近年、中国において留学帰国者によるベンチャー企業設立がブームとなっている。本稿の課題は、地方政府によるベンチャー企業の支援が効果的に機能するための条件を考察することである。このために、まず、留学帰国者による創業ブームの背景と実情を概観する。さらに、無錫市で創業し、わずか数年のうちに太陽電池メーカーとして世界有数の地位に躍進したSuntech Power 社 (無錫尚徳太陽能電力) の事例を取上げ、その成長過程と無錫市政府による支援の詳細を明らかにする。
近年、ネットワークを対象とした研究が注目を集めている。本稿では、社会ネットワーク分析研究について概観した上で、研究の流れに沿った正統的な研究としてPowell, White, Koput, and Owen-Smith (2005) を取り上げる。そこでは、①累積的優位 (accumulative advantage)、②同質性 (homophily)、③流行への追随 (follow-the-trend)、④多重連結 (multiconnectivity)、というバイオテクノロジー産業の組織間関係ネットワークを形成する四つの接続のメカニズムが検討される。