自律神経
Online ISSN : 2434-7035
Print ISSN : 0288-9250
57 巻 , 1 号
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第71 回日本自律神経学会総会
シンポジウム1/パーキンソン病の自律神経障害
  • 岡 尚省, 梅原 淳
    2020 年 57 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    Parkinson病(PD)では多彩な非運動症状を認め,進行例では起立性低血圧(OH)を約50%,認知機能障害を約80%の症例で認めるとされている.OHと認知機能障害はPD患者のADL・QOLに大きな影響を及ぼす.食事性低血圧(PPH)でも脳虚血病変が増悪し,臥位性高血圧(SH),夜間高血圧(NH)も認知機能障害と関連している.PPH,SHなどの血圧循環障害が引き起こす血圧日内変動はPDの認知機能障害の発症と進展に密接に関連している.PDにおける血圧循環障害による認知機能低下に対して,OHの是正に加えてSHやNHを惹起しないよう考慮した対策も必要と考えられる.

  • 中村 友彦, 勝野 雅央
    2020 年 57 巻 1 号 p. 7-9
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    パーキンソン病(PD)ではさまざまな自律神経障害を呈し,種々の画像検査によってその異常を検出することが可能である.近年PDにおいては運動症状発症前のいわゆる前駆期にすでに自律神経障害を含むさまざまな非運動症状が出現することがわかってきている.画像診断の進歩によって,早期PDにおいて軽微な変化を捉えることが可能となってきており,これらの検査によって運動症状発症前のより早期の診断につながる可能性がある.

  • 吉田 眞理
    2020 年 57 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    レビー小体病(パーキンソン病,認知症を伴うパーキンソン病,レビー小体型認知症,レビー小体を伴う自律神経不全症を含む)では,シナプス前終末に存在するαシヌクレインが凝集して,中枢神経系と末梢自律神経系の両者にレビー小体やレビー神経突起を形成する.病理学的に視床下部,Edinger-Westphal核,迷走神経背側核,胸髄中間質外側核,仙髄中間質外側核にはレビー病理像はほぼ例外なく観察され,末梢では交感神経節に加え,末梢臓器の自律神経線維終末にも出現する.長期間にわたり自律神経障害だけが顕在化するレビー小体を伴う自律神経不全症では,末梢自律神経系のLewy小体の形成が,必ずしも中枢神経系に一定の速度で進展しないことを示している.

  • 山元 敏正
    2020 年 57 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    Parkinson病(PD)の発汗障害について解説する.1. 起立性低血圧を伴うPD患者の定量的軸索反射性発汗試験と心電図R-R間隔変動のスペクトル解析,MIBG心筋シンチグラフィとの比較検討では,PDの自律神経障害は,心臓交感神経や心血管系に比べ発汗系が最も軽微である.2. PDのオフ時はオン時に比較し発汗量が多かったとする報告がある.3. PD3例の発汗発作にゾニサミド25~50 mg/日が有効である可能性がある.4. レビー小体型認知症の中には,寒冷による多汗を呈する一群がある.PDでは発汗神経の障害は軽度で,発汗異常は視床下部を中心とする体温調節障害により生じている可能性がある.

シンポジウム5/ストレスに対する呼吸応答のメカニズム
  • 堀内 城司
    2020 年 57 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    精神的ストレスは,自律反応を引き起こす.この自律反応は,防御反応に起因すると考えられており,その中枢として,視床下部背内側核(DMN)と中脳中心灰白質(PAG)の二つが古典的に知られている.これら2つの領域の刺激は,昇圧や頻脈を伴う呼吸機能の増強を引き起こす.DMN内には,異なった機能に関与するニューロン群が別々に分布するため,DMN内のニューロンは「コマンドニューロン」ではないことが示された.これに対して,PAGの刺激による呼吸と血圧の反応は,DMN内のニューロンを介して伝達されるため,PAGのニューロンは,精神的ストレス時の「コマンドニューロン」である可能性が示唆される.

  • 桑木 共之
    2020 年 57 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    環境ガス中の危険化学シグナルが鼻腔〜肺までの気道内で検出され呼吸抑制を引起こすまでの神経回路として,transient receptor potential(TRP)A1を発現している鼻腔内の三叉神経が重要であることを,TRPA1欠損マウスならびに嗅球破壊マウスを用いて証明した我々の研究成果を解説した.鼻腔内の三叉神経は吸入気体成分が最初に触れる感覚神経であり,TRPA1は最前線の危険監視警報装置であると考えられる.

  • 福士 勇人, 岡田 泰昌
    2020 年 57 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    体内酸素レベルの恒常性維持は,生体の生命維持に不可欠であるが,体内酸素レベルの恒常性維持には呼吸調節機構,特に低酸素ストレスに対する呼吸応答が重要な役割を果たしている.低酸素ストレスに対する呼吸応答の機序は,従来,低酸素センサーとしての末梢化学受容体,および下部脳幹内で呼吸リズム・パターン形成を担うニューロンの活動を中心に考えられてきた.一方で近年,グリア細胞,なかでもアストロサイトが,低酸素センサーとして働くなど低酸素呼吸応答においても重要な役割を担っていることが明らかにされてきている.本稿では低酸素ストレスに対する呼吸応答について,アストロサイトの役割に注目しつつ最近の報告を中心に述べる.

  • 丸岡 秀一郎
    2020 年 57 巻 1 号 p. 36-38
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    気管支喘息(以下,喘息)は,遺伝的要因と環境要因の相互作用で誘導される免疫応答により繰り返される気道狭窄をきたす慢性炎症性疾患である.環境要因の1つである心理社会的ストレス(以下,ストレス)により増悪することから,心身相関の病態を有する呼吸器心身症の代表的疾患である.ストレスは,内分泌系,免疫系,自律神経系を介して喘息の病態形成に関与しているが,その分子病態についてはいまだに不明な点が多い.近年,ストレス耐性(レジリエンス)関連遺伝子のエピゲノム修飾を介した喘息病態形成機序が報告された.本稿では,呼吸器心身症としての喘息病態とレジリエンスとの関係,治療への応用の可能性などについて概説する.

シンポジウム7/神経障害と排尿・蓄尿障害~神経因性膀胱をとらえる
  • 橘田 岳也
    2020 年 57 巻 1 号 p. 41-43
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    蓄尿と排尿という相反する排尿機能を理解するために多くの研究がなされてきた.膀胱に端を発する求心性神経のシグナルが大脳皮質に至って最終的に尿意として認知されるため,中枢神経を解明しないことには真の意味で排尿反射を理解できたとは言えない.近年の機能的脳画像によって,多くのことが解明されてきた.しかしながら,未だ不明な部分も多く,世界中で中枢神経のネットワークの解明に向けた研究が進んでいる.本ミニレビューでは,最近の知見および,本分野における近年のupdateについて報告する.

  • 山本 達也
    2020 年 57 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    排尿反射は脊髄-脳幹-脊髄反射で構成されるが,脳幹より上位に存在する高位排尿中枢による制御を受けるため,脳病変では多彩は下部尿路症状を呈する.下部尿路症状を呈する代表的な神経変性疾患にパーキンソン病があるが,診断・治療に難渋することが少なくない.本シンポジウムではパーキンソン病における下部尿路機能障害診療ガイドラインをもとに概説する.パーキンソン病と鑑別を要する疾患に多系統萎縮症があるが,病初期において特にパーキンソン病と多系統萎縮症は鑑別が困難なことが少なくない.本シンポジウムでは多系統萎縮症における下部尿路障害の特徴,パーキンソン病との鑑別のポイントについても言及する.

シンポジウム8/脳脊髄液減少症と体位性頻脈症候群
シンポジウム9/睡眠と自律神経
  • 野村 哲志
    2020 年 57 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    レム睡眠行動異常症(REM sleep behavior disorder: RBD)患者においては自律神経機能(循環器,発汗,消化管,排尿,性機能,視機能)が自覚的に健常成人と比べて障害され,その程度はパーキンソン病(Parkinson’s disease: PD)と同程度である.客観的にも起立性低血圧をPDと同程度認め,脈拍解析においても自律神経障害を示している.MIBG心筋シンチもRBDでPDと同様に低下し,心臓交感神経障害を認める.消化管機能としても低下傾向がみられる.RBD病変部位の青斑核は自律神経の制御にも関わっているので,自律神経障害の出現する可能性がある.RBDはシヌクレイノパチーへの進展が注目され,自律神経障害を軸に進展予測できるか期待される.

  • 鈴木 圭輔
    2020 年 57 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    閉塞性睡眠時無呼吸症候群ではいびきや日中の眠気,起床時頭痛などの臨床症状を認め,夜間の自律神経活動の障害を認める.一方,Cheyne-Stokes呼吸を含む中枢性睡眠時無呼吸症候群は,心不全や自律神経調節に関わる脳病変との関連がみられる.さらに,睡眠関連呼吸障害は自律神経系が障害されるパーキンソン病関連疾患においても高率にみられる.本稿では睡眠関連呼吸障害における自律神経障害およびパーキンソン病関連疾患や脳血管障害における睡眠関連呼吸障害について述べる.

総説
  • 田村 直俊, 光藤 尚
    2020 年 57 巻 1 号 p. 79-85
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    脳脊髄液(CSF)産生の自律神経支配に関する研究史を述べる.脈絡叢が交感・副交感神経の二重支配であることはBenedikt(1875),Stöhr(1922),Tsuker(1947)ら,adrenaline作動性・choline作動性線維が存在することはEdvinssonら(1972,73)によって示された.交感神経切除でCSF産生が一過性に上昇すること(von Bakay,1941;Hegedusら,1965;Lindvallら,1978),交感神経刺激で減少すること(Dorigottiら,1972;Haywood,1975;Lindvallら,1978)が報告されているが,自律神経作動薬の効果については結論の一致をみていない.CSFは脈絡叢由来の液体と軟膜由来の液体の混合物であり,前者の産生は腺組織に対する自律神経の直接作用,後者の産生は血流を介する作用と推測される.

原著
  • ―パーキンソン病および多系統萎縮症との関連から―
    齋藤 博
    2020 年 57 巻 1 号 p. 86-93
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    温熱性発汗検査における斑状発汗の病態意義を知ることを目的に,A)体性および自律神経徴候のない120例(対照群),B)汗腺レベル障害として特発性純粋発汗不全症6例,C)各種ポリニューロパチー85例,D)RossおよびAdie症候群9例,E)脳幹障害50例,F)脊髄障害51例,G)パーキンソン病136例,H)多系統萎縮症39例について斑状発汗の有無を比較検討した.なお,C群以外では糖尿病合併例は除外した.その結果,斑状発汗の出現頻度は,A群0%,B群100%,C群59%,D群78%,E群0%,F群2%,G群51%,H群87%であった.以上から,温熱性発汗検査における斑状発汗は交感神経節後系もしくは汗腺レベルの障害を示唆すること,およびパーキンソン病や多系統萎縮症でも高率に節後性機能障害をきたしうることが示唆された.

症例報告
  • 中里 良彦, 田村 直俊, 二宮 充喜子, 山元 敏正
    2020 年 57 巻 1 号 p. 94-99
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー

    味覚性耳下腺痛を呈した42歳女性例を報告した.片側Horner症候群,harlequin症候群の存在から片側の頸部交感神経障害が推定された.繰り返す味覚刺激毎に,刺激直後から交感神経障害側の耳下腺に疼痛が生じ,数分で自然寛解した.また,同時に味覚性発汗を認めた.味覚性耳下腺痛は頸部交感神経節後線維障害による耳下腺の交感神経,副交感神経受容体の脱神経性過敏が原因と考えた.本現象は味覚刺激による反射性唾液分泌の亢進と筋上皮細胞の強収縮の結果,導管内圧が高まり疼痛を誘発していると推定した.MRIで脳,頸部,胸部には異常はなく,交感神経障害の原因は不明であった.味覚性耳下腺痛は耳鼻科領域でHaubrichら(1986年)を誤用してfirst bite syndromeとして報告されているが,Gardnerら(1955年)の最初の原著に従い味覚性耳下腺痛とするべきである.

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