日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成27年度大会(一社)日本調理科学会
選択された号の論文の219件中1~50を表示しています
口頭発表
  • 宮下 朋子, 水尾 和雅, 原田 和樹, 長尾 慶子
    セッションID: 1A-a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】嚥下困難の高齢者が陥りやすい低栄養の改善を考慮した食品として,栄養価に優れ,かつ入手しやすく高齢者に好まれる豆腐をとりあげた。そこに撹拌程度を変えた自然薯(とろろ)を混合蒸し加熱した自然薯豆腐製品を調製し,製品の性状に及ぼす含有気泡の影響を明らかにするとともに,嚥下困難者用食品としての利用適性を検討した。
    【方法】業務用ミキサーで撹拌時間を4~18分までの8水準に変えた福島県産自然薯に,フードプロセッサーでつぶした豆腐と調味料を混合し加熱前各試料を得た。次に,それらを流し箱に入れ,内部温度88~90℃で10分間蒸し加熱し,自然薯豆腐各試料を得た。これらの加熱前試料及び加熱後製品について,密度,テクスチャー測定,及び共焦点型顕微鏡での内部観察を行った。その中から消費者庁の嚥下困難者用許可基準に該当した製品を対象に,7段階評点法による嗜好型官能評価を実施した。さらに素材の自然薯,豆腐,及び製品の抗酸化能をH-ORAC法で測定評価した。
    【結果】加熱前及び加熱後各試料の密度は,撹拌16分まで低下し,18分で再び上昇した。この状況は,共焦点型顕微鏡による内部観察からも確認できた。製品のテクスチャーは,撹拌10~16分の4試料において嚥下困難者用食品の許可基準Ⅲに該当した。これら試料の官能評価では,撹拌時間を長くして含有気泡量が増すほど総合評価が高くなる傾向にあった。また,いずれの項目においても基準より高評価であった。また抗酸化面では豆腐と自然薯から調製した製品は、高いH-ORAC値を示した。   以上,本実験条件で調製した自然薯豆腐は,撹拌10~16分製品が物性面,嗜好面,抗酸化面から検討の結果、嚥下困難者用食品として最適であることが示唆された。  
  • 高橋  智子, 河村 彩乃, 大越 ひろ
    セッションID: 1A-a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】本研究ではサラダ油を油滴の状態で分散させた均一ゲル状パン粥表面にとろみを付加することが、ヒトの口腔感覚および嚥下状態にどのように影響するかを検討した。 【方法】とろみを付加していない均一ゲル状基本パン粥試料、加えてグルコマンナンを主原料とした市販とろみ調整食品により調製した粘性率の異なるとろみを付加したゲル状パン粥試料2種類((日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013(とろみ)濃いとろみ)、流動食用なめらかプラスいちごソース程度とろみ付加パン粥試料の計3種類を用いた。試料のテクスチャー特性、圧縮によるひずみと荷重の関係、官能評価、嚥下筋電位測定、食塊のテクスチャー特性を品温20℃、45℃において測定した。 【結果】官能評価結果、口中で感じるかたさは、品温20℃、45℃ともに試料間に有意差は認められなかった。品温20℃において食べやすいと評価されたとろみ付加パン粥試料のテクスチャー特性は有意に軟らかく、付着性が小さいことが認められた。一方、温かい品温45℃においては、口中感覚の評価項目に有意差は認められなかった。試料品温20℃の嚥下直前の食塊の硬さは基本パン粥、とろみ付加パン粥ともに口中で食塊形成中に顕著に軟らかくなることが示された。嚥下筋電位測定の嚥下時筋活動時間において、品温20℃基本パン粥試料の筋活動時間は、品温45℃とろみ付加パン粥試料に比べ有意に長いことが認められた。以上の結果より、本研究で用いたパン粥試料はとろみを付加して供食することで口腔感覚も改善し、食べやすくなると考える。ことに、温かい状態で提供したパン粥が冷めた場合、とろみを付加することが食べやすさに大きく影響することが示された。
  • 濟渡 久美, 朝倉 徹
    セッションID: 1A-a3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】嚥下困難者にとって適した食事に必要な基本要素として安全な食品物性が重要視されている。「えん下困難者用食品許可基準」(厚生労働省:2009)では、安全に経口摂取するための「食品の物性」と「嚥下困難者に適する物性」の関係が明確に示されている。適した物性の発現には増粘多糖類すなわち、増粘剤、ゲル化剤等の性質を有する食品多糖類が使用されることが多い。そこで、主食について増粘多糖類を用いて許可基準範囲の物性を効果的に発現する手法を検討することを目的とした。
    【方法】材料は食材として精白米、増粘多糖類として、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナンの3種類、デンプン分解酵素としてアミラーゼを用いた。方法は溶解した増粘多糖類とミキサー粥(全粥をペースト状にしたもの)を撹拌・混合し、シャーレに充填後、試料内温度20±2℃を保ち30分間静置し、レオメーターで得られたTPA曲線からかたさ、付着性、凝集性を測定した。
    【結果】ミキサー粥にそれぞれの多糖類を単独で用いた場合、基準範囲外であった。ミキサー粥に予めアミラーゼを作用させると付着性が低下した。アミラーゼを作用させたミキサー粥に増粘多糖類2種類を組み合わせたところ、キサンタンガムとグルコマンナン、キサンタンガムとローカストビーンガムの組み合わせで、ゲル化し、許可基準を満たしたものがあった。
  • 岩崎 裕子, 本多 優美, 大越 ひろ
    セッションID: 1A-a4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】近年、嚥下機能が低下した人の誤嚥を防ぐトロミ調整食品が多く開発されているが、原材料の違いにより性状が異なることが示唆されている。また、食物は、口中に取り込まれてから嚥下する過程において、唾液や温度の影響を受けることが考えられる。そこで本研究では、トロミ調整食品を添加した緑茶飲料を試料とし、摂食過程における食塊の力学的特性および性状の変化について検討した。
    【方法】主な原材料が異なる3種の市販トロミ調整食品(グアーガム系、キサンタンガム系、デンプン系)を、緑茶飲料に添加し、ずり速度50s-1における粘度が450mPa・s程度となるよう試料を調整した。被験者には、口腔内に試料を取り込み、舌と硬口蓋で1回/秒試料を押し潰す(以下摂食運動)よう指示し、1秒、5秒、10秒、15秒後の食塊を採取した。得られた食塊について、温度、粘度、テクスチャー特性の測定、官能評価および写真による性状観察を行った。
    【結果】食塊試料の温度は、個人によるばらつきは大きいが、15秒後では平均で28℃付近まで上昇することが示された。また、粘度および硬さは、試料により程度が異なるが、基準試料と比較し、1秒後、更に5秒後は低下することが示された。特にデンプン系試料の低下率が最も大きく、唾液の影響を顕著に受けることが示唆された。官能評価の飲み込み易さは、摂食運動に伴い飲み込み易いという傾向が得られた。写真による性状観察では、摂食過程に伴う唾液と試料との混ざりやすさは3試料で異なった。唾液との混ざりやすさが試料により異なり、主観的評価に反映されることが示唆された。
  • 森髙 初惠, 小林 誠, 卯川 裕一, 提坂 裕子, 佐川 敦子, 不破 眞佐子, 堀 一浩, 小野 高裕
    セッションID: 1A-a5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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     【目的】日本は超高齢社会に突入し、総人口に占める高齢者の割合は平成25年には25%となっている。加齢に伴い全身の機能が低下し、嚥下機能も低下するため、誤嚥性肺炎の危険性が高まる。本報告では、にんじんピューレの混合割合の異なる4種類の野菜ジュースを試料として、嚥下時の口腔から咽頭への飲料食塊の送り込みの状態を、舌圧計、超音波画像診断装置および造営検査装置を用いて測定し、併せて官能評価を行い検討した。
    【方法】高齢被験者は75歳以上の女性とし、比較対象の若齢被験者は20~23歳の女子学生とした。試料は野菜ジュースにメディアン径250μmのにんじんピューレを0~30%添加した野菜ジュースとした。超音波測定には超音波画像診断装置を用いた。舌圧測定では舌と硬口蓋の接触様相を定量的に測定できるスワーロ―スキャンを用いた。嚥下造影検査ではX線透過装置を用い、官能評価では9点尺度法により実施した。
    【結果】咽頭部における食塊の流速は、0%よりも30%にんじんピューレ添加野菜ジュースで有意に遅く得られた。また、高齢被験者の咽頭部における食塊の通過時間は0%より30%にんじんピューレ添加野菜ジュースで有意に長かった。超音波画像診断装置によって得られた速度平均は30%ピューレ添加ジュースでは、高齢被験者の方が若齢被験者よりも有意に遅かった。また、高齢被験者は若齢被験者と比較し、舌と硬口蓋の接触圧のピーク値、ピークの積分値、硬口蓋5か所における全ピークの総積分値が有意に大きかった。官能評価では、高齢被験者、若齢被験者ともににんじんピューレ添加濃度の高いジュースで嚥下時に強い力を必要と評価した。
  • 大村 省吾
    セッションID: 1B-a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】「食文化とは何か」その構成分野・要素等について,多様な考察がなされたが、その基盤となる社会経済的な分析や社会心理的な価値意識との関連性を含めた包括的な検討は少ない。人類の歴史は「飢餓と貧困家らの解放」であり,近代は汎く「食文化」享受できる段階となった。しかし2005年・食育基本法制定,2013年・和食文化のUNESCO世界遺産登録は,21世紀“食文化危機”の反証でもあり,学際的な研究連携が必須である。
    【方法】「経済学批判・Marx」理論は下部構造の生産関係(経済)に対置する上部構造(政治・文化)の経済理論は,21世紀の膨大な新中間層形成と情報・技術・文化の対流・相互作用を解明する新たな社会学・心理学へと発展した。社会機能,特に情報・システム理論の発展を促進した。特に食品市場の拡充と食生活の多様化を促進し,フードシステムの多様化・食の価値観の劣化など研究分析は多分野に及ぶが,食の風土・食糧生産・調理・食文化体系化は未だしである。
    【結果】①食の商品価値(利益)と食の基本価値(とは何か)の絶対矛盾をどの様にとらえ克服するか 
    ②食品の安全性の確保-医療機関・法規制 
    ③食べることの意味・価値と人間性の確立=食文化価値と倫理性をどのように位置づけるか。
    ④食文化研究と食の倫理・哲学・教育論の研究連携・体系化 
    ⑤食事をつくること・調理の食文化・食教育の関連・理論づけ
    ⑥食の国際化の進展と和食・家庭食・集団食の関連・理論づけ
    ⑦調理文化,特に和食の継承と国際化の課題整理
  • 磯部 由香, 北 美紀, 平島 円
    セッションID: 1B-a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】日本には各地域に特有の行事食や郷土料理があり、家庭や地域において人から人へと伝えられてきた。しかし現代では、核家族化、外食や中食産業の発達などといった背景から、行事食や郷土料理の伝承される機会が減少している。日本の伝統的な食文化を後世に残していくためには、食文化の伝承意識の向上が必要である。そこで本研究では、三重県伊賀地域を対象とし、食文化伝承の現状を把握するともに、伝承意識に及ぼす要因を検討することとした。 【方法】まず、食文化伝承の現状を把握するために、2014年9~10月に伊賀市内の小・中学校の保護者を対象にアンケート調査を行った。質問内容は郷土料理、行事食などの喫食経験や現在の喫食状況、喫食頻度、調理状況・食べ方についてだった。合わせて食に関する慣習についても調査した。次に、伝承意識に及ぼす要因を把握するために、上記調査と同時期に伊賀市内小・中学校、高等学校の児童・生徒および保護者を対象にアンケート調査を行った。「年齢」「居住形態」「調理能力」に着目し伝承意識との関連をみた。 【結果】昭和30~40年頃に定着していた日常食や行事食の伝承率は、料理によって差はあるものの、どれも世代を追うごとに減少していた。また、食に関する慣習も伝承率が低いことが明らかになった。保護者より児童生徒の方が、伝承意識は有意に高く(p<0.01)、年齢が低いと伝承意識が高かった。1世帯家庭よりも2世帯家庭の方が、伝承意識は有意に高く(p<0.05)、核家族よりも拡大家族の方が、伝承意識が高いことが明らかになった。郷土料理や行事食を作ることが「できない」より「できる」人の方が、伝承意識は有意に高かった(p<0.05)。
  • 関本 美貴, 大橋 きょう子
    セッションID: 1B-a3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】演者らは先に大正末期から昭和初期におけるジャガイモの調理実態を調査し、洋風料理は都市部に散見されるのみで、農村部ではほとんどが和風料理であったこと、組織構造を破壊した多様な料理が見られたことを報告した*)。農村部においては、この背景要因の1つとして国の勧農政策の影響が考えられる。そこで本研究では、明治期の勧農政策におけるジャガイモの位置づけや調理に関する情報を明らかにすることを目的とした。
    【方法】勧農政策に関する法令、県史、農商務省沿革略史、農事講和筆記およびこれに準ずる記録書を資料とした。農事講和筆記は、明治中期の農事講習会の内容を筆記したもので、国の農村への働きかけの実態を伝える貴重な資料である。以上より明治中期の勧農政策におけるジャガイモの取扱いについて調査した。
    【結果】①明治18年農商務省によって農事巡回教師制度が設置され、中央政府から府県に派遣された講師及び農業熟練者による農事講習会が全国各地で開催された。一講師が全国39府県を巡回した記録もあり、当講習会が新しい農事情報を地方へ広める役割を果たしたと考えられた。②農事講習会での栽培法に関する講話は、米が圧倒的に多くジャガイモはその10分の1程度であった。米の講話で調理法に言及した記録は見られなかったが、ジャガイモでは約半数で調理法が紹介されており、ジャガイモの食品材料としての認知度が十分でなかったことが示唆された。③紹介された調理法は、煮る・焼く・つぶしてもちにする等すべて和風であり、洋風料理は見られなかった。 以上の結果は、前回の実態調査の結果を裏付ける知見の1つと考えられる。(*日本調理科学会平成26年度大会要旨)  
  • 小山田 由実子
    セッションID: 1B-a4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】「調理科学」は1947年制定の「家政学部設置基準」において食物学科に設置すべき「専攻課目」の1つとして設定されたことが大学制度上の始まりであると考えられている。しかし、自然科学的実験を通して調理上の諸現象を解明しようとする内容は旧制度の女子高等教育機関の一部で実施されており、また、軍隊における教科書や食品・栄養の専門書の中には明治・大正期から調理理論の形成が見られるとの報告もあることから、調理科学の起点は明確ではない。そこで本研究では陸軍の外郭団体「糧友会」発行の雑誌『糧友』および同会が1939年に設立した食糧学校を対象に調査を行い、そこにみられた調理科学について報告する。

    【方法】月刊誌『糧友』(1926~1945年、全228冊)よりタイトルに「調理科学」「調理学」「調理化学」を含む記事を抽出した。また食糧学校の学校史と文集2冊、および「調理科学」の授業担当者の著書も検討することでその授業内容の一端を考察した。

    【結果】『糧友』から抽出された「調理科学」等の語句を含む記事は、1926年2件、1934年1件、1936~1937年の13件(連載)、1938年1件、計17件、執筆者別にみると経校実験室1件、町田1件、川島四郎1件、町田喜市郎14件であった。川島四郎と町田喜市郎は陸軍において共に調理科学を研究しており、他の婦人雑誌や料理雑誌にも調理科学の記事を執筆しているほか、食糧学校では1939年の設立時から「調理科学」の授業を担当していた。陸軍は大正末期より調理の科学化を提唱しており、この成果を国民にも普及させる必要から「調理科学」が教育科目となったことが、担当者の回想文から明らかになった。このことから、陸軍における調理科学の起点は大正末期頃であると推察された。
  • 男性高齢者料理教室の観察・聞き取り調査より
    河村 美穂
    セッションID: 1B-a5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】人生において調理をすることの意味は何だろうか。本研究は、定年後または定年間近に料理教室で調理を始めた男性高齢者が、調理をすることをどのようにとらえているのか、生活上の変化はあったのかということを料理教室への調査を通して明らかにすることを目的とする。男性は女性に比べて生活の中で日常的に料理をする機会がきわめて少ない。本研究の対象とする男性高齢者もこの教室ではじめて調理をするようになった人がほとんどである。そこで、調理をするようになってからの心情の変化や生活そのものに対する考え方の変化を明らかにすることによって、人が暮らしの中で調理をすることの意味を探究できると考えた。 
    【方法】埼玉県下の男性高齢者20名による自主的な料理グループの調理実習(月1回実施)を観察し、抽出メンバーに対してインタビュー調査を実施した。実施時期は、2014年4月より2015年5月である。観察記録、録画記録、発話記録、インタビュー記録をデータとして、(1)料理教室での活動の様子(2)対象者の暮らしにおける料理の位置づけ(3)料理を始めた前後の暮らしの変化(4)職業生活と調理との関連などについて検討した。 
    【結果】メンバーの多くは、料理の最中に仲間とのおしゃべりを楽しみ、食品に関することや調理方法、自身の家庭での調理経験をよく語っていた。さらに試食の時間には、社会問題や健康問題などを全員で語り合うことが行われていた。男性高齢者は料理をつくる際にそれまでの人生経験を活用しながら、人とつながることを楽しんでいた。調理は単に食べるためではなく他者と相互につながりコミュニティを形成するために不可欠のものとなっていた。  
  • 冨田 晴雄, 竹森 利和
    セッションID: 1C-a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】炊飯米の保存による老化を抑制するために、保存方法の制御や添加材の投入、炊飯プロセスによる老化低減などが行われてきた。本研究では、炊飯手法による老化低減を目指し、日本を中心に用いられている炊飯法である炊き干し法と東南アジアを中心とした湯とり法について、米飯の老化傾向の違いについて評価し、微細構造や成分比較などにより老化原因の特定を試みた。
    【方法】湯とり法の沸騰時間を7分~15分で変えた4種類の米飯及び炊き干し法の米飯を試料とし、SEMによる微細構造観察とテクスチャー測定を行なった。それぞれの米飯について、炊飯直後及び冷蔵庫(5℃)保管3日後の米飯の老化度合いを調べるため、XRD解析による結晶構造評価及びDSCによる再糊化に伴う吸熱エンタルピーの評価を行った。さらに、高温環境(70℃)下での水分保持率及び米飯の成分を比較した。
    【結果】湯とり法では10~12分の沸騰時間の米飯が炊き干し法と同等の微細構造及びテクスチャーを示した。これらの米飯に対し、XRD及びDSCにより老化度合いを評価した結果、湯とり法の米飯の方がXRDのピーク及び吸熱エンタルピーが小さく、老化が遅いことが分かった。さらに、湯とり法の米飯は水分保持率が高く、3日経過後も初期の95%以上の水分を維持していた。米飯の成分を比較した結果、湯とり法の米飯は還元糖や遊離アミノ酸が検出されなかったが、それ以外は炊き干し法の米飯とほぼ同じであり、成分の違いが老化に及ぼす影響は少ないと考えらえる。また、湯とり法の米飯は沸騰時間に依存して老化が遅くなり、水分保持率も高くなったことから、沸騰時間に対する各種成分の変化を見たところ、米飯に含まれるスクロース量の増加及びデンプンが低分子化していることが分かった。
  • 橋爪 杏奈, 大田原 美保, 香西 みどり
    セッションID: 1C-a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】米飯中の糊化でんぷんは温度低下により一部再配列し、硬さや粘りなどの物性が変化し嗜好性が低下する。これを“米飯の老化”という。本研究では調味料を添加して炊飯した米飯を24時間まで保存した際の、物性変化および感覚特性値の経時的変化について調べ、“老化感”との関係について検討した。
    【方法】白飯および調味料(砂糖、食塩、食酢、醤油)添加米飯を4℃または20℃で0-24時間保存したものを試料とし、テクスチャーアナライザーによる一粒法(低高圧縮2バイト法)と集団粒法を用いて物性測定を行った。官能評価は、外観やテクスチャーについては9段階尺度法で、“米飯の老化感”は5段階尺度法で評価を行った。また、老化した米飯の受容性の評価として通常の食生活において“食べてもよい”もしくは“食べる気にならない”のどちらかを答えさせた。
    【結果】20℃で24時間保存した米飯の物性は、保存0時間に比べて砂糖添加米飯と食酢添加米飯には変化がなかったが、白飯は表層が硬くなり、醤油添加米飯および食塩添加米飯は粘りが低下した。4℃で保存した米飯はいずれも時間とともに硬くなり、粘り・付着性は低下した。特に食酢添加米飯は他より炊飯後の硬さが低く、粘り・付着性は大きく、その傾向は24時間後も同様であった。“米飯の老化感”は炊きたての0時間と、 明らかに老化が進行した4℃24時間保存では調味料による差は見られなかったが、冷蔵保存14時間付近では、添加する調味料の種類によって“老化感”の程度が異なった。特に食酢は最も”老化感”の進行を抑制する傾向が認められた。
  • 浜守 杏奈, 露久保 美夏, 大倉 哲也, 香西 みどり
    セッションID: 1C-a3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】近年,大麦に含まれるβ-グルカンによる健康効果が注目されており,大麦は米よりもデンプン分解酵素の活性が高いこと,米と大麦の混炊においてそれぞれの単独炊飯よりも還元糖量が増加すること等を明らかにしてきた。しかし,米と大麦の混炊中に酵素がどのように移動し,どこで糖生成に関与しているかについては明らかになっていない。本研究ではβ-アミラーゼ欠損品種である日本晴と大麦の混炊を行い,大麦のβ-アミラーゼの炊飯中の挙動を調べることで混炊における糖生成のメカニズム解明の一助とすることを目的とした。
    【方法】90%搗精米(日本晴),75%搗精丸麦(モッチリボシ)を試料とした。官能評価により混炊割合および加水量を決定した。生試料および炊飯後試料から成分抽出液を調製し,ソモギーネルソン法,フェノール硫酸法およびHPLCにより各種糖量を測定した。酵素活性測定は大麦粗酵素液を可溶性デンプンに反応させ,加水分解活性を測定し,β-アミラーゼ活性はメガザイムのキットを使用した。炊飯途中の米・麦粒および炊飯液から粗酵素液を調製し,β-アミラーゼのポリクローナル抗体を使用し,酵素の有無をイムノブロット法により調べた。免疫染色では混炊および単独炊飯した際の米粒を4%PFAで固定後凍結切片を作成し,蛍光顕微鏡観察によりβ-アミラーゼの局在を調べた。
    【結果】官能評価より米と大麦の混炊においては混炊割合50%,加水比が米重量に対し1.5,麦重量に対し1.8となった。イムノブロット法の結果より混炊の1時間浸漬中にすでに大麦のβ-アミラーゼが炊飯液に溶出し,さらに米粒内に浸入すること,40℃まで粒内に留まり,60℃で再び溶出することが明らかになった。免疫染色の結果でも,大麦のβ-アミラーゼは1時間浸漬中に米粒の表面付近に存在していることが示唆された。
  • 奥西 智哉, 岡留 博司, Hossen Md Sharif, 松木 順子, 堀金 彰, 宮下 香苗, 矢口 貴代
    セッションID: 1C-a4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】玄米は健康機能性が期待される食品である。疫学的にはII型糖尿病リスクを低下させると推定されている。しかしながら、白米との比較では食味が非常に劣る、あるいは圧力釜を使うなどの特別な炊飯をするなど、加工・消費で課題が多い。当研究所で開発した装置により玄米表面に僅かに創傷を形成させた玄米(表面加工玄米)を作製した。同玄米における炊飯特性を検討した。
    【方法】供試材料には茨城県産コシヒカリ玄米を用いた。当研究所で開発した表面加工装置により表面加工玄米(精米歩合99.5%以上)を調製した。日本電子社低真空SEM 5600LVによる外観観察を行った。50gあるいは25gの米試料を金籠に入れ常温あるいは沸騰水中に静置したときの重量変化を吸水量とした。加水割合を変えて炊飯した米飯サンプルをディスク容器に10g詰め、2.5cm^2のパンクチャープローブで貫入試験を行い、硬さ、こし、粘りおよび付着性を得た。同様の米飯を用い、総合評価、外観、香り、味、粘り、硬さの6項目を7段階で食味官能評価を行った。米飯50%エタノール抽出物のイオンクロマトグラフ分析から糖含量を求めた。
    【結果】表面加工玄米は玄米表面の果皮の一部が欠落しており、浸漬中および炊飯中の吸水は玄米より速かった。米飯の物性測定において評価値は加水とともに上昇したが、加水倍率1.7倍-2.1倍間以外では有意差は見られなかった。食味官能評価試験結果も考慮すると、米飯炊飯において加水量1.7倍から2.0倍までは任意に変化させても同等の品質が得られることがわかった。表面加工玄米米飯の単糖および二糖の含量は加水量によらずほぼ一定であった。
    本研究は「農研機構:機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」により実施された。
  • 深井 康子, 原田 澄子
    セッションID: 1C-a5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】有色素米を水に浸漬し、ペースト状にしてアイスクリームの調製を行うことによりテクスチャーおよび嗜好面で良好なアイスクリームを得ることが認められた。そこで牛乳および豆乳ペーストに富山県産農作物を混合させてアイスクリームを調製し、両者の嗜好性を官能評価により検討し、アイスクリームの開発に役立てることを目的とした。
    【方法】試料は平成26年度富山県産赤米「富山赤78号」を使用した。赤米ペーストは赤米100gに95W/W%の純水を混合させて作成した。そのペースト150gに牛乳および豆乳300gを混合させ、上白糖を加えて加熱し、冷却後、生クリームを加えて5種類の農産物を加えて混ぜ合わせアイスクリームを調製した。農産物は、水島柿、トマト(婦中産、フォレストフルテイカ)、池多りんご、大沢野産いちじく、呉羽梨とした。アイスクリームについて富山短期大学専攻科18名により2点嗜好試験法および順位法(味、口触り、総合的評価)を用いて官能評価を行い、有意差検定を行った。
    【結果】2点嗜好試験法により牛乳および豆乳を混合させた5種類のアイスクリームでは、いちじくは豆乳が有意(α<0.05)に好まれ、トマトは牛乳が有意(α<0.01)に好まれた。しかし有意差はなかったが、りんご、柿、梨は豆乳より牛乳を混合させたアイスクリームが好まれることが示された。また牛乳アイスクリームは、呉羽梨が味、総合的評価で好まれ、いちじくが口触り、総合的評価で有意に好まれない(α<0.05)ことが認められた。一方豆乳アイスクリームは、味、口触りは有意差はなかったが、呉羽梨が総合的評価でのみ好まれる(α<0.05)ことがわかった。以上の結果より有色素米でアイスクリームを作るには、豆乳より牛乳をペーストに混合させ、呉羽梨を混ぜることにより嗜好的に好ましいアイスクリームになることが明らかになった。
  • 小野 裕嗣, 塚越 芳樹, 三好 恵子, 長田 早苗, 竹中 真紀子, 三宅 紀子
    セッションID: 1D-a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】アクリルアミド(AA)はアスパラギンと還元糖を含む食材を高温加熱した時に生じる。長期間摂り続けることにより人の健康への悪影響が懸念されており、国際的にリスク管理の取組が求められている。国内では、食品関連事業者の一部で低減対策が進む一方で、家庭や給食施設等の調理現場で生成するAAの低減については対策が進んでいない。アスパラギンと還元糖を含む野菜類は調理時のAA生成源の一つと考えられるが知見が少ないため、本研究では、AA濃度が高い野菜類について具体的な低減手法を検討するための予備調査として、AAの生成について概要を把握することを目的とした。
    【方法】家庭で焼き又は炒め調理が想定される品目を中心に野菜類等、25品目(れんこん、緑豆もやし、アスパラガス、ジャガイモ、ごぼう、にんじん、さやいんげん、たまねぎ、青ピーマン、キャベツ、にら、ようさい、にんにく、さつまいも、根深ねぎ、茎にんにく、ししとうがらし、セロリー、スイートコーン、ズッキーニ、なす、西洋かぼちゃ、にがうり、しいたけ、チンゲンサイ)を対象として、200℃設定のホットプレートで食べられる限界と考えられる状態になるよう時間を設定して油炒め調理を行った(強加熱条件)。また、AA濃度が高かった品目を中心に、加熱時間、切り方を変えた炒め調理後のAA濃度を比較した。
    【結果】強加熱条件において全ての品目でAAの生成が認められた。品目間で比較すると、れんこん、緑豆もやし、アスパラガス、じゃがいも、ごぼうが相対的に高い値を示した一方、チンゲンサイ、しいたけ、にがうり等の値は低かった。加熱時間を変えた試験では、いずれも加熱時間を延ばすことでAA濃度が高くなったが、切り方の違いによる影響は明確でなかった。
  • 長田 早苗, 三好 恵子, 小野 裕嗣, 塚越 芳樹, 竹中 真紀子, 三宅 紀子
    セッションID: 1D-a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】高温加熱した食品に広く見出されるアクリルアミド(AA)は食材中のアスパラギンと還元糖から120℃以上の加熱により生じる。長期間摂り続けることにより人の健康への悪影響が懸念されており、国際的にリスク管理の取組が求められている。AAは穀類やいも類、野菜類などの家庭調理においても生成する可能性が明らかになってきている。そこで本研究では、高温加熱によりAAを生じる野菜の炒め調理について家庭での調理頻度と仕上がりに関する知見を得るとともに、AAを高濃度で生成する可能性のある野菜品目の1つであるもやしについて、「もやし炒め」のAAの生成を低減する調理法と効果の検討を目的とした。
    【方法】①女子栄養大短大学生・教職員20名(20~60歳代)を対象とし、家庭での野菜炒めの調理条件についてアンケート調査を行った。②大学の調理実習室において、普段通りの調理方法(調理器具・火力・時間)によりもやし炒めを調理し、続けてAAの生成低減調理法として、下ゆでした後、通常の仕上がりを目標としたもやし炒めを調理してもらい、両者のAA濃度を比較した。アンケート調査により、調理者の低減調理法への受容性を評価した。③下ゆでの有無の違いによるもやし炒めの官能評価を行い、低減調理によるもやし炒めの喫食者側における受容性を確認した。
    【結果】家庭での野菜炒めは週1回以上が約7割、火力は強火でしゃっきりとした仕上がりを目標としていた。通常調理と低減調理のもやし炒め中のAA濃度平均値(中央値)は各々140(120)ppb、87(65)ppbであり、個別には12名に低減効果が認められた。これは、加熱工程の一部がゆで調理に置き換えられて、炒め調理による高温加熱時間が短縮したためと推察された。9割の調理者は効果が明らかなら低減調理に取り組みたいと回答した。官能評価では、色、香りに有意差が認められたが、総合的な好ましさに有意差は認められず、低減調理によるもやし炒めの喫食者側の受容性を確認できた。
  • 竹中 真紀子, 三宅 紀子, 小野 裕嗣, 塚越 芳樹, 三好 恵子, 長田 早苗
    セッションID: 1D-a3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】高温加熱した食品に広く見出されるアクリルアミド(AA)は食材中のアスパラギンと還元糖から120℃以上の加熱により生じる。長期間摂り続けることにより人の健康への悪影響が懸念されており、国際的にリスク管理の取組が求められている。AAは穀類やいも類、野菜類などの家庭調理においても生成することが明らかになってきている。そこで本研究では、AAが生成しやすく、家庭での炒め調理によく用いられる食材の1つとしてゴボウをとりあげ、「きんぴらごぼう」の家庭調理においてAAの生成を低減させる方法を見出すことを目的とした。
    【方法】ほぼ定型に切裁し水さらししたゴボウを卓上加熱撹拌機KRミニIH(カジワラ)で、熱源最大出力・時間・撹拌速度を変えて炒めた。また、きんぴらごぼうのモデル調理も行なった。各調理品のAA濃度から、要因毎のAA生成への影響を明らかにし、AA低減方法を検討した。次に、15人の協力者に、①普段通りの調理法(通常レシピ)および②AA低減のポイントを踏まえた調理法(低減レシピ)によりきんぴらごぼうを調理してもらい、両者のAA濃度を比較した。またアンケート調査により、低減レシピの調理者側の受容性を評価した。さらに官能評価(パネル64人)により、低減レシピで調理したきんぴらごぼうの喫食者側における受容性を確認した。
    【結果】ゴボウの炒め加熱では、加熱出力を弱く、炒め時間を短く、撹拌速度を速くする方がAA濃度が低かった。また、蒸煮の工程ではAAは増加しなかった。これを踏まえ低減レシピを決定した。15人の協力者の通常および低減レシピによるきんぴらごぼうのAA濃度平均値(中央値)はそれぞれ70(19)ppb、1(1)ppbであり、全員に低減効果が認められた。また、調理者側、喫食者側ともに本低減レシピの受容性が認められた。
  • 芹田 千穂, 沖邉 敦代, 西原 百合枝, 江頭 和佳子, 朝倉 富子, 舟木 淳子
    セッションID: 1D-a4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】エビは加熱すると鮮やかな色をもち、また多様な味付けに合うことから幅広い料理に使用される。しかし加熱したエビは硬く、高齢者や咀嚼困難者には咀嚼しにくいテクスチャーとされる。そこで本研究ではエビにプロテアーゼを作用させ、やわらかくなめらかなテクスチャーに改変することを目的とした。
    【方法】冷凍ブラックタイガー(無頭殻付き)を流水で解凍後、97℃で3分間ゆで加熱を行い、その後4℃で15分間冷却した。これにNaCl5%を添加したプロテアーゼN「アマノ」G(天野エンザイム株式会社)溶液(0.5%)を、注射器を用いて背部4ヶ所、腹部2ヶ所、頭部1ヶ所の計7ヶ所に合計0.5 ml注入した。4℃で48時間保存したものをプロテアーゼ処理エビとした。また、NaCl5%を添加した蒸留水を用いて同様に作製したものを対照エビとした。これらについて、クリープメータ(株式会社山電)による破断強度解析、SDS-PAGEによるエビのタンパク質分解の観察を行った。
    【結果】外観の色と形については、プロテアーゼ処理エビと対照エビの間に大きな違いは認められなかった。破断強度解析では、対照エビの応力-歪曲線には大きな破断が見られたが、プロテアーゼ処理エビには明確な破断点が見られなかった。また、プロテアーゼ処理エビの応力は、対照エビと比較して小さかった。このことからプロテアーゼ処理によりエビがやわらかくなったと判断できた。またSDS-PAGEにおいて、対照エビではミオシン重鎖、アクチンなどのバンドが観察されたが、プロテアーゼ処理エビではこれらのバンドが薄くなり、10 kDa以下のバンドの増加が見られ、プロテアーゼによるエビのタンパク質の分解が確認された。
  • 毛 偉傑, 李 暁龍, 福岡 美香, 酒井 昇
    セッションID: 1D-a5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】タンパク質の熱変性に伴ってエビ肉は物理的および化学的変化を起こすことが良く知られている。変性の指標として肉の筋原繊維タンパク質のCa2+-ATPase活性の変化がすでに多く報告されている。しかし食品工学の手法で求めたタンパク質の変性率と化学変化の関連がまだ解明されていない。そこで本研究ではエビ肉の加熱におけるタンパク質の変性率とCa2+-ATPase活性および溶解性の変化の相関関係について検討を行った。
    【方法】車エビ(Marsupenaeus japonicusを試料として示差走査熱量分析(DSC)でタンパク質熱変性パラメーターを測定し、伝熱ならびに速度解析により、加熱途上の1尾内のタンパク質の変性分布を計算した。また加熱処理を施したエビのCa2+-ATPase活性および溶解性の変化を測定し、タンパク質変性率との相関を調べた。
    【結果】DSCダイナミック法で車エビタンパク質のミオシンおよびアクチンの変性速度パラメーター(活性化エネルギー、頻度因子)を決定し、エビ1尾内の加熱(51℃および85℃)に伴う変性分布を計算したところ、両加熱条件においてタンパク質の変性分布が不均一に形成されることが示された。51℃の恒温水槽で加熱した場合、加熱時間の延長と共にミオシンの変性は緩やかに進行するが、アクチンは変性しなかった。
    85℃で加熱すると、ミオシンは160秒で、アクチンは495秒で完全に変性した。Ca2
    +
    -ATPase活性が両方の温度で加熱時間の増加に伴って減少し、タンパク質の変性率に関連することが見出された。タンパク質の各種溶媒に対する溶解度も平均タンパク質変性度と強く相関することが見出された。
  • 松下 智紀, 松浦 布美, 福原 泰斗, 原 規佳子, 茶山 和敏, 竹下 温子
    セッションID: 1E-a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】我々は普段の食生活の中で、様々な食品成分を複合的に摂取しているが、機能性についての報告は、単独の食品が多く、由来の異なる食品成分を組み合わせた生理学的機能性に関する検討は少ない。よって本研究では、多くの機能性を有している緑茶と同様に抗肥満作用を持ち、古くから生薬としても利用されてきた生姜に着目し、この2つの食品成分の組み合わせによる脂肪蓄積抑制の相乗作用の機序について検討することを目的とした。
    【方法】C57BL/6J系の雌マウス5週齢を45匹購入し、一週間の順化後、通常食、高脂肪食、茶添加食(茶群)、生姜添加食(生姜群)、茶+生姜添加食(茶生姜群)の5群(各n=9)に分け、自由摂食・摂水とし9週間の飼育を行った。3日ごとに摂食量、一週間ごとに体重を測定した。6時間絶食後、麻酔を腹腔投与し、心臓から採血した。頸椎脱臼後、各臓器重量を測定し、-80℃で保存した。脂肪の合成や代謝に関わる遺伝子発現についてはR-T PCRを用い、血中・肝臓中の脂質は和光純薬製のキットを用いた。
    【結果】摂食量に優位な差は見られなかったが、茶生姜群のみ7週目から5%水準で優位に体重が低値を示し、9週目では0.1%水準で優位に高脂肪群より低値を示した。茶および生姜の単独投与群では高脂肪食群に比べ優位な差がみられなかったため、茶+生姜による相乗効果が明らかとなった。また、茶生姜群は通常食群とほぼ同様の体重を示したことから、脂肪蓄積抑制作用は、通常食と変わらない結果をもたらすことが分かった。さらに臓器重量は、肝臓・内臓脂肪量が茶生姜群で1%水準で優位に低値を示し、肝臓中脂質についても茶生姜群において1%水準で優位に低い値を示したことから、肝臓重量の低下は、脂肪蓄積抑制によるものであることが明らかとなった。遺伝子発現については現在検討中である
  • 堀江 秀樹, 江間 かおり, 野村 幸子, 物部 真奈美
    セッションID: 1E-a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年,茶カテキンの健康機能性に関する関心の高まりの中で,緑茶を機能性食材として料理に使う機会が増えつつある。「緑茶の健康成分を丸ごと摂取」などと叫ばれるが,添加した茶葉に見合ったカテキンが実際に摂取できるのか興味あるところである。そこで茶料理中のカテキン含量の測定を行い,茶由来のカテキンの残存を調査した。
     【方法】緑茶葉粉末を添加した25種類の料理の一部をサンプリングし,冷凍保存した。試料を抽出液(0.5%酢酸:エタノール=1:1)で抽出し,カテキン及びカフェインをHPLCで分析した。また,モデル的に茶入りのホットケーキ,パン等を調理し,調理工程中のカテキンの変化を解析した。
    【結果】25種類の料理すべてから茶由来のカテキンが検出された。ただし,カフェインは添加した茶葉に含まれていた量のほぼ100%が回収されるのに比して,EGCGのようなガレート型のカテキンの回収率は低い傾向にあった。また,カテキンの回収率は「煮」,「揚げ」,「蒸」等の加熱方法よりも,用いた他の食材の影響が大きいものと考察された。茶粉末を加えてホットケーキあるいはパンを焼いた場合,カテキンの回収率は小麦粉との混合及び焼く過程で低下した。別途,茶浸出液を小麦粉と混合する場合及び茶粉末を200℃で加熱する場合にも,カテキンの回収率低下を確認した。これらのことから,調理によるカテキン回収率の低下は,他の素材への吸着及び加熱にともなう分解に起因するものと考察される。他の食品成分に吸着されたカテキンの生体利用性についての検討は必要であるが,茶料理によりカテキンが損失なく摂取できるわけではない。 
  • 高塚 千広, 丹羽 康夫, 森安 裕二
    セッションID: 1E-a3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】植物は様々なフェノール性化合物を保持している。チャ (Camellia sinensis)の葉には多量のカテキン類が含まれていることが知られている。チャに含まれるカテキン類には抗酸化性や抗菌性があり、紫外線やカビ・害虫から葉を防護する働きを担っていると考えられる。食品成分としてのカテキン類は茶の苦味成分であり、酸化したカテキンの色調は茶の水色に大きく寄与していると考えられている。また、ヒトに対するガンやインフルエンザ予防等の健康効果が期待されている。しかしながら、茶カテキンが植物細胞内でどのような状態で存在しているかということに着目した研究は少なく、実態は不明である。そこで本研究では、チャ葉の光学及び電子顕微鏡観察を行い、カテキン類の局在を明らかにすることを目的とした。
    【方法】チャ(品種:ヤブキタ)の葉(新芽)をグルタールアルデヒド、オスミウム酸による固定、脱水、Spurr’s樹脂包埋後、ミクロトームを用いて切片を作製し、光学顕微鏡観察及び電子顕微鏡観察を行った。
    【結果】チャ葉を光学顕微鏡観察したところ、暗褐色に染まったカテキンが葉の葉肉細胞に存在することがわかった。次に電子顕微鏡でチャ葉を観察すると、大きな液胞内にカテキン類と考えられる黒い塊が観察された。カテキン類の黒い塊の大きさや形は様々であった。また、カテキン類を蓄積している大きな液胞以外に、カテキン類を蓄積した小さな液胞やカテキン類を蓄えていない液胞も存在した。  
  • 山田 千佳子, 鈴木 美沙, 和泉 秀彦
    セッションID: 1E-a4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】プチヴェールは、ケールと芽キャベツの交配により生まれたアブラナ科の新野菜である。これまでの研究結果により、プチヴェールには機能性成分として、ポリフェノールなどの抗酸化物質が含まれていることが分かっている。しかし、調理・加工によって、それらの機能性成分がどのように変化するのかについては明らかでない。そこで本研究では、プチヴェールを発酵させて作られるプチヴェール酢に着目し、発酵過程における機能性成分の挙動を明らかにすることを目的とした。
    【方法】プチヴェール水抽出液を滅菌し、イーストとグルコースを加えて30℃で7日間発酵させた。発酵2、4、7日目にプチヴェール液を採取し、ろ過および脂質除去を行い濃縮した。その後、溶液中のポリフェノール量、抗酸化活性、アスコルビン酸量を測定し、経時的な変化を調べた。さらにHPLCにより成分の変化についても解析を行った。
    【結果】 ポリフェノール量は、発酵2日目から4日目にかけて増加したが、発酵4日目から7日目にかけての変化は見られなかった。アスコルビン酸量は、発酵により減少したが、抗酸化活性に変化が見られなかった。両成分共に抗酸化活性を示すことから、全体としての抗酸化活性が保持されたと考えられる。また、HPLCを用いて成分変化について解析した結果、発酵前に存在したピークが減少し、新たなピークが出現していた。この結果から、プチヴェール中のポリフェノールは発酵過程において、イーストにより糖付加を受けたり糖の分解を受けたりしているのではないかと考えられた。
  • 内田 健太郎, 冨田 晴雄, 竹森 利和
    セッションID: 1E-a5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】種々の野菜は加熱され食される。ナスの加熱によるポリフェノール量の変化について増加、減少の報告がそれぞれあり、変化機構についての詳細な報告はない。本研究は、グリル調理によるナスの実部分の健康指標の変化を明らかにし、原因を解明することを目的とする。
    【方法】岡山県産ナスの実部分を直径32mm、高さ20mmの円柱型にくり抜きサンプルとした。グリル庫内の中心部にサンプルを設置し、調理中のサンプル中心部の温度 (Center Temperature:CT)が50, 65, 75, 85, 95℃の条件で加熱を終了した。その後、凍結乾燥を行い、ミルサーで1分間粉砕した。粉末0.10gより80%エタノールで抽出し、抽出液について総ポリフェノール量 (TPC)を測定した。またモデルとしてクロロゲン酸、グルコース、アルギニン、浄水を用い、250℃ホットプレートを用いて調理ナスの中心温度の推移と一致する系を作製し、CTと同じ水温条件で加熱を停止し、TPCを測定した。
    【結果】加熱調理によるTPC維持率は83% (CT50℃), 64% (CT65℃), 67% (CT75℃), 85% (CT85℃), 109% (CT95℃)と、65 ℃から85℃について生サンプルと比較すると有意に減少した。加熱サンプル間での比較では95℃が85℃と比較し、有意に増加する傾向が見られた。また、モデルではクロロゲン酸の減少は見られたが、TPCの減少は確認されなかった。短時間加熱の場合、酵素の働きによりポリフェノールは調理中に減少していると考えられる。一方、長時間加熱は細胞壁の崩壊等で抽出が容易になりポリフェノールの増加傾向が見られたと考えられる。
  • 名倉 秀子, 木村 靖子, 芝崎 本実, 林 綾子
    セッションID: 2A-a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】特定給食施設とは1回100食以上または1日250食以上の給食を提供する施設とされている。提供される給食には安全性,嗜好性,栄養的な質,経済性等が求められる。給食提供には生産工程を標準化することが必要であり,給食施設では厨房機器の種類と能力,作業者の人数と技術,生産や提供のシステム,食品の質と量,原価構成等を把握し,給食の利用者にとって高品質の給食提供に努めている。本研究では,本学の給食施設を利用し,炊飯の生産(調理)工程における標準化について検討し,米飯の品質管理上のポイントを把握することを目的とした。
    【方法】千葉県産水稲うるち米コシヒカリを一釜あたり2.3kg~5.6kg(30食~70食)炊飯する生産工程において,洗米による吸水量,加熱による蒸発量,加熱中の温度履歴を測定した。また,生産から提供を通してのロス量も検討した。なお,洗米は水圧洗米器FRW-22W,炊飯にはガス自動炊飯器FRC21F-T,炊飯中の温度計測ではコンパクトサーモロガーAM8000(安立計器)を用いた。釜内の上層部,下層部,中心部,辺縁部に位置する飯の品質評価として,卓上型物性測定器TPU(山電製)を用いてかたさ荷重,付着性を測定した。
    【結果】洗米後の吸水は米の9~18%を示し,吸水率は米重量が多くなるに従い値のばらつきが示された。加熱による蒸発量は,米の重量にかかわらず約500gを示した。炊飯によるロス量は,加熱中の蒸発量,釜から食器に盛るまでの米飯からの蒸発量,釜や什器に貼りつく米飯の重量であった。米飯の硬さ荷重は,釜の上層部より下層部,釜の辺縁部より中心部の方が低値となり,逆に付着性では下層部,中心部が高い値を示し,釜内の部位による差が明らかになった。炊飯後に釜内の米飯を均一にするための作業に工夫が必要となることが示唆された。
  • 山本 淳子, 森山 三千江
    セッションID: 2A-a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 新調理法といわれるスチームコンベクションオーブン(スチコン)を用いた調理法は、スチームを用いることから、機能性成分の損失が少なく、より効率的に栄養を摂取することができ、表面の水分蒸散が少ないことから、ふっくらと仕上がるとされている。しかし、スチコンでの食品の効果的な機能性や嗜好性などに関する報告はあまりない。そこで、機能性の向上と嗜好的に好ましい調理条件を明らかにすることを目的とし、新調理法と従来の調理法を用いた調理作業を行い、色調および機能性成分の変化を追跡するとともに官能評価を行った。
    【方法】 ほうれん草とジャガイモを試料として、茹で加熱、蒸し加熱(スチコン)を用い、異なる加熱時間での比較を行った。色調は色差計、総VC量はHPLCポストカラム誘導体法、ミネラル量はイオンクロマトグラフ法、ポリフェノール量はFolin-Denis法、抗酸化活性はDPPH法で測定した。官能評価は、11名をパネラーとし「見た目」、「香り」、「食感」、「味」、「総合」の5項目について5点評点法を用いて行った。
    【結果】 ほうれん草、ジャガイモとも、VC量およびミネラル量は調理操作により経時的に減少したが、ほうれん草5分加熱品、ジャガイモでは、ゆで加熱に比べ、スチコンで高く残存した。ポリフェノール量、DPPHラジカル捕捉活性も、同様にスチコン調理品の方が高かった。色調は、加熱調理することで明度が下がったが、茹で加熱品に比べスチコン調理品で高かった。ほうれん草5分加熱品、ジャガイモ20分加熱品の官能評価を行った結果、ともに総合評価でスチコンの評価が高くなり、スチコンによる調理操作の機能性成分が高く、かつ嗜好的に好まれることが示唆された。
  • 土岐田 佳子, 辻 美智子, 藤井 恵子
    セッションID: 2A-a3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】米と並ぶ主要な食材である大豆は畑の肉と呼ばれ、エダマメはそのような大豆の未熟豆である。エダマメの加熱調理においては、湿式加熱が一般的であるが、近年、特定給食施設等では真空調理や電磁波加熱も利用されている。また、保存方法も調理後のエダマメの品質に大きく関与すると考えられている。そこで本研究では、真空調理のエダマメへの応用可能性を検討することを目的として、テクスチャー、色調、栄養成分について着目し、調理方法による違いを比較し、さらに保存方法の違いによる変化も検討した。 【方法】エダマメ200gを非真空調理(ゆで、電磁波)と真空調理で10分間加熱したものを5日間の冷蔵保存、及び30日間の冷凍保存を行い、調理方法及び保存方法による違いを比較した。また、ゆで調理した非真空試料(大気圧、40%N2ガス置換、40%N2・CO2混合ガス置換)と真空試料を14日間冷蔵保存したものについても検討した。調製した試料について、テクスチャー特性、色度、遊離アミノ酸含量、微生物検査を行った。 【結果】テクスチャー特性は、かたさについては真空調理が他の調理方法と比べて有意に高値を示した。遊離アミノ酸含量は、調理法の違いで大きく異なり、電磁波調理でグルタミン酸が高値を示し、真空調理ではアラニンが高値を示した。保存方法の違いが色度に及ぼす影響を検討したところ、真空試料において莢のa*値(赤度)が最も高値を示した。一方、N2ガス置換した莢と子葉のa*値は他の保存法と比較して低値を示し、保存14日目まで濃い緑色を保持する傾向が認められた。保存期間中の一般細菌数はいずれの試料においても加熱後摂取冷凍食品の基準(105/g以下)より大幅に低い値であった。
  • チャン レニー
    セッションID: 2A-a4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】サンマのエイコサぺンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)(それぞれ心臓病予防、脳機能改善に効果がある)は加熱調理により減少するとの報告があるが、その減少メカニズムに関する詳しい研究は行われていない。本研究の目的は、3つの調理方法(フライ・グリル・フライパン調理)において、調理後のサンマのEPAとDHAの保持率を測定し、その減少メカニズムを明らかにすることである。

    【方法】サンマを3つの調理方法を用いて、中心温度が75、85、95°Cになるまで加熱した。サンマの温度は、中心等の6か所(可視化のための分布計測時は最大23か所)を熱電対により測定した。化学分析では、調理前後のサンマのEPA・DHA成分と脂質酸化の程度(カルボニル・TBA値)を測定した。

    【結果】フライ、グリル、フライパン調理時のEPA保持率はそれぞれ 43、77、91%であり、DHAではそれぞれ48, 75, 99% であった。各調理方法において、中心温度の違いによる保持率の有意差はなかった。フライ調理時は、サンマの表層部の温度は調理開始後すぐに約200°C(EPA・DHAの分解温度)に達し、表層部にEPA・DHAが最も多く存在することから、主な減少メカニズムは加熱分解であると考えられる。一方、グリル調理時は、EPA・DHAが多く含まれる脂が多く飛散しており、脂の飛散が保持率低下の主な要因であることがわかった。フライパン調理時は、保持率が最も高かった。脂の飛散が少なく内部温度はフライ調理時ほど高くないことが、その要因と考えられる。調理方法の違いによる、脂質酸化の測定結果に有意差はなかった。

    EPA・DHA保持率は、フライ>グリル>フライパン調理の順であり、減少メカニズムはそれぞれ脂の飛散と加熱分解(両方少量)、脂の飛散、加熱分解と考えられる。
  • 三森 一司, 布施 友理
    セッションID: 2A-a5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】白神あわび茸は、近年中国から輸入されたアワビタケ(学名:P.eryngii var.touliensis CJ.Mou)とエリンギを交配させて作られた新品種のキノコである。鮑に似た食感を有し、日本国内の消費量が増える傾向にある白神あわび茸を、種々の条件で加熱し、風味に及ぼす影響を検討し、用途拡大に資する基本的知見を得る事を目的に研究を行った。

    【方法】試料として秋田県三種町産の白神アワビ茸を用い、一般成分を測定した後、白神アワビ茸の傘の部分を厚さ3mm~15mmに包丁で切断し、「茹で」、「蒸し」、「焼き」の3通りの方法で、5~10分間加熱した。加熱後、試料の硬さを測定し、官能評価は、20代の女子学生12名をパネルとして行った。

    【結果】100g当たりの一般成分値を、日本食品標準成分表2010収載のエリンギ(生)やくろあわびたけ(生)と比較すると、水分とたんぱく質のいずれも白神アワビ茸の方が多く、これに対して白神アワビ茸の脂質は、エリンギ(生)や、くろあわびたけ(生)の1/3~1/4の値であった。このような成分値の違いが、白神アワビ茸特有の風味や食感に影響しているものと考えられた。加熱に伴い硬さが最も急激に上昇したのは、厚さ9mmの試料を5分間茹でた場合で、約3倍硬くなった。重量減少率が最も高かったのは15分間加熱の場合だったことから、白神アワビ茸の硬さの上昇は、適度な水分存在下で弾力性が向上するために起こると考えられた。厚さ15mmの試料を5分間焼いた場合と10分間焼いた場合の官能評価を比較すると、10分間焼いた方が好ましい結果となった。特に歯ごたえは著しく向上した。ところが、15分間焼くと全ての項目において評価が低くなった。以上のことから、白神アワビ茸を加熱調理する場合の一例として、焼く場合には、厚さを15mmにし、10分間加熱するのが適当と考えられた。
  • 伊藤 聖子, 新井 映子
    セッションID: 2A-a6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】米の消費を拡大するため,米粒が浸漬によって水を十分含むと脆くなるという特徴を活かした「米ペースト」が開発され製パンや菓子等に利用されている。我々は,精白米のみならず,ビタミンやミネラルなどの栄養成分と食物繊維が豊富な糠層を含む玄米に着目し,精白米と同様,容易に製パン材料となるよう「玄米ペースト」の調製法について検討してきた。本研究は,うるち種のコシヒカリともち種のヒメノモチおよび朝紫の玄米を用いたペーストの性状と,各種玄米ペースト置換パンの製パン性について比較することを目的とした。
    【方法】4℃,20℃,30 ℃で浸漬した場合の吸水率を測定し,玄米ペーストを調製する際の浸漬温度について検討した。玄米ペーストは,回転粘度計およびRVAを用いて粘度特性を比較した。玄米ペースト置換パンは,強力粉の10,20,30%が玄米で置換できるように各ペーストをパン材料に混合して焼成し,製パン性評価(比容積,テクスチャー)と評点法による官能評価を行った。
    【結果】いずれも浸漬温度が高いほど玄米の吸水速度は速く,朝紫>ヒメノモチ>コシヒカリの順に吸水率が高かった。各温度で浸漬した玄米ペーストは,朝紫>ヒメノモチ>コシヒカリの順に粘度が高く,いずれも4℃より20℃浸漬ペーストの方が若干高くなる傾向が示された。各ペーストを強力粉に置換した場合の粘度特性は,いずれも最高粘度が強力粉より低下したが,浸漬温度による違いはなかった。各玄米ペーストを置換してパンを焼成した結果,いずれも置換率が高くなるほど比容積は小さくなる傾向はあったが,焼成2日後のクラムの硬さはもち種混合ペーストパンがやわらかく,官能評価でも有意差が認められた。
  • 次田 一代, 上岡 はつみ, 大下 市子, 鈴木 明子
    セッションID: 2A-p1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】小・中・高等学校の家庭科における調理知識・技能習得の実態を明らかにすることを目的として、大学1年生を対象としたアンケート調査を実施し、分析・考察した。
     【方法】2014年9・10月と2015年4月に、広島県内私立大学の教育系学生133名、同大学の栄養系(管理栄養士養成)学生106名、香川県内私立短期大学の家政系学生39名、同短大の栄養系(栄養士養成)学生47名を対象として、調理と栄養に関する59項目(知識・理解29項目、技能・表現26項目、創意工夫3項目、成長1項目)について、1(全く思わない)、2(あまり思わない)、3(そう思う)、4(とてもそう思う)の4段階で自己評価による調査を実施した。
     【結果】知識・理解の平均値は、教育系2.77、栄養系(管理栄養士養成)2.59、家政系2.45、栄養系(栄養士養成)2.59であり、高得点項目は、「食品を組み合わせてとる必要があることを知っている」「食事の役割を知っている」「健康によい習慣を知っている」、低得点項目は「1日分の献立を立てる仕方を知っている」「1日に必要な食品の種類・概量を知っている」であった。技能・表現の平均値は、教育系2.79、栄養系(管理栄養士養成)2.47、家政系2.38、栄養系(栄養士養成)2.56であり、高得点項目は、「適切に後片付けをすることができる」「米飯の調理ができる」「味噌汁の調理ができる」、低得点項目は「必要な材料の分量や適切な手順を考えることができる」「地域の食材を活かして調理することができる」「1日分の献立を立てることができる」であった。
  • 上岡 はつみ, 次田 一代, 大下 市子, 鈴木 明子
    セッションID: 2A-p2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】調理と栄養に関する知識・技能習得に関して、第一報では教育系、栄養系、家政系の学生を対象に調査した。その結果、「食事の役割を知っている」や「食品を組み合わせてとる必要があることを知っている」などの項目は自己評価が高く高校までの教育成果は認められたが、実践するための知識・技能の項目は低かった。そこで、大学での半期調理実習受講後に同様の調査をおこない分析・考察した。

    【方法】広島県内私立大学の管理栄養士養成課程の女子大学生106名を対象として、調理実習受講前(2014年9月)と調理実習受講後(2015年1月)に調理と栄養に関する知識・技能(知識・理解29項目、技能・表現26項目、創意工夫3項目、成長1項目)59項目について、1(全く思わない)、2(あまり思わない)、3(そう思う)、4(とてもそう思う)の4段階自己評価で調査した。有効回答率は97.2%であった。

    【結果】受講前の59項目の平均は2.55、受講後の平均は2.93であった。実習前後で自己評価が高まった項目は、知識・理解領域「1日分の献立を立てる仕方を知っている」前2.15・後2.85、技能・表現領域「材料を適切に切ることができる」前2.41・後3.04であった。一方、知識・理解領域「食品を組み合わせてとる必要があることを知っている」は前3.37・後3.39、技能・表現領域「楽しく食事をするための工夫ができる」は前2.62・後2.85「健康に良い習慣を実践している」は前2.40・後2.53と変化が小さかった。知識だけでなく実践をともなう項目については、半期の実習後においても自己評価が高まらない傾向にあることがわかった。
  • 米田 千恵, 山本 愛
    セッションID: 2A-p3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】調理実習は家庭科の食物教育の重要な学習であるが、衛生面の指導も近年重視されている。一方で、食品や食器の洗い方やごみ処理の仕方は環境に配慮した生活の工夫としても取り扱われている。本研究では、小学校、中学校家庭科における調理衛生の指導内容および環境教育の視点について、学習指導要領より明らかにした。また、まな板について、食品成分を塗布し、洗浄したときの食品成分の残存や衛生指標を実験により調べた。

    【方法】まず、小学校および中学校の学習指導要領および解説を資料とし、家庭科の食生活領域における衛生および環境に関する内容を抜粋した。次に、まな板の衛生状態の評価は、3種のまな板について、浸水による重量変化を調べた。また、でんぷん、たんぱく質、脂肪由来の成分をまな板に塗布し、洗浄後のまな板について食品成分の残存量、ATP法による相対発光量、生菌数を測定した。

    【結果】学習指導要領および解説より、調理過程の衛生に分類される食品の洗い方や、用具や食器の安全で衛生的な取扱い内容は、昭和52年告示から平成20年告示まで一貫して記載されていた。また、後片付けに関する廃棄物処理や排水については、衛生と環境をとらえる両者の視点を併せもっていた。次に、浸水によるまな板の重量変化を調べた結果、プラスチック製まな板は内部へ水が吸収されにくいが、木製まな板は内部へ水が吸収されやすかった。まな板に食品成分を塗布し、洗浄したところ、片栗粉溶液や卵液は、すすぎ洗いだけでは1%以上の残存があり、木製まな板に多く残る傾向があった。ATP法により食品成分の残存を推定することは可能であった。洗浄後のまな板の生菌数は104 CFU/ cm2以下であった。
  • 基本原理とその有用性
    河野 俊夫
    セッションID: 2A-p4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】TPP交渉の妥結を控え、我が国への海外冷凍食品の流入は今後さらにその数を増すものと考えられる。その最中、冷凍食品を巡り、異物混入やすり替え偽装などの問題が発生してきた。現在の冷凍食品の流通過程では、内容の正規性はパッケージ管理に頼っている。しかし、パッケージを偽装されれば非正規品も正規品として流通される。そこで本研究では、冷凍食品の流通過程でのすり替えを防止することを目的として、異物検出技術を逆用した食品本体の直接識別管理法について検討した。DNA鑑定法に比較し、1)無侵襲検査、2)全数検査が可能で、食品流通の流れを止めずに済む。
    【方法】認可された食品添加物を冷凍食品の表面にデザイン化して付着させたうえで、このデザインを付着させた冷凍食品に対して光を走査照射し、その反射光に含まれる、食品添加物の近赤外領域での識別固有波長を利用して、そのデザインを復元する手法である。サンプルデザインに用いる食品添加物として、身近な食品にも用いられる9種の食品添加物を選択し、冷凍食肉3種に対する識別固有波長を求めた。
    【結果】冷凍食肉に対する供試食品添加物の識別固有波長は、波長1,100~2,500nmの範囲で広く分布し、食品添加物の種類によって2~5点存在した。識別のし易さを検討したなかで、L-酒石酸水素カリウムが識別デザイン物質として有用であることが分かった。
    なお、本発表は平成24年度~26年度厚生労働省科学研究費補助金(食品の安全確保推進研究事業)を受けて実施した内容の一部である。
  • 笠原 優子, 我如古 菜月, 後藤 健一郎, 新田 陽子, 山下 広美
    セッションID: 2B-a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】今日の食環境の中で「中食」のウエイトが高くなりつつある。中食としての市販弁当においては,塩辛い,野菜の量が少ない,脂肪エネルギー比が高い,ミネラル含量が低いなど栄養面での問題点が指摘されているにもかかわらず,そのような弁当が販売される背景には,手軽に入手できるという現代の利便さを求める動きが優先されている為と考えられる。よって,中食も健康づくりにつながるものや栄養バランスの良い食事の参考になるものが求められていると考え,企業と連携して栄養バランスを考慮した『栄養バランス弁当』を開発し販売した。本研究では,それら弁当の販売開始時からの販売数量等を調べ,販売数量に影響を及ぼす要因について解析した。
    【方法】弁当の名称は『たくみ』『めぐみ』『なごみ』とし、摂取エネルギーが650,550,450kcal程度となるような3種類で,栄養バランスについてはPFC比率を考慮しつつ食塩相当量を2.9g以下にした。2014年8月23日から2015年4月14日までの販売実績データをもとに,店舗別販売数量,月別販売数量,県別販売数量,店舗別商圏内人口などのデータを得た。店舗を中心とした半径3km圏内の人口より年齢別人口構成比を算出し、弁当販売数量との相関関係を検討した。データ解析はIBM SPSS Ver.12を用いて、p<0.05で有意差ありと判断した。
    【結果】『たくみ』,『めぐみ』の販売数量と15~19歳人口構成比を分析したところ相関が認められた(r=0.30,p<0.05,r=0.43,p<0.01)。さらに『めぐみ』において男女別で分析したところ,男性15~19歳人口構成比との相関係数はr=0.32(p<0.05),女性との相関係数はr=0.45(p<0.001)であった。以上の結果から栄養バランス弁当の販売数量に15~19歳人口構成比が男女ともに影響を及ぼしている可能性があることが示唆された。
  • 大島 千穂, 中島 正夫, 三田 有紀子, 續 順子
    セッションID: 2B-a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】椙山女学園では食育推進センター活動の一環として、学園で学ぶ園児・児童・生徒・学生および保護者を対象とした「食」に関する実態調査を平成(H)20年度から3年ごとに実施している。本報告では、分析を終えたH20,H23年度の調査に基づき、小学生高学年から、社会人一歩手前の大学生までの各ライフステージを対象に食行動・食意識を把握し、その課題を明らかにして食育成果向上の改善提案を目的とする。

    【方法】実施年度の10月に自記式質問紙による量的調査を行った。小学生、中学生、高校生、大学生の本人回答分として分析を進めた。H20、H23年度の有効回答人数(回答率)は夫々1508名(99.6%)、1470名(99.3%)であった。H23年調査分を主要な対象として、1.食生活状況、2.食の知識、3.食に対する意識・行動、4.体型意識に関する項目を分析した。有意差検定にはχ2検定を用い、p<0.05を有意と判定した。

    【結果】食生活・食行動については、児童および中高生徒の朝食欠食率は全国調査とほぼ同程度であったが、大学生は5%ほど高率だった。昼食時、中学生以上のランチルーム・飲食施設および売店の利用率は高いが、適切な食選択ができると自覚する者は少なかった。H23年から開始した大学キャンパスおよび中高ランチルームにおける食育支援活動の成果確認には至らず、この継続・発展が必要と考えられる。小学校給食では残食率が高く、この内容・背景の分析と対応が必要な状況と思われる。食に関する知識・意識については、中学・高校での学習レベルが大学生まで維持されているとは言い難く、高校時代から顕現化するやせ志向と併せて、大学生への食育支援における課題である。

     
  • 佐藤 真実, 小泉 真実子, 据 千紗彗, 白﨑 桃世, 友田 桃子
    セッションID: 2B-a3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】健康日本21(第2次)では、「野菜の摂取量の増加」として成人1日当たり野菜350gを目標として掲げている。しかし全年齢階級で野菜摂取量が不足しており、とくに20-29歳は244.8gであり最も少ない。本研究では、大学生を対象として野菜摂取量の現状を調査し、さらに野菜摂取のセルフエフィカシー(自己効力感)を測定した。野菜摂取増加を阻む要因について明らかにし、野菜摂取増加をうながす方法について検討することを目的とした。【方法】野菜の摂取頻度は、よく使用する野菜について目安量と摂取頻度を調査した。野菜に関するアンケートは、野菜の好き嫌いや料理頻度など、さらに野菜摂取に対するセルフエフィカシーを測定した。【結果】野菜の1日摂取量として350g以上摂取できている人の割合は23.1%であった。野菜を嫌いな人の割合は3.2%と低かったが、野菜を好きな人でも野菜摂取量が150g未満と少ないものの割合が26.1%もあった。野菜摂取のセルフエフィカシーが低い項目としては「においが嫌な時」、「店に買いに行けない時」、「味が苦い時」、「家に野菜料理がない時」、「お腹がいっぱいの時」であった。野菜摂取350g達成できている人との間で有意差が見られた項目としては、「見たことのない野菜がある時」、「調理方法がわからない時」、「食べたい野菜料理がない時」、「食べる時間がない時」、「家族と時間が合わない時」であった。野菜を目標量食べている人は、食品や料理の知識が低くかつ時間的余裕がなくても野菜を食べるという強い意志をもっていた。その背景については今後明らかにしたい。「味が苦い」については、料理頻度が高いほどセルフエフィカシーが高くなることから、野菜摂取増加方法の1つとして料理技術の習得があげられた。
  • 澤田 崇子, 瀬戸 美江, 藤本 健四郎
    セッションID: 2B-a4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】健康の維持・増進に必要とされる栄養バランスの確保の観点から策定された「健康な食事」の食事パターンに関する基準では、1食当たり、主食、主菜、副菜(野菜は100~200gであること)を組み合わせて食べることが基本とされた。平成25年国民健康・栄養調査結果の概要によると、野菜類は(20歳以上)平均283.1g、平成15年と平成25年の野菜類の摂取量を比較すると、70歳以上以外で、すべての年齢で減少していた。平成25年4月より適用された「健康日本21(第2次)」においても、野菜摂取目標値は、成人1人1日当たり350g以上とされた。健康な生活を送るためには、野菜摂取不足を改善する必要があり、より具体的な食べ方の推奨が必要と示唆されている。また、野菜摂取を促す栄養教育では、実生活に近い具体的な情報が求められている。そこで今回は、野菜摂取量に関連する食事要因について検討した。
    【方法】1.野菜摂取に関するアンケート調査、2.給食経営管理実習献立の野菜量調査、3.大皿料理からの野菜摂取調査、4. 食事調査、5.きょうの大皿(味の素(株))シリーズの野菜量調査を行った。
    【結果】給食経営管理実習献立の野菜量調査結果から、主菜に使用する野菜量が最も影響していることがわかった。また、今回の結果では洋風献立や中華風献立は、エネルギー、脂質量、食塩相当量などが高くなる可能性があるが、和風献立に比べ、主菜に多くの野菜を使用でき、総野菜量も多くなることがわかった。総野菜量と「いろどり」の間に相関関係は認められなかった。大皿に主菜を盛り付ける場合、たんぱく質供給源食品1に対し、野菜を1.4~1.5倍使用することが、野菜摂取につながるのではないかと考えられた。
  • 高橋 ひとみ, 山口 真由, 大野 治美, 柳澤 幸江
    セッションID: 2B-a5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】大学入学時における学生の調理能力は低下の傾向にあり、その一因として調理経験の不足が考えられる。本研究は包丁技術および作ることができる料理の現状を把握するとともに、調理を行う頻度を調べた。そして調理頻度が調理能力に及ぼす影響について検討を行った。
    【方法】2010~2015年、4月にK大学に入学した女子学生を対象にアンケート調査を行った。各年70名程度、計452名、有効回答率98.2%であった。調理能力は包丁技術、料理を「できる」「媒体があればできる」「できない」「わからない」で回答を求め、26品目について調べた。調理頻度は「ほぼ毎日」「ほとんど作らない」など6段階で回答を求め、頻度高群、中群、低群の3群に分けχ2検定を用い分析を行った。
    【結果】2010年~2015年の6年間では調理頻度の年次変化はみられず、ほとんど作らない人の平均は26.3%であった。調理頻度が週10回以上を高群、週1~10回を中群、それ以下を低群とし、その割合は24.8%、27.2%、48.0%であった。調理頻度と包丁技術では輪切りを除く、6項目で有意差がみられ、高群は「できる」の割合が高かった。調理頻度による差が大きかった切り方は短冊切り、乱切りであった。調理頻度とできる料理にも有意差がみられ、高群では「できる」の割合が高い結果になった。差が生じた料理はお浸し、しょうが焼きなどで、できる割合が低群では21.8%、22.2%に対し高群は48.1%、48.5%と約2倍であった。煮干しだしは低群20.1%、高群28.4%ができるとし、他のだしも同様で和食の特徴であるだし汁ができるとした割合は2~3割であった。また、小学校教育で学ぶ白飯、みそ汁、目玉焼き、卵焼き、野菜炒めはどの群でもできる割合が高く、多くの大学生が習得していることが示された。
  • 平島 円, 堀 光代, 磯部 由香, 長野 宏子
    セッションID: 2B-a6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】調理操作としての「切る」操作は,調理技術に自信を持つために重要な操作と考えられる。昨年度はアンケート結果から難易度により「切り方」を区分し,学生の専攻が「切り方」の知識と自信度に影響を及ぼすことを報告した。今回は,性別や調理頻度などの要因が学生の「切る」調理操作の知識や自信度の違いに及ぼす影響について検討した。

    【方法】2010年~2013年に大学・短大・専門学校に入学した学生1,149名に対し,20種類の「切り方」の知識とその自信度についてアンケート調査した。それぞれの項目について「できる」「ほぼできる」「少しできる」「たぶんできる」「できない」「知らない」から選択回答させた。性別,居住形態,高校の学科,調理頻度,調理の好き嫌い,得意料理の有無などの項目により「切り方」の知識や自信度の違いについて分析した。各要因による差はχ2検定を用いて検討した。

    【結果】女子学生は男子学生よりも「切り方」の知識と自信度が高かった。また,高校での家庭科の単位数の多い専門科出身者は普通科出身者よりも,難易度の高い「切り方」についての知識と自信度が高かった。さらに,調理頻度の高い学生は低い学生よりも「切り方」の知識と自信度は高いとわかった。居住形態別に調理頻度を比較すると,下宿生は自宅生よりも調理頻度が高かった。しかし,学生の「切り方」の知識や自信度に居住形態による差はなかった。一方,調理が好きな学生は無関心な学生よりも「切り方」の知識と自信度が顕著に高かった。また,得意料理を持つ学生は持たない学生よりも知識と自信度が高かった,これより,調理の知識と自信度を高めるためには調理経験と調理への興味・関心が必要だと考えられる。
  • 瀬尾 弘子, 福永 淑子, 田邊 洋子, 田渕 弘子, 宇都宮 由佳, 前田 文子, 柳内 志織, 中田 玲子
    セッションID: 2B-p1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】前報では、小学生のガスコンロ調理体験が達成感や集中力を高め、料理やその他への自信につながることを報告した。本研究は小学生の調理体験が家族の関係および家庭に及ぼす影響について調査することを目的とした。
    【方法】小学生19名(4~6年生)に対して、2015年3月から月に1回、計5回の調理実習を行った。実習は毎回異なる献立で行い、調理方法だけでなく、ガスの火加減、省エネ、一汁三菜、地元の食材について説明し、それが家庭にどう伝わるのかを調査した。子どもの調理への関心や集中の様子を知るため、動画撮影と聞き取り調査を行い、実習直後にアンケートで、①実習の達成感、②火加減が上手くできたか、③前回の実習内容を家族に上手く伝えられたか、④家庭での自分の変化などを5段階で回答してもらった。また、料理の一部を持ち帰らせ家族にも試食してもらいアンケートに答えてもらった。さらに実習した料理を家で再度調理し、その写真を撮影してもらうとともに、アレンジした料理を作るよう協力を求めた。
    【結果】アンケート調査の結果、小学生は調理体験をすることにより、①家庭での会話が増えた、②手伝いの機会が増えた、③料理とそれ以外のことにも自信がついた、④家族と食事する機会が増えた、と感じていた。実習中の楽しさや家族に食べさせたい、家でも作りたいという意欲は毎回高い評価であった。家族のアンケート調査から子どもたちが家で多く語った内容は、①鍋でご飯を炊いた、②煮干でだしを取った、③オムライスはピラフとオムレツで作ったなどであり、家とは異なる調理方法に関心を持ち家族に伝えていたことがわかった。
  • 駒田 聡子
    セッションID: 2B-p2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】本学附属小学校では子どもの生活体験を深め生きる力を向上させる目的で、2年前から毎週2回程度、希望者が参加する形の「調理体験」アフタースクールで続けて取り入れている。学校の授業では、低学年から調理体験を行う機会が少ないが、このアフタースクールでは1年生から参加できる。また普段の生活の中で「包丁を使う」、「火を使う」などの「本物体験」を積む機会も少ない中、それらを積極的に取り入れている。今回は保護者に対してニーズ調査を行い、調理体験に参加する子どもの様子や変化を知り、その意義と効果を探った。
    【方法】小学校を通じ、調理体験出席者の保護者に対して調査用紙を配布回収した(回答者数91)。調査項目は、参加回数・頻度、参加の基準、参加時の子どもの様子、参加することによる子どもの変化、今後の期待などである。
    【結果】参加学年は、1,2年生が多く約7割を占めた。参加頻度は、月に1,2回が8割だった。参加の基準はメニューとその日の都合が過半数を超えた。調理体験について家でも話をするか聞いたところ、約9割がすると回答した。また、食の話をする機会が増えたと回答した者は、大いに増えたと少し増えたを合わせると7割だった。食への関心が高まったかについても、大いに増えたと少しを合わせると8割が高まったと回答しており、食の手伝いをする機会についても、増えたが7割みられた。自由記述では、調理方法に興味を持った、食の本を借りるようになった、積極的に料理をするようになった、アドバイスをしてくれる、レシピを考えるようになった、食材の知識が増えた、好き嫌いが減ったなどがみられた。このように低学年がほとんどではあるが、家庭でも調理をする機会が増えるなど、調理体験には子どもの食に対する関心や積極的な態度を育み、食意識を高める効果があることが示唆できた。今後は、調理体験の効果についてさまざまな機会で教員や保護者に伝えていき、イベント的ではなく恒常的な調理体験の機会を増やしていきたいと感じた。
  • 石川 伸一, 海野 玖仁湖, 猿舘 小夏, 小泉 玲子, 住 正宏
    セッションID: 2B-p3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】分類することは、概念の整理や定義の確立に有効であり、調理の分野でも、食材、調理法、各国料理などを指標に、料理の分類が行われている。私たちは、①料理レベル、②食材・食品レベルおよび③組織・分子レベルの三段階から料理構造をモデル化し、エルヴェ・ティスが提唱した「食材の状態」と「分子活動の状態」の二つの要素に基づいた物理化学的な記号を使った「式」を用いて料理を表現することを目標にしている。この料理構造に基づいた「料理の式」によって、料理をこれまでにはない視点の新しい分類法で確立することが本研究の目的であり、本発表では①料理レベルでの料理の式化および分類について報告する。
    【方法】NHKきょうの料理100選に取り上げられている料理をレシピに基づいて、エルヴェ・ティスの提唱した「食材の状態」(気体:G、液体:W、油脂:O、固体:S)と「分子活動の状態」(分散:/、併存:+、包合:⊂、重層:σ)の2つの要素で式化し、それらの比較およびクラスター分析等を行った。
    【結果】式を作成した結果、食材の要素は、Sが最も多く使用されており、次いでWであった。また、+の状態構造を持つ料理が最も多く、次いで/が多い結果となった。従来の主食、主菜、副菜の分類ごとに式の特徴をみると、主食中にσの出現率が高く、副菜中には/が多く観察された。階層クラスター分析の樹形図作成の結果、大きく三つに分類した場合、Oの要素を含む長い式のグループ、Wを含み主に/と+で構成されるグループ、それ以外のグループに分かれる特徴が見られた。今後、より物理化学的な料理構造の特徴に基づいた分類を行うことによって、料理が持つこれまでの固定観念に縛られることなく、食品や料理の科学的体系化に役立つことが期待される。
  • -トップショコラティエとのコラボレーション-
    関根 有紀, 川崎 寛也, 笠松 千夏, 野中 雅彦
    セッションID: 2B-p4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】昨年我々は複数の官能特性の経時的変化を1回の評価で捉えられるTemporal Dominance of Sensations(TDS)法を用い、従来の強度評定法では見いだせなかった食品の官能特性に関わるパラメータを報告した。このTDS法では結果がTDSカーブで図示され、官能特性の経時変化が見える化されるため、どのように味や風味をデザイン(設計)するかについて議論可能となる。本発表では、この活用例としてトップショコラティエである小山進氏(パティスリー エス・コヤマ)とのコラボレーションにより、和のフレーバーを活かしたチョコレートを作成した事例を報告する。
    【方法】市販チョコレートのTDS評価結果を元にオリジナルチョコレートの試作を小山氏に依頼した。試作チョコレートのTDS評価を行い、フレーバーデザインについて議論を行うというサイクルを進めた。TDS評価は、担当者で言葉出しを行った14語を用いて行った。チョコレート片(13×20×9mm)を味わい、最もdominant(支配的、最も注意が向けられた、印象的)に感じられた「味」と「風味」について経時的に回答した(n=7~9)。
    【結果】チョコレートの素材としてほうじ茶や賀茂なすのしば漬けなどを用いた、うま味が特徴的に余韻(後半に有意にdominant(p<0.1))として残るオリジナルチョコレートを作成することができた。これまでショコラティエが感覚的に設計してきたフレーバーデザインの過程を、TDSカーブとして具体的に記録することができた。このようにTDS法は、時間軸を導入したフレーバーデザインツールとして活用できることが示唆された。
  • 清水 彩子, 松井 元子, 村元 ゆかり, 大谷 貴美子
    セッションID: 2B-p5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】日本料理は「目で食べる」といわれるほど、見た目の美しさや季節感が重要視される。旬の食材を使いながらも、盛り付け方、器にも気を配り、特に、その色彩調和は、おいしさの重要な要素となっている。我々は、先行研究で黒塗りの椀に盛られた椀盛における季節感の演出について色彩に焦点を当て、その色彩配分パターンから季節感を演出するための盛り付けのルールを明らかにした。今回は朱塗り椀の椀盛について検討した結果を報告する。


    【方法】資料として、茶懐石について書かれた料理書から、ほぼ同じ角度で椀上部より撮影された朱塗りの椀盛の写真32枚を用いた。写真をスキャナ(Canon MG7500series)を用いてパソコンに取り込み、食材の色をPhotoshop7.0(Adobe)のペイント機能を用いて黒、白、赤、緑、黄、橙、茶、ピンクに塗り分けた。椀の色は、赤の食材と色が重複しないよう、食品には少ない青に塗り、背景は紫に塗った。塗り分けた各色の面積割合をFeelimage Analyzer(ビバコンピュータ株式会社)を用いて算出し、色の出現頻度や占有面積、色数について分析を行った。

    【結果】一椀に占める食材の面積は、20%~40%であり、白はすべての椀盛で使用されていた。中でも鱧やしんじょうなど、魚を主材料とする椀盛の主役である椀種は、明度が高く、暑い季節ほど、その占有面積割合が高くなった。次いで緑の出現頻度が高く(96%)、そのほとんどが季節の野菜であった。黒塗りの椀と比較すると、食材の色の出現頻度、面積割合には多少の差はあるものの、椀の色の占有面積に大きな違いはなく、椀の表面積に対する食材の割合は、椀の色にかかわらず同じルールで盛り付けられていることが示唆された。また、 朱塗りの椀は、季節的には春と秋に使用される頻度が高かった。
  • 大野 真梨子, 福岡 美香, 酒井 昇
    セッションID: 2C-a1
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】麺類は澱粉食品であり,可食となるためには,水と共に加熱し澱粉を糊化させることが必須である.麺類の茹で調理には茹で水の量や温度の違いが品質に影響を与えることが明らかになっているが,流れの影響を考慮した研究は少ない.本研究では,試料に乾麺パスタを用い,一般的な鍋を使用した茹で調理における流れの有無による麺の吸水特性の違いを検討した.また茹で水への食塩添加の有無についても比較・検討した. 【方法】乾麺 (マ・マースパゲティブルーφ2.2mm,日清製粉(株))を試料に,鍋内において流れの影響が有/無の系を設定し,かつ食塩の添加の有無でそれぞれ茹で調理を行った。調理途上で試料を取り出し,核磁気共鳴画像法(MRI法)による水分分布の測定,重量乾燥法による固形分溶出量の測定,顕微鏡法による澱粉の状態観察を行った. 【結果】MRI測定において,麺内部への水分移動は,鍋内の流れの影響の有無で大きく異なる様子が示された.澱粉は水分が十分に存在する系において糊化・分散・溶出という過程を辿る.分散過程の澱粉は水分を多量に保持することがわかっている.流れありの場合には,この分散過程の澱粉が茹で水の流れによって多く溶出することで,麺の表層部の水分保持能力が低くなり麺内部への水分移動が促進されたと考えられる.一方,流れがない場合には,麺の表層部の分散過程の澱粉があまり溶出しないために麺の表層部の水分保持が高くなる一方で,麺内部への水分移動が遅くなると考えられた.また,茹で水への食塩の添加によって,麺内部に特異的な三段階の吸水傾向が表れることが明らかになった.従って食塩は澱粉の水分保持能力に影響を与えるという事が示唆された.  
  • 菊地 和美, 新井 映子
    セッションID: 2C-a2
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】北海道では,地産地消推進のため,道産小麦活用率の目標値が平成29年度までに50%以上など,道産小麦へ転換の「麦チェン」や6次産業化が積極的に進められている。一方,北海道内にある高齢者就業支援施設と提携して,道産小麦粉を用いたワッフル製造を継続してきたが,冷凍保存については現在,課題となっている。
    そこで本研究では,道産小麦粉を用いた冷凍ワッフルに関する調理特性を明らかにすることを目的とした。
    【方法】小麦粉は,平成26年度北海道石狩産薄力粉(きたほなみ)と強力粉(春よ恋)を用いて,デンプン(馬鈴ショデンプン:北海道産,加工デンプン:リン酸架橋デンプン,ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン:松谷化学工業㈱)を小麦粉の10%代替添加してワッフルを調製した。小麦粉ならびにデンプンについて,水分含量,色調,糊化粘度の測定を行った。ワッフルの副材料は北海道産砂糖,バター,牛乳,卵を加え,アメリカンワッフル機(SUNTEC製,PT-1)を用いて,温度目盛5で1分30秒,直径13cm×15㎜にワッフル焼成後,冷凍(-20℃24時間)・解凍(20℃1時間)による破断強度の測定と顕微鏡観察,順位法による官能評価を行った。
    【結果】ワッフルの水分含量は解凍後,ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンが最も高く,馬鈴ショデンプンとの間に有意差がみられた(*p<0.05)。破断応力はいずれも解凍後に高くなっていた。ワッフルの官能評価は解凍後,ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンが有意に好ましかった(**p<0.01)。これらの結果より,北海道産小麦粉を用いた冷凍ワッフルは加工デンプンの代替添加により,調製可能であることが示唆される。
  • 丸岡 由依, 伊藤 聖子, 新井 映子
    セッションID: 2C-a3
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】高齢者の食事において,間食は栄養補給や食の楽しみとして重要であるが,スポンジのようなケーキ類は食塊形成時に唾液が吸収されるため,歯に付きやすく,嚥下しにくいことが指摘されている。そこで本研究では,咀嚼・嚥下機能が低下した人が安全に摂食できるスポンジケーキを調製するための方法として澱粉の種類に着目し,5種類の澱粉で調製したスポンジケーキの咀嚼や嚥下のしやすさに関する物性について検討することを目的とした。
    【方法】澱粉には小麦(コントロール),とうもろこし,米,馬鈴薯および葛を用いた。各種澱粉,グルテン,ベーキングパウダー,乾燥卵白,水,バター,脱脂粉乳を材料としてスポンジケーキを調製した後,比容積,テクスチャー,糊化度を測定し,評点法による官能評価を行った。粉砕したスポンジケーキをα-アミラーゼ無添加または添加の人工唾液と混合して模擬食塊を調製し,テクスチャーを測定した。
    【結果】比容積はコントロールの小麦澱粉ケーキが最も大きく,他の澱粉ケーキでは低下した。米澱粉ケーキは小麦澱粉ケーキと同等の硬さであったが,他のケーキはそれらよりも硬かった。官能評価では米澱粉ケーキの飲み込みやすさに関する評価が小麦および他の澱粉ケーキよりも高く,最も飲み込みやすいことが判明した。米澱粉ケーキの糊化度は他の澱粉ケーキよりも高く,1日経過後の糊化度の減少率も小さかった。模擬食塊のテクスチャー測定では,α-アミラーゼ添加時の付着性とケーキの糊化度との間に関連がみられ,模擬食塊の付着性が低いほどケーキの糊化度は高かった。また,米澱粉ケーキのみα-アミラーゼ添加時に凝集性の低下が認められた。これらのことから,米澱粉ケーキの糊化度の高さが食べやすさに関与していることが示唆された。
  • 古谷 彰子, 三星 沙織, 平尾 和子
    セッションID: 2C-a4
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/24
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    【目的】大麦種子には水溶性多糖類の(1,3)(1,4)-β-グルカン(β-グルカンと略)が胚乳部細胞壁に分布しており,血中コレステロールや血糖値,中性脂肪の低下作用,アレルギー反応を鎮め,ガンなどの腫瘍を抑える効果などが報告されている。近年,アメリカ(FFA)やフランス(EFSA)でもヘルスクレームの許可が試みられており,国際的にも注目の栄養素である。しかし,大麦は茹でる調理法(湯取り法)が主流であり,喫食時のβ-グルカンの大幅な損失が否めない。本実験では大麦を用い,その調理法を変化させてβ-グルカン含量を定量し,より美味しく損失の少ない調理法を検討した。
    【方法】大麦はうるち種押麦(カナリヤ 業務用,永倉精麦(株))を使用した。調理器具は炊飯器(Panasonic SR-HD103)を用い,炊き干し法と湯取り法の2種の調理法を用いた。炊き干し法の最適加水量は,順位法による官能評価により決定した。湯取り法の加熱条件は押し麦の5倍量(重量比)を加水し,物性測定を行って,炊き干し法と同様の硬さが再現できる加熱時間とした。双方のβ-グルカン量をAOAC公定法のβ-グルカン測定キット(Megazyme社)を使用して定量し比較した。物性測定は,テンシプレッサー(My BoyⅡ,㈲タケトモ電機製)を用いて1粒法による低・高圧縮測定・解析をした。
    【結果】加水量2倍および3倍の炊き干し法炊飯押麦飯はすべての項目で加水量1倍よりも有意に好まれた。炊き干し法では加水量の違いによるβ-グルカン量の差が見られなかったが,湯取り法では炊き干し法と比較して有意に減少し,加水量の増加に伴い減少の割合が高くなった。以上より,押麦のβ-グルカンの損失を少なくし,効率よく美味しく喫食するためは炊き干し法が効果的であった。湯取り法を使用する場合は,麦の3倍量(重量比)程度まで加水量を少なくして茹で, 炊き干し法に近似の方法で調理することにより, β-グルカンの損失を防ぐことが可能と考えられた。
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