日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
選択された号の論文の217件中151~200を表示しています
ポスター発表2日目
  • 新潟県の行事食(正月料理)に関する研究
    佐藤 恵美子, 石澤 梨奈, 立山 千草, 田村 朝子, 荒井 富佐子, 筒井 和美, 岩森 大, 伊藤 直子, 山崎 貴子, 山口 智子
    セッションID: 2P-3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    新潟県の行事食(正月料理)に関する調査研究
    ○佐藤恵美子1), 石澤梨奈1), 立山 千草1), 田村 朝子1), 荒井 富佐子1), 筒井 和美2), 岩森大3), 伊藤 直子3), 山崎 貴子3), 山口 智子4)1)新潟県立大, 2)愛知教育大, 3)新潟医療福祉大, 4)新潟大 
    【目的】行事食は季節の伝統行事等にいただく晴れの食をさす。地域により様々な料理が伝承されてきた。平成21~23年度日本調理科学会特別研究において、全国調査を実施した中から新潟県の行事食について昨年の本学会にて報告した。しかし、新潟県の特徴があまりみられなかったので、今回は特に正月料理に焦点を当てて再解析した結果を報告する。【方法】平成22年全国で統一して作成された調査実施要領に準じた。行事食の調査項目の認知・経験度・喫食経験について「学生」(30歳未満)536名、「一般」社会人(30歳以上)160名に分け、統計学的解析を行った。【結果】正月の認知度、経験度はほぼ100%である。「雑煮」の喫食経験度は、一般(98.1%)、学生(91.0%)であった。種類別では、高い順に「すまし雑煮」、「白味噌雑煮」、「赤味噌雑煮」であった。新潟の餅の形は角餅が多く、一般(88.0%)、学生(87.3%)で、“焼く餅”は、一般(40.6%)、学生(40.2%)、“焼かない餅は一般(38.8%)、学生(34.6%)と同程度であった。各種もちの喫食経験度は、「あんこもち」が一般(37.5%)、学生(27.9%)、「きな粉(安倍川)もち」が一般(32.2%)、学生(37.6%)と多く回答されていた。お節は、黒豆、数の子、昆布巻き、だて巻玉子、かまぼこがよく喫食され、一般・学生共に70〜80%以上喫食経験があった。新潟の郷土食である「のっぺ」は日常の家庭料理に食べられるが、お正月にも一般(22.4%)、学生(10.1%)と食べられていた。学生では喫食経験に多少の差はあったが、伝統的な行事食が家庭で受継がれていることがわかった。
  • 高橋 洋子, 安藤 友里恵, 山口 智子
    セッションID: 2P-4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】 新潟県内の家庭で親しまれてきた郷土料理のうち、これまで研究の対象にされたことが殆どなかった‘くじら汁’に着目した。地域や世代による喫食経験や喫食状況を明らかにするとともに、その背景について検討することを目的とした。
    【方法】 2012年10~12月に、新潟県内在住の男女を対象にアンケート調査を行い、868名の回答を年代・性別・居住地域に分けて分析した。
    【結果】 ‘くじら汁’について、新潟県内の次のような状況が明らかになった。(1)認知・喫食状況:認知度・喫食経験度とも若い世代ほど低く、70歳以上では全員が「食べたことがある」のに対し、19歳以下では認知度が48%・喫食経験度は21%であった。なお、喫食回数は全ての年代で減少傾向にあり、喫食経験者の62%が「以前に比べて食べる回数が減った」と回答した。これらのことから、鯨肉の流通状況の変化が‘くじら汁’の認知・喫食状況に影響を及ぼしている様子が示唆された。(2)嗜好性:性別では男性に、年齢では年代が高いほど、好まれる傾向にあった。独特のにおいと油っぽさ、食感などにより、好き嫌いが分かれ、喫食経験者のうち「好き」は46%、「嫌い」は24%であった。(3)具材と喫食時期:塩くじらのほか、新潟市周辺では‘なす’、中越地方では‘ゆうがお’が多く使われ、夏に食す人が多かった。一方、下越地方の阿賀町では‘うるい’(山菜)を使用し、春に食す人が多くみられ、地域による使用具材の特徴と、それを反映した喫食時期が明らかになった。今後は、他県の‘くじら汁’と比較するなどして、新潟県の郷土料理としての‘くじら汁’の実態を明らかにしていきたい。
  • 祭りの料理
    中村 喜代美, 川村 昭子, 新澤 祥恵
    セッションID: 2P-5
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】日本調理科学会特別研究として実施した、「調理文化の地域性と調理科学-行事食-」より、石川県における春・秋祭りの食について検討した。<BR>【方法】2010年4月、 石川県内19市町村の食生活改善推進員461名を対象とした。<BR>【結果】1)行事の経験率は、春祭り65.1%、秋祭り67.7%であった。 2)春祭りでは、ごはんものの出現率が61.8%と、この行事ではほとんどで用意されていた。種類では、赤飯が37.1%、押しずしが20.1%であるが、赤飯は珠洲市、志賀町など能登地区で多く、押しずしは金沢市、白山市、津幡町などで多く出現していた。 3)春祭りでのもちが20.6%出現していたが、だんごは少なかった。もちについては、羽咋市、穴水町など、能登地区で多くみられた。 3)春祭りでは、この他にえびす(べろべろ)が加賀・能登地区で、がんず和えが輪島市で、しただみの粕あえが珠洲市で出現していた。 4)秋祭りでもごはんものの出現率が69.1%と高く、同様に赤飯40.8%、押しずし24.3%であり、赤飯は、珠洲市、能登町、宝達志水町などの能登地区で高く、押しずしは、白山市、野々市町、能美市などの加賀地区で高くなっていた。 5)秋祭りでもだんごはきわめて少なく、もちも16.1%と春祭りに比べて少なくなっていたが、羽咋市、中能登町に出現がみられた。 6)秋まつりでもえびすが加賀・能登地区でみられ、芋たこが珠洲市で出現していた。 7)以上、石川県の祭りではごはんものの位置づけが高く、赤飯の他、すしでは押しずしが多くみられ、季節の特色ある料理も出現していた。なお、若干ではあるが、調理済み食品への依存が高くなる傾向があった。
  • 間宮 貴代子, 阪野 朋子, 松本 貴志子, 小出 あつみ, 山内 知子
    セッションID: 2P-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】愛知県は中京圏の中心である名古屋市を含む尾張と、八丁味噌で知られる三河の2地域に大別できる。どちらの地域も長年にわたり独特で豊かな食文化を育くんできた。本研究では両地域における雑煮に関する摂取状況調査を実施して比較検討した。【方法】調査の対象はN女子大学の学生401名(21歳)である。方法は質問数15問の自記式質問紙を使用して留め置き法で行い、配布3週間後に回収した。期間はH23年12月31日~H24年1月3日で、回収率は92%であった。得られたデータはエクセルで集計してχ²検定を行い、統計的有意水準を5%で示した。【結果】雑煮の摂取頻度では、「元旦に食べる」に地域差はなかったが、二日目と三日目では、尾張地域(OA)が三河地域(MA)より多く食べていた。元旦の具ではOAは餅菜と小松菜、蒲鉾と鳴門、鰹節、青菜類の順で多く、MAは白菜、蒲鉾と鳴門、餅菜と小松菜、鶏肉の順で多かった。この内、餅菜と小松菜、白菜、人参、鶏肉、豆腐と油揚げの摂取経験の地域間に有意差を認めた。正月二日および三日の具は元旦より具の種類が減る傾向を示した。だしの種類のOAでは鰹節だしが多く、MAでは鰹節だしと同程度にだしの素が使われており、だしの素の使用頻度に有意差を認めた。味付けは両地域ともにすましの味付けが約90%であったが、MAでは味噌味の割合がOAより高かった。餅では角餅が両地域で80%摂取されており、加熱法では共に「煮る」が最も多かったが、OAでは「焼く」と「焼いた後煮る」の両方を用いる割合が高かった。以上の結果から、尾張と三河地域の雑煮の摂取経験、味付け、餅の形に地域差を認めなかったが、具とだしの種類で有意な地域差を認めた。
  • 三田 有紀子, 大島 千穂, 續 順子
    セッションID: 2P-7
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    [目的] 平成21・22年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学:行事食・儀礼食」の一環として実施したアンケートから、本研究では東海地域を中心とした年中行事および行事食について調査し、五節句(人日、上巳、端午、七夕、重陽)の行事食に注目をしてその現状と継承の実態を世代間別に明らかにすることを目的とした。[方法] 対象者は、東海三県である愛知県、岐阜県、三重県在住の女子学生492名とその家族400名(親338名、祖父母62名)、合計892名を対象にアンケート回答者の属性と年中行事及び行事食の認知・喫食状況についてアンケート調査を実施した。[結果]五節句における行事では、人日、上巳、端午、七夕で各世代80%以上の高い認知度がみられたのに対し、重陽で各世代20%以下と非常に低い認知度であった。各世代間では、人日、上巳、七夕で学生世代の認知度が親世代と比べて有意に高くなり、七夕では祖父母世代とも同様の結果となった。一方、行事の経験は上巳で学生世代が親世代より有意に高くなり、各世代とも認知度の低い重陽では祖父母世代が他世代と比較して経験度が高くなった。また、各行事食の喫食経験では学生世代と他世代で経験度の違いがみられ、その多くは学生世代の喫食経験が他世代と比べて低下していた。しかし、人日の七草粥、上巳のもち・菓子およびすし、端午のちまきと柏餅では学生世代で60%程度の喫食経験が認められたことから、行事の認知が行事食の喫食経験を維持していると推察され、行事の認知度の高い七夕では同様の傾向がみられなかったためこのような関連性が確立されていないと考えられる。
  • 世代間の比較
    阪野 朋子, 間宮 貴代子, 松本 貴志子, 小出 あつみ, 山内 知子
    セッションID: 2P-8
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】日本には古来より通過儀礼があり、儀礼毎にふさわしい食物が用意されてきた。近年、人々の意識や社会構造の変化と共に食の伝承がされない傾向にある。本研究では、通過儀礼の認知・経験状況を女子学生とその母世代及び祖母世代の3世代間で比較した。【方法】平成22年1~3月にかけ日本調理科学会の調査用紙を用いて留め置き法により調査し、1週間後に回収した。対象者は、本学女子学生の子世代(435名)、母世代(378名)及び祖母世代(197名)で、得られたデータはエクセルで集計してχ2検定を行った。統計的有意水準は5%で示した。【結果】認知はお七夜、百日祝い、初誕生、結納、婚礼、厄払いが世代間で有意差があり、比較すると子世代ではお七夜、百日祝い、初誕生が低かった。質問した13項目の儀礼全ての経験と世代間に有意差があった。経験度を比較すると、3世代共に誕生日、七五三は80%以上経験していた。子世代では経験していないと思われる結納、婚礼、厄払いと経験した記憶がない出産祝い、お七夜、百日祝い、初誕生で低かった。母と祖母世代では共に50%以上が経験していた。儀礼食では、祝いの儀礼に用意される赤飯の喫食経験と世代間に有意差があった。赤飯の喫食の子世代では、七五三で50%を超えたが、その他では低かった。特に誕生日では、祖母世代で53%、母世代で33%、子世代で15%と世代が若いほど低下した。誕生日のケーキ喫食率は3世代共に約90%以上であった。また、七五三の喫食率も、赤飯より千歳飴の方がどの世代でも高かった。以上の結果から、誕生日や七五三は受け継がれている儀礼であることが示されたが、儀礼に伴う食べ物の変化や赤飯の伝承がされない傾向を認めた。
  • 鷲見 裕子
    セッションID: 2P-9
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】社会状況の変化により日本の食生活も大きな影響を受けている。その課題のひとつとして日本古来の行事食文化や地域の風土に根差した郷土食文化の衰退や家庭における食文化伝承の困難な現状が指摘されている。その一要因として家族構成の変化・多様化が考えられる。本研究は家庭の調理担当者を対象とした正月の食生活の調査から正月料理の喫食状況や意識について家族構成による違いを明らかにすることを目的とした。
    【方法】調査は2010年1月に大学・短大に在籍する学生の家庭の調理担当者(259名)を対象とした。内容として正月料理の喫食・準備状況や嗜好と、イメージや将来、調理・伝承等の意識について行なった。集計結果を世代別の家族構成により比較、検討を行なった。分析にはSPSSver21.0を用いた。
    【結果】対象者はほとんど女性で、年齢は40歳未満12.1%、40歳代57.8%、50歳代21.7%、60歳以上8.4%であった。家族構成は核家族が62.5%、拡大家族が33.2%で、地域は愛知県37.3%、三重県60.5%、岐阜県2.3%であった。正月の行事食の喫食・準備状況では、「屠蘇」の準備や「田作り」「昆布巻き」「なます」「煮しめ」「筑前煮」「かまぼこ」の手作り率は拡大家族が有意に高かった。また、「元旦の朝の雑煮の喫食」「自宅で餅を搗く」「おせち料理が食べられた日数」なども拡大家族が多かった。正月の行事食に対する意識では、「作ることが楽しい」「我が家の正月料理を伝えていきたい」と拡大家族が核家族より考えており、今後についても拡大家族では「我が家の味として新形式で続く」が核家族より高かった。一方、「正月に買い物ができるので不必要」は核家族が有意に高かった。正月の行事食の喫食や伝承について家族構成による差が認められた。 
  • 米田 泰子, 桐村 ます美, 河野 篤子, 坂本 裕子, 湯川 夏子
    セッションID: 2P-10
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】平成21、22年度の日本調理科学会特別研究として全国で実施した「行事食・通過儀礼食」の調査結果のうち京都府ではこれまでに3つの視点からまとめ「行事食は行事とともに継承されるが家庭で作られる行事食は減少し、親から子への伝承度は低く、核家族化はその現象に拍車をかけている。」「赤飯・小豆飯は通過儀礼食として現在でも食されている。」との結果を得た。そこで今回は行事食、通過儀礼食における赤飯・餅・寿司・団子の利用状況を見た。京都は京都市内を中心にその北部と南部の地域で食文化が異なることから、赤飯・餅・寿司・団子の利用状況についても地域ごとの比較を行った。【方法】平成21~22年3月に行った日本調理科学会特別研究の全国統一様式の調査用紙を用い、大学生およびその家族、調査者が必要と認めた地域の女性に依頼し、留置法にて調査を実施した。分析対象者は京都在住の行事食は348名(北部94名、市内114名、南部140名)、通過儀礼食は349名(北部95名、市内114名、南部140名)である。【結果】赤飯・餅・寿司・団子のうち行事食には寿司、団子が、通過儀礼食としては赤飯、餅が用いられており、うるち米ともち米の使われ方の違いが明確であるといえた。またこれらの食べ物に関しても「家庭で作る」人の割合が減少し、「買う」人の割合が増加しているが、「食べたことがない」「食べなくなった」「無回答」の人の割合が非常に多い。この件に関して京都の北部、市内、南部共に同様のことがいえた。また北部、市内、南部の地域によっては「喫食経験」「家庭で作る」などの調査結果から重視している行事、通過儀礼に差がみられ、ここにも地域ごとの文化の特徴をみることができた。
  • 東根 裕子, 上村 昭子, 八木 千鶴, 山本 悦子, 渡辺 豊子
    セッションID: 2P-11
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】食事の簡便化等に伴い、行事食の伝承が難しい時代になってきている。平成21年・22年度の日本調理科学会特別研究として実施した「行事食」の調査結果のうち、雑煮の手作り度と他の行事食との関連を明らかにすることを目的とした。
    【方法】平成21年12月から平成22年3月、日本調理科学会特別研究の全国統一様式の調査用紙を用いて調査を実施した。今回は、大阪府に10年以上住み、40歳以上で調理担当者である301人を分析対象とした。正月料理の雑煮は家での手作り度が高く、雑煮の手作り度と他の行事との関連を検討した。調査を行った17行事のうち、行事食を家庭で作っている割合が高い正月、節分、上巳の節句、クリスマス、冬至を検討対象とした。
    【結果・考察】調査対象者の年齢は40・50歳代が79.7%、60歳代以上20.3%であり、同居の家族構成は2世代が65.8%、職業は専業主婦が46.2%、次いでアルバイト・パートが34.6%であった。行事食の影響は、58.1%の人が母方から受けていると答えた。雑煮を手作りする人は、79.7%であり、正月料理の煮しめ・なます・魚料理、節分のいわし・巻きずし、上巳の節句のちらしずし・潮汁、クリスマスの鶏肉料理の手作り度が、雑煮を手作りしない人に比べて高く、有意差が認められた(p<0.05)。雑煮を手作りしない人は、他の多くの行事食においても手作り度が低かった。また、手作り度と喫食状況は必ずしも同じ傾向ではなく、節分の巻きずしやクリスマスケーキの手作り度は低い(21.3%と16.4%)が、ともに60%以上の人が毎年食べていると答えた。食の簡便化・外部化の流れを受け止めつつ、行事食伝承の方策を探っていきたい。
  • 川原﨑 淑子, 青山 佐喜子, 橘 ゆかり, 三浦 加代子
    セッションID: 2P-12
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    〈目的〉平成21.22年度日本調理科学会特別研究として実施された「行事食」の調査結果を平成22年から24年度までの3年間に渡り報告してきた。今回は前報告の結果から行事食の喫食経験の高かった40歳以上の方のデータを基に地域間の比較を行った。地域比較を行うことで地域を顧み、伝統食、郷土料理の良さを考える一助となればと考えている。
    〈方法〉平成21.22年度日本調理科学会特別研究として全国統一様式の調査用紙を用いた。対象は和歌山県に10年以上在住している大学生・短大生とその親、また和歌山県福祉保健部、教育委員会関係機関の協力を得て、更には食生活改善推進協議会会員を中心に食育関係団体会員、地域の研究会に参加した市民とした。これらのデータから40歳以上の方504名を対象とし、和歌山を紀南(126名)、紀中(95名)、紀北(283名)の3地区に分けSPSS(Ver.18)でχ2検定を行った。
    〈結果〉40歳以上の行事の経験90%以上はお正月、節分、大みそか、クリスマス、土用丑の日、お月見、で低いのは春祭り28%、重陽11%であった。行事食の喫食経験が地域別で有意差が認められたのはお正月、節分、上巳、端午、七夕、盂蘭盆、お月見、冬至、クリスマス、大みそか、春祭り、秋祭りであり、お正月の屠蘇の喫食経験は紀中が低かった。雑煮における地域の違いとしては紀北、紀中は白みそ雑煮で丸餅使用、紀南はすまし雑煮で角餅使用であった。おせち料理の料理類にはほとんど差はなったが、魚料理と肉料理に有意差が認められた。その他の行事でも紀北の経験が高く、紀南は祭りでの寿司やご飯、だんごに特徴がみられた。紀中は盂蘭盆のもちやお月見のだんごに有意差が認められた。
  • 升井 洋至, 片寄 眞木子, 本多 佐知子, 坂本 薫, 田中 紀子, 富永 しのぶ, 原 知子
    セッションID: 2P-13
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】兵庫県における各種行事食での料理の認知、経験および手作り状況について、学生、親、祖母の三世代間で比較を行い、世代間での伝承状況についての現状を把握することを目的とした。
    【方法】平成21・22年度日本調理科科学会特別研究で実施したアンケート調査より、兵庫県内の行事食について検討した。調査資料より対象者を兵庫県内で10年以上居住経験のある学生世代(10,20代)379人、親世代(40,50代)212人、祖母世代(60歳以上)48人とし、調査項目17の行事食とこれら行事食における料理について検討を行った。
    【結果】行事食の認知度は親と祖母世代間では大差はみられなかった。秋祭りでは、祖母(71%)、親(51%)、学生(27%)の三世代間で差がみられた。重陽・菊の節句、春祭りの認知率は祖母(41%、50%)、親(24%、28%)であったが、親と学生(24%、24%)の割合はほぼ同じであった。行事食の経験は、祖母の3分の1程度しか学生では経験していなかった。春分の日の行事食経験率は祖母93%と親81%に対し学生30%と小さく、ご飯・だんごの喫食経験率が90、78、26%と顕著な差がみられた。秋分の日の喫食経験も同じ傾向であった。上巳、冬至では学生で行事食の認知率が84%、78%、経験率74%、51%と小さい傾向にあった。行事食の料理で白酒、かぼちゃの喫食経験率も学生は小さく祖母と親では僅かな差で、白酒で親49%が学生14%、かぼちゃで親80%が学生50%とこの世代間で大きな差を示した。冬至のかぼちゃは各年代とも85%以上家庭で調理していた。白酒は家庭で作る割合が多いが、もち・菓子は購入するものが各年代とも86%以上であった。
  • 本多  佐知子, 片寄 眞木子, 坂本 薫, 田中 紀子, 富永 しのぶ, 原 知子, 升井 洋至
    セッションID: 2P-14
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】兵庫県における通過儀礼食の手作り状況や経験時期、認知・経験について、学生、親、祖母の三世代間で比較し、世代間の伝承の現状を把握する事を目的とした。
    【方法】平成21・22年度日本調理科学会特別研究のアンケート調査結果の内、兵庫県の通過儀礼食について検討した。対象者は兵庫県に10年以上の居住経験がある学生世代(10,20代)379人、親世代(40,50代)212人、祖母世代(60歳以上)48人のデータを用い、13儀礼の儀礼食について、解析した。(以後、世代を省略し、学生、親、祖母と表記する)
    【結果と考察】①赤飯・小豆飯の手作り状況は、ほとんどの儀礼で祖母が70~80%と高い。親は50~70%で、学生は、出産祝と七夜を除いては親より低い。②誕生日ケーキの購入状況は,三世代共に80%以上と高く、手作りは40%前後であった。③初誕生と成人式の餅は、祖母・親では購入が多く、50~80%であった。④結納・婚礼・長寿祝の和・洋・中・折衷料理は、祖母・親共に外食が多く、60~90%であった。⑤法事・葬儀の料理や寿司は、どの世代でも外食が多かった。⑥認知・経験の親と祖母は殆ど同傾向である。学生の七夜、百日、初誕生の認知・経験(%)は低い。学生の結納・婚礼・厄払いの経験(%)は、親・祖母より低かった。⑦祝儀に用いられる赤飯・小豆飯の喫食経験は、親・祖母は60~70%であり、学生は10%前後であった。⑧儀礼食の赤飯・小豆飯の経験時期は、祖母では1945~1973年と1984~2003年の2時期が多く、親では1984~2003年が最も多かった。
     兵庫県の祝儀の儀礼食では赤飯が餅より多く用いられ、手作り率が高い。餅と誕生日のケーキは、手作りより購入の率が高い。祝儀、不祝儀の料理は外食が多い。
  • 3地域(備前,備中,美作)の比較
    藤井 わか子, 藤堂 雅恵, 小川 眞紀子, 山下 広美, 我如古 菜月, 人見 哲子, 槙尾 幸子, 畦 五月, 青木 三恵子, 大野 婦 ...
    セッションID: 2P-15
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】岡山県は,地形からみると県北の中国山地,県中部の吉備高原,県南の平野・丘陵地帯,瀬戸内沿岸・島しょ地帯の四地域からなる。各地域には異なった作物が生み出され,特色ある食文化が伝承されていると言われている。一方で歴史的には,岡山県は備前,備中,美作と呼ばれてきた。そこで,現在の県民局(備前,備中,美作)の管轄で分け,年中行事・通過儀礼の地域による違いを把握することを目的とした。【方法】平成21~23年日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学-行事食・儀礼食-」の調査データから,岡山県に10年以上居住している者334名を対象に,岡山県を3地域に分けて認知度・経験度・喫食経験等について集計し検討した。検定はカイ二乗検定を行った。【結果】岡山県の年中行事・通過儀礼の認知・経験度は,全国調査結果と類似していた。3地域でみると,認知度では秋祭りと人日,重陽の節句(p<0.01)に,経験度ではお月見(p<0.05),秋祭り(p<0.01)で3地域間の差がみられた。正月では,お雑煮の喫食割合は地域差がみられなかった。すまし仕立てが最も多く,丸もち,茹でて食べており,3地域において差異がないことがわかった。お節料理は,黒豆,かまぼこが全体的に最も高い結果であった。次いで,数の子,昆布巻き,煮しめが高かった。その他の年中行事の食べ物は,節分のいわし料理(p<0.01),端午の節句のちまき(p<0.01),盂蘭盆と七夕の麺 (p<0.05),お月見のだんご(p<0.01),大晦日の尾頭付きいわし料理(p<0.01)等で地域間に差が認められた。通過儀礼の認知・経験度は,出産祝い(p<0.01),百日祝い(p<0.01),厄払い(p<0.05)で,またその食べ物では,お七夜と初誕生の赤飯・小豆飯,厄払いのもち(p<0.01)において差がみられた。
  • 春分の日・端午の節句
    上村 芳枝, 岡本 洋子, 原田 良子, 渡部 佳美, 奥田 弘枝, 木村 留美, 杉山 寿美
    セッションID: 2P-16
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    目的】各地域の行事食は各地域での気候、風土、産業、文化、歴史等に培われて、伝承されている。しかし、食生活・食行動の変化に伴って食文化の伝承には変容が見受けられる。そこで、行事食の認知・摂食状況を明らかにするため、日本調理科学会特別研究として平成21~23年度に実施した「調理文化の地域性と調理科学-行事食・儀礼食-」の調査から得られた行事食「春分の日」「端午の節句」の行事食の実態を調べることを目的とした。【方法】当学会特別研究の全国統一様式の調査用紙を用いて調査を行い、広島県に在住する大学・短期大学の学生およびその家族等を対象は、広島県の地域間および世代間の比較を行うため、地域は安芸地域(西部)と備後地域(東部)とし、年代は10~20代の学生と30代以上の一般として大別し、学生268名、一般365名、計633名とした。解析にはエクセルを用いた。【結果】調査対象者のうち認知状況をみると、「春分の日」・「端午の節句」ともに90%以上の者が行事を認知していた。安芸地域(西部)と備後地域(東部)との違いはみられなかった。また、行事および喫食の経験をみると「春分の日」の行事では学生の方が低く、「端午の節句」では学生の方がより高い割合であった。また、「ぼたもち」「ちまき」「柏餅」を家庭で作ると答えた割合はともに低かった。行事の認知度は高い割合であったが、現在、行事食を「家庭で作る」と回答する割合は以前に比べ減少していた。
  • 山口 享子, 桑田 寛子, 石井 香代子, 木村 安美, 高橋 知佐子, 治部 祐里, 渕上 倫子
    セッションID: 2P-17
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】日本各地で伝承されてきた年中行事や通過儀礼のハレの日の食事が、親から子へ伝承されない傾向にある。そこで、それらの認知状況、調理状況や食べ方、これらが変化した時期などについて調査を行い、全国レベルで比較検討し、地域性(広島県と全国の違い)を明らかにすることが本研究の目的である。
    【調査】平成21年12月~平成22年8月に行った日本調理科学会の行事食・儀礼食調査において、47都道府県24,858名の学生及び一般(保護者を含む)からの回答を得た。その中から、広島県に10年以上住んでいる人及び住んだことがある人858名(学生及び一般)を抽出し、お節料理について全国調査結果と比較した。
    【結果】年中行事を代表する正月に供される食べ物11種類の「一般」の喫食頻度(毎年食べる率)は以下の順番になった。広島県:魚料理>かまぼこ>煮しめ>黒豆>なます>肉料理>数の子>田作り>昆布巻き>だて巻き卵>きんとん。全国:かまぼこ>煮しめ>黒豆>魚料理>肉料理>数の子>なます>だて巻き卵>田作り>昆布巻き>きんとん。お節料理の喫食頻度で一番多かったのは、広島県の一般の魚料理(93.2%)で、全国の一般(81.3%)よりも多く食べていた。広島県の学生の魚料理の喫食頻度は全国とほぼ同じで、約73%の者が毎年食べると答えている。一般の最も少なかったのは広島県も全国もきんとんであった。学生が最も多く食べている物は、広島県、全国ともかまぼこであり、最も少なかったものは昆布巻きであった。家庭で作る頻度が50%以上と多いものは、煮しめ>なます>肉料理であった。
  • 篠原 壽子
    セッションID: 2P-18
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    九州地方における儀礼食の地域性
    ○篠原壽子,麻生愛子,室屋かおり
      東九州短大
     【目的】平成21~23年度に実施された日本調理科学会の特別研究「調理文化の地域性と調理科学:行事食と儀礼食」は報告書が刊行され、九州各県における行事食の概要と特徴は本学会誌Vol.45,No.4,316-320(2012)に報告されている。本研究は、沖縄県を除く九州地方7県における通過儀礼に供される食べ物の認知および経験などについて検討した。
    【方法】調査員全員に送付された日本調理科学会特別研究データベース中の九州7県の儀礼食データを用い、県別、儀礼食別に単純集計およびクロス集計し解析した。
    【結果及び考察】調査対象者の性別は女性が約94%、男性が約6%であり、年齢構成は20歳代までが約51%、40~50歳代が約36%を占めていた。家族構成は、二世代および同世代同居形態がそれぞれ約40、29%であった。九州7県では、誕生日、七五三、成人式、葬儀、婚礼・結婚披露、法事、結納、出産祝い、長寿祝いの順に、儀礼食としての認知度が高く、お七夜および百日祝いは認知度が低かった。通過儀礼の経験度については、誕生日、七五三、葬儀、法事の順に高く、お七夜、百日祝いおよび厄払いは経験度が低かった。他の地域に見られない特徴的な儀礼食として、福岡県において、婚礼後の初めての年の瀬に婿の実家から嫁の実家へ送る「嫁ぶり」や法事での「だぶ」があげられていた。
  • 楊 萍, 大仁田 あずさ, 徳井 教孝, 三成 由美
    セッションID: 2P-19
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】本研究では福岡県築上郡上毛町において、食文化の継承がどのように行われているか、地域の伝統的な郷土食・行事食・儀礼食について、実態を明らかにするために検討した。【方法】平成23年9月、上毛町における保育所2所・小学校4校・中学校1校の保護者、計694名を対象に自己記入式質問用紙調査によるアンケートを実施した。調査内容は上毛町の代表的な郷土食・行事食・儀礼食に対する認知・喫食経験・調理の可否等である。解析はSPSSver.19.0Jを用いてχ2検定を行い、p<0.05をもって有意と判定した。【結果】郷土食に対するイメージの上位は、季節の旬がわかる50.9%、健康に良い48.5%、食べる機会が少ない41.9%であった。日常行事食を作っているは核家族世帯が26.7%、祖父母と同居世帯が43.0%であり、儀礼食は核家族世帯が13.5%、祖父母と同居世帯が32.0%であった。行事食のおせちは核家族世帯30.2 %、祖父母と同居世帯51.7%であり、有意に後者が高値を示した。郷土食である煮ぐいを作っているは核家族世帯40.2%、祖父母と同居世帯69.0%であり、後者が有意に高値を示した。郷土食の伝承の必要性では、核家族世帯24.0%、祖父母と同居世帯50.6%であり、後者が有意に高値を示した。【考察】祖父母と同居世帯が郷土食の伝承に深く関係していることが示唆された。核家族化の進行と共に郷土食の伝承を継続していくことが困難であり、核家族化などのライフスタイルの変化を受け止め、各家庭だけでなく社会全体で食文化の伝承を行っていくことが重要であると考えられる。健康増進のための食育に導入できる伝承料理メニュー集を作成し、一般家庭に配布した。
  • 山村 涼子, 山下 浩子, 眞谷 智美, 髙松 幸子
    セッションID: 2P-20
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】若い世代への食教育の観点から,栄養士および保育士養成課程の短期大学生における「郷土料理」や「正月料理」の認知度,喫食経験,調理状況,喫食状況等の実態を把握し,食文化の伝承について検討することを目的とした。
    【方法】久留米信愛女学院短期大学の栄養士(平成23,24年度入学)および保育士(平成23年度入学)課程生を対象にアンケート調査を行った。その内容は,1)「郷土料理」について認知度,調理状況,喫食状況等,2)「正月料理」について喫食状況,調理状況等および具体的な料理内容,各家庭における正月の定番料理や平成25年の正月に実際に食した「正月料理」等について質問した。調査は,集合自記式にて行った。
    【結果】1)「郷土料理」の認知度は,福岡県居住者64.1%,熊本県居住者87.0%と熊本県居住者の方が高く,認知している料理の種類も多かった。2)「正月料理」の用意率は,『お屠蘇』70.9%,『お雑煮』96.1%,『おせち料理』89.3%であった。『おせち料理』の調理状況は,約3割が購入していた。正月に食べる定番料理として,『寿司』,『刺身』,『鍋料理』,『サラダ』等の料理名が挙がった。今年の正月に実際に食べた「正月料理」は,『おせち料理』60.2%,『雑煮』51.5%,『がめ煮』27.2%,『寿司』10.7%,『刺身』・『オードブル』各6.8%,『お屠蘇』は5.8%であった。将来,栄養士および保育士,さらには母親となる若い世代に対して,地域の伝統食や行事と結びついた食文化を伝承していくためには,今後学校教育の中で,それらの意識を高め,調理実習などの実践教育を継続していく必要があると再認識した。
  • 沼田 貴美子, 坂本 美代子, 秋吉 澄子, 柴田 文, 小林 康子
    セッションID: 2P-21
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】「調理文化の地域性と調理科学―行事食・儀礼食―」の全国の調査概要は報告書に,九州他各支部の概要は日本調理科学会誌に掲載された。今回,熊本県で調査した通過儀礼食について詳細に分析を行ったので報告する。
    【方法】調査対象者は,学生とその親の世代間による比較検討を行うために親子間で回答が得られた者各82名であった。学生は熊本市内の短期大学1年生,親は40~50歳代であった。通過儀礼の出産祝い,お七夜,百日祝い,初誕生,誕生日,七五三,成人式,結納,婚礼,厄払い,長寿祝い,葬儀,法事で供される食べ物の認知度や経験度などについて分析し,熊本と全国や九州各県の結果を比較検討した。
    【結果】通過儀礼食は出産祝い・お七夜・百日祝い・初誕生の出産関連(A),誕生日・七五三・成人式の誕生関連(B),婚礼関連(C),厄払い・長寿の祝い・葬儀・法事の長寿法事関連(D)の4群に分類でき比較検討した。Aでは認知度・経験度ともに親世代が学生より有意に多く,Bでは学生・親ともに認知度・経験度が多く世代間の差は認められなかった。Cの婚礼,Dの長寿祝い,葬儀,法事の認知度は学生でも高く親世代との間に有意な差は認められなかった。通過儀礼食の食経験とその時期及び調理状況や食べ方について,親世代の食経験時期は1984~2003年が最も多く,葬儀と法事も2004年以降の食経験が多かった。A,Bでの赤飯は家庭でよく作られ,実家・親戚などで食べるも多かった。買うが多かったのは,誕生日のケーキ,七五三の千歳あめ,長寿祝い他でのもち・饅頭であった。外で食べるが多かったのは,婚礼や長寿祝いの日本料理他、葬儀や法事の精進料理であった。学生は誕生日,七五三,葬儀,法事の食経験が他項目より多かった。
  • 木村 久江, 大村 省吾
    セッションID: 2P-22
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】日本の伝統的な和食文化である正月料理が現在の食専攻学生のなかでどのように根付いているのかを調査することにより、調理教育の参考に資することを目的とする。【方法】西南女学院短大食専攻84名を調査対象とした。参考として大学3、短期大学1、専門学校3、計7校の食栄養・食生活指導専攻学生560名を比較対象とした。(地域別には、仙台・埼玉・長野・奈良・北九州各1、東京3校)「年末および年始の料理内容」、「正月料理への参画状況」、「おせち料理への関心」「誰から教わり誰と食したか」などの質問内容についてアンケート調査を行った。【結果】当学院生では、年末年始の伝統的な食材である蕎麦、餅(雑煮)を食したと回答した者がそれぞれ62%、60%であった。おせち料理を食べたものは85%(和風67%)と伝統的な食習慣が継承されており、調査全大学の平均79%(和風65%)をやや上回った。おせち料理作りに参画したと答えた者は40%いたが、参画は部分的との回答が9割を占めた。71%がおせち料理に関心のあると回答し、関心のある献立としては、栗きんとん、数の子、黒豆が上位3つを占めた。家族から教わった者46%に対して、39%が授業などからと答え、世代間の伝承が少なくなってきていることが分かった。
  • 石川 恵美, 佐藤 幸子, 大久保 洋子
    セッションID: 2P-23
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】飯に水や湯をかけて食べる方法は、奈良・平安迄遡る。その後、煎茶をかけて食べる「茶漬け」が出現した。それは比較的あたらしく江戸時代に普及したものである。現在は漬茶け専門店もあり、茶のかわりにだし汁をかけても「茶漬け」としている。飯に汁をかける食法がどのように発展、展開していたのかを探ることが本報告の目的である。【方法】文献調査:通史資料として『古事類苑』、近世資料として『守貞謾稿』、料理本等現在状況調査には市場統計出版物などを対象とした。【結果】平安時代には飯に水や湯をかけて食べる記録がみられる。その後、飯に汁をかける食法は武士層などの酒宴の後に用いられている。江戸末期の『守貞謾稿』には庶民の日常食に言及し、京阪は朝食、江戸は夕食に茶漬けとしている。煎茶の普及がそれまでの水や湯をかけていたものから茶漬けに発展した。水と茶の品質にもこだわっていた話が料亭での茶漬けとして伝わっている。一方、江戸の料理書『名飯部類』には86品中45品が出汁や煎茶をかける物として記載されている。近代に入り、永谷園が1941年に刻み海苔に抹茶や塩を加えた「海苔茶」を発売、1952年に「お茶漬け海苔」と商品名にお茶漬を取り上げ、お茶漬がより日常的なものに発展した。懐石料理においては最後に飯に湯桶にお焦げを入れた湯が添えられ、食法が決められている。現在は外食店にだし汁を飯にかけて供する店名にお茶漬けを採用している現象が出現している。飯に汁をかける食法の総称として「お茶漬け」という言語が使用されるに至っていると言ってよい。
  • 高橋 ひとみ, 中平 真由巳, 串岡 慶子, 久保 加織
    セッションID: 2P-24
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】滋賀県には、琵琶湖を中心に古くから特徴のある食文化が発達しているが、関西一人口増加率が高く、長年築いてきた食文化、伝統的な食材、食技術が失われる危機を迎えている。本研究では、滋賀県の地域特性を活かした「滋賀の伝統的な料理を活用した食事バランスガイド2010年度版」パンフレットを作成し、質問紙と共に配布し、得られた評価結果を分析してさらに充実した内容の冊子を作成した。
    【方法】
    パンフレットはA4、2枚の大きさを6面に折った形状とした。平成22年2月から11月に滋賀県内の食に関するイベントや大学の授業などでパンフレットと質問紙を配布し、356名(男性163名、女性193名)から回答を得た。有効回答率は27.3%であった。
    【結果】食事バランスガイドを知っていた人は64.8%、理解していた人は56.7%であったが、参考にしている人は24.8%で活用している人はそれほど多くなかった。滋賀の伝統的な料理を知っていた人は67.3%、食べたことがある人は71.4%であった。パンフレットに対して回答者の80%以上が、好印象を持ったことが明らかになった。また、77%が伝統食を食べてみたくなったと回答し、食生活を見直すきっかけになったという回答は71.5%であった。さらに、パンフレットを読んだことで食事バランスガイド自体を理解できたという回答も84%から得られ、パンフレットによる伝統食に対する興味や理解の深化と食育効果が認められた。以上の結果と日常生活で様々な料理を組み合わせるツールが要望されたことを踏まえ、滋賀の伝統食材や伝統的な料理例を数多く紹介する「滋賀の伝統的な料理を活用した食事バランスガイド」冊子を作成した。
  • 西澤 千惠子
    セッションID: 2P-25
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】大分県にある宇佐八幡宮は八幡宮の総本山で、神功皇后が皇子の応神天皇(八幡大神)を育てる際、母乳の代わりとしたという宇佐飴が、土産として販売されている。しかしその歴史は記録されていない。またかつては大麦ともち米を原料として製造していたが、現在では購入した水飴を原料として製造している。10年毎に行われる勅使祭が平成27年に行われるのを機に、宇佐飴製造技術の保存と伝承を目的に、宇佐飴の歴史を調査し、かつて行われていた方法を記録に留め、さらに宇佐飴の再現を試みた。
    【方法】歴史と製法について、文献調査と地元の人を対象にした聞き取り調査を行った。さらに県内に昔ながらの方法で水飴を製造している農家が存在していたことから、聞き取り調査をし、これらの情報を基に、飴作りを試みた。
    【結果】大分県と隣接している福岡県行橋市には、江戸時代末期に同様の飴が存在していた。行橋と宇佐は同じ豊前藩であり、一般人もかなり自由に往来していたこと、さらに飴のパッケージが酷似していることから、何らかの関係があったものと思われる。宇佐飴が文字として最初に登場するのは、元治元年(1864)に描かれた「蓑虫山人絵日記」中である。竹の皮に包まれている長方形のもので、現在の板飴と同様のものと推測される。また今回の調査の中で、全行程を行っていた時の道具一式の存在が確認された。さらに大麦ともち米を原料として、かつて存在した水飴と同様の水飴が復元できた。今後は歴史を詳細に調べ、この水飴を原料とした現在の生活に適合した飴作りを検討していく予定である。
  • バイキング方式食事の栄養表示webシステムの開発
    冨永 美穂子, 豊饒 佑衣, 野中 誉仁, 吉村 元秀
    セッションID: 2P-26
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]近年,学生の食育に大学生協も力を入れており,カフェテリア方式の学生食堂においてはミールカードを導入し,食事として選択した料理の栄養バランス表示がなされるようになってきた.しかしながら,料理やその摂取量を学生自身で選択するバイキング方式の食事においては,選択する料理も個人の嗜好により異なっており,栄養バランス表示はおろか,会計を行うまで選択した料理の重量(価格)もわからない状況にある.そこで,学生食堂の利用に関して質問紙調査を行うとともにバイキングメニューから食事として選択し,組み合わせた料理の栄養バランスなどをweb上でバーチャルに予測できるようなシステム開発を検討した.[方法]学生食堂利用学生248名(有効回答率89.9%)に食堂利用頻度,価格,要望等に関する質問紙調査を行った.食堂で提供されるバイキング料理を通常選択するおおよその分量で1種類ずつ写真撮影し,重量を測定し,エネルギー,食塩量,栄養価(三群点数法)を算出した.撮影写真,撮影された各料理の重量,栄養価データをもとに,Adobe Flash Builder 4を使用し,webアプリケーションを作成した.[結果]バイキング方式利用学生は利用者全体の60%,全学生の15%程度であった.学生が昼食に支払う金額は350円以内が多く,約80%の学生が栄養やバランスのとれた食事について知りたいと回答した.web上で表示された料理を選択するとカロリー,塩分量,三群点数,価格,レーダーチャート,過不足が生じた場合に選択内容に応じたアドバイスが表示されるシステムを開発したが,350円以内で栄養バランスのとれた食事構成にすることは困難であった.
  • -女子学生の塩味嗜好-
    髙山 裕子
    セッションID: 2P-27
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】生活習慣病予防の観点から減塩が重要視されており、食嗜好を考慮した減塩が必要とされている。そこで、食塩摂取に関連する食品摂取や食嗜好を明らかにすることを目的として研究を行った。今回、若い女性の食塩摂取の特徴を探るため、女子学生を対象に塩分摂取とその嗜好に関する調査を行った。【方法】家庭料理の塩分濃度分析は、1)家庭のみそ汁の塩分濃度 2)その他、自分が調べてみたい料理、食品の塩分について調査した。塩分濃度の分析は、東亜ディーケーケー株式会社製SAT500型を用いた。汁物の官能検査は、みそ汁、コンソメスープについて、濃度の違いによる感じ方(薄い・濃い)と、好み(好ましい・好ましくない)を調べた。【結果】みそ汁の塩分濃度の平均値は、0.84%で標準的な範囲であり、1.2%以上の高濃度のみそ汁はなかった。身近な食品や料理の中で、塩分濃度を調査したいものに挙げられたのは、洋風の料理・加工食品が多かった。高塩分の食品や料理については、和風のものを好んで食べる人は少なく、ケチャップ、マヨネーズなどの調味料、加工調味ソース等の塩分に注目する必要性が示唆された。官能検査では、みそ汁は、0.7%のうす味のものを好む人が8割を超えた。一方、コンソメスープは、0.9%の濃度のものを好む人が6割、1.0%が2割であった。
  • あんず特産品の官能検査
    中澤 弥子
    セッションID: 2P-28
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】長野県千曲市では,平成22年2月より千曲市の特産品を「信州千曲ブランド」認定品として基準を定め認定している。千曲市には江戸期に植えられた杏林があり,「日本一のあんずの里」として知られ,長野県のあんずの生産量の5割を占めている。よって特産のあんずを使用した生産者のこだわりの商品が数多く「信州千曲ブランド」認定品となっている。しかし,認定には主な原材料の産地や製造地が千曲市であることは定められているが,各商品の特徴は明らかでないため,商品選択の基準としては情報が不足している。本研究の目的は,認定品の官能検査やアンケート調査を行い,その結果を基に信州千曲ブランド認定商品の特徴づけを行い,今後のブランド化,生産者の商品開発や消費者の商品購入に役立つ情報を得ることである。
     【方法】「信州千曲ブランド」認定品として認定されているジャムなどのあんず製品を対象とした。官能検査のパネルは,長野県短期大学学生と教員,官能検査の内容は,あんず製品の外観,酸味,甘味,果肉感・硬さ,香りおよび総合評価とし,その他,商品の価格,ネーミングや包装の値段,量,サイズや食べ方のアイデア,また,あんずの生食経験や,生食用あんず・あんずの加工品に対する嗜好およびあんずに対するイメージなどについてアンケート調査を行った。
    【結果】
    あんず特産品の官能検査の結果,あんずジャムなど,酸味,甘味,果肉感・硬さに商品による違いが認められた。官能検査の結果とアンケートによる商品に対する意見を参考に,商品の特徴を数値化して示すことによりあんず特産品の特徴づけを行い,今後のブランド化,消費者の商品購入や生産者の商品開発に役立つ情報を提供できる可能性が示唆された。
  • 小河 拓也, 松浦 克彦
    セッションID: 2P-29
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、ブルーベリーの栽培が増加している、ブルーベリーは品種が多く、その果実品質特性や加工適性については明らかにされていない。本県での栽培に適し特色ある品種を選定するために成分特性およびブルーベリーの代表的な加工食品であるジャム加工への適性を調査した。【材料および方法】ブルーベリー品種の品質評価は北部農業技術センターに植栽品種ノーザンハイブシュ(NHB)系8、サザンハイブッシュ(SHB)系2、ラビットアイ系(RB)5品種の収穫期に2回完熟果実を収穫し分析に供し、外観・水分・可溶性全糖・滴定酸・物性・色価・官能評価を行った。ジャム加工は果実約30gに果実重の50%のショ糖を加え加熱、沸騰後3分沸騰を維持後、冷却し、色調、官能評価を調査した。【結果】NHB系品種は1粒重の大きいものが多かった。滴定酸は「ハーバート」、「コビル」が高い傾向がみられた。全糖含有率は「ハーバート」および「ブルークロップ」が低く、RB系品種は全体的に高い傾向がみられた。破断応力はNHB系SHB系品種に比べRB系品種は応力が強いことから、果皮が硬いと考えられた。果実の色素量はNHB系品種に比べSHB系、RB系品種が高い傾向がみられた。果実の官能評価では酸含有率が高く、全糖含有率が低い品種の評価が低く、全糖含有率の高い品種の評価が高かった。ジャムの官能評価では酸含有率の高いNHB系品種の「ハーバート」、「ブルーレイ」の評価が高く、生食で評価の高い「ジャージー」は評価が低かった。RB系品種は全体的に評価が高かった。
  • 石神 優紀子, 山﨑 薫
    セッションID: 2P-30
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】三宅島の灰干しは、火山灰と火山灰の間に素材を挟み込み、低温熟成させた干物である。火山灰は水分を吸い上げる特性を活かし、空気に触れさせないように食材を乾燥させて仕上げる。比較的水分含量が高く、旨味が増して味は格別といわれている。灰干しは一般的に魚やワカメなどの水産物や肉などが主流であり、野菜の灰干しはあまり事例がないため、三宅島の新規特産品開発候補として、野菜の灰干し試作を行った。
    【方法】製造方法に関しては、魚類の灰干し作成法を応用して用いた。今回、使用した火山灰は入手量の関係上、桜島火山灰を550℃で焙煎し、使用した。17種類の野菜を素材に灰干しを行い、試食、加えて水分含量を測定した。
    【結果】試食結果として、赤パプリカはトマトのような甘みを、黄色パプリカはフルーツのような甘みを感じたという意見を多く得た。また、ニンジンは甘く、食べやすくなり、生のニンジンを食せない、ニンジンは嫌いだというパネルからも好評価を得た。他にもナス、キュウリ、サツマイモ、カボチャが好評であった。ナスはアオジソの様な爽やかな香りがし、心なしか甘く、食べやすくなった。キュウリは生の状態時の青臭さがなく、スイカの様な爽やかな香りがし、甘くて食べやすくなった。サツマイモとカボチャは、より甘くなるだけではなく、風味も増し、しっとりした食感を得ることができた。しかし、白菜とエリンギであった。この2つは野菜に灰の匂いが移り、土臭かったりゴム臭かったりし、後味が悪く、灰干しに向かない野菜は葉物野菜とキノコ類であるということも分かった。灰干し野菜は生またはゆで処理のみの状態の野菜と比較した場合、水分含量に大きな差は認められなかった。
  • 大友 佳織, 阿部 真弓, 冨岡 佳奈絵, 鈴木 惇
    セッションID: 2P-31
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
     料理したカボチャ(果実)は、舌触りがよく煮くずれし易い。舌触りがよく煮くずれし易いのは、中果皮のデンプン貯蔵細胞の細胞間の接着が弱いことと関連があった。茹でたカボチャ:ロロン、くりひろ、坊ちゃんの組織構造を調べ、組織構造と煮くずれおよび食感の関連をみるために、本研究をおこなった。
     材料は市販のカボチャ:くりひろ、ロロン、坊ちゃんを10月に購入して用いた。茹でた材料を冷ました後、急速に凍結した。これらをコールドミクロトームで薄切した。切片を過ヨウ素酸・シッフ液で染め、果肉の外果皮と中果皮について観察した。茹でた材料の食感を調べた。
     外果皮に近い部位の中果皮のデンプン貯蔵細胞は、三種とも糊化デンプンで満たされていた。中果皮の中程では、坊ちゃんのデンプン貯蔵細胞の多くは、糊化デンプンで満たされたが、内果皮に近い部位では、糊化デンプンの少ない細胞が多かった。ロロンでは、中果皮の中程で糊化デンプンがない細胞が、大部分を占めたが、内果皮に近い部位では、糊化デンプンで満たされた細胞がやや多かった。くりひろでは、中果皮の中程から内果皮の近くまで、糊化デンプンがない細胞が大部分を占めた。三種のカボチャとも、中果皮には、細胞間に空隙が生じるが、中程から内果皮にかけて大きく広がることはなく、細胞間のつながりは、ある程度存在した。食感は、水っぽく、ホクホク感は少なく、煮崩れはしなかった。このことは、細胞間のつながりおよび糊化デンプンで満たされない細胞の存在と関連したと考える。
  • 阿部 真弓, 大友 佳織, 冨岡 佳奈絵, 鈴木 惇
    セッションID: 2P-32
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
     収穫時期から月日が経って成熟したカボチャのロロンと坊ちゃんにおけるデンプン貯蔵細胞の加熱による糊化デンプンの性状と加熱の違いによる甘味との関連をみるために、本研究をおこなった。
     材料は市販のカボチャ:ロロンと坊ちゃんを12月に購入した。材料は、茹でたものと蒸したものを用いた。加熱した材料を冷まし、生の材料とともに急速に凍結し、コールドミクロトームで薄切した。切片を過ヨウ素酸・シッフ液およびヨウ素液で染めた。茹でたカボチャと蒸したカボチャの味を比較した。
     ロロンにおけるデンプン粒は多く、坊ちゃんのデンプン粒は非常に少なかった。加熱したロロンのデンプン貯蔵細胞は、中果皮において糊化したデンプンで一様に埋められた。加熱した坊ちゃんのデンプン貯蔵細胞は、外果皮に近い部位を除いて、中果皮のすべてで、糊化デンプンはなかった。茹でたロロンのデンプン貯蔵細胞では、ヨウ素染色により、多くの糊化デンプンは、濃い青に染まり、焦げ茶や茶色に染まった糊化デンプンもあった。細胞間に、青く染まった長鎖デンプンが存在した。蒸したロロンの中果皮の外果皮に近い部位では、デンプン貯蔵細胞の糊化デンプンは、濃い青に染まった。中程から内果皮に近い部位では、茶色に薄く染まった糊化デンプンが多く、この糊化デンプンの中に青く染まった長鎖デンプンが散在した。細胞間の長鎖デンプンは少なかった。蒸したロロンは、甘く、茹でたロロンよりも甘かった。茹でおよび蒸した坊ちゃんは、甘くなかった。糊化デンプンの有無と性状が甘みと関連したと考える。
  • 冨岡 佳奈絵, 大友 佳織, 阿部 真弓, 鈴木 惇, 伊藤 久美子, 大和田 修一
    セッションID: 2P-33
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】加熱したサツマイモの組織には、結晶性の像を示す物質が観察された。結晶性の物質の性質を調べるために、組織化学的方法およびX線分析装置付き走査電子顕微鏡を用いて、本研究をおこなった。
    【方法】サツマイモを3 cmの厚さに横断して、試料を作製した。加熱した試料を室温に下げてから、ドライアイス・アセトンで急速に凍結した。凍結した試料をコールドミクロトームで薄切した。薄切した切片をトルイジン・ブルーOで染め、カルシウムの有無を確かめるために、アリザリン・レッドSで染色した。結晶性の物質を調べるために、染色および無染色の標本を常光と偏光で観察した。無固定無染色の切片を、カーボンまたは白金バナジュウム蒸着した後、元素組成分析・マッピング:エネルギー分散型X線分析装置付き走査電子顕微鏡によりカルシウムの有無とその局在を調べた。
    【結果】無固定無染色の標本には、偏光装置により複屈折を示す結晶が、組織全体に分布していた。染色された標本では、複屈折を示す結晶の大部分は消失したが、表皮に近い局所に、結晶が多く存在した。表皮に近い局所に多く存在する結晶および内部に点在する結晶には、カルシウムが染色された。X線分析装置の元素分析により、表皮の近くに存在する多くの結晶および内部に散在する結晶とみられる像に、カルシウムが検出された。結晶らしき一部の像には、マグネシウムが検出された。サツマイモの表皮の近くに、カルシウムが偏在していた。検出されたカルシウムとマグネシウムは、しゅう酸と化合した塩の結晶であると考える。
  • 福島 祐里, 水田 美咲, 高村 仁知
    セッションID: 2P-34
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】熱帯に位置するインドネシアは日差しが強く、ここで生育する植物は紫外線による酸化を防ぐため、強い抗酸化性を有しているとされる。インドネシア産メリンジョ(Gnetum gnemon L.)は高い機能性を有し、現地ではメリンジョチップス(ウンピン)などとして食用とされているが、口内に残る特徴的な苦みが国外における普及を妨げている。本研究ではメリンジョの有効利用を目指し、メリンジョ粉末を用いた菓子の開発を試みた。
    【方法】メリンジョ粉末を用いた焼き菓子としてパウンドケーキ、揚げ菓子としてドーナツ、生菓子としてプリンの3種を作成した。メリンジョ粉末量はそれぞれ0~20%とした。官能評価により嗜好性を評価するとともに、機能性成分であるgnetin C含量をHPLCにて定量し、抗酸化活性をOxygen Radical Absorbance Capacity (ORAC) 法で評価した。
    【結果】生菓子であるプリンでは、gnetin Cおよび抗酸化活性が保持されていたのに対し、焼き菓子であるパウンドケーキではプリンの約1/2に、揚げ菓子であるドーナツでは約1/4に減少した。しかし、プリンでは苦味が強く感じられたのに対し、パウンドケーキやドーナツでは苦味が減少した。また、弱い苦味を有する方が嗜好的には好まれる傾向にあった。
  • 中井 奈美貴, 本田 沙季, 山口 奈緒美, 沢村 信一, 小林 三智子
    セッションID: 2P-35
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】現在、市場に出回っている野菜ジュースの中では、栄養価の高いにんじんを主体としているものが多い。にんじんは一年中市場に出回っており、入手しやすいため、加工食品として使用しやすい。また、ピューレにすることで粒度の違いによる差をみることができる。本研究では粒度の異なるにんじんピューレを用いて調製したスポンジケーキの物性について測定を行った。あわせて、スポンジケーキに添加するのに好ましい粒度を求めることを目的とした。
    【方法】スポンジケーキは全材料に対して28.1%のピューレを添加し、得られた試料について機器測定を行った。機器測定はレオメーターRE33005(山電)を使用し、破断特性値およびテクスチャー特性値を求めた。ピューレは、14・90・250 µmの3段階の粒度のものを使用した。
    【結果】破断特性において、硬さを示す破断応力は250 µmが最も値が高くなることが認められた。一方、弾力性を示す破断ひずみは14 µmが最も高くなることが認められた。このことから、粒度の大きいピューレを添加することにより硬くもろくなるのだと考えられた。テクスチャーにおいて、内部結合の指標である凝集性は250aµmが最も値が低くなることが認められた。粒度の大きいピューレを添加することによりスポンジ状組織が阻害され、内部結合力が弱まったと考えられる。以上より、スポンジケーキに添加するのに好ましいピューレの粒度は14 µmであると考えられた。
  • 岸田 恵津
    セッションID: 2P-36
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】野菜を蒸すと甘く感じる傾向がある。本研究では,キャベツの蒸し加熱による甘味の変動について,糖含量測定と官能評価等により検討を行った。<BR> 【方法】キャベツは兵庫県産のものを市場で購入して試料とした。蒸し加熱は通常の100度蒸し(10分,20分)に加え,低温スチーミング鍋を用いた70度(20分,30分),電子レンジ加熱(30秒,60秒)により行った。糖含量はF-キットを用いてグルコース,果糖,ショ糖を定量した。官能評価は女子大学生22人をパネルとし,各蒸し加熱における最適加熱時間の試料に対して,甘味,硬さ,シャキシャキ感,総合評価等について評点法で行った。 <BR> 【結果】生キャベツの糖含量は,グルコース1.9g/100g,果糖2.0g,ショ糖0.2gであった。加熱方法別に糖含量を比較すると,いずれの加熱方法でも各糖含量は,生との間に有意差は認められなかった。官能評価では,硬さ,シャキシャキ感は生,70度,電子レンジ,100度の順に評点が高値であった。甘味の評点は逆の順で,100度が最も甘いと評価され,生に対して100度蒸しのみに有意差が認められた。好みと総合評価は,いずれの試料でもほぼ同程度であり,試料間に有意差はなかった。官能評価の項目間の相関を調べると,硬さと甘味の評点間に負の相関を示した。 <BR>100度蒸しが最も甘いと評価されたが,糖含量はいずれの加熱方法でも変化せず甘味と対応しないこと,甘味の感じ方には感覚的な硬さなどのテクスチャーの違いが関係していることが示唆された。
  • 三橋 富子, 田島 真理子
    セッションID: 2P-37
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】硬度の異なる数種のミネラルウォ-タ-を用いた茶浸出液の成分分析および官能検査を行い硬度の影響について検討した。
     【方法】茶葉3gに80℃の蒸留水及び硬度29から315の5種のミネラルウォーター80mlを加え1分間保持後ろ過し浸出液を得た。浸出液の成分測定項目は、にごり物質重量、pH、色差、アミノ酸、カテキン・カフェイン、ビタミンCおよび糖である。緑茶浸出液の官能検査は、蒸留水浸出液を基準として、7項目について7段階尺度法を用いて行った。
    【結果】硬度の低い水で出した浸出液の方が明度は高く、黄色味が薄かった。浸出液のにごり物質重量は硬度84以上では蒸留水に比べて有意に多かった。この沈殿物は渋みを呈するシュウ酸のカルシウム塩であると推察された。カテキン類は硬度29が最も多く、硬度の上昇に従って減少した。ビタミンCも硬度が高くなるほど少なくなり、硬度84以上では蒸留水に比べて有意に少なかったが、官能検査の酸味の感じ方には影響なかった。糖質は水の種類間で有意差はなかった。アミノ酸はテアニンが最も多く、次いでグルタミン酸、アスパラギン酸であったが、水種間で有意差はなかった。官能検査により硬度229の方が5%の危険率で蒸留水より有意ににごりと甘味が強く、より好ましいと判定された。硬度64.2のアルカリイオン水は蒸留水より有意に渋味が少ないと判定された。官能検査結果より硬度229の方がにごりは強く、その原因物質であるシュウ酸カルシウムが多いため、茶浸出液中に残っているシュウ酸の量が少なく、渋味が弱く感じられたことにより相対的に甘味が強く感じられて蒸留水浸出液より有意に好まれたものと考えられた。
  • - オノマトペの使用を中心として -
    福留 奈美, 立山 和美, 笠松 千夏, 香西 みどり
    セッションID: 2P-38
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】ゆで物・煮物調理では水やスープなど液体の加熱状態を見極めコントロールすることが求められるが、微妙な沸騰状態を弱・中・強火といった火加減だけで言い表すことは難しい。そこで代表的な液体として水およびポタージュを対象に選び、加熱状態を表す用語・表現を収集・整理することで誰にでもわかりやすい用語・表現の選出と活用法を提示すること、また使用される表現にどのような違いがあるかを明らかにすることを目的とした。
    【方法】鍋内で水およびポタージュを加熱するビデオ映像を撮影・編集し、サンプルビデオを作成した。調理初心者として若年層の大学生を対象とし、サンプルビデオを見せながら、水およびポタージュの加熱状態を表す用語・表現を自由記述により収集した。結果を整理し、代表的な表現についてはサンプルビデオによる対応評価および使用頻度調査を行い、コレスポンデンス分析およびクラスター分析、ジニ係数、使用頻度による分類を行った。
    【結果】水およびポタージュの加熱状態を表すオノマトペが数多く収集された。出現頻度から「グラグラ、ボコボコ、グツグツ、ブクブク、ポコポコ、プクプク、フツフツ、プツプツ、ポツポツ」が共通して出現頻度が高く、「コトコト、ブツブツ」はポタージュに、「プチプチ、パチパチ」は水の加熱状態を表す語として頻度が高く違いがみられた。対応評価の分析結果から、水・ポタージュともに弱い~強い加熱段階それぞれに異なるオノマトペが対応した。またジニ係数および使用頻度調査の結果を合わせてみることで、対象者にとってよりわかりやすい共通言語としてのオノマトペが選出でき、液体の加熱状態を的確に言い表すレシピ表現として実際に活用できるものと考えられた。
  • 加熱法別の比較
    小川 宣子, 小林 由実, 山中 なつみ, 佐宗 洋子, 河原 ゆう子
    セッションID: 2P-39
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】筆者らは,様々な加熱法において,ガスレンジを熱源とする加熱とIHヒーターを熱源とする加熱が調理の仕上がりに及ぼす影響を評価してきた。その結果,「炒める」や「焼く」等の加熱法において,熱源により仕上がりに差があることがわかってきた。本報では,既往の評価結果とともに新たに評価した加熱法による差異をまとめる。【方法】加熱法別調理メニューとして,「焼く」は厚焼き卵,餃子,「炒める」はチャーハン,ほうれん草の油いため,「茹でる」はスパゲッティー,「蒸す」は赤飯,「揚げる」はコロッケを選定した。「焼く」「炒める」はフライパン表面温度の上昇速度,「茹でる」は湯の上昇速度,「蒸す」は蒸し器から発生する蒸気量が同じになる火力とした。「揚げる」は各コンロの自動温度調整機能を使い,油温度を180℃一定にした火力とした。食材と調味料の量及び調理操作はすべて熱源間で統一した。評価項目は,厚焼き卵は内部硬さや弾力性等,餃子は焼き目とフライパン表面温度,チャーハンは塊付着性や水分量,塩分濃度等,ほうれん草の油いためは表面水分量や硬さ等,スパゲッティーは破断応力,水分量,糊化度,茹で湯の対流可視化等,赤飯は硬さ,水分量と熱対流シミュレーション等,コロッケは油温度と揚げ色等とした。【結果】ガスレンジは直火による加熱のため,鍋肌及び鍋周囲の雰囲気温度が鍋底とともに高温になり鍋全体が加熱されるという特徴がある。一方,IHヒーターはコンロの電磁コイル上面の鍋底のみが発熱し高温になるという特徴がある。これらの加熱特性により,いずれの加熱法においても調理の仕上がりの均質性という点で,ガスレンジはIHヒーターに比べ優れていることが明らかとなった。
  • 吉田 恵子, 友野 秀明, 岡本 洋子, 四十九院 成子
    セッションID: 2P-40
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年火のない調理器としてIH(Induction Heating-誘導加熱)調理器が注目されている。現在までにIH調理器の温度上昇や使い勝手についての報告があるが、実際の料理品についての報告は少ない。そこで演者らは、ガス調理器とIH調理器を使用して数種の料理品を作成し、熱源調理器と調理器具(鍋など)の違いによる料理品の差を比較検討することを目的とした。同時に使い勝手などについても考察した。【方法】ガス調理器はマルゼンガスレンジ(RGR0963XB・4500kcal)を使用、IH調理器はNational IHクッキングヒーター(200v・3.0kw)を使用した。調理器具は、IH専用テフロンフライパン(直径25cm)、鉄製フライパン(直径24cm)、IH専用片手鍋(直径19.5cm)を使用した。参考としてガス調理器では中華鍋も使用した。1.各熱源調理器、調理器具を用いて、空焼き、水を入れての加熱による温度上昇を計測した。2.キャベツの炒め物:キャベツ(70g)を3cm角に切り、2%の油で炒めた。3.サツマイモの茹で物:サツマイモ(200g)を1.5cm角に切り、水(200g)で茹でた。【結果】1.空焼きの温度上昇について:熱源に関わらず、空焼きの場合、調理器具によって温度上昇に差が出た。フライパンで空焼きした場合、鉄フライパンの方が温度上昇が速く、底面と壁面の差が少なかった。2.キャベツの油の付着をみると、テフロンでは面となって付着していたが、鉄では油滴のように付着していた。キャベツの色は、ガス調理器が鮮やかであった。3.サツマイモの茹で物では、IHの方が軟らかくなるまでの時間が長く、加熱ムラがあった。
  • 四宮 陽子, 夛名賀 友子
    セッションID: 2P-41
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
     【目的】一般的に嚥下困難者の食事は、外観、味共に好ましくない料理が多く、「えん下困難者用食品」の市販品も少ない。高齢化が進行する社会的なニーズからも嚥下困難者の食事をおいしく調製することは大きな課題となっている。消費者庁の定める「えん下困難者用食品」許可基準3は、やわらかいペースト状又はゼリー寄せのように複数の食材や不均質の物を含んでも良い。そこでこの基準に該当するおいしい食事を調製することを目的とし、公開されている流動食のレシピを調査して調製法を検討、食事つくりとテクスチャー測定を行った。
     【方法】調査はインターネットや文献、またホテルメトロポリタンエドモンドのフレンチレストラン「フォーグレイン」で流動食フルコースを体験した。これらを基に鮭のムース(以下Aとする)、パンのムース(以下Bとする)、比較としてヨーグルトナチュレ恵(日本ミルクコミュニティ(株)以下Cとする)を調製した。テクスチャーはクリープメーター(RE2-3305B、(株)山電)、テクスチャー解析Ver.1.3で消費者庁の基準に準じて測定し、消費者庁の「えん下困難者用食品」許可基準3、嚥下食ピラミッド、ユニバーサルデザインフード(以下UDFとする)と比較検討した。
     【結果】好まれる流動食は色が美しく、色の混濁を避けるため食材は単一でミキサーにかけてピューレにする、食材の味、旨味、風味を引き出す為にじっくり煮込む、食感をなめらかにするためにミキサーで粉砕、裏ごすなどを行っていた。この結果を参考にAは主材料の鮭、はんぺん、豆腐にコンソメスープを加えミキサーで粉砕、Bはパンのクラムと牛乳を煮詰め、蜂蜜を加えミキサーで粉砕を繰り返した。Cはヨーグルトに砂糖を加え攪拌した。テクスチャーは許可基準3の範囲に入り、嚥下食ピラミッドではL2~L3、UDFかたさ区分では3~4の範囲であった。 
  • 佐川 敦子, 中西 由季子, 森髙 初惠
    セッションID: 2P-42
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 咀嚼・嚥下機能低下者に対応する食品の基礎的知見を集積することを目的に、固体分散ゾル試料を用いて、咀嚼・嚥下、消化、力学特性の観点から増粘剤(分散媒)の添加効果を検討してきたが、すべての観点から総合的に満足のできる増粘剤(分散媒)が存在しないことが示唆された。本研究では、単独各種の増粘剤の欠点を補い長所を生かす混合の効果を検討した。
    【方法】 とろみ調整剤の主原料として用いられている3種の増粘剤(馬鈴薯澱粉(以下PS)、グアーガム(以下GG)、キサンタンガム(以下XG))を同量で混合した①PS-GG混合ゾル、②PS-XG混合ゾル、③GG-XG混合ゾルを分散媒とし、固形物を分散させた固体分散ゾルモデル試料を用い、超音波を用いたパルスドップラ法による咀嚼後の食塊の移動特性およびin vitro評価法による消化性を検討し、併せてテクスチャー特性、官能評価を実施した。
    【結果】PS-GG混合ゾル試料は、官能評価において最も飲み込みやすいと評価されたが、咽頭部における食塊の最大移動速度が速く、咀嚼回数が増加するに従って食塊の移動速度が速くなる傾向がみられた。GG-XG混合ゾル試料は、口腔内で最もまとまりやすく、ばらつきにくいが、付着性が高く、嚥下時に大きな力を必要とすると評価された。PS-XG混合ゾル試料は、消化性が他の試料よりも高く、XG単独添加において消化性が低いという欠点を、PSと混合することにより改善されたことが示唆された。
  • 森髙 初惠, 不破 眞佐子, 板津 彩虹, 佐川 敦子, 沢村 信一, 小野 高裕
    セッションID: 2P-43
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 咀嚼・嚥下過程において、舌は重要な役割を果たす。しかし、嚥下時の舌運動の定量的な評価は困難であり、まだ多くの課題がある。小野らは舌と口蓋の接触様相の定量評価が可能な簡便な圧力センサ型の測定装置を開発し報告している。本報告では、二酸化炭素の溶解圧が異なる炭酸飲料について、舌圧力センサシートを用いて嚥下時の舌運動を定量的に評価し、咽頭部における炭酸飲料の移動速度との関係について検討した。
    【方法】 試料は原料が同一で、ガスボリューム0、1.5、2.7の3種類の炭酸飲料(以後、GV0、GV 1.5、GV 2.7とする)とした。T字型に5個の感圧点を配列した薄い舌圧センサシートを硬口蓋に添付し、炭酸飲料嚥下時に発生する舌圧を解析した。併せて、咽頭部における食塊通過時の最大速度を測定し、官能評価を実施した。
    【結果】 炭酸飲料嚥下時の舌の硬口蓋への接触順位は硬口蓋正中部では前方部、中央部、後方部と、前方から後方へ向かって舌圧が発生した。硬口蓋後方周辺部への接触は硬口蓋中央部接触後であった。舌の接触順位にはガス圧による差は認められなかった。舌圧発生の持続時間はガス圧によらず硬口蓋後方中央部が最も短く、どの部位においてもGV 1.5とGV 2.7はGV 0よりも有意に長かった。舌圧のピーク値は、全ての部位においてGV 1.5とGV 2.7がGV 0よりも有意に大きかったが、部位による相違は認められなかった。官能評価においては、GV 1.5とGV 2.7はGV 0と比較し、飲み込み難く、スーと飲み込めないと評価された。咽頭部での炭酸飲料の最大速度は、GV 2.7はGV 0よりも有意に速かったが、GV 1.5では他の炭酸飲料との間に有意差は認められなかった。
  • 長坂 慶子, 藤井 恵子
    セッションID: 2P-44
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】雑穀は調理の前処理として、水に長時間浸漬して吸水させるもの、短時間浸漬させるもの、浸漬をしないものなどある。この吸水操作は経験的に行われており、コメやマメ類は浸漬時間短縮を目的とした浸漬温度の吸水速度に及ぼす影響が数多く報告されているが、雑穀の報告は少ない。雑穀を効率的に吸水させるためには、雑穀の吸水特性を明らかにする必要がある。本研究では、雑穀の吸水特性に及ぼす浸漬温度の影響を検討した。【方法】試料にはアワ、イナキビ、キヌア、タカキビ(赤)、ホワイトソルガム、シコクビエを選びコメを対照とした。浸漬温度は20、25、30℃の3段階とした。試料の初期含水率は140℃での恒量とした。浸漬は吸水量が平衡に達するまで行い、試料の浸漬前の重量より増加した重量を吸水量とし、初期含水率と吸水量から含水率を算出した。m-m/m0-m=exp(-(K・t)式より吸水速度定数()を求め、0=exp(-E/RT)式よりみかけの活性化エネルギー()を算出した。ここでm:含水率、:平衡含水率、m0:初期含水率、:浸漬時間、:前指数因子、:気体定数、:絶対温度である。【結果】浸漬温度25℃における吸水速度定数は、コメに比べてアワ、イナキビ、ホワイトソルガムの値は大きくなった。一方、アマランサス、キヌア、シコクビエ、タカキビ(赤)の吸水速度定数は小さく、コメより吸水速度が遅いことが明らかとなった。浸漬温度が高くなると平衡含水率に到達するまでの時間は短くなり、吸水速度定数は大きくなった。シコクビエはコメに比べて吸水速度定数の温度依存性が小さく、みかけの活性化エネルギーは約0.04kJ/molと小さくなった。
  • 井部 奈生子, 大坪 俊輔, 肥後 温子
    セッションID: 2P-45
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】小麦粉の代替素材として米粉・雑穀粉(全粒粉を含む)を有効活用する方法を模索する課題に取り組み、約6年間の実験期間中に、すいとん、クレープ、パンケーキ(焼き、蒸し)、クッキーの5種類の調理加工品を作成し官能評価を行ってきた。そこで、今まで行った各穀粉の官能評価結果を整理することにより、嗜好性を満足させる調理加工品を作る上での問題点を明らかにしようとした。
    【方法】1)薄力全粒粉、ライ麦粉、日本米粉、玄米粉、赤米粉、そば粉、あわ粉、ひえ粉の各試料粉体30~100%に薄力小麦粉を加えた穀粉に、水または副材料(牛乳、卵、砂糖、バターまたはショートニング)を加え、すいとん(ゆで加熱、製品水分約80%)、クレープ(焼き加熱、製品水分約80%)、パンケーキ(熱風加熱、製品水分約50%)、パンケーキ(スチーム加熱、製品水分約57%)、クッキー(オーブン加熱、製品水分約7%)を作成し、2)男女学生n=16~206をパネルとし、硬さ、もちもち感、口どけ、色調、総合的な嗜好について官能評価を行った。
    【結果・考察】1) 5種類の調理加工品とも、総合的な嗜好に最も大きく影響する項目は味・あと味であり、2) クッキー、パンケーキ、クレープ、すいとんの順に穀粉間の味・あと味に対する評価の差が大となり、3)ひえ、はと麦、赤米の味・あと味が悪いと評価された。4)柔らかさ(硬さ)、もちもち感などの食感に対する評価の差は、パンケーキ(スチーム加熱)で最大となり、5)赤米、日本米、あわは柔らかくもちもちしていると評価されたが、6) クッキーでは粘弾性が強いこれらの穀粉が最も硬いと評価された。7)粉の焙焼がクッキーの食感を改善し、オレンジピールなどの食材の混合が味・あと味を改善したので紹介する。
  • 橋本 まさ子, 井桁 千恵子
    セッションID: 2P-46
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    【目 的】食料は、人間の生命の維持に欠くことのできないものであるだけでなく、健康で充実した生活の基礎として重要な役割を担っているものである。そして、食料の安定供給を確保することは、国民の安全性や健康維持を図るうえで不可欠なものであると考えられている。しかしながら、わが国の食料自給率は低く、海外に依存している状況である。また、食の外部化の進展による外食や中食における加工品や業務用品の需要により自給率の低下はさらに進むものと推定される。そこで、地域の特産物を利用した加工品の開発と、地域の絆づくりに効果的な手段になるであろうと考え、地元の特産物の利用を試みたので報告する。【方 法】特産物「小麦粉」「やまといも」を利用した加工品として、白パンを作成した。 市販の強力粉を利用した白パン、地粉を利用した白パン、地粉にやまといもを混合(割合別2)した白パン5種類とした。官能検査は、外見、色、味の評価とした。品質判定はクリープメーター自動分析装置による測定と水分含量を測定した。【結果および考察】 地粉のみで作成したパンは、他の4種類に比較して水分含量に差がみられた。官能検査において、外見、色、味の評価で有意がみられた。製造工程では、地粉を利用したものは、捏ねあげ過程でパン独自の網目構造の形成は少なかった。特に地粉のみの場合は、伸ばすと生地の切断もみられた。本地域の地粉は、うどん等の麺類に利用されてきたが、やまといもを加えることにより、パンにも利用されることが示唆された。特に、本研究で製作したやまといもを加えたパンは、特徴のあるパンに仕上がったものと考えられる。今後は、地域に根ざした特産物となれるように改良を加えた開発と、地域での啓発活動の実施をおこなって行きたい。
  • 小木曽 加奈, 中澤 弥子, 吉岡 由美, 佐藤 晶子, 岡崎 光雄
    セッションID: 2P-47
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
    会議録・要旨集 フリー
    発芽玄米酒粕添加がパンの色調と嗜好に及ぼす影響
    ○小木曽加奈1,中澤弥子1,吉岡由美1,佐藤晶子1,岡崎光雄2
    1長野県短大・生活科学科健康栄養専攻,2岡崎酒造  
    【目的】発芽玄米酒粕とは,発芽玄米を原料とする清酒の残さである。筆者らは発芽玄米酒粕をパンに添加し,色調と嗜好についてその影響を検討したので報告する。
    【方法】官能試験方法はパネルとして健康で味覚に問題のない大学生及び教員(全32名)を選抜した。コントロールである無添加食パンと発芽玄米酒粕製パン,対照である吟醸酒粕製パンについて比較を行い,パンの焼き色と嗜好について評価した。色調の測定については,パン焼成後,常温で24時間経過後のものを使用した。パンの皮を除き,底辺部から2.0cmの部分を切り落とし,そこから縦横5.0cm×高さ1.5cmに切ったパンを各試料として色差計(日本電色株式会社,NE−2000型)で測定を行った。反射法で測定したHunter表色系のLab値と白色度を求めた。
    【結果および考察】官能試験結果からパンの「焼き色」,「焼き色の好み」は吟醸酒粕より発芽玄米酒粕を加えたパンの方が有意に強く,官能的に好ましくなることがわかった。各パンの色差を測定した結果,吟醸酒粕製パンは焼き色があまりつかず白色度が高くなった。一方,発芽玄米酒粕製パンは黄味と赤色が強くなることが示され,官能的にはそこが好まれることが示唆された。
  • 佐野 恵夢, 鈴木 理沙, 西堀 すき江
    セッションID: 2P-48
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】我が国は戦前まで米を中心とした食生活を送っていたが、戦後食生活の急速な欧米化により米の消費が減り、畜産物や油脂の消費が増え、食料全体の自給率が低下した。そこで自給率を上げるため、従来小麦粉が使用されてきた製パン分野において米を使用しようという取り組みが増えてきている。本実験はご飯を使用したごパンに着目し、うるち米ともち米の配合割合における膨化と嗜好性について検討する。【方法】試料は宮城県産ささにしきと佐賀県産ヒヨクモチを用いた。ごパンの調整はPanasonic社製ライスブレッドクッカーSP-RBM1000型を用い、ごはん・食パンモードに設定し、うるち米ともち米の比率を変えて焙焼した。ごパンが冷めた後、体積の測定は菜種法を用い、パンの焼き色の測定は日本電色工業社製SpectrophotometerSE6000型を用いた。官能検査は、表面部分と中心部分に分けて硬さ・食感・焼き色・キメ・香り・味・甘みについて検討した。【結果】膨化率は、4:6と5:5の配合比率がよく膨らんだ。焙焼初期においてはもち米の比率が高いほど膨化率が高くなったが、焙焼後期は徐々に萎んでしまった。パンの色は、もち米の比率が多いほど上部が白っぽい色になったが、内部と外部について差は見られなかった。官能検査では、もち米が多いほど甘みが強く、美味しいという結果になった。【考察】もち米の比率の高いごパンはもち米の特性である強い粘りによって膨らみが増すと考えられる。これはアミロペクチンが膨化に大きく関与すると考えられる。もち米の比率が高いほど甘みが強く美味しくなるのは、うるち米に比べもち米の糖度が高いためであると考えられる。
  • 宮地 洋子, 齊藤 寛子
    セッションID: 2P-49
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    食パンの物性と食味に及ぼす米粉の種類の影響
    ○宮地洋子1)、齊藤寛子1)
    1)県立米沢女子短大

     【目的】現在、米の消費拡大が図られ、米粉の洋菓子や各種パンへの利用が増している。米粉の製パンへの利用の多くはうるち米であり、これまでうるち米の米粉を用いたパンの報告はあるが、他の種類の米を用いた報告は少ない。そこで本研究において、もち米や他品種の米粉を用いて食パンを調製し、テクスチャーに及ぼす影響について検討した。【方法】米の種類は山形県産米のはえむき(うるち米)、ヒメノモチ(もち米)、越しのかおり(高アミロース米)、インディカ米とし、乾式気流粉砕法で製粉して用いた(200メッシュ)。食パンの小麦粉のうち30%を各種米粉で代替し、副材料として砂糖、無塩バター、スキムミルク、塩、ドライイースト、蒸留水を添加してホームベーカリーを用いて焼成した。各種パンの比容積、水分含量、色差、テクスチャーを測定した。さらに食パンの形状及び断面の観察を行った。併せて官能評価を行った。対照として100%小麦食パンの測定を行った。【結果】小麦粉の30%を代替することで、米粉食パンの体積、比容積の低下が認められたが、このうちヒメノモチは対照と同程度であった。水分含量はいずれの米粉食パンも対照より低値を示し、色差測定では、米粉食パンのL*値が増加し、a*値は減少し、b*値はあまり差が認められず、インディカ米と越しのかおりの米粉食パンの色差が大であった。テクスチャー測定では、インディカ、越しのかおり、はえぬきの米粉食パンは硬さともろさが対照パンより高く、これに対してヒメノモチは低く、凝集性は最も高値であった。官能評価において、ヒメノモチが甘さ、きめ、焼き色、硬さの項目で最も高く評価され、インディカは香りが強く硬い、越しのかおりは硬くパサつくとして評価が低かった。
  • 浦本 祥, 深井 康子
    セッションID: 2P-50
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】生活習慣病や老化の予防に有効な抗酸化性を有する有色素米ペーストを活用してシューやうどん等を調製できることが分かった。本研究では、健康機能性を活かした有色素米パンに増粘多糖類を添加し、その性状及び調理特性を比較検討することにした。
    【方法】平成23年富山県産黒75号・赤78号とコシヒカリ玄米を試料とし栄養成分、吸水率を測定した。ペーストは20℃で24時間浸漬後の米をフードプロセッサーで4分間撹拌し、グルコマンナン(GM)2.0w/w%、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)2.0w/w%、GM/HPMC各々1.0w/w%を添加し撹拌し粘度を測定した。パンはホームベーカリーの食パン早焼きコースで焼き上げ、焼成1時間後の形状・比容積、焼成1時間及び24時間後のテクスチャーを測定した。官能評価は無添加パンを基準とし軟らかさ、総合評価等7段階評点法を用い、パネル14名で行った。解析は分散分析を行いt-検定により有意差を判定した。
    【結果及び考察】栄養成分は有色素米がコシヒカリより食物繊維、ビタミンE含量ともに著しく高かった。吸水率は24時間後に黒米で42.8%、赤米で41.8%に達し、コシヒカリの35.0%に比べ高かった。増粘多糖類添加によるペーストの粘度はGM添加が他に比べ2倍程度高く、無添加よりほぼ4倍の高粘度を示した。パンの比容積はHPMC添加が黒米で1.95(cm3/g)、赤米で2.01(cm3/g)となりGM添加より高かった。焼成直後の硬さはGM添加が最も硬く、付着性は赤米より黒米にありHPMC添加が最も高かった。官能評価ではGM添加が無添加と比べ硬く(p<0.05)、特に赤米のHPMC添加パンが軟らかく、最もおいしく(p<0.01)もちもちとしたパンらしい食感であると評価された。
  • 藤井 久美子
    セッションID: 2P-51
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】食料自給率の向上,食の安全志向,健康意識などの背景から米粉パンへの関心は高く,主食源として注目される。製パンに適する米粉の製粉法は気流式とされているが,設備,時間,コストなどの課題から普及していない。これに比べて簡易な衝撃式粉砕法で得られる米粉は,粒度や損傷でんぷん率の問題から製パン性が劣るとされている。これまで衝撃式粉砕法による米粉について,粒度別に製パン条件が膨張に及ぼす影響を明らかにしてきた。本研究では,この製パン条件に基づいて製パンを行い,品質を検討することを目的とした。(エリザベス・アーノルド富士財団平成24年度研究助成による研究である。)
    【方法】小型製粉機SRG10Aで製粉した米粉を3粒度区分(区分1~3)に分けて試料とした。パン生地の膨張率測定は藤井・大高が考案した方法で行った。これまでの検討結果から生地調製,発酵,焙炉,焼成の条件を設定して製パンを行い,質量と体積の測定,内相のテクスチャー測定,官能評価を行った。
    【結果】パンの比容積は,最も粒度の小さい区分1が3.40で最も大きく,区分2は3.14,区分3は2.73であり,米粉の粒度が小さい方が有意に大きかった。テクスチャー測定による硬さは,区分1が最も低値で,次いで区分2,区分3の順で有意な差があった。またパンの弾力性と関連する凝集性は,区分2が最も高値で,次いで区分1,区分3の順であり,粒度区分により有意な差があった。官能評価では,区分1は歯切れ(外皮)の評価が区分2および区分3に比べて有意に高く,区分2はもちもち感および総合評価が,区分1および区分3に比べて有意に高かった。
  • 小川 眞紀子, 山本 いず美, 早川 茂
    セッションID: 2P-52
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/23
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    【目的】近年、砂糖に代わる新しい糖類として希少糖D-プシコース (Psi) が注目されている。Psiはエネルギー値がほぼゼロのノンカロリー単糖で、保水性が高く、メイラード反応が進みやすいことから、食品素材として特にベーカリー食品への利用が期待されている。これまでにPsiのベーカリー食品への利用は、シフォンケーキやカスタードプリンなど焼き菓子が主として研究されている。本研究はパンへの利用を試み、糖をPsiとスクロース (Suc) により配合したソフトベーグルを作製し、Psiの配合割合による物性の違いついて比較検討を行った。
    【方法】ベーグルの基本材料には、強力粉、食塩、水、ドライイーストおよび糖を用いた。糖の配合により、SucのみをS、Suc:Psiが9:1をP10、Suc:Psi が3:1をP25、Suc:Psi が2:1をP50とし、外観の観察、水分量の測定、クリープメーターによる弾性、粘性の測定を行った。
    【結果】焼成後の外観は、Psi の配合量が多いP50, P25, P10, S の順に焼き色が濃くなった。焼成後のベーグルの高さは、Psi の配合量が多いP50, P25, P10, S の順に高かった。クリープ測定の結果、弾性率、粘性率ともにP50が最も低く、P10が最も高かった。
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