自律神経
Online ISSN : 2434-7035
Print ISSN : 0288-9250
56 巻 , 2 号
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第71 回日本自律神経学会総会
会長講演
  • 荒木 信夫
    2019 年 56 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル フリー

    片頭痛に伴う症状には,自律神経の異常を示唆するものが多く認められる.前兆のある片頭痛患者の発作間欠期において,交感神経系の機能低下,およびsubstance-PやCGRPなどニューロペプチド系の機能低下および脱神経過敏,NO産生亢進およびNOの血管拡張作用の増強が存在することが示された.また,発作間欠期において発汗機能も低下していた.一方,片頭痛の頭痛発作時には,交感神経機能低下の状態が改善していることが確認された.脳血流を検討した結果,片頭痛発作時には視床下部を中心とした血流低下がみられた.髄液減少症の検討で,体位性頻脈症候群患者では髄液産生が充分でなく低髄液圧による起立性頭痛を呈することが示唆された.

特別講演2
  • 田村 直俊
    2019 年 56 巻 2 号 p. 64-69
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル フリー

    自律神経学を構築したLangleyとCannonの論述には疑問がある.(1) 自律神経と情動:JamesとLangeは自律神経活動が情動を惹起するとし,Cannonは情動が自律神経に影響を及ぼすとしたが.後者の見解は末梢神経だけを自律神経と定義したLangleyに由来する誤解である.情動の主座の間脳は中枢自律神経線維網の一部である.(2) 脊髄副交感神経:Langleyは胸・腰髄から起始する副交感神経を否認したが,呉らはイヌの脊髄後根を切断し,中枢側断端で変性を免れた遠心線維(脊髄副交感神経)を証明した.(3) 脱神経過敏:Eppingerらは交感神経緊張症でadrenalineに対する臓器反応が亢進すると主張した.この見解は脱神経過敏の法則(Cannon)に反すると批判されたが,Eppingerらの症例は自律神経不全症ではないので,脱神経過敏の観点からこの学説を批判するのは見当違いである.

特別講演3
  • 梅田 聡
    2019 年 56 巻 2 号 p. 70-75
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル フリー

    情動の認知神経科学的アプローチによる研究は,近年,急速に発展しており,その背景にあるメカニズムについて,多くの事実が明らかにされつつある.情動のメカニズムを解明する上で重要な問いは,1)情動に関連する部位あるいはネットワークが,それぞれどのような役割を担っているか,2)自律神経機能がどのように情動の知覚や生起に関わっているのか,3)情動障害や自律神経障害を対象とした研究は,これらの学問的問いにどのような意義をもたらすのか,などにまとめられる.本稿では,これらの問いに答えるべく,情動に関する概念的定義を述べた上で,特に内受容感覚や島皮質の持つ機能に着目しつつ,近年の研究成果を概観する.そして,情動のメカニズム解明に「心-脳-身体」の相互関連の理解が重要であることを示す.

教育講演4
  • 定藤 規弘, 吉原 一文
    2019 年 56 巻 2 号 p. 76-79
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル フリー

    恐怖などの環境ストレスに対処するためには,交感神経系の活動上昇が必須である.多くの恐怖は先天的かつ種特異的であり,恐怖刺激の情報は,扁桃体から直接視床下部や脳幹の自律神経中枢へ送られて交感神経反応をきたす.一方で恐怖は学習可能でもあり,そのような恐怖に対する反応を解析することによって,交感神経系の上位階層構造を調べられる.最近のヒト脳機能研究により,前帯状皮質や前部島皮質の脳活動が交感神経活動と関連していること,特に前者は情動の認知的生成と制御にも関係することが報告され,恐怖と自律神経系とのつながりにおいて扁桃体と前帯状回の機能的な結びつきが重要な役割を果たしていることが明らかになりつつある.

原著
  • 野澤 羽奈, 下重 里江, 谷口 敬道, 柴田 秀史, 黒澤 美枝子
    2019 年 56 巻 2 号 p. 80-87
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル フリー

    麻酔ラットの後肢足蹠に侵害性機械的刺激を加えると動脈圧が反射性に上昇する(体性-昇圧反射).一方,ラットでは脊髄後角第I層に起始するニューロンの90%近くが反対側の外側腕傍核に直接投射する.そこで本研究では,体性-昇圧反射に外側腕傍核が関与するかを検討した.外側腕傍核の関与は一側外側腕傍核にムシモールを投与してその神経活動を抑制することにより検討した.動脈圧は頸動脈に挿入したカテーテルを介して観血的に記録した.侵害性機械的刺激は外科用鉗子を用いて,ムシモール投与側の同側または反対側の後肢足蹠に加えた.ムシモール投与により安静時動脈圧は変化しなかったが,反対側後肢足蹠刺激時の動脈圧上昇反応は有意に減弱した.同側後肢足蹠刺激時の反応は減弱傾向を示したが有意ではなかった.以上,外側腕傍核は侵害性機械的刺激時の体性-昇圧反射に関与するが,その関与には側性があることが示された.

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