前回 (2)(高橋, 2011b) は、T型フォードを「殻」の例として取り上げ、「殻」に護符のようにしがみつくことでフォード社が急成長を遂げた様子を見てみた。今回の(3)では、そのT型フォードの顛末を追ってみよう。すると、「殻」をひっくり返して裏を見ると、そこには、ひきつるように人間がしがみついていることがわかる。正確に言えば、「殻」が拘束しているわけではないのである。
世界的に有名なクリエイティブ・エージェンシーであるワイデン・ケネディの東京オフィスで5人のクリエイターとプランナーにインタビューを行い、彼らの仕事のスタイルや消費者インサイトを獲得する方法について聴いた。その結果は、社内における異質性を前提としたコラボレーション、消費者理解のための現場の取材や観察、それに基づくメンタル・シミュレーション、社外の人々との公的・私的なネットワーキング活動が重要であることを示している。