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高橋 智子, 藤井 恵子, 大越 ひろ
セッションID: 2C-a7
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】食べる機能が低下した高齢者の主食となる米粥は、味、食感などのバリエーションを増やすことや栄養素を付加する目的で、野菜、鶏肉などの具材を入れて提供されている場合がある。具材と粥飯は食塊形成中、口中で分離することにより具材が口中に残留し、誤嚥を引き起こすことがある。本研究では粥飯に対し、どのような力学特性を有する具材であれば口中で食塊形成しやすいかについて検討した。
【方法】モデル具材として、縦、横、厚さともに5mmに切断した五寸人参を用いた。人参は4倍重量の蒸留水を加えて真空充填を行い、95℃で60、90、120分間加熱を行った。米粥は米重量の5倍の蒸留水を加え真空充填後95℃60分間加熱した。力学的特性は粥飯1粒、加熱人参1個について圧縮速度0.5mm/s、圧縮率90%で測定を行った。また、全体重量の20%を加熱人参に置き換えた具材入り米粥のテクスチャー特性の測定を行った。食べやすさの評価として一対比較法により官能評価を行った。加えて、高齢者施設において全歯欠損の高齢者に試食してもらい、嚥下直後の口中残留の様子を観察した。
【結果】品温45℃の圧縮率90%における粥飯粒と90分間加熱人参粒の荷重は同程度であり、粥飯粒に比べ60分間加熱人参の荷重は大きく120分間加熱人参の荷重は小さくなった。粥飯に具材を入れることで凝集性は小さくなり、付着性は小さくなった。官能評価では、粥飯粒よりも90%圧縮時の荷重が大きい60分間加熱人参を含む具材入り粥は、他の試料に比べ食べにくいと評価された。高齢者による試食では、60分間加熱人参を含む具材入り粥を試食後、口中に人参が残留していることが認められた。
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不破 眞佐子, 中西 由季子, 森髙 初惠
セッションID: 2C-a8
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】 食物繊維は摂取直後の血糖値上昇を抑制することが報告されている。食物繊維の種類によって抑制の機序は異なり、寒天、グルコマンナンやκ-カラギーナンについては報告をしてきた。本研究においては、ゾル状を呈するキサンタンガムおよびグアーガムを用い、米飯摂取後の血糖応答、米飯の力学特性および嗜好特性に及ぼすゾル状食物繊維の影響について検討した。
【方法】 試料は、精白米にキサンタンガムまたはグアーガムを添加して炊飯した米飯と、無添加米飯とキサンタンガムゾルまたはグアーガムゾルを混合したものとした。食物繊維の濃度は、精白米に対して0~2.5%とした。
In vivoにおける血糖値測定は、日本グリセミックインデックス研究会の方法を参考にし、
in vitroにおけるグルコース放出量は、熊井・中西らのグルコースリリース測定法によった。あわせて、米飯粒の顕微鏡観察、レオナーによりテクスチャー特性値を測定し、さらに官能評価を実施した。
【結果】
In vivoにおける米飯摂取後のGI値は、無添加米飯と比べて、キサンタンガム添加米飯では0.5%以上で、グアーガム添加米飯では1.0%以上で有意に低下した。またキサンタンガムゾル混合米飯では0.5%以上で、グアーガムゾル混合米飯では0.5%と1.0%で有意に低下した。米飯粒のテクスチャーの硬さは、無添加米飯と比べて、キサンタンガム添加米飯では0.5%で有意に上昇したが、キサンタンガムの濃度を高めると1.5%以上で有意に低下した。グアーガム添加米飯では、0.5%以上で有意に上昇した。官能評価の硬さは、キサンタンガム添加米飯では無添加米飯との有意差は見られなかったが、グアーガム添加米飯では、無添加米飯と比べて、0.5%と1.0%で有意に硬いと評価された。
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吉田 里緒, 佐藤 瑶子, 飯島 久美子, 辻 ひろみ, 香西 みどり
セッションID: 2C-a9
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】スチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)は、大量調理施設等で広く利用され、ゆでる、蒸す等の調理も可能である。加熱時には温度、時間、蒸気量の設定が必要であるが、これらを考慮した根菜類の加熱時間の設定に関する報告は見られない。そこで本研究では、スチコンでジャガイモを蒸し又はゆで加熱する際の中心温度及び硬さの予測から試料が適度な硬さになるまでの最適加熱時間を算出し、実験により検証した。
【方法】スチコン(tanico,TSC-10GB)を用いて、設定温度100℃、設定蒸気量100%で試料を加熱した。試料は2cm角ジャガイモとし、加熱中の庫内温度、水温、試料中心温度を測定した。蒸し加熱は穴あきホテルパンを使用し、ゆで加熱はホテルパンに水と試料を合計3kg(重量比1:1)入れた。蒸し加熱では庫内温度、ゆで加熱では水温に基づき、試料中心温度及び硬さの変化をプログラム計算により予測し、適度な硬さになるまでの最適加熱時間を算出した。実際に試料を加熱し、硬さの測定(テクスチャーアナライザー)及び官能評価(5段階評点法)を行った。
【結果】スチコンでの蒸し及びゆで加熱中の試料中心温度の実測値は予測値と概ね一致した。2cm角ジャガイモの最適加熱時間は、蒸し加熱で10.2分だった。ゆで加熱は16.2分であり、その内訳は水温上昇11.4分、沸騰継続4.8分だった。実際に加熱した試料は官能評価によりいずれも適度な硬さと評価された。ゆで加熱では、ホテルパンの枚数が多くなるほど水温上昇が緩慢になり、水温が99℃になるまでの時間はホテルパンの枚数と直線関係が認められた。そのため、最適加熱時間もホテルパンの枚数が増えるほど長くなり、ホテルパンを10枚使用したときは1枚使用したときよりも加熱時間を9.2分延長する必要があった。
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八川 梨紗, 佐藤 瑶子, 飯島 久美子, 辻 ひろみ, 香西 みどり
セッションID: 2C-p1
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】煮物は給食施設における調理頻度が高く、品質一定の調理品提供のため煮くずれを防ぐことが重要である。本研究では消火後の余熱に着目し、大量調理においてジャガイモが煮くずれない沸騰後の余熱利用条件を検討した。
【方法】回転釜(タニコー、TRK-055D、つば元水量55 L)を用い、水10~50 kgを加熱して沸騰直後に消火し、70 ℃になるまでの水温変化を測定した。水温の実測値に基づき、プログラム計算により2 cm角、3 cm角ジャガイモ内部の温度と硬さの変化を予測した。調理条件はいずれも水から加熱とし、沸騰直後に消火し試料中心部が適度な硬さとなるまで余熱利用(最適余熱利用)、硬さの変化がほとんど起こらない70℃まで放置、沸騰継続の3条件とした。総重量20 kg、2 cm角ジャガイモ:水=6:4で実際に加熱して煮くずれ量の測定及び官能評価(5段階評点尺度法)を行った。
【結果】2 cm角及び3 cm角ジャガイモは、水から加熱して沸騰直後に消火しても余熱利用によりいずれの水量でも適度な硬さに仕上がるものの、70 ℃まで放置すると外側が軟らかすぎ、煮くずれることが示唆された。2 cm角ジャガイモの最適余熱利用時間は7~9分間であり、この時の水温は94.6~97.9 ℃であった。余熱を利用しない場合の沸騰継続時間は6~7分間であった。実際に加熱した試料は、官能評価によりいずれの条件でも適度な硬さの範囲と評価されたが、煮くずれ量は最適余熱利用(0.8±0.3 kg)<沸騰継続(1.7±0.4 kg)<70 ℃まで放置(2.7±1.1 kg)の順に少なかった。最適余熱利用時間の設定により、煮くずれが少なく適度な硬さに仕上がることを視覚的、数量的に確認した。
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伊藤 直子, 今井 優菜, 黒田 晴菜, 藤野 友綾, 山崎 貴子, 岩森 大, 渡邉 榮吉
セッションID: 2C-p2
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】慢性腎臓病透析患者がリンを過剰摂取すると高リン血症から異所性石灰化、骨軟化、心疾患など、病態に悪影響を与えるため、リンは、これらの患者にとって最も注意すべき栄養素である。リンは一般にタンパク質性食品に多く含まれるが、多くの量を食する主食のリン含有量を調理の工夫により減少させることができれば、患者にとって有用である。そこで今回われわれはスパゲッティの茹で条件を変えることにより、リン含有量をどの程度減少させることができるかを調べた。 【方法】試料は、市販のスパゲッティ(以下麺とする)(直径1.6mm、パッケージ記載の標準茹で時間7分、標準茹で水量100gあたり1L)を用い、茹で条件を変えて調理した。リン量は、試料を乾式灰化し、塩酸抽出後、バナドモリブデン酸吸光光度法により求めた。 【結果】標準茹で時間において、茹で水の量、茹で水のpH、茹でる際の食塩添加の有無の違いによってリン含有量に差は見られなかった。また、茹でる前に麺を1時間水に浸漬させても浸漬なしの場合と変わらなかった。茹で前後のリン含有量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)とほぼ一致した値が得られた。一方、茹で時間を変えた場合、時間が長くなるに従って麺のリン含有量は減少し、茹で水のリン含有量は増加したが、長時間茹でると、麺のリン含有量は増加した。茹で時間が長くなるにつれて、茹で水の量は減少していったため、茹で水に溶出したリンが麺に付着したと考えられる。このため、茹で終えた麺を湯で洗浄したところ、リン含有量には減少が見られた。これらより、茹で時間を標準より長めにし、食す前に湯で洗浄することで麺のリン含有量を減少させることができることが明らかとなった。
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御手洗 早也伽, 木村 秀樹, 嶋川 成浩, 三成 由美, 徳井 教孝
セッションID: 2C-p3
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】精白米よりも栄養価が優れている玄米に着目し、加熱特性の異なる玄米炊飯の嗜好性とCO₂排出量の関係について検討した。
【方法】1)加熱機器と調理方法;ガスカロリー鍋、IHカロリー鍋、ガス炊飯器、IH炊飯器を使用した。
2)CO₂排出量の算定;CO₂排出係数はSガス(株)2.21㎏-CO₂/㎥、K電力(株)0.598kg-CO₂/kWhとした。3)炊飯方法;試料は東洋ライス(株)の『新玄米』の無洗米。4)浸漬方法;40℃で30分、20℃で60分、20℃で120分、20℃で180分。5)吸水率、米重量倍率、物性測定(粘着性、硬さ、凝集性)を測定。6)嗜好型官能評価;対象は女子学生20名。米飯のおいしさを順位法、五点評点法により評価した。7)解析方法;SPSSの多重比較Bonferroni法を用いた。
【結果および考察】炊飯方法別のCO₂排出量(kg-CO₂)は、ガスカロリー鍋、IHカロリー鍋、ガス炊飯器、IH炊飯器において、0.07±0.00、0.14±0.01、0.09±0.02、0.16±0.00であり、ガスカロリー鍋が有意に低い結果を得た(p<0.05)。玄米の浸漬は、20℃で120分浸漬することが必要であり、加水量は玄米の1.8倍量が良いと示唆された。玄米の炊飯方法別重量倍率は、ガス炊飯器は水分の蒸発率が多いため、他の3種の炊飯方法と同等の炊きあがり重量を得るには、加水量は米重量の2.0倍必要だと考えられる。嗜好型官能評価では、IHカロリー鍋とガスカロリー鍋で浸漬時間が20℃120分のものが有意に好まれた。CO₂ 排出量を削減し、嗜好的にも好まれる新玄米の調理方法を明らかにすることができた。
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干野 隆芳
セッションID: 2C-p4
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】バックエクストルージョン(BE)法を浸漬型に改良したショートバックエクストルージョン(SBE)
1)法はニュートン流体からハーシェルバルクレイ流体まで測定可能である.微小距離だけ流動させる並進型測定法は構造破壊の程度が小さく,侵入速度を変えながら同一試料を連続的に測定することでさまざまな流体を解析することができる.本研究では.高粘度の半固体状食品や固形物を含む試料あるいは気泡を含む試料についても解析が可能か,パンに使用されるメイプルシラップ,ジャム,マヨネーズ加工品,ファットスプレッド,バターなど固形物や気泡を含むさまざまな調味料をSBE法で幅広く測定し,物性の比較を行うことで有用性について考察した. 【方法】SBE法は圧縮伸長型レオメーター(CR-3000EX-S,(株)サン科学)と内製治具(直径50mmステンレス製円筒型カップ,25~45mmステンレス円筒型プランジャー)を用い,得られた流動曲線からSBE法
1)解析フローに基づいて作成されたSBE解析ソフト(Fujitsu)で解析した.試料は恒温水を循環して測定した. 【結果】パン関連の調味料は幅広い物性のものがあり,消費のスタイルはパンとの相性や消費の特性によって変化しているものと推察され,SBE法による比較によってこれらの違いが良く示されている.アヲハタまるごと果実は,アヲハタ55ジャムに比較してすっきりした甘さとなるように,ソフトなテクスチャーとなっていて,はちみつより伸ばしやすいことがわかった.ファットスプレッド類では含泡することで全般的にかなり硬くなっており,伸びも悪い.25°Cのバターは20°Cのマーガリンと比較してかなり硬く,使いにくさがよく表されているものと考えられた. 1)干野,日本調理科学会 平成27年度大会要旨集,2P-58(2015)
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秋山 久美子, 山中 健太郎
セッションID: 2C-p5
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】リンゴや蕪のような丸い食材の皮を包丁で剥くという調理操作は、調理の過程で頻繁に行われる操作であるが、両手の動きを連動・協調させるような高度な運動スキルが必要である。そのため、その技術が巧である者から稚拙である者までの差が大きいのが現状である。技術を教える側は手本を見せることはできても、変化する動作を的確に説明することは難しい。そこで、丸むき技術の巧拙と包丁操作の関係を明らかにすることで、短時間でも効果的に調理技術を定着させるための要点を見出すことを目的として研究を行った。 【方法】栄養士養成学科の2年生80名を対象として、リンゴの丸むき技術のスクーリング調査を実施した。その結果をもとに巧である者3名と稚拙であるもの3名を選び出した。それぞれの被検者の包丁操作の違いを確認するためにモーションキャプチャーとビデオ撮影によって観察を行った。被検者の手指、ひじ、肩、額および包丁(刃、柄)に反射マーカーを装着し、牛刀を用いてリンゴを丸のままむかせた。各部位の位置データを解析することで連動する動きを明らかにした。また、ビデオ撮影した画像からも巧みに丸むきするための要点を明らかにした。 【結果】リンゴの丸むきが巧みである被検者と稚拙な被検者には、包丁の持ち方自体にも差異があった。巧みな者は、手指と包丁の柄の間に空間があることが見てとれた。また、巧みな被検者は、包丁を持つ利き手の親指が包丁の刃よりも前進していた。それに対して、稚拙な被検者の親指は包丁の刃の上にある時間が長いことが分かった。その他、包丁を持つ角度(むく対象物に対して)が異なっていることが分かり、包丁の揺れ幅も異なっていた。これらの要因を抑えながら練習することで、より効率良く丸むきの技術を向上させることができるものと考えられた。
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福永 淑子, 田渕 弘子, 中田 玲子, 永嶋 久美子, 阿部 祐加子, 大坂 佳保里, 今井 久美子, 関目 綾子, 植木 千恵子, 萱野 ...
セッションID: 2D-a1
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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地元野菜を利用した料理教室の参加者のその後の調理への影響について
○ 福永淑子
1) 田渕弘子
1) 中田玲子
1) 永嶋久美子
2) 阿部祐加子
2) 大坂佳保里
2) 今井久美子
2) 関目綾子
2) 植木千恵子 萱野静香 石山晃子 鈴木香里 大炊三枝子
3) 白澤幸雄
3) 米澤外喜夫
3)1) 文教大 2)川村女子大 3) 我孫子農力発見
目的「地産地消」と地方創生の一環として「我孫子市の農力発見プロジェクト」を題して地元の野菜を用いた4回の料理教室を開催した。地元あるいは近隣の市民に対して、季節野菜の魅力を生かした献立、さらに食空間コーディネーターによる食材の演出も加えた料理教室を行った。アンケート調査によって参加者の料理教室後の食生活への影響を調べた。
方法 1. 我孫子市の年間の生産野菜を調べ、4回の調理実習を計画した。① 7月には「夏野菜のハーモニー料理を作ってみませんか!」② 9月には「美食同源―地元の野菜で中華を楽しみましょう」⑶ 11月には「今年のクリスマス料理はこれで決まり!」④ 2月には「我孫子の春野菜を使った和食料理」というテーマを設定した。役所から地元の市民に応募をかけ、毎回約30名を大学の調理実習室に料理教室を行った。
2. 毎回、季節野菜の献立を事前に広報に情報で知らせた。
3. 毎回、料理教室ではその献立に合わせた食空間コーデイネートを行った。さらに出来上がった調理したものを様々な盛り付け方も行った。
4. 食事後に食生活とのかかわりなどを説明した。アンケート調査も行った。
結果 料理教室参加者のアンケート調査から調理体験後と前の比較を行った結果、地元野菜に対する認識は2倍に上がった。食事の変化について、調理回数は1.6倍、地元野菜の利用は1.8倍に増えた。食べ物に対する意欲は大変意欲的になったのは全体の66%やや意欲的になったのは33%であった。今後もまた参加したい方の割合は100%であった。
まとめ 地域食材を使用した料理教室を開催すると地域食材への認識が深まり、自宅での調理に積極的に地域食材を利用する傾向が認められた。地産地消を推進するには地域食材を使用することが有効と考えられた。
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河村 美穂, 片平 理子
セッションID: 2D-a2
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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目的】 国家レベルで食の学びを推進することは今や世界の潮流となっている。なかでも調理技能を習得することは必須の技能として食生活を営む能力の中心とされ、調理実習を含めた食教育が実践されるようになっている。本研究では2014年より小中学校6-9年のうち1年間に必修科目Food Knowledgeを設定したデンマークにおける食教育について、とくに革新的なとりくみとして注目を集めているFood Fightを対象とし、現地での観察調査を踏まえて、innovativeな取り組みについて分析的に検討する。 【方法】 デンマークで行われている中学生の食に関するコンクールFood Fightの、HP掲載内容,教師向け・生徒向け資料をもとに概要を把握し、現地での観察聞き取り調査結果もあわせて、このコンクールの意義について検討する。 【結果】 Food Fightはデンマークの家庭科関係者が中心となり全国の取り組みとして2012年から始められた。このコンクールは単に料理の出来栄えを競う場ではなく、通常の食生活学習を探究的に行い、その成果を発表する場である。Food Fightではテーマ(2016年はMilk and Chemistry)となった食材を用いて創意工夫された料理が並び、審査員は研究内容や料理に関するプレゼンテーションを聴きながら試食し評価するという方法がとられていた。コンクールでの調理活動は研究成果を具現化する活動であり、出来上がった料理はプレゼンテーションを行うためのツールであった。このコンクールに至る生徒の主体的な取り組みとそのプレゼンテーションが本コンクールのinnovationの中心であると考えられる。
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福留 奈美, 室谷 純子
セッションID: 2D-a3
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】池田菊苗博士によるUMAMI(うま味)の発見から100年がたち、欧米・アジア各国でUMAMIに対する関心が高まっている。うま味は日本のだし文化を説明する上でも重要な要素であるが、“ウマミ”と発音する表記は「うま味/うまみ/旨味/旨み」が混在して使われており、うま味の共通理解の妨げとなっている。教科書・テキストでの標準的な統一表記に向けて、表記実態の把握を本研究の目的とした。 【方法】分析対象は、H27年度小・中・高等学校の家庭科教科書13冊(出版社6社)、1991年初版以降の調理学テキスト19冊(出版社12社)および2002年初版以降の食品学テキスト14冊(出版社10社)とした。分析方法は、“ウマミ”表記を含む文章を抜き出し、複合語を含めてうま味関連用語・表現の表記法と関連する内容を分類・集計した。 【結果】小学校の家庭科教科書では「うまみ」、中学・高等学校の家庭科教科書は「うま味/うまみ」、調理学テキストでは「うま味」で表記が統一されていたが、食品学テキストでは出版社10社中6社で「旨味」表記が使用され、同一出版社内でも「うま味」と「旨味」が混在して使用される例があり、用語統一がなされていない現状が明らかとなった。複合語では、単語の「うま味/旨味」と「成分、物質、調味料」を組合わせた複合名詞が多くみられ、この他「料、文化、ペプチド」等との組合せもあった。関連する内容は、5つの基本味、受容体、相乗効果、グルタミン酸・ペプチド等の成分/物質、昆布・鰹節等のだし食材、魚・肉・茶・発酵調味料等特定の食材、うま味を閉じ込める調理法等があり、家庭科、調理学、食品学でそれぞれ取り上げる内容に特徴がみられた。
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入来 寛, 梶山 倫未, 三成 由美, 徳井 教孝
セッションID: 2D-a4
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】平成23年3月に策定された第2次食育推進基本計画では「生活習慣病の予防及び改善につながる食育の推進」が重点課題の一つであり、生活習慣病との関わりの深い便秘を予防することは健康を保持増進する上で意義深い。本研究ではF県K町の中学生を対象に生活習慣と健康に関する調査を実施し、中学生における食生活習慣と排便習慣の関連性について検討したので報告する。
【方法】調査期間は、平成25年10月~11月で、対象者はF県K町の中学生75人である。中学生の生活習慣と健康に関する調査票は同校で集合調査法により自己記入式で実施し資料とした。調査内容は生活習慣と健康に関する43項目である。解析は生活習慣と便秘関連状況について、統計解析ソフトIBM SPSS
Statistics ver.19を用いχ
2検定を行った。尚、この調査は、「食育のまちづくり」推進事業の一環としてK町からの依頼によるものであり、中村学園大学の倫理委員会からの承諾を得て実施された。
【結果】体格指数でBMI(Body Mass Index)は男子、女子で、それぞれ肥満(BMI25以上)が13.3%、4.4%、痩せ(BMI18.5未満)が40.0%、46.7%であった。排便状況と朝食摂取頻度調査において、便の形状については、「半練り状以外」の好ましくない人は、毎日食べる群16.7%、毎日食べない群38.5%であった。朝食摂取頻度と排便時刻については、「排便時刻が不規則」は、毎日食べる群22.0%、毎日食べない群69.2%で、毎日食べない群の方が有意水準1%で有意に高い数値であった。このことより朝食を毎日食べることが規則正しい排便習慣につながると考えられる。義務教育最後の思春期の中学生には個々人の適正体重、規則正しい生活習慣や食習慣、排便習慣の意義について食育を行う必要があると考えられた。
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瀬尾 弘子, 片岡 佳子, 宇都宮 由佳
セッションID: 2D-a5
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて以降、「和食」の保護・継承が推進されている その一方で若年層を中心にファストフードへの依存の増大など、近年我国の食生活は急速に変化してきており、正月料理を中心とした伝統的な行事食をいかに次世代に伝えていくかは大きな課題となっている。 そこで本研究では、今後の伝統料理伝承の手がかりとするため、女子学生を対象として、正月の3日間、「いつ、誰と何を食べているのか、誰が作っているのか」等についての実態を調査した。 【方法】2015年1月1日から3日間の食事(喫食時間・場所・一緒に食べた人・食事内容・作り手)について、女子学生136名を対象に自記式アンケート調査を行った。アンケート用紙は12月中に配布し、回収後集計した。 【結果】食事のとり方についてみると、元旦の1回目の食事(朝食)は自宅で家族一緒にとる者がほとんどであった。ただ、その食事時間は7時~13時までとかなり幅があった。また、2回目以降の食事は外食等自宅以外で食事をとるケースが目立っている。2日目以降になると、家族以外で友人等との食事が増加している。 次に、食事内容をみると、お雑煮を食べている者は約半数、和食の伝統であるお節料理(祝い肴)を食べている者は極めて少なかった。手作りの場合の作り手は、母親より祖母が多かった。目立った特徴として、正月の料理としてカニや刺し身、お寿司や鍋料理が多くとられていた。市販のお節料理や様々なメディアの影響か、ローストビーフ等洋風の料理を正月料理としてとるケースが増加しているようにうかがえた。また、外食ではパスタ、丼もの、ラーメンなど、日常の食事と変わらないものが食べられていた。
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佐藤 真実
セッションID: 2D-a6
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】日本の食生活が洋風化するとともに和食の食材となるべき食品の食料自給率、食品群別摂取量、家計支出は年々減少している。本研究では、食に関する重視点、食品や料理の摂取頻度について性別、年齢別、世帯構成別に違いを明らかにする。また、食に関する重視点が食物摂取に影響を与えているかについて考察する。 【方法】平成26年7~12月に県内の10歳代から80歳代までの男女1650名を対象にアンケート調査を行った(有効回答率89.1%)。調査項目は、119食品の料理や食品についての摂取頻度、属性(性別、年齢、世帯構成)などについてである。食事の重視点は6段階(0:わからない、1:全く重視しない~5:とても重視する)の尺度を用いた。食物摂取傾向は、摂食頻度とし5段階(1:食べたことがない、2:食べない~ 5:よく食べる)の尺度を用いた。 【結果】食事の重視点では、「おいしさ」、「食材を無駄にしない」、「安全」などを重視する人が八割以上いた。一方、「郷土料理を作る」、「おしゃれ」などを重視する人は少なかった。性別では、女性が「価格」、「手間がかからない」など時間や経済を重視する傾向が強かった。年齢では、若年層が「満腹感」や「価格」、壮年層が「共食」、「楽しい雰囲気」を重視する傾向が強かった。食物摂取傾向としては、よく食べるものとして「ごはん」、「味噌汁」、「冷奴」、「卵焼き」があげられた。性別では、女性が「菓子パン」、「スパゲッテイ」など、世帯構成では、一人暮らしが「コーヒー」、「温泉卵」などをよく食べていた。「おいしさ」(食嗜好度)と食物摂取の関係は、相関が高かったが、それ以外の食に関する重視点は、各属性の食物摂取に大きな影響を与えているとは考えづらかった。
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久保 加織, 安藤 真美, 伊藤 知子, 今儀 潤, 江口 智美, 小寺 真実, 高村 仁知, 露口 小百合, 中平 真由巳, 林 淑美, ...
セッションID: 2D-a7
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】日本調理科学会近畿支部揚げる・炒める分科会では、これまでに、家庭における油を用いた調理に関して質問紙調査を実施し、多様化、健康志向、簡便化が進みつつあることを報告するとともに、シャロウフライの適切な調理条件について検討してきた。本研究は、2015年に実施した調査結果から、家庭調理の変容を明らかにすることを目的とした。 【方法】調査は、2015年5〜11月、家庭で主に調理を担当する者を対象に、質問紙による自己記入式留置法により実施した。有効回答率は62.4%(1,218票)であった。回答者の29.6%は20歳前後の学生が占め、有職者は46.8%であった。 【結果】炒め調理や揚げ調理を週1回以上行っている人はそれぞれ、90%以上、40%以上おり、揚げ物を好きと回答した人は約80%、週1回程度以上揚げ物を食べる人は約75%であった。油を購入する際の選択理由は、「価格」、「種類」、「健康によいか」の順で、いずれも以前の調査より多くなっていた。シャロウフライは71.4%の人が経験しており、「油の処理が簡単」、「経済的」、「環境にやさしい」、「健康的」というイメージを持ち、半数以上は今後もすると回答した。揚げ油を1回使用で廃棄する人は23.3%で以前の調査より多く、流しに捨てる人も多くなっていた。揚げ調理について習ったことがない人は25.1%で、情報源はテレビやインターネットが多かった。今回の調査結果から、調理準備から調理後の後片づけまでを含めた情報が一般に入手しにくい状況が推察された。今後、これらの適切な情報を如何に発信するかについて検討する必要があると考えられる。
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吉澤 蘭, 中野 智香, 綾部 園子, 阿部 雅子, 松岡 寛樹
セッションID: 2D-a8
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】味噌汁は和食の一汁三菜を構成する汁物である。生活習慣病予防の観点からは、具沢山の味噌汁が推奨されている。これは、野菜を多く摂取するとともに、汁の量を減らすことで、相対的に減塩できるためである。栄養指導においては、塩分濃度は簡便なデジタル塩分計を用いて指導することが多いが、電気伝導度を利用した塩分計では、野菜から溶出するカリウム等のイオンの影響を受けるため、実際よりも塩分濃度が高く表示される可能性がある。そこで、野菜を豊富に使った味噌汁について、溶出する無機質の量と塩分濃度について、デジタル塩分計と原子吸光度法による測定を行い、効果的な使用方法を明らかにすることを目的とした。
【方法】デジタル塩分計は、電気伝導度法7機種、Naイオン電極法1機種を用い、無機質の測定は原子吸光度法によった。まずNaCl、KCl、MgCl
2溶液を測定し、精度を確認した。味噌汁はきゃべつ・ごぼうに3または6倍の水を加えてIHヒーターにかけ、沸騰後5分間加熱し、0.8%塩分濃度に相当する味噌を加え調製した。ゆで水と味噌汁の汁はそのまま、具は加熱前、ゆで加熱後、味噌汁調製後の各段階で、4倍量の1%HClを加え、粉砕・遠心分離し測定した。
【結果】KClとMgCl
2溶液に対し、電気伝導度法では、等モル濃度に相当する%を示し、Naイオン電極法では反応しなかった。味噌汁の濃度は電気伝導度法ではNaイオン電極法より、生味噌液で0.1%、ゆで汁で0.19%、味噌汁で0.21%高い値を示し、具から溶出した無機質の影響を受けた。また、NaClは具にも拡散しているため、汁の塩分濃度は設定濃度を下回った。指導の際はこれらに配慮することが必要である。
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名倉 秀子, 中川 杏奈, 徳久 美歩, 横山 未来, 芝崎 本実, 林 綾子
セッションID: 2D-a9
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】餡は豆類を加熱し,でんぷんを含んだ細胞を集めて調味したペースト状の食品であり,生餡に砂糖を加えて練餡が調製される。この甘味の練り餡は,室町時代に砂糖が輸入されたことに伴い,用いられるようになったが,それ以前は塩味の塩餡が使用されていたといわれる。また,近年では砂糖の入手が困難な戦時中に塩餡を家庭で調理する事もあったようである。一方,埼玉県の郷土料理である「塩あんびん」は塩餡を餅で包んだ餅菓子で,塩味が特徴的である。そこで,「塩あんびん」の喫食時期,喫食方法,調理法などを実態調査し,伝承するために必要な材料配合,塩餡の性状を検討することを目的とした。
【方法】地域の商工会議所等に「塩あんびん」を扱う店舗等を問い合わせ,和菓子店より喫食方法等を聞き書き調査し,さらに餅菓子を入手した。市販「塩あんびん」の特徴を得るために,大きさ(直径,厚さ),重量,餅と塩餡の割合,塩餡の食塩濃度を測定した。また,塩餡の調製を試み,色調,テクスチャー,水分等から練餡との比較を行った。
【結果】「塩あんびん」は,昭和40年頃まで北埼玉地域の農業を営む家で春祭りや秋祭りの行事,慶事や仏事に調理し,近隣や親せきに届け,喫食されていた。現在,家庭で調理する事は少なくなり,この菓子を扱う和菓子店がおよそ20件あげられた。店頭に並べられる「塩あんびん」は店により菓名(表記名)が異なり,直径5.7~8.5 cmで重量は71.4~171.8 gと様々な大きさで,食塩濃度0.7~2.0%,1個あたりの価格は130~330円と幅があった。塩餡は練餡と比較すると,色調が白く,硬さ応力が大きく,付着性が低く,まとまりにくく,やや厚めの餅皮で包むことが明らかになった。
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大河原 悦子, 高梨 萌, 阿部 愛波, 中島 肇, 柳澤 幸江, 龍崎 英子
セッションID: 2D-p1
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】】千葉県の東総地区(現在旭市)に江戸時代から伝わる粳米を用いた独特の製法で作られる性学もちがある。本研究は、粳米で作る性学もちが餅に比べ付着性が低く飲み込みやすいと言われている点に着目し、その性質及び物性を分析し飲み込みやすさを科学的に検討した。高齢者向け食品開発として、また、千葉県郷土食の伝承と米消費拡大という側面からの活用も目的とした。
【方法】咀嚼機能の観点から女子大生による性学もちと市販切餅の官能評価検査及び
.XTplusTEXTUREANALYAER(StableMicroSystens)を用いて性学もちと市販の切餅の硬さ・付着性・凝集性を測定し性学もちの郷土食歴史的背景の観点から地域住民による認知度アンケートを実施した。
【結果】官能評価検査では、市販の切餅に比べ飲み込みやすいという項目で有意な差がでたが、おいしさについては差がみられなかった。テクスチャーアナライザー分析した結果、硬さと付着性には、性学もちと切餅には有意な差はみられなかった。一方、見かけの凝集性は性学もちには切餅には統計的な有意な差がみられた(p<0.05)。この結果から、性学もちは市販の切餅と比較して飲み込みやすいことが示唆された。一方、郷土史研究の視点から、千葉県市川市民10~70歳代(n=181)の認知度アンケート調査を行った所、性学もちを知っていると答えた人は全体の5.5%と低くかった。江戸時代の道学者大原幽学が考案した性学もちは農民の困窮生活の中で餅文化への強い信仰心から誕生した。大原幽学の特異かつ不幸な歴史的背景から性学もちに関する資料は少なく、認知度の低さにつながるのではないかと推察される。
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阿部 愛波, 大河原 悦子, 柳澤 幸江, 中島 肇
セッションID: 2D-p2
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】千葉県の郷土食である「性学もち」は粳米から作られる。特徴として粘り気が少なく喉に詰まりにくい、汁物の中でも溶けにくいということが挙げられるが、製造過程においてどのような科学的変化が起きているのかは明らかになっていない。そこで本研究では性学もちを様々な条件で作成し、通常のレシピにある工程の意義や、性学もちの望ましい水分量等を明らかにすることを目的とした。
【方法】現在に伝わる性学もちの製造方法は、一晩浸水し10分程度蒸し、芯が残った状態で一度水洗いをし、再度芯がなくなるまで蒸し上げ、搗くというものである。本実験では伝承されている性学もちの製造方法と、対象群として一度蒸した後の水洗いの工程を30分浸水に変更したものとで、水分量と保形成について検討した。
【結果】通常の製造法で作成した性学もちは、水分量が50.24%~58.89%であったのに対し、水洗いを浸水に変更した群では、55.03%~64.41%であった。保形成は通常の製造方法群が高く、食感も好ましかった。対照群である水洗いを浸水へ変更した群では保形成は低く、食感はべたつきを感じる結果となった。これは浸水させたことにより吸水が高まり、その結果水分量に違いが出たからと考えられるが、アミロース、アミロペクチンの含量についても今後検討する必要がある。水分量やアミロース・アミロペクチン量を明らかにすることで、伝承されている製造方法にある二度蒸しや、水洗いの理由を明らかにすることができると考える。
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台湾の例を中心に
須川 妙子
セッションID: 2D-p3
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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講演番号が
入ります
『東亜同文書院大旅行誌』の食の記述にみる近代日本青年のアジア観 ―台湾の例を中心にー ○須川 妙子
(愛知大短大)
【目的】1907~1944年に中国の現地調査を目的として行なわれた東亜同文書院生の大調査旅行の記録として、書院生が日誌として記した大旅行誌がある。行程中の書院生の心情が縷々記述され、特に食に関する記述からは、現地に対する心情や外地における母国への郷愁等を読みとることが出来る。植民地支配下にあったアジア各地においては中国内陸部とは異なる心情をもっていたことに着目し、書院生が「植民地アジア」の中でみた現地の生活文化について探る。本報告では日本統治下にあった台湾を主に取り上げる。
【方法】『東亜同文書院大旅行誌』を史料とした。大調査旅行行程に台湾が含まれる班の記録から食に関する記述を抽出し、前後の行程や現地での待遇、当時の世情などと照らし合わせて東亜同文書院生の現地に対する心情を導きだした。
【結果】台湾における書院生は、「台湾の中の日本」をみることで心身の安定を保ち、過酷な内陸部行程への英気を養う、もしくは内陸部行程中の労苦を癒していた。日本植民地下で開発発展した北投温泉では、立ち並ぶ飲食店に日本的な温泉街の風景を見出し、知識人の居住地区(青田街)に卒業生らを訪ね、日本家屋にて日本料理のもてなしをうけていた。また、台北を「小巴里」と表現し、生育期に日本で見聞きしてきたいわゆる「ハイカラ文化」も享受していた。近代日本の文化の様相である「和洋の折衷文化」を台湾で満喫する様子からは、現地本来の文化を直視せず、その「支配者層の文化」を享受する地と捉えていたといえる。
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石川 伸一, 猿舘 小夏
セッションID: 2D-p4
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】昨年度の本大会によって、エルヴェ・ティスの考えに基づき料理をマクロレベルとミクロレベルの双方から式化、分析し、料理を構造によって分類できることを示唆した。「料理の式」を確立するためにはより多くの式の作成、料理構造観察、定義の見直しを繰り返し行う必要があると考える。よって本研究では①レシピに基づいた料理の式の作成と②構造観察に基づいた料理の式の作成を行うこととした。また料理の式の応用例として新しい料理の開発が期待できるため、③新規料理開発方法の提案を行うこととした。
【方法】①森永乳業株式会社のウェブサイトに掲載されている「乳製品を使ったレシピ」から、主食・主菜・副菜あわせて380品を対象とした。②揚げ物の構造に着目し揚げ油の浸透具合を観察した。実験試料として鶏ささみを用い、脂溶性色素であるスダンⅣによって油を染色した。③料理式の改変パターンを考え、実際に「酒盗のピザ」について式を改変することにより料理を作成した。
【結果】①要素数を比較したところ、固体S、液体W、油脂O、併存+、包合⊃、重層σの数が「NHKきょうの料理」よりも「乳製品を使った料理」において有意に多い結果となった。これらのことから、乳製品の使用が料理の構造を複雑化している可能性を示した、②天ぷらのレシピに基づいた式はS1⊃(O/S2)であるが、観察に基づいて新しい基準に従うとS1⊃S2⊃(O/S2)に変化した。このことから構造観察に基づいた式は料理式の定義を見直す手がかりになることが考えられ、油の浸透割合など数値を用いることでより正確な構造を表現できることが示唆された。③式の改変方法には様々なパターンがあり、これらを組み合わせることで料理式は多様に変化すると考えられ、料理の開発への利用が期待できる。
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西村 園子, 渡部 慎一, 尾杉 孝夫, 鍋田 優, 久保園 隆康
セッションID: 2P-62
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】高齢化社会、単身化、女性の社会進出等の社会環境変化に伴い、カット野菜の需要が拡大している。一般的にカット野菜は塩素系の除菌剤による除菌処理が行われており、野菜の食味変化や褐変等が課題となっている。本研究では、野菜本来の食味・外観を維持したカット野菜の製造を目的に、マイクロバブルオゾンを用いて除菌処理を行い、塩素系除菌剤処理との食味・外観の違いについて評価を行った。
【方法】オゾンガスを生成する原料ガスとして酸素ガス用い、20g/Nm
3のオゾンを含有する酸素ガスを毎分1L発生させた。気液混合装置(エジェクター)を用い、オゾン含有酸素を薬剤が溶解した洗浄液50L中にマイクロバブルとして供給し、マイクロバブル水溶液中で2kgの千切りキャベツの除菌処理を行った。除菌効果は、洗浄後の野菜をストマッカー処理し、混希法により35℃で平板培養して、処理直後、及び10℃、3日保存後の一般生菌数をカウントすることにより評価した。外観の違いは、色、ボリュームを目視で観察するとともに、食用色素水溶液を浸漬した野菜表面の顕微鏡観察により評価した。食味については、臭気や辛味など7種の指標に基づいた専門パネラーによる官能試験により評価した。
【結果】除菌効果は、いずれの処理も同等であった。外観は、マイクロバブルオゾン処理品は、野菜本来の白~緑色を呈し、張りがあったのに対して、次亜塩素酸ナトリウム処理品は、黄色く変色しボリュームダウンしていた。また、色素染色したキャベツの顕微鏡観察の結果、次亜塩素酸ナトリウム処理品は、オゾンマイクロバブル処理品と比較して切断面に染色され易い部位があり、細胞内へ色素が浸透しやすくなっていることがわかった。食味評価については、次亜塩素酸ナトリウム処理品は塩素臭、辛味が強いが、マイクロバブルオゾン処理品は水処理品に極めて近い食味であることがわかった。
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筒井 和美, 田中 裕子, 長尾 杏樹, 斉藤 萌絵, 辻村 幸紀, 西成 勝好
セッションID: 1P-01
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】近年の地球温暖化(気温上昇)は我われの主食である穀類の収量や品質の低下を招き,環境問題に発展している。登熟期に高温障害を受けた米は外観がやせ細り,白濁や着色などが見られ,家畜の餌や糊などくず米として処理されている。本発表では高温障害米である乳心白米に着目し,食料自給率の向上と有効活用を目指して,澱粉の調理特性(糊化,老化)について明らかにすることを目的とした。
【方法】試料には平成21,22年新潟県三条市産コシヒカリの完熟米,乳心白米を用い,4種類の澱粉を抽出した。
(糊化):3wt%澱粉分散液を調製し,25℃90分間で吸水・膨潤後に加熱(50,60,70℃で各30分間)し,乾物重量に対する試料重量の比を膨潤度として求めた。20wt%澱粉分散液を銀セルに充填し,示差走査熱分析(SII製DSC6100)内で25~120℃まで1℃/分で昇温させた。糊化温度や糊化エネルギーを求め,解析した。
(老化):糊化させた試料を4℃90日冷蔵保存し,再度DSCで同様に25~120℃まで昇温させ,糊化温度や糊化エネルギーを求めた。第一吸熱ピークに注目し,糊化時の糊化エネルギーに対する老化後のそれの比を老化率とし,見積もった。
【結果】平成22年産の米澱粉は,平成21年産よりも膨潤度が低く,最初の昇温時の糊化温度は高い傾向にあった。これは,平成22年の登熟温度(28.0℃)が平成21年(24.4℃)よりも高温であるためと考えられた。膨潤度,糊化温度,糊化エネルギーともに,乳心白米澱粉は完熟米澱粉の傾向と異なった。再昇温時の糊化温度は,最初の昇温時に比べて全ての試料において低くなった。
なお、本研究は科学研究費基盤研究(C)26350092の助成を受け,遂行された。
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宇佐見 佳恵, 伊藤 里佳子, 佐藤 三恵, 大和 佳純, 島村 葵衣, 筒井 和美, 早瀬 和利, 西成 勝好
セッションID: 1P-02
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】近年,食生活の欧米化や農業人口の減少に伴い,米の消費量低下と余剰米の増加が著しい。この問題を解決するべく,パン・麺類などの小麦代替食品として米粉を用いた食品開発が盛んである。本研究では,食料自給率の向上と地産地消の推進を目的に,愛知県産米粉を用いて製パンし,その特性を膨化比・比容積などから調べた。
【方法】試料には平成25年愛知県豊田市産米粉(大地の風)を用い,米粉重量に対する加水量の添加の影響について調べた。米粉,無塩バター,食塩,グラニュー糖,ドライイースト,脱イオン水をミキサー(キッチンエイド製KSM7)で混和したものを米粉ドウとし,これを80gずつ特注メスシリンダーに入れ静置し,38℃下の膨化体積の変化を2時間観察した。実験開始時に対する観察時の体積の比を膨化比と定義し,平均値と標準誤差を求めた(n=5)。なお,加水比率は100,120,140,160,180,200wt%の計6種類である。同様の生地500gを焼き型(12×12×10cm)に計量し,200℃40分間焼成後,室温下で2時間放冷した。その後,重量と容積(菜種法)から比容積を求めた(n=3)。
【結果】米粉ドウの膨化比はいずれの加水比率においても経時的に増加したが,加水比率160%以上では約80分頃に減少した。最も膨化比が大きかったのは,加水比率が160%であった。発酵80分間後に焼成すると米粉パンの比容積は約3(cm
3/g)であったが,内部には空洞が生じクラム体積は小さかった。これを改善するため,現在,添加物の影響や発酵前の試料前処理についての検討を行っている。
なお、本研究は科学研究費基盤研究(C)26350092の助成を受け,遂行された。
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宮田 美里, 峰村 貴央, 森本 修三, 西念 幸江
セッションID: 1P-03
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】わが国及び諸外国では生活習慣病の増加に伴い,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者が増えている。日本におけるCKD患者は1330万人以上と考えられている。その食事療法としては,たんぱく質摂取量の制限が有効であるが,主菜となる肉や魚,卵にはたんぱく質が多く含まれる。これらの制限には食事における満足度の低下が伴う。そこで主食のたんぱく質を減らすことで、主菜や副菜で少しでも多くの動物性たんぱく質が摂取できるようになる。主食のたんぱく質調整食品も市販されているがやや高価である。そこで本研究では,家庭で身近な材料を用いて低たんぱく質パンを調製できれば,たんぱく質摂取量の調整はもとより,患者の経済的な負担を低減しながら焼きたてのパンを食すことができると考え,調製方法を検討した。
【方法】食パンの配合はホームベーカリー付属のレシピに示されて配合量を用いたが,強力粉の使用量の30%をコーンスターチに置換した。油脂はサラダ油を用い,食塩は配合量の1/2量とした。さらに,加水量はレシピの配合量と同量,加水量の±5,10,20%を検討した。コーンスターチで置換せず強力粉のみで調製したパンを標準とした。パンは,自動ホームベーカリー(SD-BH103,Panasonic)の食パンコースを用いてパンを調製した。測定は試料の比容積,水分量,物性,色を調製日と1日室温保存後に行った。
【結果】コーンスターチで置換したパンは標準パンより比容積が低い傾向にあった。加水量を10%,20%と増やしたパンの比容積は著しく低下した。1日室温で保存したパンの比容積は,全ての試料で保存前よりやや低下したが,変化は少なかった。
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高橋 真美, 松本 孝
セッションID: 1P-04
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】パン製造に用いる小麦粉の食料自給率は低く、外国産小麦粉がほとんどを占めている。一方、現在、国内産小麦は、北海道産小麦が約60%以上占めており、パン用小麦の開発も盛んに行われ、伸張性や粘弾性に優れており、高品質小麦として注目されている。また、パン製造に用いられる酵母は、種類が豊富で焼成後の膨化度、風味、食感などに影響を及ぼすことが知られている。そこで、本研究では、国内産小麦の約60%を占める北海道産小麦粉を用いて、パン製造を試み、外国産小麦粉との比較検討を行い、その有効性を検討した。
【方法】パン材料の強力粉は、外国産小麦「カメリヤ」、北海道産小麦粉「ハルエゾ」および「ゆめちからベストブレンド」の3種類を実験に供した。酵母は、2種類を用いて検討した。パン製造は、自動パン焼き機を用いて焼成パンを調製した。
【結果】焼成パンの比容積は、酵母2種類で比較すると、ドライイーストを用いて焼成したパンでは、「カメリヤ」、「ハルエゾ」および「ゆめちからベストブレンド」の3種類のパン間の差は認められなかった。しかし、ホシノ天然酵母パン種で焼成したパンでは、「ゆめちからベストブレンド」は「カメリヤ」と同様の膨化度が認められた。官能評価では、「ハルエゾ」が「味」、「香り」、「食感」、「総合評価」において嗜好性が高く評価された。「ハルエゾ」は北海道産小麦の特長である粘弾性、モチ感があり、香りが豊富とされる小麦粉の1つである。このことが官能評価において、好ましいと評価された要因であろうと考えられた。今後、北海道産小麦粉を用いたパン市場の拡大につなげるために材料配合、加水量などの検討を加えて、その有効性を明らかにしたい。
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石井 和美, 新井 桃子, 門井 茉莉子, 桑野 奈々, 吉田 菊乃, 小林 三智子
セッションID: 1P-05
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】
強力小麦粉は 内胚乳部をひいて作成するが、取り除かれる胚芽やふすま部分には現代人に不足しがちな食物繊維やミネラルが豊富に含まれている。強力粉で調製したパンと比較して栄養価は高いが、食物繊維の影響を受けてふくらみが悪くなることが知られている。そこで本研究は、改良剤として増粘多糖類を使用し、パンの物性に与える影響を検討した。
【方法】
製パンには全粒粉、無塩バター、グラニュー糖、食塩、ドライイースト、蒸留水、増粘多糖類を使用し全粒粉100%のパンをコントロールとした。増粘多糖類はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)2種を使用し、メチルセルロース(MC)1種を用い、全粒粉の粉重量に対して1%、2%、3%を添加した。得られた試料については、菜種法を用いて、比容積を求めた。機器測定では、内相を切り出してクリープメーター(レオメーターRE-3305S(株)山電)を使用しテクスチャー特性値を求めた。
【結果】
HPMC(メトローズSFE-4000信越化学工業(株))を1%添加するとコントロールと比較して比容積は増加した。しかし添加量が増すと比容積は減少する傾向を示した。内相のかたさは添加量の増加に伴って増加した。
一方、MC(メトローズMCE-4000)を1%添加すると体積は減少し、内相のかたさは増加した。凝集性はHPMCを添加したパンより低い値となり、かたく、もろい傾向が見られた。
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渡辺 裕子, 谷口 明日香, 丸山 里菜, 京極 奈美, 久松 裕子, 矢島 裕子, 長尾 慶子, 小林 理恵
セッションID: 1P-06
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】雑穀は多くの健康機能性を有し,健康増進や疾病予防の観点から期待が寄せられている。食品としての利用例として、雑穀米としての主食や雑穀粉での製菓などが挙げられるが,市場での利用用途は未だ多くない。本研究では雑穀粉を利用した「惣菜」としての利用拡大を目指し,先ずは天ぷらの衣として用いられる雑穀粉バッターを調製するための基礎特性を、主穀粉バッターと比較した。
【方法】主穀の小麦,うるち米,もち米および,雑穀のハトムギ,大麦,普通ソバの各粉の粒度測定を行い、それぞれの粒度混合粉ならびに小粒径粉(100μm以下)を試料とした。160%加水により調製した小麦粉バッターを基準として、ラインスプレッドテストおよび定常流粘度測定により各バッターの粘性評価を行うと共に天ぷらの衣としての適正加水量と放置時間を決定した。また外観評価として色度を測定した。併せて、示差走査熱量測定により各粉の主成分であるデンプンのみかけの糊化特性を調べた。
【結果】各粉の粒度分布は、小麦,うるち米,もち米およびソバは正規分布型,大麦およびハトムギは2つのピーク分布型であった。雑穀粉は主穀に比較して流れにくく粘度の高いバッターであり,小麦粉と同粘度とするには加水量を増やす必要があった。特に、大麦粉は他の雑穀よりも多量の加水を要した。主穀粉,ソバ粉および大麦粉は,粒度混合粉と小粒径粉において同程度の加水量で同粘度を示した。米粉バッターは基準に対し明るく白い色調であった。大麦粉,ハトムギ粉は基準との色差が小であったが、ソバ粉のそれは大であった。大麦粉は糊化終了温度が有意に低く糊化エネルギーも小で、糊化しやすいものの,その他の雑穀粉は糊化しにくい傾向を示した。
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奥田 玲子, 白杉(片岡) 直子
セッションID: 1P-07
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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演題 大麦添加パンの膨化と官能評価○奥田玲子
1,白杉(片岡)直子
2(
1四條畷学園短大,
2神戸大・院)
【目的】大麦β-グルカンは食後血糖値上昇抑制,コレステロールの正常化,満腹感の維持作用などの機能性が報告されており,各種食品への利用拡大が試みられている。今回,高粒度の大麦粉を入手し,小麦食パンへの置換可能性について検討を試みた。加水量とパンの膨化の関係性について検討し,さらに官能評価を行うことによって,おいしい大麦パンを開発することを目的とした。
【方法】試料粉として,カナダ産小麦粉1CW(AVARON:日本製粉)および,国産大麦60%搗精粉(高β-グルカンビューファイバー大麦粉[高粒度タイプ]:豊橋糧食工業)を用いた。大麦粉0%添加パン(コントロ-ル),大麦粉添加パンのそれぞれにつき製パン性(高さ,比容積)と官能評価(評点法,順位法)によって各最適加水量を決定した。最適加水量で調製した大麦粉0,20,30,40%添加パンの官能評価(順位法)により嗜好性を検討した。
【結果】コントロ-ルの最適加水量は80%,大麦粉30%添加パンの最適加水量は90%であった。コントロ-ルは,製パン性(高さ,比容積)において高い値を示した加水量のパンが,官能評価においても最も良い評価が得られ,パンの膨化と官能評価結果には整合性が見られた。大麦粉30%添加パンでは,加水量が多いほど官能評価結果が高く,やわらかい生地のパンになった。大麦粉添加パンではいわゆる手粉を用いることによって外皮が適度な硬さになる可能性が示唆された。
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尾畑 夢歩, 森田 洋
セッションID: 1P-08
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】近年、保存状況の悪い開封後の粉製品(小麦粉、かつお粉など)にダニが大量発生する事がしばしばあり、粉製品中に混入したダニを摂取したことによる即時型アレルギー(アナフィラキシー)が多く報告されている。粉製品中のダニ繁殖率は温度との間に相関があると報告されている。そこで本研究では、ダニの混入したかつお粉および小麦粉を温度別で培養する事で、開封後の粉製品の保存状況がダニの繁殖に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 【方法】供試ダニは、研究室で累代飼育中のコナヒョウヒダニを用いた。培地は腰高シャーレに入れて、温度25 ℃、湿度64%のタッパー内で飼育した。実験に使用したサンプルは、かつお粉、小麦粉の2種類を用いた。試験は、腰高シャーレ内でサンプルとダニ飼育培地(約1200匹/g)とを10:1で混和し、温度4・25・40 ℃、湿度64 %のタッパー内で保存した。1、4 週間後に培地1gを精秤し、生ダニを一匹ずつ除去しながら全数を数え、結果を算出した。 【結果】温度別検討の結果より、温度4℃におけるダニ繁殖数が最も効果が低く、かつお粉で・小麦粉いずれにおいても、1週間の飼育でダニ数は0匹であった。また、4週間の飼育でも同様の結果であり、温度4℃での繁殖率は著しく低かった。また、温度40℃では、1週間の飼育でダニ数は、かつお粉で5.3匹、小麦粉で3匹であったが、4週間の飼育でいずれも0匹まで減少した。一方、温度25℃では、1週間の飼育でダニ数は、かつお粉では52.7匹、小麦粉は62匹であった。さらに4週間の飼育では、かつお粉は230匹、小麦粉は127匹まで増殖した事から、開封後の粉製品の保存状況は温度4℃すなわち、冷蔵庫での保存が最も適切であるという事が示唆された。
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佐藤 佳織, 阿部 真弓, 横山 恵, 冨岡 佳奈絵, 鈴木 惇
セッションID: 1P-09
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】レンコンに含まれる糖質の大部分はデンプンである。タンパク質もわずかに存在し、粘液物質も含む。生および茹でたレンコンにおけるデンプン、タンパク質および粘液物質がどのように存在しているかを組織化学的方法により調べた。
【方法】材料のレンコンは市販のものを用いた。茹でたレンコンと生のレンコンの外側と内部から1.5㎝および2.0㎝の四角形に切り取り、これらの試料をドライアイス・アセトンで急速凍結して、コールドミクロトームで薄切した。切片を、糖質を染める過ヨウ素酸・シッフおよびヨウ素で染色し、タンパク質を染めるアクロレイン・シッフで染色した。アルシアン・ブルー染色で酸性多糖(粘液物質)を染めた。
【結果】生のレンコンでは、デンプン粒は、過ヨウ素酸・シッフ染色に濃く染まり、ヨウ素染色で濃い青色に染まった。大部分のデンプン粒は、楕円形であった。その長径は45.1㎛(SD=11.5)で、短径は23.6㎛(SD=4.2)であった。小さい円形のデンプン粒(径=2.0~3.8㎛)が少数存在した。楕円形のデンプン粒の表面および細胞壁は、アクロレイン・シッフ染色で非常に薄く染まった。茹でたレンコンでは、デンプンは糊化して貯蔵細胞を満たした。糊化したデンプンは過ヨウ素酸・シッフ染色に濃く染まった。しかし、ヨウ素染色では薄い青色に染まった。糊化デンプンはアクロレイン・シッフ染色で非常に薄く染まった。細胞壁がアクロレイン・シッフ染色に強く染まった部位が多くあった。これは、糊化によりタンパク質が細胞壁に集められたと考える。細胞壁はアルシアン・ブルーで染まった。アルシアン・ブルーで染まった酸性多糖は、レンコンを切ると糸を引く粘液物質を示すと考える。
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阿部 真弓, 佐藤 佳織, 横山 惠, 冨岡 佳奈絵, 鈴木 惇
セッションID: 1P-10
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】里芋に含まれる糖質の大部分はデンプンである。タンパク質もわずかに存在し、“ぬめり”と称する粘液物質も含む。生および茹でた里芋におけるデンプン、タンパク質および粘液物質がどのように存在しているかを組織化学的方法により調べた。
【方法】材料の里芋は、市販のものを用いた。茹でた里芋と生の里芋の外側と内部から1.5㎝および2.0㎝の四角形に切り取りとった。これらの試料をドライアイス・アセトンで急速凍結して、コールドミクロトームで薄切した。切片を、糖質を染める過ヨウ素酸・シッフおよびヨウ素で染色し、タンパク質を染めるアクロレイン・シッフで染色した。アルシアン・ブルーで酸性多糖(粘液物質)を染めた。
【結果】生の里芋では、デンプン粒は、過ヨウ素酸・シッフ染色に染まり、ヨウ素染色で青色に染まった。デンプン粒は、極めて小さく、その径は1.9㎛(SD=0.4)であり、無数に存在した。デンプン粒は円形であった。デンプン粒の周りの囲むようにアクロレイン・シッフ染色で染まるタンパク質が存在した。茹でた里芋では、デンプンは糊化して貯蔵細胞を満たした。糊化したデンプンは、過ヨウ素酸・シッフ染色に濃く染まった。ヨウ素染色では、濃く染まる部位と薄く青色に染まる部位あり、染色は一様でなかった。糊化デンプンはアクロレイン・シッフ染色で染まったが、染色は一様でなかった。細胞壁はアクロレイン・シッフ染色に強く染まった部位が多くあった。これは、糊化によりタンパク質が細胞壁に集められたと考える。生および茹でた里芋では、細胞壁および“ぬめり”を示すとみなし得る粘液物質が、アルシアン・ブルーで染まった。
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友竹 浩之, 小瀬木 一真, 今岡 早希, 村澤 久司, 塩澤 信也
セッションID: 1P-11
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】凍り豆腐は大豆より製造され、大豆の持つ栄養機能成分の多くをそのまま含んでいる。さらに、凍り豆腐タンパク質は、原料の大豆タンパク質よりもコレステロール調節作用が強く、より早く発揮されることが動物試験により示されている。粉豆腐は凍り豆腐を粉に挽くことで製造されており、長野県飯田下伊那地方の特産品であったものが、現在は全国に広まってきている。本研究では、粉豆腐の栄養機能および調理・加工特性について調べることを目的とした。
【方法】粉豆腐は、南信州産大豆「つぶほまれ」を用いて製造した。(実験1)SD系オスラット4週齢を3種類の飼料で2週間飼育した。(「対照食」:カゼインをタンパク質源とした通常飼料、「鉄欠乏食」:カゼインをタンパク質源とした通常飼料から鉄を除いたもの、「鉄欠乏・粉豆腐食」:粉豆腐をタンパク質源とした通常飼料から鉄を除いたもの)
飼育期間中、ラットの体重と摂食量を2~3日おきに測定した。血清鉄濃度はFe-Cテストワコーを用いて測定した。
(実験2)生地に小麦粉と粉豆腐を8対2の割合で配合して、お好み焼き、おやき、中華麺を試作した。
【結果】実験1において、「鉄欠乏群」は飼育期間中ほとんど体重増加がみられなかった。一方、「鉄欠乏・粉豆腐群」は「対照群」ほどではないが、ゆるやかな体重増加がみられた。飼育期間中の摂食量は、「対照群」→「鉄欠乏・粉豆腐群」→「鉄欠乏群」の順になった。血清鉄濃度は「鉄欠乏群」と「鉄欠乏・粉豆腐群」で低い傾向がみられた。
実験2において、お好み焼きやおやきについては、小麦粉の2割を粉豆腐で置換しても、調理操作や味にほとんど影響がなかった。一方、中華麺については、つながりが悪くなるため、粉豆腐の粒子を小さくする必要があったが、風味、食感、味などの評価は高かった。
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福田 翼, 春田 竜士, 泉 祥子, 杉本 達哉, 辰野 竜平, 古下 学, 原田 和樹
セッションID: 1P-12
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】カキは広島県の特産品であり,加工品も多く開発・販売されている.しかし,カキの発酵食品は少なく,カキの抽出エキス利用が大半である.本研究では,大豆味噌製造技術を応用した製法、すなわち麹・耐塩性酵母・耐塩性乳酸記を利用したカキ味噌の製造を試みた。さらに、麹添加割合と塩分濃度の影響を明らかにし、最適な製造条件を調査した。 【方法】カキは広島県産のスチーム処理された冷凍カキを使用した。カキ味噌は、塩蔵(最終塩分濃度:5-15%)したカキと市販米麹(カキと麹に対する麹添加割合: 0-100%、以下「麹添加割合」と表記)を混合し、耐塩性酵母(
Zygosaccharomyces rouxii)および耐塩性乳酸菌(
Tetragenococcus halophilus)を添加し製造した。発酵温度は30ºCとした。得られたオキアミ魚味噌は、一般生菌数、pH、色差、遊離アミノ酸量および官能検査により評価を行った。 【結果】カキ味噌の一般生菌数は、麹添加割合25-100%では塩分濃度に関わらず約10
1 CFU/g(発酵2ヶ月目)となった。一方、麹添加割合0%(無添加)の場合、塩分濃度により差がみられ、塩分15%条件で4.5×10
6 CFU/g(発酵2ヶ月目)となった。カキ味噌のpHは、いずれの場合も発酵期間と共に低下し、約4-5程度(発酵2ヶ月目)であった。カキ味噌の色差は、全ての製造条件において発酵期間の経過と共にL*が減少した。麹添加割合50%が暗色化する傾向が強かった。カキ味噌の遊離アミノ酸総量は、麹添加割合25-100%の範囲において、麹添加割合および塩分濃度が低い場合に増大傾向にあった。官能検査は、異なる麹添割合におけるカキ味噌(添加塩分濃度15%)について行った。各評価は、麹添加割合0%のカキ味噌を基準とした。その結果、麹の添加により嗜好性の向上が見られた。麹添加割合75%のカキ味噌が最も嗜好性評価が高い結果となったが、評価は分かれていた。
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柴田 奈緒美, 川口 恵美
セッションID: 1P-13
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】豆腐は日本人の食卓に欠かせない食材である一方,豆腐の製造過程において生成されるおからは,食物繊維をはじめとする栄養素が豊富に含まれているにも関わらず,大量に廃棄されている。そこで本研究は,資源利用および健康増進の観点から,おからを主原料とするシリアルの開発を試みた。
【方法】材料は,重量に対して生おから70%,小麦粉12%,砂糖10%,卵8%とした。これらを十分に混合し,厚さ1.5mmに延展後,直径20mmの丸型で型抜きをした。焼成にはオーブンを用い,設定温度は100,120および150℃の3種類とした。焼成過程の温度,重量,含水率,水分活性,色彩値および破断強度を測定した。また比較として,市販品のシリアルについても同様な測定を行った。
【結果】残重量率と含水率の変化は同様な傾向で減少したことから,重量減少は主に含水率に依存していることが明らかとなった。また,生おからを70%使用した試料においても,生地を薄くし,100℃90~120分,120℃60~90分,150℃20~30分焼成することで市販品の水分活性値と同等になり,保存性が期待できることが明らかとなった。焼成温度については,温度が高いとメイラード反応が促進され,呈色速度が速くなること,100℃60~120分,120℃30~90分の色彩値が市販品と同等であることが明らかとなった。破断強度については,加熱初期の試料を除いて,作製したシリアルは市販品より高い値を示したが,食すことのできる硬さであると確認した。したがって,100℃60~120分,120℃30~90分の焼成条件が,保存性や見た目などの品質面から適当な焼成条件であることが示唆された。
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工藤 貴子, 栗﨑 純一, 名倉 秀子, 曽矢 麻理子, 浅房 なつみ, 稲垣 舞
セッションID: 1P-14
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】おからには100 gあたり11.5 g食物繊維が含まれており,それを有効利用するため,これまで,おから粉末の添加量や調製条件の検討により,食物繊維が豊富で嗜好性の良いおから添加パンを開発した。本研究では添加するおから粉末サイズがパンの製品特性や嗜好性に与える影響を明らかにするため,分級した2種と分級しないおから粉末を利用しておから添加パンを調製し,分級によるおから添加パンへの作用を検討した。
【方法】試料としたおからは,凍結乾燥して粉砕機にかけ,ふるいで分級した。100~200μm,300~400μm,分級していないZMの3種類のおから粉末を用いた。おから粉末は強力粉に対して10%置換添加した。おから添加パンの製品特性を得るため,色調,比容積,テクスチャー特性を測定し,嗜好性では官能評価による7段階の評点評価法を用いた。なお,対照として無添加パンも調製し,おから添加パンとの比較も行なった。
【結果】色差について,各おから添加パンは無添加パンと「大いに」差が認められたが,おから粉末サイズの違いによる差はなかった。各おから添加パンの比容積は,無添加より有意に値が低く,膨らみ具合が小さくなった。かたさでは、各おから添加パンも無添加より有意に硬くなった。凝集性では,各おから添加パンは無添加より有意に値が低くなり,弾力性が失われる傾向を示した。テクスチャー特性ではおから粉末サイズによる差はなかった。官能評価では,各項目ともおから粉末のサイズによる差はなく,各おから添加パンも総合は好ましいとの評価を得た。パンの製品特性および嗜好性におから粉末サイズの影響はなかった。これらの結果より,おから粉末を分級しなくても,良好なおから添加パンを調製できることが示唆された。
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山本 明友美, 飯田 文子
セッションID: 1P-15
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】和牛の食味性を反映するテクスチャー測定法を検討することを目的とし,摩擦および破断測定と官能評価のテクスチャー項目との関連性を検討した。
【方法】和牛3品種16頭のリブロースを使用し,摩擦および定速圧縮破断測定,官能評価を行った。摩擦測定は僧帽筋部の生試料を使用し,破断測定および官能評価は胸最長筋部の焼試料を使用した。加熱条件はホットプレート200℃で内部中心温度60℃までとした。官能評価は訓練パネル7~9名により,7項目「やわらかさ(前:ひと噛目の印象)」「やわらかさ(後:咀嚼中の印象)」「線維感」「多汁性」「脂っぽさ」「総合的食感」「総合評価」,8段階尺度の分析型官能評価を行った。摩擦および破断測定には山電製レオナーRE-33005Bを使用し,摩擦係数および破断特性値を算出した。摩擦測定条件は摺動速度1.0 mm/sec,垂直荷重は0.1,0.2,0.3 Nの3種類とし,破断測定条件はロードセル200 N,圧縮速度1.0 mm/secとした。
【結果】摩擦係数および破断特性値は「やわらかさ(前)」「やわらかさ(後)」「線維感」「多汁性」「脂っぽさ」「総合的食感」と有意な負の相関を示し,特に垂直荷重0.3 Nの摩擦係数,圧縮80%の応力と強い相関を示した(
r =-0.707~-0.929)。また「やわらかさ(前)」は破断特性値,「線維感」「多汁性」「脂っぽさ」は摩擦係数と強い相関を示したことから,破断測定により歯ざわり,摩擦測定により口当たりの指標を得られる可能性が示唆された。以上より,牛肉の摩擦および破断測定を行うことで,官能評価のテクスチャー特性を外挿できる可能性が示唆された。
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三宅 紀子, 木﨑 友香
セッションID: 1P-16
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】生活習慣病の予防など、健康維持のために野菜の摂取の重要性が浸透してきているが、十分に摂取できていない現状である。そこで手軽に野菜を摂取できるひとつの方法として、一度にまとめて作って冷蔵保存できるボトルサラダ(ジャーサラダ)に着目した。しかしながら作り置きの料理は、時間経過による栄養成分の低下が懸念される。そこで本研究では、野菜類に含まれる栄養素の中でもビタミンCに着目し、ボトルサラダの野菜中のビタミンC量について調べることを目的とした。
【方法】市販の新鮮野菜(キャベツ・ダイコン)を千切りにし、煮沸滅菌したガラス瓶に詰め冷蔵保存し、3日後までの野菜中のビタミンC量の変化を調べた。さらに、ドレッシングと千切りキャベツを瓶に詰め冷蔵保存し、ドレッシング部分と野菜部分に分離して3日後までのそれぞれのビタミンC量を調べた。ビタミンCの定量にはHPLC法を用い、還元型ビタミンC(AsA)量および酸化型ビタミンC(DAsA)量の両者を定量した。
【結果】野菜のみの場合、キャベツ、ダイコンのビタミンC量はAsA量、DAsA量ともに著しい減少は認められなかった。しかし、ドレッシング共存下では、キャベツ部分のビタミンC量は1日後には調製直後の約2分の1に激減し、AsAの大部分がDAsAに変化した。また、キャベツからドレッシングへのビタミンCの溶出が認められ、その大部分が酸化していることが明らかになった。本研究により、ボトルサラダ全体ではビタミンCが保持されているが、ドレッシングに漬かっている部分は、ほとんどが酸化していることが示され、ドレッシングに漬かるボトルサラダの下部には野菜以外の食材の方が適していることが示唆された。
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ビタミンCの影響について
白川 みどり, 阿萬 友理恵, 小林 慧子, 菊崎 泰枝
セッションID: 1P-17
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】現在わが国では、ポリフェノール系抗酸化物質の抗酸化力の統一指標としてORAC法が提案されており、栄養疫学調査や日常の食事管理の活用が期待されている。本研究では、その有用性を検討する為に、ポリフェノール系成分及びビタミンCの抗酸化力に対する加熱調理の影響を調べることを目的とした。
【方法】加熱前の各食材とそれらの食材を使用して調製した料理を凍結乾燥により粉末状にし、抽出溶媒を用いて脂溶性画分と水溶性画分に分けて抗酸化活性を測定した。抗酸化活性はORAC法とDPPHラジカル捕捉活性法を用いて測定し、ポリフェノール含有量はフォーリン・チオカルト法を用いて定量した。同時に、ビタミンC含有量をヒドラジン誘導体化法を用いて還元型と酸化型に分けて測定し、合算して総ビタミンC量を求めた。各測定値より算出した料理の予測値と実測値を比較検討した。
【結果】ビタミンC含有量が比較的多いと予想された料理の総ビタミンC量を測定したところ、使用食材のビタミンC量から算出した予測値に対して約50%であった。また、抗酸化力は全ての測定法で実測値は予測値を下回り、DPPHラジカル捕捉活性法とフォーリン・チオカルト法において有意差がみられた。結果的に、ビタミンC含有量がポリフェノール系抗酸化物の抗酸化力へ与える影響はDPPHラジカル捕捉活性法とORAC法では小さく、フォーリン・チオカルト法では比較的大きくなる傾向が見られた。
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村上 恵, 一倉 幸, 近藤 香, 西堀 智晶
セッションID: 1P-18
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】これまで本研究室では野菜の干し操作と栄養成分の関係について研究を行ってきた。その結果,干し操作によりダイコンのカルシウム(Ca)量およびニンジンのカロテノイド量は,増加する傾向がみられた。そこでダイコンのCa量について,ダイコンの皮や市販の切干大根についても測定を行い,ニンジンは干し操作による破断特性,カロテノイド量,抗酸化性の変化を検討した。
【方法】ダイコンは3日間の天日干し,ニンジンはレンジ干し・天日干しを行った。生および干した試料について水分測定を行った。またダイコンはCa量(原子吸光度法),ニンジンは破断測定,カロテノイド量(HPLC法),抗酸化性(ロダン鉄法)を測定した。
【結果】ダイコンの水分含量は経時的に減少した。Ca量は干し換算で経時的に増加した。切干大根は他の試料に比べ有意に高い値を示した。またダイコンの皮のCa量はダイコンの内側より高い値を示した。生換算では3日干し試料は他の試料よりCa量が有意に高くなった。ニンジンの水分含量は生試料よりレンジ・天日干し試料で有意に減少した。破断応力は天日干し>生>レンジ干しの順に大きくなった。カロテノイド量はレンジ干しで保たれ,天日干しで減少した。抗酸化性はカロテノイド量と比例して高くなった。以上の結果より,ダイコンでは水分の濃縮によりCa量が増加し,切干大根のCa量には,ダイコンの皮が影響していた。ニンジンではレンジ加熱によってペクチン質の可溶化が起こり,破断応力が低値を示したと考えられた。カロテノイド量は天日干しでは日光によって分解した可能性が考えられた。抗酸化性にはカロテノイド量が寄与していた。
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豊泉 友康, 神谷 径明
セッションID: 1P-19
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】当所では静岡県の野菜を用いた高齢者向けの食品開発を行っており、その中で、磐田市特産のエビイモを活用した開発に取り組んでいる。本研究では、食品開発で活用する部位であるエビイモの孫および親イモ素材の食感および風味特性を明らかにするため、高級食材としても利用される部位の子イモと比較した。
【方法】エビイモは、孫、子および親イモに分けた後、一口サイズにカットし、低温スチーム90℃・15、30および60分で処理した。処理した試料は、クリープメータにより硬さおよび付着性をそれぞれ数値化した。更に、低温スチーム90℃・15分処理した子イモを基準とし、孫または親イモのおいしさ、ほくほく感、甘みおよびえぐみを、それぞれ5段階で官能検査した。
【結果】孫イモは子イモより高い付着性をもつが、硬さは同等であった。この付着性の特長は、調理時間が30分以上になると認められなかった。孫イモの風味やその関連官能特性は、子イモと同等であった。一方、親イモは、硬く、甘みやほくほく感がなく、えぐみのある素材のため、子イモよりおいしさが劣った。
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藤井 杏丞, 豊泉 友康, 松浦 英之, 神谷 径明, 青山 東一, 鈴木 康詞
セッションID: 1P-20
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】静岡県の特産品である温室メロンには,血圧上昇抑制などの生活習慣病予防効果が期待されるγ-aminobutyric acid(GABA)が多く含まれる.平成27年度の機能性表示食品制度の導入により,生鮮品や加工品で機能性表示が可能となったため,表示取得がメロン生産現場から強く望まれている.
本研究では,温室メロンにおける機能性表示取得の可能性を評価するため,GABA濃度の季節変動及び同一果実内の部位比較を行った.
【方法】本研究では,2015年の夏及び秋に静岡県内で生産されたメロンを供試した.季節変動の調査では1果実につき胎座及び外果皮を除いた可食部を全て搾汁し,部位比較の調査では1果実の胎座を含む可食部を16区に分け,それぞれ搾汁した.搾汁液中のGABA濃度は,AccQ-Fluor試薬キットを用いて誘導体化した後,高速液体クロマトグラフにより測定した.
【結果】夏作と秋作のメロンの間にGABA濃度の有意な差は認められなかった.同一果実内においては, 胎座のGABA平均濃度が3043 µg/mLと最も高く,外果皮に向かって約1/2から1/3程度低下した.
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西村 知紗, 吉岡 智史, 栁澤 琢也, 半田 明弘
セッションID: 1P-21
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
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【目的】野菜に含まれる苦味成分であるポリフェノール、アルカロイドは、近年その健康機能が注目されており、多くの報告がなされている。しかし、一般に野菜の苦味は嗜好的に敬遠される傾向があり、野菜の摂取不足の一因と考えられる。この野菜の苦味を低減することは、野菜の摂取量を増やし、結果として人々の健康に寄与できる。我々は日本調理科学会平成27年度大会において、苦味低減にはマヨネーズが有効であること、マヨネーズ原料(卵黄、油脂、酢)のうち、卵黄が最も苦味低減に寄与することを報告した。本研究では、苦味低減の作用機序を明らかにするため、卵黄及び卵白の添加量、酸変性が苦味に与える影響について検討した。 【方法】対象とする野菜としては苦味が要因となり嗜好性を低下させていると考えられるピーマンを選択した。ピーマンに水を加え、フードプロセッサーで粉砕し、ろ過した。ろ液に卵黄及び卵白を添加し、味認識装置による苦味評価を実施した。また、卵黄及び卵白に氷酢酸を添加し、16、25時間静置した。これらをろ液に添加し、味認識装置による苦味評価を実施した。卵黄及び卵白のタンパク質の変性度の指標として濁度を測定した。 【結果】卵黄、卵白とも添加量が高いほど苦味が低くなった。また、いずれの添加量においても卵黄添加区は卵白添加区と比較して有意に苦味が低かった。さらに、卵黄、卵白とも酸濃度が高く、静置時間が長いほど苦味が低かったことから、それらの変性度が高いほど苦味低減効果が高くなることが示唆された。このような酸による卵黄および卵白のタンパク質の変性は、マヨネーズ中でも起きていると考えられ、ピーマンの苦味低減の作用機序に関与していると思われる。
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吉岡 智史, 西村 知紗, 柳澤 琢也
セッションID: 1P-22
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】マヨネーズは、他の調味料と比較して一食分の塩分量が低いが、十分に味を感じておいしく食べられている調味料である。マヨネーズが低塩分量でも味を濃く感じられるのは、「こく」が関係していると考えられるが、その詳細はわかっていない。本研究ではマヨネーズの減塩効果に関与しているのは「こく」であることを明らかにするとともに、減塩に影響する成分を見出すことを検討した。 【方法】千切りキャベツを植物油で炒め、食塩で調味した試料(塩分0.5%、油脂量10%)を「植物油群」とした。植物油群の植物油、食塩をマヨネーズで置き換えた「マヨネーズ群」(塩分0.2%、油脂量5%)を調製した。試料の風味の強さと、こくについて1~7点の7段階の採点法にて官能評価を実施した。さらに固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて香気成分を分析した。 【結果】植物油群とマヨネーズ群の官能評価の結果、塩分量は異なるが風味の強さには有意差が見られず、「こく」はマヨネーズ群の方が有意に高かった。このことから、風味を補った効果はマヨネーズに由来する「こく」の影響であることが示唆された。さらに香気成分分析の結果、こくに関与すると思われる成分がマヨネーズ群から見出された。以上の結果から、マヨネーズの「こく」が、風味を強く感じさせることで減塩効果に影響していることと、香気成分が「こく」に関与していることが示唆された。
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来島 壮, 藤原 佳史, 朝田 仁
セッションID: 1P-23
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】めんつゆを多く生産している弊社においては「かつお節だし抽出殻」が大量に発生している。この抽出殻に多く含まれる動物性タンパク質を調味料化により有効活用することで、廃棄物の削減並びにその調味料活用による食品の味覚品質向上に寄与すると考えられる。そこで本研究では、かつお節だし抽出殻のアミノ酸調味料への加工方法を検討し、作製した調味料の特性を調べ、各種料理への利用適性の把握を目的とした。
【方法】かつお節だし抽出殻の成分変動を確認したのち、酸加水分解によってアミノ酸を豊富に含む液体調味料を作製した。作製した調味料の特性評価のため、アミノ酸・有機酸分析を実施し、植物性タンパク質を酸加水分解した調味料(HVP)と比較した。また、弊社商品開発スタッフをパネルとして、各種料理に対する調味料の添加効果を評価した。
【結果】かつお節だし抽出殻は脂質含量に変動が確認されたものの、作製した調味料の品質への影響は認められなかったため、調味料の原料として活用可能と判断した。この調味料は、HVPと比較して苦みを呈する遊離アミノ酸が多く含まれていたが、有機酸含量は少なかった。利用適性については、いくつかの料理について「だしの印象」「うま味」項目で向上する傾向が確認され、だしを使用した料理との相性がよいと考えられた。また、糖酸比を崩さずにうま味付与する傾向も認められ、糖酸比によって品質の良否が判断される果物や野菜を主とした料理での呈味向上も期待できる。本研究により、かつお節だし抽出殻を調味料化できることがわかった。廃棄物削減に貢献するとともに、弊社商品への還元も考えられ、かつお節だし抽出殻のリサイクルループを設定できると考えられる。
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都倉 孝之, 桑田 光作, 藤原 佳史
セッションID: 1P-24
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】魚節には様々な種類があり、鰹節以外の魚節は特に「雑節」と呼ばれ、地域や料理によって使い分けられている。雑節のだしの呈味は魚種毎に異なることが経験的に知られているが、客観的に十分把握されているとは言い難い。また、雑節の品質は、原魚捕獲時期や製造業者による違い、魚節製造時のロット差などによる変動が比較的大きく、これらが雑節を調理的に活用しにくくする要因の一つになっていると思われる。本検討では、鰹節及び3種類の雑節について複数サンプリングし、これらのだしの呈味を客観的かつ安定的にデータ取得可能な味認識装置を用いて測定し、それぞれの呈味特徴を把握することを目的とした。
【方法】魚節として、産地、漁法および製法の異なる節を使用した。これら魚節を5mm以下に粉砕し、10分間熱水抽出して3%(W/W)濃度のだしを調整した。各種だしを味認識装置にて測定し主成分分析を行った。また、各種節の粉砕物に酵母エキスを添加し不織布に充填しただしパックを試作し同様に測定した。
【結果】第二主成分までの累積寄与率は81.1%であった。第一主成分では酸味(+)、旨味(-)の負荷量が高く、第二主成分では苦味(+)、旨味コク(-)の負荷量が高かった。味認識装置では酸味および旨味は先味として、苦味および旨味コクは後味として定義されている。鰹荒節は先味に酸味、後味に苦味を有し、鰹枯節は先味および後味に旨味を有していた。雑節では、宗田節は先味に旨味、後味に苦味、鯖節は先味に酸味、後味に旨味を有する傾向が認められた。むろ節はこれら5種のスケールのほぼ中央であった。また、試作しただしパックから得られただしの特性も同様の傾向を示した。
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真部 真里子, 陳 倪熏, 陳 姿秀
セッションID: 1P-25
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】これまで、鰹だしのうま味以外の呈味物質に塩味増強効果があり、鰹だしのにおいとうま味には、塩味が弱くてもおいしく感じさせるおいしさ向上効果があることを明らかにしてきた。しかし、鰹だしは万人に好まれるわけではなく、中国では、魚臭く感じられ好まれないことが報告されている。そこで、本研究では、中国料理を食文化の基盤としつつ日本食も浸透している台湾において官能評価を実施し、鰹だしによる減塩効果が日本人にのみ有効なのかを検討した。
【方法】台南市にある嘉南藥科大學保健栄養学科に所属する学生男女82名(男22名,女59名)を被験者とした。うま味強度を0.12%にそろえたMSG溶液、2%鰹だし、0.88%昆布-1.76%鰹節混合だしの3種類の試料について、塩分濃度を0.62、0.70、0.80、0.90、1.00%に調整したものを比較試料とし、それぞれ標準試料(0.80%NaCl溶液)と組にして提供して、被験者に、各組、より塩味が強いもの、塩味が好ましいものを回答してもらった。また、対照として、比較試料にもNaCl溶液を用いた条件でも同様に検査した。結果はプロビット分析と二項検定にて解析した。
【結果】対照では、0.80%NaCl溶液に対する塩味等価濃度が0.81%となり、このパネルは塩味強度を適切判別できることが確認された。また、比較試料にMSG溶液を用いた場合は、塩味増強効果は認められなかった。しかし、鰹だしには顕著な塩味増強効果が認められ、混合だしもそれに準じる結果が得られた。すなわち、台湾人においても鰹だしは塩味増強効果を示すことが明らかになった。また、鰹だしと混合だしには、低塩味領域でおいしさ向上効果も認められた。この被験者は、全員が鰹節を知っており78%に摂食経験があった。このことが、本官能評価で鰹だしの減塩効果が認められた一因と考えられた。
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松葉佐 智子, 甲野 祥子, 鍵屋 慎一
セッションID: 1P-26
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的・概要】揚げ物はカロリーが高く、揚げ油の後始末が面倒という印象を持たれおり、家庭で揚げ物を作る頻度は減少傾向にある。一方で揚げ物が好きという人の割合は7割弱という調査結果があるため、実状は揚げ物に対する嗜好は高いと考えられる。本研究では家庭で行っている揚げ方の違い(油量の違い;深油揚げ、浅油揚げ、ノンフライ)による脂質含有量を測定するとともに食味官能評価を行った(実験1)。また揚げ物は温め直して食する機会も多いため、家庭で良く用いられる、電子レンジ、オーブントースターで温め直した揚げ物の食味官能試験を行い、揚げたての状態とのおいしさの変化を明らかにした(実験2)。
【結果】(実験1:揚げ方)食材全体が油に浸かる油量で揚げる方法(深油揚げ)、1cm程度の深さの油量で裏返しながら揚げる方法(浅油揚げ)、油をほとんど使わないノンフライの3種類の揚げ方で調理した鶏むね肉のから揚げを比較したところ、深油揚げよりも浅油揚げのから揚げの方が1個当たりの脂質含有量が有意に高かった。また、ノンフライでは深油揚げ、浅油揚げのどちらの揚げ方と比較しても有意に少なく、約半分程度であった。一方、食味官能試験においては深油揚げ、浅油揚げの間に差は見られなかったが、ノンフライよりも外観、味ともに有意に評価が高く、総合評価で「おいしい」という結果が得られた。(実験2:温め直し)揚げてから6時間経過した鶏むね肉のフライを電子レンジ、およびオーブントースターで温め直したもの、および揚げたてのものについて食味官能試験を行った。その結果、総合評価ではオーブントースターと揚げたての間に有意な差は見られなかったものの、評価項目中の「肉のジューシーさ」、「肉のやわらかさ」において揚げたての方が有意に高い評価が得られた。
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江口 智美, 宗形 賢介, 有瀬 功, 小関 昇, 吉村 美紀, 遠藤 昌敏
セッションID: 1P-27
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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【目的】劣化が進行した揚げ油は、色や風味が悪化し、毒性を示すため、摂取を避けることが望ましい。一方で、環境問題への配慮から、揚げ油を繰り返し使用することが望まれる。揚げ油を繰り返し使用する場合の劣化抑制対策として、ろ過や吸着剤による劣化物の除去等が行われているが、近年では新たに簡易な方法として、揚げ油中に酸化チタン(TiO
2)板を沈めて揚げ調理する方法も行われている。遠藤らはこれまでに、TiO
2板が抗酸化物質の酸化還元反応に関与し、揚げ油の劣化を遅延させることを実証してきた。しかし、TiO
2板が揚げ物の食味や物性に及ぼす影響については十分な知見がなく、本研究ではその評価を目的とした。
【方法】揚げ油はキャノーラ油とし、新油、TiO
2板を使用した劣化油(TiO
2有)、TiO
2板を使用しなかった劣化油(TiO
2無)の3条件で用いた。試料は、卓上型電気フライヤーで、業務用冷凍品のフライドポテトおよびチキンナゲットをそれぞれ170℃で3分間揚げたものとした。測定および算出は、揚げ油の温度、極性化合物量(TPM)、酸価(AV)、試料の中心温度、加熱後重量比、離液率、脱水率、破断特性、五段階評点法による官能評価を行った。
【結果】TPMは、新油が6.0~11.0、TiO
2有が10.0~17.0、TiO
2無が11.5~17.0、AVは、新油が0.11~0.44、TiO
2有が0.96~1.50、TiO
2無が1.14~1.60であった。チキンナゲットでは、TiO
2有が新油よりも有意に脱水率が低く、有意にジューシー感があるが、衣のからり感はある傾向にあった。TiO
2板は、表面の脱水は促進するが、内部の水分は保つ作用をした可能性が考えられる。
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水分挙動から
小林 由実, 上田 善博, 加藤 邦人, 石田 康行, 小川 宣子
セッションID: 1P-28
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/28
会議録・要旨集
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目的 天ぷらの「おいしさ」は素材の旨味が保持され、さくさくした衣に覆われたものとして評価できる。天ぷらを揚げている過程での素材および衣から蒸発している水分の様子(油の表面情報)を画像処理分析から評価し、水分の蒸発状況が出来上がり(おいしさ)に影響を及ぼすことを澱粉性食品のさつまいもを用いて明らかにした
1,2)。そこで、本研究は揚げている時の素材や衣の水分挙動と油の表面からの水分蒸発状況(油の表面情報)との関連について検討し、揚げている時の油の表面情報が天ぷらのおいしさに及ぼす影響につい考察を行った。
方法 天ぷらの素材としてさつまいもを用い、揚げている時の水分蒸発は、油表面の泡の発生状況を高速度カメラで撮影し、油のゆらぎによる画像処理のcontrast値と秤の上で天ぷらを揚げた時の重量減少量の両者から経時的に調べた。さつまいもの出来上がり評価はレオロメーターによる硬さ、グルコアミラーゼ法による糊化度、走査電子顕微鏡像から調べた。また、素材および衣の水分挙動は
18H
2Oを用い、GCMSにより測定を行った。
結果 油の表面情報は水分蒸発量ともほぼ一致していた。さつまいも投入直後に主として衣から水分蒸発が生じ、その後、さつまいもの水分量から衣からさつまいもへの水分移動が推定でき、合わせてさつまいもの細胞破壊が見られたことから、この時期に糊化が始まるのではないかと推定した。これらの推定した水分の挙動は
18H
2Oを用い、GCMSにより測定を行った結果、推定を裏付ける傾向であった。
[文献]1)小林他:日本家政学会第66回大会研究発表要旨集、p70(2014)
2)小林他:日本家政学会第67回大会研究発表要旨集、p49(2015)
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