いた20℃16h浸漬では,RO水を用いた標準炊飯に比べ,全糖量1.5倍,還元糖量2.3倍,グルコース量3.2倍,総遊離アミノ酸量1.2倍となり,飯に含まれる呈味成分が大幅に増加した。炊飯における低温長時間浸漬,さらにそれを弱酸性下行う炊飯は,飯に含まれる糖,アミノ酸量を増加させる方法として有効であると考えられる。
    *馬橋ら:日調科誌, 40, 323-328(2007)
  • 安信 淑子, 高桑 恵美, 松村 康生
    セッションID: 1B-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     近年玄米は、発芽玄米等おいしさと健康を兼ね備えた商品が開発され、注目度が高まってきている。玄米の組織は、精白米と異なり、外層部に果皮・種皮や外胚乳を有し、この外層部の組織には、栄養成分や機能性成分が豊富に含まれている。しかし、この外層部の組織は硬く、玄米内部への水の浸透を妨げ、一般に玄米は、精白米と比較して、硬く、食べにくい傾向がある。本研究では、栄養・機能性成分を豊富に含む玄米を、「よりおいしく、食べやすく」炊き上げることを目的として検討を行った。
    【方法】
     松下電器製スチームIHジャー炊飯器を用い、玄米用の炊飯コースで炊飯を行った。玄米用の炊飯コースには、前炊き、炊き上げ、むらしの3工程があり、本研究では、前炊き工程に注目し、その温度条件が炊き上がりのご飯の「おいしさ」に与える影響について、検討を行った。また、むらし工程では、約30Lの高温スチームを炊飯器内部に投入することができる。「おいしさ」については、主に炊き上がったご飯に含まれる遊離アミノ酸量と走査型電子顕微鏡(SEM)による組織観察で評価した。
    【結果】
     前炊き工程の初期温度を75℃近辺まで上げることにより、炊き上がり玄米ご飯の軟化が促進され、遊離アミノ酸のうち、アスパラギン酸が約2割、グルタミン酸が約4割増量することを見出した。さらに、SEMによる組織観察では、外層部の果皮・種皮がよく膨らみ、内層部において、水の痕跡が均一に多数観察されたことから、玄米内部への均等な水の浸透が示唆され、軟らかく、食べやすくなったことが組織的にも検証された。
  • 露久保 美夏, 石井 克枝
    セッションID: 1B-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     サツマイモはβ―アミラーゼを含み、加熱により活性化しイモの澱粉をマルトースに分解するため甘味が増すことが知られている。著者らは澱粉を多く含む米とサツマイモを共に加熱調理するサツマイモ飯に注目し、イモ飯の炊飯時にはβ―アミラーゼがイモの澱粉に加えて米の澱粉も分解して飯の甘味増強につながることを報告した。そこで本研究では米に対する加水量や加熱温度履歴、加熱時間の異なるイモ粥に注目し、粥飯に及ぼすイモのβ―アミラーゼの影響を調べ、イモ飯と比較検討をした。
    【方法】
     イモ粥の調整法:粗酵素液は1cm角のサツマイモ200gに6倍量の水を加え20分間浸漬し、液体のみ遠心分離後、1200mlに定容した。米150gに粗酵素液900mlを加え炊飯器で粥を調整した。糖測定試料の調製:生米1g相当の粥にエタノール(終濃度80%)を加えホモジナイズした後、遠心分離して上澄みを回収し、これを3回繰り返し100mlに定容した。還元糖量をソモギ・ネルソン法、全糖量をフェノール硫酸法により測定した。また、HPLCにより糖の測定を行った。HPLCの試料は糖測定試料を濃縮して用いた。さらに、飯粒周辺の糖(粥洗液)も同様に測定した。
    【結果】
     イモ粥における飯粒と飯粒周辺の還元糖量は対照に比較し多かった。さらに、HPLCによりイモ粥におけるマルトースの増加が確認され、β―アミラーゼが粥飯の澱粉を分解していることが確認できた。また、イモ粥の還元糖量の増加は、粥洗液と飯粒内の還元糖量の変化を比較すると、飯粒内の還元糖量の増加量が多く、β―アミラーゼは米周辺よりも米の内部に浸透し、澱粉を分解していると考えられた。
  • 高山 さくら, 時藤 亜衣, 吉岡 慶子
    セッションID: 1B-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     米飯の硬軟は、嗜好性や摂食能力に応じて食され、また、粥や重湯は、摂食能力が低下した人の主食として利用されている。本研究では、米飯、粥、重湯の物性測定と官能検査を行い、テクスチャー特性の観点から、各嚥下食レベルに分類し、摂食能力に対応した食事形態を段階的に検討した。
    【方法】
     魚沼産コシヒカリを用いて米飯、軟飯、全粥、五分粥、重湯、重湯ゼリーを試料とした。加水量は米重量に対し、米飯1.5、軟飯2.5、全粥6.25、五分粥12倍とし、米飯、軟飯は電気炊飯器(National;SR-03F)で、粥は厚手片手鍋で炊いた。重湯は五分粥より調製し、重湯ゼリーは1.3%ゼラチンを添加した。テクスチャー特性値はレオナー(RE2-33005S)を用い、米飯は一定量の集合米飯を測定し、粥は40mmφのシャーレに充填し、20mmφプランジャーで測定した。官能検査は、米飯、軟飯、粥について、検査員19名で7段階評点尺度法で検査した。統計解析はTukeyの多重比較法を使用した。
    【結果・考察】
     テクスチャー特性について、嚥下食レベルをL0~L4に分類すると、米飯、軟飯は4.0×104(N/m2)以下で、L4であった。全粥、五分粥はL3に、重湯ゼリーはL1に該当した。また、五分粥、重湯ゼリーの付着性は米飯、軟飯、全粥に比して低値を示した(p<0.01)。重湯の粘度は1.5×103(mPa/s)以上であり、咀嚼・嚥下困難者用食品の規格内であった。官能検査では、米飯は適度なかたさや弾力を有し、風味や甘味があり、全粥、五分粥では軟らかく、飲み込みやすいと評価された。以上のことから、米に対する加水量の調整や、重湯をゼリー化することで食事形態の幅が広がると示唆された。
  • 花崎 憲子, 上中 登紀子, 大喜多 祥子, 倉賀野 妙子, 和田 淑子
    セッションID: 1C-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     中鎖脂肪(MCT)は長期間摂取後の体脂肪蓄積の抑制効果のほか、食後の血中脂質および血清レムナントリポ蛋白の上昇も抑制するなど、生活習慣病対策の面で利用が期待される油脂である。焼菓子には油脂が多く用いられ、その食感形成には欠かせないが、MCTで代替した場合焼菓子独特の物性発現にどのような影響を与えるのか、対照として長鎖脂肪(LCT:なたね油)を用いて、主に内部組織構造の面から比較検討した。
    【方法】
     焼菓子の配合割合は、小麦粉100g、ベーキングパウダー2g、上白糖50g、油脂+水48g(油脂と水の比は3水準を設定)、卵黄3gとした。生地および製品の内部構造はアセトンとエーテルで脱脂し金を蒸着後、走査型電子顕微鏡(日立S-530)で200倍にて観察した。焼成時の形状変化、製品の形状、油じみの測定、定速圧縮破断試験、官能評価を行なった。
    【結果】
     生地の内部組織構造においては、MCTとLCTで差異は認められなかったが、製品については顕著な相違が認められた。LCT焼菓子の内部は気泡を包んだ跡が膜状組織として観察されたが、MCT焼菓子には気泡の跡は少なく、空隙のない密な構造に観察された。内部組織構造の相違は焼菓子の膨化、破断特性、官能評価に反映されており、MCT焼菓子はLCT焼菓子に比して横広がりは小さく、膨化率も小さく、破断応力・破断エネルギーともに大きく、硬くて砕けにくい食感評価であった。パンの調製時にMCTがグルテンに影響することを示唆する報告があり、この面からの検討が今後の課題と考える。
  • 眞壁 優美, 中山 由佳, 谷井 潤郎
    セッションID: 1C-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     塩の苦汁成分がうどんの性状にどのように寄与しているかを明らかにするため、うどんに対する各種塩類の影響を検討した。また、市販塩を用いたうどんの物性評価および官能評価を実施した。
    【方法】
     小麦粉は金すずらん(日清製粉社製)を、塩類はNaCl, KCl, MgCl2, CaCl2, Na2SO4, MgSO4, CaSO4を、塩は組成が異なる市販塩3種類を用い、それぞれうどんを調製した。生うどんおよびゆでうどんはテクスチャーアナラーザーにより破断強度、引張強度および伸びを測定した。また、各塩類を用いた生うどんの乾麩中の粗タンパク質量を測定し、その割合をタンパク質利用率として算出した。うどんの断面写真は低真空電子顕微鏡を用いて撮影した。市販塩を用いたゆでうどんの官能評価はシェッフェの一対比較法により行い、硬さや色、外観等を評価した。
    【結果】
     各塩類を用いた場合、生うどんの物性はNaCl, KClを用いた生地が最も伸びやすく柔らかく、CaSO4を用いた生地が最も伸びにくく硬かった。タンパク質利用率はNaCl, KClにおいて高かったことから生地中のグルテン形成の程度が異なるためと推測された。また、電子顕微鏡写真ではCaSO4の結晶が見られ、物理的にグルテン形成を阻害していることが示唆された。ゆでうどんでは、生うどんの場合と比較し各塩類の影響は小さくなることが分かった。市販塩を用いた場合、生うどんは塩種による差が見られたが、その差は単成分の場合と比較して小さかった。ゆでうどんでは物性評価、官能評価の結果に差はなく、いずれの塩を使っても食べたときの硬さや外観等には大きな違いはないことが分かった。
  • 中村 洋
    セッションID: 1C-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     我が国の食料自給率向上のための小麦品種開発として、めん適性(うどん適性)に優れる品種開発は特に重要である。各育成地においては小麦品種・系統のめん適性を精度高く評価してめん適性に優れるものを選抜することにより、うどんに適する品種開発を行っているが、色・粘弾性・蛋白質含量・官能評価等いくつかの品質評価項目が密接に関連してめん適性に影響しており、どの品質項目が選抜評価の上で最重要であるかは明らかでない。そこで、めん評価試験の各品質項目における相関を検討したところ、「ゆでめんの粘弾性」(官能評価)がめん適性の評価項目の中で最も重要な選抜指標になると考えられたので、ここに報告する。
    【材料および方法】
     日本小麦における代表的なめん用品種・系統、および、比較品種・銘柄として農林61号・ASWを供試材料とした。めん適性のための評価項目としては蛋白質含量・澱粉アミロース含量・ゆでめん官能検査値、および、アミログラフ値等により評価し、各々の品質分析データとの相関について検討した。
    【結果】
     めん適性に優れるものは官能評価試験で高得点を得ることから、官能評価のどの品質項目がめん適性に最も影響しているかを比較・検討した結果、「ゆでめんの粘弾性」は蛋白質含量・澱粉アミロース含量・ゆでめんにおける他の官能検査値・アミログラフ(ピーク値・ブレークダウン値)の全ての項目と高い相関が認められた。また、「ゆでめんの粘弾性」に優れないと「うどんの食感・食味」が悪くなり、その結果として官能評価値が低くなることから、本研究においては、めん適性に優れる品種・系統の選抜指標の上では、官能評価試験における「ゆでめんの粘弾性」が最も重要な品質項目になるものと考えられた。
  • 楠瀬 千春, 永久 美菜子
    セッションID: 1C-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     我が国では介護保険制度改正により,介護の場が病院や施設から自宅へと変わってきている.しかし,在宅介護を想定した嚥下食の調理方法についての研究は少ない.嚥下困難者の多くは,料理にとろみをつけることで誤嚥防止の効果が認められる.近年,誤嚥防止を目的とした増粘剤の開発が進み,ひろく利用されているが,高価であることや調整が難しいなど難点もある.本研究では,安価な馬鈴薯澱粉を用いて,高齢者の家庭での普及率の高い電子レンジや電気ポットを利用した,簡便なとろみ液の調製方法の考案を目的とした.調製用の容器をマグカップとし,家庭で簡単にできる1人分のとろみ調製方法について検討した.
    【方法】
     加熱方法:3%澱粉懸濁液350gを300mlビーカーに入れ,電子レンジで加熱した.加熱開始35,40,45,50秒後に取り出し攪拌した後,再度加熱した.総加熱時間は10秒ごとに120秒までとした.添加水の温度は,電気ポットの沸騰水(98℃)または,65℃を用いた.澱粉の添加方法:澱粉は粉体あるいは水懸濁液(澱粉:水=1:1,1:2)として添加した.澱粉の加熱前の浸漬時間(0,12時間),食塩添加(1%)の影響についても検討した.また,糊液の粘度は,B型粘度計(リオン(株)製VT-04F)を用いて測定した.前述の各々の条件から得られた手法を用いて,マグカップ(150ml)で1人分の汁物,嗜好飲料(9種)のとろみ付けを行い粘度測定を行った.
    【結果】
     馬鈴薯澱粉は,粉体のまま水に加えると不均一な糊液となった.水溶き澱粉(澱粉:水=1:2)を加えて加熱した糊液は均一なとろみが付与された.澱粉浸漬時間が12時間のものは,0時間のものと比較して糊液調製後の経時的な粘度の変化が緩やかであった.食塩水でも,とろみを付与することは可能であった.さらに,日常の温かい飲物と味噌汁,吸い物にもとろみ付けは可能であった.少量の料理には簡便で有効な調製方法であることが明らかとなった.
  • 中辻 直人, 菊田 千景, 岩城 啓子, 杉本 温美
    セッションID: 1C-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     おいしい水への関心の高まりとともに、市販の飲料水も多く出回っている。そこで、比較的、調理に用いられている澱粉を用いて、水道水や市販飲料水などの水の違いが澱粉の糊化特性に及ぼす影響を調べた。
    【方法】
     試料として5種類の澱粉{ジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉、クズ澱粉、サツマイモ澱粉、低温糊化サツマイモ澱粉(みなづき)}と9種類の水{精製水、水道水(奈良市、大阪市、京都市、横浜市)、市販飲料水(温泉水99、Volvic、Evian、Contrex)}を用い、ラピッドビスコアナライザー(RVA)による粘度ならびに粘度測定後の糊液の色差を測定した。さらに、水のpH、澱粉の粒度分布、示差走査熱量計(DSC)による糊化特性、SEM観察ならびにX線回折を行ってその性質を調べた。
    【結果】
     精製水を用いた結果を100として比較した。ジャガイモ澱粉では最高粘度とブレークダウンが全ての水で有意に低くなり、特に硬度の高い水では、半分以下になった。トウモロコシ澱粉では硬度の高い水では最高粘度とブレークダウンが有意に高くなり、最終粘度が有意に低くなった。クズ澱粉ではブレークダウンが全ての水で有意に高く、最終粘度が奈良市の水を除いて有意に低くなった。2種のサツマイモ澱粉では、全ての水の最高粘度とセットバックに有意差は見られなかった。また、色差測定では、精製水と比較して横浜市の水が最も色差の差が大きくなり、奈良市の水が一番低くなった。澱粉で見るとクズ澱粉とトウモロコシ澱粉は色差の影響を受けやすい傾向にあった。これらより、水の違いが、澱粉を用いた調理に影響を及ぼすことが示唆された。
  • 佐藤 恵美子, 筒井 和美, 山林 佳菜子
    セッションID: 1C-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     ゴマ豆腐は澱粉と油脂の混合ゲルであり、麻腐(まふ)と呼ばれる。油脂を添加した澱粉ゲルを調製後5日間短期老化の程度をコンプライアンス値により検討した。
    【方法】
     供試澱粉はK.本葛澱粉(古稀)、U.ウルチ米澱粉である。油脂は、純白ゴマ油(かどや製油製)を用いた。試料は、無添加、油脂10g添加、油脂15g添加各種ゲルとゴマ豆腐の4種調製した。各種澱粉40gに水430g、油脂を添加した懸濁液を電熱器上で、攪拌機250rpm 25分間攪拌した。ゴマ豆腐の調製はこれまでの報告と同様であり、皮むき白ゴマを用いた。得られた試料の糊液をテフロン製円筒型(20mm×20mm)に入れて放冷凝固させた試料をレオナー(REー3305山電、直径40mmのプランジャー)を用いてクリープ、コンプライアンス、テクスチャーを測定し、官能検査(順位法、SD法)を行なった。
    【結果】
     4種試料のクリープ挙動は、いずれもVoigt要素2個の直列結合にMaxwell要素を直列に結合した6要素モデルとして解析された。Kゲル、Uゲル共に瞬間弾性率(E0)は、高い順にゴマ豆腐、油脂無添加ゲル、油脂10g添加ゲル、油脂15g添加ゲルとなり、油脂添加の増加により低くなり、軟らかくなった。また、どの試料も貯蔵日数に伴ってE0と硬さ応力は増加し、貯蔵3日目からの変化が大きかった。5日間のコンプライアンス値の一次式の傾きは、油脂添加量の多いほど傾きが小さく、老化防止効果が推察された。官能検査の結果から、Kゲルは、Uゲルよりも硬く弾力性が高く、両方のゲル共に油脂含量の増加に従って軟らかく、弾力が小さくなった。UゲルはKゲルより軟らかく口当たりが良く、油脂10gゲルと油脂15g添加ゲルの間に有意差が認められなかった。
  • 治部 祐里, 桑田 寛子, 横畑 直子, 寺本 あい, 安川 景子, 渕上 倫子
    セッションID: 1C-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     水分含量の多いカスタードクリームは凍結後の損傷が大きい。しかし高圧力下の0℃以下でも凍らない不凍域(液相)に保持した後、急激に圧力解除すると急速凍結(圧力移動凍結)するため組織的に良好な状態を保つことができる。本研究では3種類の冷凍カスタードクリームの品質改善に対する圧力移動凍結の効果を検討した。
    【方法】
     粉材料として小麦粉、コーンスターチ、タピオカを使用した3種類のカスタードクリームを真空包装し、食品高圧処理装置(神戸製鋼所製Dr.Chef)を用い、-10℃100MPa、-15℃150MPa、-20℃200MPaで約50分間圧力移動凍結後、-30℃で凍結保存後解凍し、外観の観察、離水率の測定、定常流粘性、チクソトロピー性、動的粘弾性の測定、官能評価を行った。これらを大気圧下の-10℃、-15℃、-20℃の圧力容器内凍結、および-20℃、-30℃、-80℃のフリーザー凍結したものと比較した。
    【結果】
     圧力移動凍結したカスタードクリームは、急速凍結により氷結晶の成長が抑えられ、離水が少なく、物性も良好だった。しかしコーンスターチを使用したカスタードクリームは離水が多く、ボソつきがあり味が低下し、冷凍には適していないことが明らかとなった。大気圧下で圧力容器内凍結すると、-20℃フリーザー凍結よりも凍結時間が短縮し、離水率が減少した。フリーザー凍結すると、凍結温度が高いほど離水率が増加し、口触りや味が低下した。小麦粉、タピオカを使用したカスタードクリームでは、-30℃、-80℃フリーザー凍結でも凍結温度が低いため圧力容器内凍結と同程度の急速凍結が可能となり、凍結解凍後の品質が保たれ、味も未処理に近いと評価された。
  • 井部 奈生子, 大坪 俊輔, 肥後 温子
    セッションID: 1C-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     近年,焼成菓子の製法が多様化する中で,素朴な焼菓子が見直される動きがある.そこで,製菓材料として基本的な配合生地に,乾湿両加熱法およびマイクロ波加熱法を加えて焼成菓子を作成し,テクスチャーへの影響を検討した.
    【方法】
     1)基本生地として,薄力粉100,水40,砂糖20,バター10(重量比)を用い,この基本生地に各々モノグリセリド,ベーキングパウダー,酢を添加した生地,および基本生地から一部成分を除去した生地を作成した. 2)以上の6種類の生地をオーブン焼き,揚げ,蒸し,電子レンジ照射し,自然乾燥をした試料を加えて,破断特性を調べた.3)オーブン,蒸し,電子レンジ加熱をした3種の基本試料を用い,7段階SD法による官能評価を行った.パネルは20歳前後の男女学生計52名である.4)成分組成と焼成法の異なる30種類の試料を調湿し,含水率とテクスチャー変化との関係も調べた.5)各試料を実体顕微鏡で撮影し,組織密度がテクスチャーに及ぼす影響を検討した。
    【結果】
     1)成分組成の違いにかかわらず,オーブン加熱,揚げの乾式加熱に比較して,蒸しの湿式加熱,マイクロ波加熱が1.5倍以上硬かった. 2)官能検査では,オーブン,蒸し,電子レンジ加熱の順に硬く歯ごたえがある回答が得られ,蒸し加熱による湿熱効果,およびマイクロ波の湿熱加熱効果により焼成品の組織が強化されたことが示唆される.3)バターとベーキングパウダーがクラッカー性を増す傾向が認められたが,加熱法により添加物の影響が異なること,加熱法自体に生地の膨化作用のある揚げ加熱とマイクロ波加熱ではベーキングパウダーの添加効果が少ないことがわかった.
  • 前田 俊道, 高倉 勇人, 西村 朋子, 菊竹 悠子, 渡辺 康一郎, 伊藤 信夫, 乾 悦郎, 水上 洋一, 清家 一徳, 坂本 時裕, ...
    セッションID: 1D-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     我々は、既に本大会で、刺身素材を高鮮度で消費者に提供する研究を報告して来た。今回は、大分県の豊後水道で漁獲されるブランド魚であるマアジを用いて、さまざまな前処理を行って、アルコールブライン凍結処理を行うことにより、凍結刺身素材の高品質化を試みた。また、消費者に届くことを想定して、宅配便による流通試験を行った。
    【方法】
     試料は、漁獲後、佐伯湾で畜養された豊後アジを用いた。凍結前の前処理として、魚体から脱血した脱血区、鰓と内臓を除去した内臓除去区、無処理区を設定した。アルコールブライン凍結は-25℃と-35℃で行い、保蔵は-25℃で実施した。解凍後の評価は、色彩色差計による>、
    血合肉のa*値、尾藤法によるメト化率、鮮度指標K値で行った。また、下関・東京間の輸送試験における温度履歴はボタン電池型温度ロガーを用いた。
    【結果】
     -25℃凍結試料は、脱血区および内臓除去区の方が、a*値の低下が少なかった。解凍後、脱血区の血合肉の表面では、4℃、2時間後には、a*値は19.3から17.2に減少し、メト化率は48.8から56.6%に増加し、a*値とメト化率にはr = -0.81の負の相関があった。冷凍宅配便による輸送試験では、外側温度は-25℃から9℃の範囲で上下したが、魚表面の温度は-25℃から-10℃の範囲に保たれていた。輸送しなかったコントロールと比較するとK値に差はなく、鮮度の低下は認められなかった。以上の結果から、脱血処理してアルコールブライン凍結を行うと、高品質の凍結刺身を消費者に提供できることが判明した。本研究は、農林水産省「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業(課題番号:18092)」の一環として実施された。
  • 前田 俊道, 樋口 吉克, 七ケ所 眞穂, 岩野 哲郎, 安原 崇史, 渡辺 康一郎, 伊藤 信夫, 乾 悦郎, 水上 洋一, 清家 一徳, ...
    セッションID: 1D-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     我々は、食品科学工学会にて、アルコールブライン凍結刺身を冷蔵庫解凍することによって刺身素材を高品質に維持できることを報告した。今回は、ラウンドでなくフィレーでの凍結処理で解凍硬直を起こさない高品質の刺身調理素材になる方法を検討した。
    【方法】
     試料は、漁獲後、佐伯湾で畜養された豊後アジを、海水アイススラリー中で活け〆して3枚におろし、フィレーを真空包装して、-25℃の60%エタノールを入れた冷凍機で急速凍結した。-25℃で保蔵後、収縮率、ドリップ率、ATP量、pH値、TBARS値、色差、乳酸値を測定した。
    【結果】
     1か月間保蔵したフィレーでは、約13℃の流水解凍では、約6分間でフィレーの中心温度は0℃に達した。この時、解凍直後に魚肉が縮み、収縮率14.5%、ドリップ率4.2%の典型的な解凍硬直が観察された。一方、約4℃の冷蔵庫内における緩慢解凍において、フィレーの中心温度が0℃になるまでに要した時間は約15時間であったが、その際、解凍硬直は観察されず、収縮率1.7%、ドリップ率1.9%であった。解凍前のATP量は7.4µmol/gに対し、冷蔵庫解凍後では0.14µmol/gに減少した。pHも解凍前は7.1、解凍後は6.2と減少したが、解凍前の乳酸値は32.3µmol/g、解凍後は62.4µmol/gと増加した。以上から、アルコールブライン凍結刺身用フィレーを、冷蔵庫で緩慢解凍することによって解凍硬直を防止でき、ドリップの放出を抑制して、高品質の刺身調理素材を提供できることが判明した。本研究は、農林水産省「先端技術を活用した農林水産研究高度化事業(課題番号:18092)」の一環として実施された。
  • 原田 和樹, 福田 恭子, 前田 俊道, 長谷川 喜朗, 上野 俊士郎, 永塚 規衣, 長尾 慶子
    セッションID: 1D-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     現在、日本で大きな漁業被害をもたらすエチゼンクラゲの有効利用が模索されている。我々は、調理科学の観点から、エチゼンクラゲが機能性食品になり得るのかどうか調べているが1)、本大会では、エチゼンクラゲが元来、抗酸化能を持っているのかどうかを調べた結果を報告する。
    【方法】
     塩蔵クラゲの傘と、塩蔵クラゲから保蔵中に自然浸出した液、また、生クラゲの傘を凍結乾燥した粉末を試料とした。塩蔵クラゲの傘はポリトロンで破砕し、その上澄み液を原液とした。浸出液はそのまま測定に用いた。凍結乾燥試料は、超純水で溶解し、溶解した部分を用いた。機能性の一つである抗酸化能の指標としては、米国農務省が提唱する新しい抗酸化能測定法であるORAC(活性酸素吸収能力)法を用いたペルオキシラジカル消去活性能と、電子スピン共鳴装置(ESR)を用いたヒドロキシルラジカル捕捉活性能の観点から調べた。
    【結果】
     凍結乾燥試料のORAC値は、49.3µmolトロロックス当量/100g乾燥重量であった。一方、塩蔵クラゲの傘のヒドロキシルラジカル捕捉活性能のIC50値は9.8%、浸出液のIC50値は13.3%であり、エチゼンクラゲの95%以上もの高い水分含量を考慮すると、クラゲそのものや体液にも抗酸化能が存在した。従って、凍結乾燥や濃縮処理によって、機能性食品の可能性を示す調理素材に充分なると判断した。
    1) Y. Hasegawa, T. Maeda, S. Ueno, N. Nagatsuka, K. Nagao, Y. Fukuda and K. Harada: Abstract of 5th World Fisheries Congress (WFC2008), Yokohama, 2008.
  • 米田 千恵
    セッションID: 1D-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     殻付き貝の煮だし汁や加熱軟体部のエキス成分に関する報告は少なく、本研究では、アサリの汁物をモデルとし、それらのエキス成分を分析した。また、家庭で殻付き貝を冷凍保存するときの冷凍条件ならびに加熱条件についても検討した。
    【方法】
     千葉県産の活アサリを試料とし、熱水抽出液は、アサリ約25gを脱イオン水100ml中で加熱し、全ての殻が開いてから5分間微沸騰を継続後、100mlに定容した。熱水抽出液の塩分濃度(塩分濃度計)、全エキス分(蒸発乾固法)を測定した。また、熱水抽出液、加熱軟体部、生軟体部につき、グリコーゲン(アルカリ加水分解後、ソモギーネルソン法により定量)、遊離アミノ酸(高速アミノ酸分析計)、核酸関連化合物(HPLC)、コハク酸(酵素法)を分析した。一方、冷凍・加熱実験では、活アサリを-20℃または-40℃冷凍庫で8週間まで保存し、凍結状態で、加熱実験を行った。加熱条件は水(20℃)からの加熱、および沸騰水での加熱であり、加熱後の殻の開き方を6段階に分類した。
    【結果】
     活アサリを水から加熱した場合、90℃付近で殻が開いた。熱水抽出液100ml中の諸成分の含量は、塩分濃度0.2%、全エキス分507mg、グリコーゲン42.5mg、遊離アミノ酸108mg、核酸関連化合物28.3μmol、コハク酸7.9mgであり、軟体部から熱水抽出液への溶出率は分子量の小さい順に高かった。一方、凍結アサリを沸騰水で加熱したときは、冷凍温度、冷凍期間に関わらず完全に殻が開くものが90%以上であったが、水から加熱した場合は、-20℃で4週間以上冷凍した試料で、殻が閉じた状態、または半開きの状態となるものが多かった。
  • 松本 祥子
    セッションID: 1D-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     ハタハタ脂質の抗酸化性が加工品であるハタハタずしにおいても維持されるかを明らかにすることを目的とした。「なまなれずし」に分類されるハタハタずしは古くから長い冬の貴重な蛋白源として生活に密着した保存食であった。今回はハタハタずしの保存温度及び保存期間における脂質酸化や脂肪酸組成の経時的変化についてサバずしを対照として調べ、ハタハタずしの脂質安定性を検討した。
    【方法】
     ハタハタずし、サバずしを5℃一定温度で3週間熟成し、試料とした。熟成後容器から取り出し、0℃(冷蔵庫)、5℃(冷蔵庫)、室温(10℃前後の室温)保存し、0,5,10,20、及び30日で分析試料を採取し、経時的変化を調べた。いずしの脂質抽出はクロロホルム:メタノール(2:1)で行い脂質含量とした。脂質酸化の過酸化物価は酢酸イソオクタン法、酸価はKOH滴定法、脂肪酸組成はガスクロマトグラフィーで検討した。
    【結果】
     1)ハタハタずし及びサバずしの保存による過酸化物価(POV)の経時的変化ではハタハタずしの5℃保存で30日目までPOV値(26.1meq/kg)の上昇は見られなかったが、室温保存では20日目でPOV値(47.5meq/kg)が上昇し、30日目に減少(16.1meq/kg)した。2)ハタハタ及びサバずしの保存による酸価(AV)の経時的変化ではハタハタずしの保存開始の0日(9.6meq/kg)に対し、5℃及び0℃保存では30日目までほとんど上昇は見られなかった。3)ハタハタ及びサバずしの保存による脂肪酸組成の経時的変化では組成の変動は少なかった。
     以上の結果から秋田県にある伝統的食品のハタハタずしを主とした「なまなれずし」はハタハタの保存方法の1つとして脂質酸化抑制でも優れていることがわかった。
  • 中村 真由美, 福岡 美香, 酒井 昇
    セッションID: 1D-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     焼き魚は庶民的で,お店の惣菜やお弁当でよく見かける.ちょうどよい焦げが付いた魚はおいしく感じられるが,焦げがなかったり黒く焦げたりしているものはおいしくない.焼き調理は焦げを付けるタイミングが難しいと考えられる.そこで本研究では,魚の切り身を赤外線ヒーターで焼成し,焼き色の解析を行うことを目的とする.
    【方法】
     試料は身の色が白い魚の切り身(タイ,ブリ,サワラ)を用い,皮と骨を除いて幅4_cm_×長さ5_cm_×厚さ2_cm_に切った.赤外線ヒーターは試料の約7_cm_上に設置した.ヒーターは操作応答が早く,電圧の調節によって温度をすぐに変えることができる.試料の焼成中に,試料焼成面の温度,色彩L*a*b*を測定した.焼成は,ヒーターに印加する電圧を調節して試料焼成面の温度を一定に保った場合と,電圧を一定に保った場合で行った.
    【結果】
     試料表面の温度および焼成時間が増加するとL*は単調に減少し,a*およびb*は複雑に変化した.b* (黄色味)が最も大きな値をとるとき,L*の値は約50となり,こんがりとしたきつね色となった.ブリ,サワラ,タイの順に焦げが付きやすかったが,魚種によらず,a*およびb*はL*と相関性があることがわかった.焦げが付く過程をL*の変化とみなし,焦げはL*を指標として表し,L*の値に一次的に変化するとして速度定数を求めた.その定数を用いて,試料焼成面の温度が変化する場合のL*の値を解析した.L*を決定することでa*およびb*を求め,L*a*b*をもとに色彩ソフトによって焼き色を視覚的に表した.
  • 病態モデルラットを用いて
    村上 恵, 天野 尚美, 村上 哲男
    セッションID: 1D-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     だし汁についてはこれまでにin vitroにおいて抗酸化性が認められており、当研究室においてもin vitroおよび細胞系における抗酸化作用を認めている。最近ではだし汁に調味料を加えた市販だし汁が多く出回っていることから、本研究ではだし汁(混合削り節だし)と市販だし汁(液体濃縮だし)の摂取による抗酸化作用について、病態モデルラット(脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット・SHRSP)を用いて検討した。
    【方法】
     試料として市販だし(液体濃縮だし)、素だし(混合削り節だし)を用いた。11週齢SHRSPを対照群(1%食塩水)、市販だし群(1%食塩含有)、素だし群(1%食塩添加)の3群に分類し、飲料水として試料を摂取させ、自然死するまで飼育した。実験期間中、体重、血圧、さらに血漿ラジカル捕捉活性、尿中8OHdG量、尿中アルブミン量を測定した。
    【結果】
     SHRSPの平均生存日数は対照群50±12日に比べ、市販だし群では128±90日、素だし群64±31日と延長がみられた。血圧は市販だし群で低い傾向を示した。脳卒中発症率は対照群の83%に対して、素だし群50%と脳卒中発症の抑制が認められた。生体内での抗酸化作用について検討したところ、血漿ラジカル捕捉活性は、実験開始後4週目のすべての実験群で対照群と比べて有意に高い活性を示した。また尿中8OHdG量では素だし群が低値を示した。
  • 真部 真里子, 堀 亜弥子, 和田 藍
    セッションID: 1D-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     循環器系疾患予防の見地から、日本人には食塩摂取量の減少が必須であるが、食物の塩味減少は、おいしさを著しく低下させる。そのため、おいしさの低下を防ぐ減塩方法として、調理にだしを効かせる方法が知られている。これは、うま味物質の減塩効果に基づいているが、本研究室では鰹だしに含まれるうま味物質以外の風味成分にも塩味減塩効果があることを明らかにした。そこで、本研究では、鰹だし固有の味に着目し、その減塩効果を検討した。
    【方法】
     20歳代前半の女性被験者61名に、においを遮断するためにノーズクリップを装着してもらい、試料としてうま味強度を0.12%にそろえた枯節だし、荒節だし、MSG溶液を用い、塩分濃度を0.67~0.94%の5段階に調整したものを0.80%NaCl溶液とそれぞれ組合わせ、2個の試料で塩味の強いものを選択してもらった。また、どちらの塩味強度を好ましく感じるかについても回答してもらった。
    【結果】
     塩味強度に関する官能評価結果をプロビット法により解析した結果、枯節だし・荒節だしともに塩味増強効果が認められた。同じうま味強度のMSG溶液には塩味増強効果が認められなかったことから、この効果は鰹だし固有の味に由来すると考えられる。また、好ましさの評価においても、鰹だしには、顕著においしさを向上させる効果が認められた。特に枯節だしは、食塩濃度の高低に関わらず、おいしさを向上させた。以上の結果より、鰹だしに含まれるうま味物質以外の呈味物質もだしの減塩効果に寄与していることが明らかになった。
  • 岡野 節子, 堀田 千津子
    セッションID: 1E-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     伊賀市西山地域・春日神社では毎年10月14日~15日には秋祭りの例祭「なすび祭り」が行われる。その神饌に生撰として「二又なすび」が珍重とされ、その他に「米」、「野菜」、「酒」、「果物」などが供えられる。また、上述以外に1)なすびは包丁を加え、調理したもの(なすびの味噌煮)。2)米は蒸して木槌でたたき、成形したもの(キョウ)。3)生米を横杵で搗いて藁苞に入れ固めたもの(シトギ)を神饌とする。三重県の祭りのなかでも祭礼や神饌に特徴あるものと思われるので紹介する。
    【調査方法】
     調査地域:伊賀市西山地区の春日神社、調査時期:2007年10月14日~15日、調査方法:現地においての聞き取り調査と写真撮影
    【結果】
     1)秋祭りの神饌は生撰と熟撰で構成されていた。生撰には「二又なすび」を中心に米,野菜、果物、塩、酒が供えられ、熟撰は「なすびの味噌煮」、「キョウ」、「シトギ」の神饌であった。2)奇形である「二又なすび」を生撰とし、奇形でない「なすび」は熟撰としている。3)熟撰の「なすびの味噌煮」、「キョウ」は「蒸す」と言う調理法で行われている。また、「キョウ」は米を蒸す、搗く。そして飯粒を崩し固め、型で抜くものであった。4)「なすびの味噌煮」に用いられる調味料は味噌のみであった。 現在、生撰がほとんどであるなか熟撰を行っているのは、祭りの行事と熟撰の食べ物が受け継がれてきたこと。それは次世代の共有性につながってゆくのではないかと考えられる。
  • 愛知県知多半島の調査事例を中心にして
    馬場 景子, 中野 典子
    セッションID: 1E-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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     「正月のとろろ飯」習慣を単に郷土食としてではなく、東西文化の分岐の指標と規定できる食習慣であることを今までの調査で明らかにしてきた。さらに「正月のとろろ飯」の東西分岐地域は愛知県知多半島であることを聞き取り調査により推定した。知多半島の市町村の教育委員会の協力を得て、各中学校の父兄および郷土研究会の会員を対象に2006年8月から12月の期間にアンケート調を行った。今回の発表では、アンケート調査の結果をもとに、「正月のとろろ飯」習慣が集中的に現存する知多半島での、当該習慣の推移、伝播経路、とろろ飯に付随する行事食の発生を報告する。
  • 沼田 貴美子, 加治 幸子
    セッションID: 1E-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     私たちの生活の中では多種多様な菓子が食されており、日本全国にはその地域ならではの菓子が作られている。各地に存在する菓子を分類することは、菓子の種類を把握するだけではなく、菓子についての食文化、菓子の調理科学性、嗜好性などの特性を知る手がかりになると考える。菓子は「菓子の事典」などに述べられているように、分類方法は一様でないため様々な観点からの分類が可能である。そこで、複数の文献を参考資料にし、分類方法を確立し、その分類法を手がかりに菓子の特性について検討した。
    【方法】
     菓子が食生活史や食物史の文献の中でどのように現れているのかについても調べた。菓子の分類方法を検討するとともに、日本全国の菓子を掲載している文献「日本銘菓事典」を分析資料として用い、全国の菓子を分類・整理し、菓子の特性および菓子の概要を把握することを行った。
    【結果】
     食生活史や食物史の概要、菓子の分類方法および菓子の分類にみる特性などについて分析した結果は次のようであった。和菓子は日本独自のものに加え唐菓子や南蛮菓子の影響を受けて新たに作り出されたものがみられた。洋菓子が輸入されるようになると折衷菓子などが創製されるようになった。菓子の分類方法には使用原料によるもの、製造方法によるもの、形態によるものおよび用途別によるものがあった。菓子はその土地の産物を材料に取り入れ、自然や歴史に関連して工夫されていることが分かった。菓子の特性は使用原料や製造方法や形態などの要素が多様に組み合わされることにより形成されるといえる。<BR>
  • 婦人之友から大正時代を見る
    石原 由紀子, 藤田 麻子, 大久保 洋子
    セッションID: 1E-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     日本では明治後半になると、婦人を対象とする雑誌が出版され、食の分野にも少なからずページが割かれている。その中の一つである『婦人之友』は明治36年から現在に続いている婦人雑誌である。そこで、この『婦人之友』を通して食の変遷を見るべく、献立記事を中心に調査・検討を行うこととした。本報告は、大正期に絞って分析を行うことを目的とした。
    【方法】
     資料として『婦人之友』(大正2~大正15)を用い、料理記事のタイトル・献立・食材料・調理法・特記すべき項目などについて整理し、分析を行った。
    【結果】
     1)料理記事のタイトルを見ると行事・接待・惣菜・食品の知識と料理に関わるもの・料理法や食具の管理法・経済を考慮した料理・栄養価を問題にするなど多方面にわたっている。2)接待料理の献立には、例えば大正3年には椀・鉢・酢の物・刺身・焼き物・香の物と純和風献立であるが、大正後半になると接待記事が少なくなる。3)行事食としては、正月料理とクリスマス料理の掲載が多く、雛節句や花見、月見料理などが見られる。4)洋風料理に関しては、初期は菓子・果物・サラダなどが記載され、大正6年には和洋折衷という語彙も記載される。5)豚肉料理に関しては、1918年7月の「安価な滋養のある豚肉料理」という記事に対して反響があった様子で、その後1~9までシリーズ企画がなされている。牛肉から豚肉に移行していく様子が見てとれる現象である。6)西洋料理が先行し、中国(支那)料理は大正後期に出現する。
  • 澤田 崇子, 瀬戸 美江, 道免 亜登夢
    セッションID: 1E-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     平成14年の糖尿病実態調査によると、糖尿病が強く疑われる人は約740万人で、糖尿病の可能性を否定できない人と合わせると約1620万人にもなると報告されている。特に2型糖尿病の特徴は生活習慣が環境因子として重要であり日々の食事を管理することが疾患の対策として最も重要とされる。そこで本研究では、砂糖の約400倍の甘味を呈するが、ほとんど腸から吸収されることなく排泄されてしまう羅漢果(ラカンカ)を用いて、その呈味特性と糖尿病患者の甘味料としての有効性を検討した。
    【方法】
     料理として、厚焼き卵、稲荷寿し、炒り鶏など計17種類、和菓子はあべかわ餅、甘納豆など計8種類、洋菓子はカスタードプリン、コーヒーゼリーなど計7種類、嗜好飲料はカフェ・オー・レ、キウイジュースなど計7種類を選び出し羅漢果を用いて調理した。羅漢果は砂糖の200倍の甘味を呈するよう調製されたラカンカエキスを使用した。官能検査は20代の女性5~10名で行った。次に、羅漢果で呈味を確認した料理で献立を作成し、甘味料として砂糖、羅漢果、エリスリトールを主成分とした甘味料を用い、それぞれ調理を行った。試食後、経時的に血糖値を測定した。
    【結果】
     (1)調製した料理は官能検査ではほとんどのものが好まれたが、糖分が5%以上のものは好まれなかった。また、醤油を用いた料理に適しているのではないかと考えられた。(2)血糖値を測定した結果、健康な人の場合、最も血糖値が高くなる食後30分で砂糖に比べ羅漢果で調理した方が血糖値の上昇が抑えられ、羅漢果は糖尿病患者の甘味料として有効ではないかと考えられた。  
  • ―フォークとスパチュラ―
    久保 友香, 馬場 靖憲
    セッションID: 1E-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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     近年、家庭におけるIH調理器の利用が大幅に普及している。すなわち、ガスによって加熱調理を行っていた多くの家庭が、電気によるIH(誘導加熱)で加熱調理を行うようになる。この家庭内調理における熱源の技術革新は、単に技術が変化したということだけには収まらず、調理器具、レシピ、生活スタイル、調理に関わる企業・人材など、直接的および間接的に、様々な方向に影響を及ぼしている。
     本研究では、近年、加熱調理で食物を混ぜたり、すくったり、ひっくりかえしたりする道具として、シリコン製で一体型のスパチュラが多く用いられている事実に着目する。この事実が、IH技術の普及を要因としていることを検証するのが目的である。分析には、ヘンリー・ペトロスキーによる、フォークの歯が4本になった理由を明らかにした方法論を応用する。ペトロスキーによれば、すでにあるデザインには常に失敗があり、それを利用する人の中でとくに思慮深かったり、独創的な人が、失敗を補正する良いデザインを生み出すと言う。
     分析の結果、スパチュラの普及の要因として次のような2点が考えられる。第一の要因は、ガスを熱源とする場合は、鍋肌に食物を当てることが最も熱効率が良いのに対し、IHを熱源とする場合には、鍋底に食物を当てることが最も熱効率が良くなる。このような違いにより、ガス調理で適切であった調理機器が、IH調理では失敗のある道具となり、失敗の補完としてスパチュラが多用されている。第二の要因は、ガス調理で火加減を調節するために作り手が鍋を動かすことが多くあったが、IH調理では、鍋はコンロに常に接して固定しなければならず、作り手が操作するのは混ぜたり、すくったり、ひっくりかえしたりする道具のみである。唯一の操作対象としてスパチュラが普及する。
  • 川口 真規子, 山中 裕佳子, 土井 裕司
    セッションID: 1E-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     民間研究所による昨年のアンケート調査結果では、日本人の9割以上が週に1回以上麺類を食し、麺類が好きだと回答した人は99.3%にものぼる。本研究では、好きな麺類第2位である『うどん』のだしに含まれるうま味などの成分および麺の上に盛られる具材の地域差を調査し、日本の食文化の東西比較を目的とした。
    【方法】
     関西地方を中心に、日本各地のうどん屋および食料品店よりうどんだしを収集した。だし中グルタミン酸(Glu)量はヤマサL-Glu測定キットを用いて定量した。核酸系うま味成分であるグアニル酸(GMP)とイノシン酸(IMP)はHPLCにより定量した。塩分濃度は電気伝導度計を用い、糖濃度はフェノール-硫酸法により定量を行った。さらに、文献及びうどん店HPに掲載されている写真をもとにうどんの具材の種類を調査した。
    【結果と考察】
     だし中Glu量は301~9,510mg/L、GMP+IMP量は33.8~483mg/Lの範囲にあった。うどんだし中のGlu量およびGMP+IMP量は各試料によって大きな差があり、旨味調味料の添加の有無によるものと推察された。糖濃度ならびに塩分濃度には地域による著しい差は認められなかった。具材調査の結果では、京都では京野菜や細かく刻んだ薄あげが、大阪では薄あげ(刻んでいない)や青ねぎが、関東では肉や白ねぎが多く使われていた。また香川ではレモンやすだちといった柑橘類が使用されていた。
  • 川上 優子, 室 香鈴, 水野 時子, 会田 久仁子, 角野 猛
    セッションID: 1E-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     ナレズシは日本、東南アジア及び韓国に存在し、それぞれの地域の食生活と密着した食品となっている。その製法は、一般に、魚に塩を加え、米飯、野菜等と共に発酵させた食品であるが、韓国の場合は米の変わりに粟が用いられる。著者等は先に、いずし、鰰ずし、かぶらずしや大根ずし、韓国のシッケ、マレーシアのチンチャロなどの各種ナレズシについてその成分組成と微生物について報告した。今回、琵琶湖周辺で作成されるナレズシについて同様に検討したので報告する。
    【方法】
     実験材料は平成19年7月に琵琶湖近辺の専門業者より購入したハスずし3検体、鮎ずし2検体、うぐいずし1検体、鮒ずし1検体の計7検体である。分析はNa量、K量、遊離アミノ酸組成、脂質含量及び脂肪酸組成について行った。微生物検査は食品衛生検査指針に準じて、一般生菌数、大腸菌群数、乳酸菌数および嫌気性細菌数の測定と分離したLactobacillus属細菌の同定をバイオログ装置を用いて行った。その他、pH、水分活性および水分量の測定を行った。
    【結果】
     1 Na量、K量、食塩濃度、pH及び水分活性は、それぞれ平均262mg/100g、81mg/100g、0.7%、4.37及び0.935であった。2 遊離アミノ酸総量は、平均1,831.5mg/100gであり、主な遊離アミノ酸は、Leu、Glu、Lys及び Alaであった。4 脂質含量は、平均5.4%であり、主な脂肪酸組成は、C18:1、C16:1、C16:0であった。なお、EPA及びDHAを合わせると9.3%であった。5 一般生菌数、乳酸菌数及び嫌気性細菌数は、それぞれ対数平均値で、4.07/g、4.79/g及び3.61/gであった。6 ハスずしから分離されたLactobacillus buchneriは、グルタミン酸からのGABA生成能が強かった。
  • 武田 珠美, 長島 万弓, 小泉 幸道, 福田 靖子
    セッションID: 2A-1
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     ゴマは古来から健康によい食品として認識され、調理に利用されてきた。近年、健康機能成分としてリグナン類が特定され、消費者の健康志向や簡便志向に対応するべく多様なゴマ入り製品が開発された。しかし製品中のゴマ量は表示されず消費者には全く情報がない。その購買動機についても調査はない。健康機能成分の解明された食材や食品は購買動機として機能成分を意識する可能性が考えられる。本研究ではゴマに特異的なリグナン類を定量することにより、ゴマ入り製品中のゴマ量を算出するとともに、そのゴマ量に関する消費者の見積もりおよび購買動機を調査し、問題点を考察した。
    【方法】
     質問紙調査は、主婦を主対象に東京、愛知、徳島で留め置き法により2008年度に実施した。質問項目はゴマ入り製品12種について購入理由や食べる頻度、5種についてゴマ量の推定値(%)とした。ゴマドレッシング、ゴマだれ等12種の製品からリグナン類を酢酸エチル抽出し、HPLCでセサミノール、セサミンおよびセサモリンを定量した。
    【結果】
     質問紙調査の結果、ゴマ製品の購買動機は味がよい、健康によいが多く、次いで便利さであったが、製品により若干の違いがみられた。食べる頻度が高かったドレッシングやゴマだれにおいてゴマ量の推定値は5%から50%以上とばらついたが、健康に対する期待が読み取れる高い値であった。しかしドレッシングやゴマだれ中のリグナン類は最も多かったセサミンでも0.08~0.11 mg/mlであり、ゴマ量に換算すると数%であった。 消費者の期待意識とゴマ量にはギャップが認められ、健康によいというゴマ入り製品のイメージに反しないようなルールづくりや充実した製品の開発が必要と考えられた。
  • 安藤 真美, 和田 珠子, 伊藤 知子, 井上 吉世, 大塚 憲一, 我如古 菜月, 久保 加織, 高村 仁知, 中平 真由巳, 原 知子, ...
    セッションID: 2A-2
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     日本調理科学会近畿支部 揚げる・炒める分科会では、今までに家庭での揚げ調理に関して、多様化、健康志向、簡便化が進みつつあることを報告してきた1)2)。近年メタボリックシンドロームが及ぼす健康障害が広く認知され、健康志向は今後ますます強くなることが予想される。揚げ物は嗜好性が高い一方でカロリー過多を引き起こしやすい料理であるため、使用する油の種類や調理方法への配慮が必要となるが、健康志向の高まりが機能性油の使用や揚げ物の嗜好、家庭での揚げ調理に及ぼす影響は定かではない。そこで今回は、健康に関する意識と使用する油の種類および利用状況の関連性をアンケート調査により明らかにすることを目的とした。
    【方法】
     調査時期:2007年5~6月、調査対象:近畿地区の大学に在学の自宅通学生の家庭(回答者は主調理担当者)、調査法:直接記入法、有効回答数516部(回収率62.7%)
    【結果】
     油の選択基準として「健康によい」を選択した人を「健康志向群(n=249)」とした場合、「非健康志向群(n=267)」に比べて「健康志向群」は機能性油の認知度や健康のために積極的に使用したいと考えている割合が高かった。しかし、機能性油の有効性についての実感は両群共低く、実効性には疑問を感じていることが推察された。また、「健康志向群」は揚げ物の嗜好や作る頻度に差はないが、揚げ物を作る際により油の種類や鮮度に気をつけていることがわかった。さらに、健康な食生活に対する意識およびそれを実行する割合は健康志向群の方が高く、油に対する健康志向と食生活との関連性があることが示唆された。
    1)日調科誌33、236-243(2000)、2)日調科誌36、274-283(2003)
  • 小河 拓也, 水田 泰徳, 永井 耕介
    セッションID: 2A-3
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     クリ果実においてクリシギゾウムシ等病害虫防除のため臭化メチルが用いられてきたが、環境問題から使用が禁止となり、その代替技術としての温湯処理技術が開発された。この方法は簡易的で効果が大きく、安全性の高い技術として農家や行政からの期待も大きく普及段階にあるが、一方で処理後の食味に影響を及ぼすことが指摘されている。そのため、温湯処理がクリの食味および品質に及ぼす影響について調査した。
    【方法】
     兵庫県加西市産のクリ(品種:銀寄・筑波)、を適期に収穫後、50℃、30分間温湯処理を行った。各種冷却処理後(放冷、流水、氷冷)、ポリエチレン袋に入れ2℃および5℃で1ヶ月間低温貯蔵を行った。貯蔵開始、15日、30日後に外観、重量、水分、糖(測定方法:HPLC)を調査した。また、処理直後と貯蔵30日後に蒸しクリの官能評価を行った。比較として無処理で低温貯蔵したものを用いた。
    【結果】
     「筑波」および「銀寄」とも温湯処理直後のショ糖含有率は無処理との差はみられなかった。低温貯蔵中に温湯処理および無処理のクリともショ糖含有率は増加したが、無処理のクリは両品種とも20%(DW)程度まで増加したのに対し、温湯処理したクリは半分程度しか増加しなかった。5℃貯蔵では2℃貯蔵と比較しショ糖の増加率は小さかった。温湯処理後の冷却法の違いによるショ糖含有率の差はみられなかった。温湯処理直後の官能評価では両品種とも温湯処理クリは無処理と外観、食味においても大きな差はみられなかった。貯蔵1ヶ月後では調理前の外観は無処理に比較して大きな差はみられなかったが、調理後の果肉色、香りはやや劣る傾向がみられ、食味は大きく劣った。
  • 王子 歓子, 須谷 和子, 長尾 綾子, 升井 洋至
    セッションID: 2A-4
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     我々はこれまでに近赤外分光計を用いた根菜類(サトイモ、レンコン、ダイコン等)の品質評価についてのその利用性を検討し、報告してきた。 。1)2)今回はニンジンの加熱時間による変化およびペクチン含有量について検討したので報告する。
    【方法】
     北海道産ニンジンを試料とし、加熱調理操作条件は水煮、15分または経時変化では5~20分加熱で、加熱調理の前後で近赤外分光計(NIRECO,NIR6500,400~2500nm)により試料のニンジンを測定した。加熱調理後の試料の破断強度はクリープメーター(山電,BAS-3305)、ペクチン含有量は破断測定後の試料からアルコール不溶固形物を調製し、これよりカルバゾール法によりペクチン含有量を求めた。(新食品分析法、光淋(1998))ゆで汁の成分分析については、凍結乾燥後の残渣を試料とした。また、全糖量はフェノール―硫酸法により測定した。ペクチンの対照試料としてかんきつ類、リンゴ由来のペクチンを用いた。
    【結果】
     近赤外分析では、第1波長をセルロース帰属波長の890nm前後を選択して15分加熱ニンジンで相関が最も高くなり、加熱時間の違いで相関に差があった。ゆで汁中の全糖量はデンプン帰属波長に近い波長選択で相関が高かった。出来上がり品と最大荷重間の検討より、セルロース帰属波長との間で相関が高かった。現在、他の調理条件についても検討している。
    1)日本調理科学会平成16年度大会(2004)
    2)日本調理科学会近畿支部第32回研究発表会(2005)
  • 川崎 太志, 飯 聡, 濱田 明美, 大西 明宏, 白土 男女幸, 久米 雅, 仲井 朝美, 芳田 哲也
    セッションID: 2A-5
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     包丁研ぎの熟練者が研いだ片刃鎌型薄刃包丁を一般家庭で継続的に使用させた場合の刃先形状・刃先角度および「切れ味」・「研ぎ味」を測定し,熟練者の研いだ「よく切れる包丁」が,使用されることにより「切れない包丁」に至るまでの過程を明らかにする.
    【方法】
     一般家庭で料理を行う女性3名に,熟練者が研いだ片刃鎌型薄刃包丁を6週間使用させ,一週間ごとに使用した包丁を回収して刃先部・中央部・刃元部の刃先を,光学顕微鏡で撮影し,JIS規格による算術平均粗さ(Ra)をそれぞれ求めた.また継続使用開始時と終了時に刃先角度を測定した.さらにシェッフェの一対比較法を用いて女性が使用した包丁3本と熟練者が研いだ包丁1本,計4本について熟練者が「切れ味」と「研ぎ味」の官能評価を行った.
    【結果】
     すべての包丁において,使用開始1週間後にRaが大きくなり,それ以降終了時までほぼ一定の値を示した.刃先角度については,開始前は直線的で鋭角な10°前後の刃先であったが,終了時には刃先の欠けが確認でき50°~70°程度の鈍角な刃先になっていた.また,官能評価については,使用した3本の間では差異は認められなかったが,熟練者が研いだ包丁はどの包丁よりも「切れ味」が良いと評価されていた.したがって,包丁の使用により刃先の角度・粗さが大きくなると切れ味が悪くなることが示唆された.
  • 光石 吉克, 笠松 千夏, 青木 義満
    セッションID: 2A-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     食物摂取時に表出される自然な表情に着目し、表情をおいしさ評価の指標とする方法を検討した。これまで表情に関する研究は、基本6表情(「喜び」、「怒り」、「驚き」、「恐れ」、「悲しみ」、「嫌悪」)による分類を目的としたものが多く、その対象となる表情は、「作り表情」など形式化されたものであった。本研究では「作り表情」と「味覚反射」の中間である、上位脳の関与する表現伝達手段としての表情について、撮影画像を解析し客観的数値を得ることを目的とした。
    【方法】
     被験者(N=12)は2名1組で向かい合って着席し、2種のプリンサンプル(A:卵、砂糖、牛乳を用いて通常レシピにて調製、B:Aと外観は類似しているが、砂糖の代わりに苦渋味をもつ生薬を添加)を試食し、食味についてディスカッションした。サンプル摂取時の様子はウェブカメラにより撮影した。画像解析は(1)無表情、Aを摂取したときの快表情、Bを摂取したときの不快表情から、山田の方法1)に従い、眉、目、口の特徴点8種の無表情からの移動量を算出し、正準変数を用いて「顔表情空間;第1正準変数(湾曲性・開示性)、第2正準変数(口部の傾斜性)、第3正準変数(目と眉の傾斜性)」に布置した。基本6表情のプロトタイプと比較し、表情の意味づけを行った。(2) 被験者1名について快表情と不快表情の連続画像を用い、同様に「顔表情空間」に時系列で布置した。
    【結果】
     (1)サンプルを摂取してから発話するまでの間に表出された各被験者の顔表情を解析した結果、快・不快表情を分ける指標は口部の傾斜性にあることが示唆された。(2)同一人物の連続12画像の6表情のプロトタイプにより分類した結果快表情は、「喜び」50%、「驚き」8%、無表情42%、不快表情は、「喜び」10%、「恐れ」10%、「悲しみ」80%であった。
    1)山田寛 “顔面表情認識の心理学モデル”計測自動制御学会vol.33,No.12(1994)
  • 大野 治美, 藤澤 南, 藤原 久子, 松田 悠里, 米安 實
    セッションID: 2A-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     大豆は多様な機能性成分を含んでおり、その健康機能が注目されている。インドネシアの伝統的大豆発酵食品であるテンペは、大豆の持つ優れた栄養成分が損なわれず保持されており、消化吸収性も向上すると言われている。また、ビタミンB群やビタミンEなどが増加することも報告されている。一般的にテンペの製造は脱皮大豆を用いるが、本研究では大豆の表皮がもつ生理的機能を有効的に活用するために、表皮を除去せずにテンペを製造する方法を検討した。さらにテンペの機能性に関する知見を得るために、大豆の品種や発酵日数の違いによる抗酸化性への影響について調べた。
    【方法】
     テンペ菌はRhizopus oligosporusを使用し、原料大豆として、ツルムスメ(北海道産)、サチユタカ(以下、広島県産)、油木在来、きなこ大豆を用いた。テンペの製造方法は、まず大豆を水または各種有機酸溶液に一晩浸漬後、鍋またはオートクレイブで煮るもしくは蒸煮を行った。次にスターターを添加し、28~30℃で1~4日間発酵させた後、製造したテンペの水分含有量、全タンパク質含有量及び抗酸化性の測定を行った。
    【結果】
     製造方法を検討した結果、大豆をリンゴ酸溶液に浸漬し、オートクレイブで5分蒸煮したものが、テンペ菌の発育がよく食味も良好であった。品種の違いによるテンペの抗酸化性は、油木在来が最も強い活性を示すことが確認された。また、ツルムスメ・サチユタカでは、発酵日数が増加すると抗酸化性が低下していたが、油木在来・きなこ大豆は、発酵日数2日目において抗酸化性が最も強く、培養日数3日目以降は減少していくことが認められた。
  • 北尾 悟, 籾谷 奈保子, 安藤 真美
    セッションID: 2A-8
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     近年、様々な食品や食品素材の抗酸化能が評価されている。食品に調理操作を施し料理になる過程において抗酸化能は変化すると思われるが、その詳細を検討した事例は比較的少ない。また、砂糖は一般調理で最も使用頻度の高い甘味料であるが、調理過程における抗酸化能への関与については明らかにされていない。そこで、砂糖を用いた料理としてりんごのシロップ煮を取り上げ、その調理過程の抗酸化能の変化を調べた。さらにそこで得られた知見から、スクロースによるアスコルビン酸の抗酸化能保護効果についても検討した。
    【方法】
     りんごのシロップ煮の各調理過程における抗酸化能の変化を、AAPHペルオキシルラジカルのルミノール化学発光に基づくAAPH-CL法にて測定した。さらにモデル系として、アスコルビン酸添加の有無、スクロース濃度(0、30、60%)、加熱時間(0分、10分、20分)の組み合わせを変化させ抗酸化能を測定した。
    【結果】
     りんごのシロップ煮の各調理過程において、シロップとりんごそれぞれの抗酸化能の和と比較して、りんごのシロップ煮の抗酸化能は約3倍となった。一方、モデル系の場合、アスコルビン酸単独溶液は、加熱とともに顕著に抗酸化の減少が見られたが、同濃度のアスコルビン酸にスクロースが共存すると、抗酸化能の減少が有意に抑制された。スクロース自身も弱いながら加熱により抗酸化能は上昇するが、このスクロースによる抗酸化能の減少抑制効果は、相乗的かつ濃度依存的であった。以上の結果、スクロースは加熱により影響を受けやすい抗酸化成分に対してその保護効果を有することが示唆された。
  • 川崎 明子, 鈴木 祐一郎, 原田 倫夫, 渡辺 敏郎
    セッションID: 2A-9
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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    【目的】
     みりんは、米麹と蒸したもち米に、焼酎もしくは醸造アルコール等を加え、熟成させた日本の伝統的調味料のひとつで、その濃厚な甘みは煮物、タレ、照り焼き等のつや出しに使用されている。また、みりんは魚等の生臭さを抑え、食材に味を浸透させ、素材の煮崩れを防ぐ効果も有する。みりんは調理の過程で、加熱等によりアルコールが飛ぶが、この状態のみりんを煮切りみりんという。我々は、煮切りみりんには、栄養機能や味覚機能の他、生体調節機能を有すると考え、四塩化炭素肝障害モデルラットに対する煮切りみりん摂取の肝障害抑制効果について調べたので報告する。
    【方法】
     1群5匹のWistar雄性ラット(4週齢)を用いて煮切りみりん摂取群、陰性対照群、陽性対照群を設定した。煮切りみりんは「九重櫻(九重味淋製の本みりん)」より調製し、それを肝障害負荷の2週間前から毎日(0.5ml/匹)経口投与した。また陰性および陽性対照群は同容量の滅菌蒸留水を経口投与した。肝障害負荷は、オリーブオイルに溶解した四塩化炭素をラットに経口投与しておこなった。24時間後に解剖をおこない、腹部大動脈より採血して、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)、総コレステロール(TC)、トリグリセリド(TG)、HDL-コレステロールを測定した。また肝臓を摘出し、TC、TG、脂質過酸化物を測定した。
    【結果】
     ASTおよびALT測定の結果、いずれも陽性対照群の数値が上昇した。煮切りみりん摂取群は、陽性対照群に比べ、AST、ALTともに抑制する傾向がみられた。また煮切りみりん摂取群は、肝臓の脂質過酸化物値を低下させ、これは煮切りみりんの抗酸化活性が、生体内で四塩化炭素の酸化を抑制し、その結果、肝障害抑制効果を示したものと考えられた。
  • 嶽本 あゆみ, 前原 弘法, 渡邉 敏晃, 伊東 繁
    セッションID: 2A-10
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/08/29
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     音速を超える速度で伝播する圧力の波である衝撃波は、きわめて高い圧力を瞬間的に負荷することができる。水中衝撃波の場合は秒速およそ1300メートル、圧力は数百メガパスカルから数ギガパスカルに及ぶ。伝播速度が速いために、対象物に圧力が負荷されるのは、一瞬である。
     また、衝撃波は伝播する媒体物質の密度境界面においてスポーリング破壊を引き起こす。媒体物質に入射した衝撃波は、密度差面で音速を保ったまま衝撃波として通過する透過波と、音速以下の速度となり反射する膨張波とに分かれる。衝撃波がこのように透過波と膨張波とに分かれる際に、密度差面では負圧力が生じ、引っ張り力によってスポーリング破壊と呼ばれる高速破壊現象を引き起こす。植物においては細胞質と細胞壁との密度境界面や、細胞組織に含有される気泡の膨張が原因で細胞壁の一部がスポーリング破壊を受けると考えられる。
     衝撃波を野菜や果物などの食品に負荷することで、スポーリング破壊が細胞や組織に作用し、軟化作用を引き起こす。また衝撃波の圧力負荷時間がきわめて短時間なため、熱変成を生じず食品は非加熱の状態で軟化する。本発表では、衝撃波の強さと軟化効果について報告する。
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