本研究では、携帯電話産業において、コア部品サプライヤーの知識を中心とするブランド企業と生産受託企業の製品開発分業という企業間分業を分析した。本研究の定量分析の結果によると、生産受託企業がコア部品サプライヤーのツール・キットを活用することと、コア部品サプライヤーと技術コミュニケーションを行うことが、ブランド企業との製品開発分業における意思決定権限に正の影響を与えることが明らかになった。このようなトライアドの企業間分業においては、企業 (プリンシパル) と協業相手 (エージェント) の分業における意思決定の権限の割り当ては、企業 (プリンシパル) と協業相手 (エージェント) のどちらが相手企業よりどれほど第三者の知識を「獲得」するかによって決まることになると考えられる。
Weick (1987) は、高信頼性組織を支える三つの要因 (1) 必要多様性、(2) 信頼性の特徴、(3) イナクトメントについて論じている。複雑なシステムへの対応には限界があるという前提に立ちながらも、個人や組織によって打ち勝つ可能性や、物語を通じた組織文化の重要性を提言するものである。全体を通じて多様性について繰り返し語っていることにも特徴がある。高信頼性組織の研究では、のちにWeick, Sutcliffe, and Obstfeld (1999) やWeick and Sutcliffe (2001) によってフレームワークが構築され、マインドフルネスという概念が提示されるが、Weick (1987) で提唱される多様性はこのマインドフルネスを読み解くキーワードにもつながると考えられる。
シャープがついにフォックスコン (Foxconn、鴻海) 社から巨額投資を受けることになった。飲み込まれる恐怖は尽きないが、フォックスコン社にも投資をしなければならない理由がある。互いの背景を知り、未来志向で手を取り合えば、両社は民生機器産業に新たな成長モデルを提示できるはずである。カリスマCEO の郭台銘氏の背景を推察する。さらにEMS/ODM 企業のビジネスモデルや、それを支える台湾の社会情勢、あるべき民生企業の経営方針にも言及する。