自律神経
Online ISSN : 2434-7035
Print ISSN : 0288-9250
58 巻 , 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
第73回日本自律神経学会総会
  • 栗田 正
    2021 年 58 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー

    私達は,視覚のnon-image-forming pathwayとimage-forming pathwayを駆使して,中枢時計を調整し周囲の状況を監視している.前者では,メラノプシン含有網膜神経節細胞が光に反応し,その信号は視交叉上核や視蓋前オリーブ核に投射され中枢時計の調整や瞳孔反応に関わる.後者では,錐体・桿体細胞で信号化された視覚情報は後頭葉へ伝搬されその後背側路と腹側路に送られる.これらをbottom-up回路と呼ぶ.腹側路を経た視覚情報は,視覚記憶と照合されつつ上位中枢のtop-down回路により修正され脳内に内的画像が形成される.この画像の正誤は,上位中枢のreality-monitoring機能により判断される.Parkinson病では,両者のpathwayが障害され,中枢時計の変調により睡眠障害が,視覚情報処理の障害により幻視が惹起される.

  • 松岡 豊
    2021 年 58 巻 2 号 p. 182-185
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー

    栄養精神医学は,精神疾患の予防・治療経過,そしてメカニズム解明に対して食事・栄養の観点からアプローチする新しい専門領域である.数多の観察研究から食とメンタルヘルスの関連が見出され,比較的少数の介入研究から食事指導や栄養成分の補充によってうつ症状が改善する可能性が示唆されてきたが,結論には至っていない.有効な介入の普及には,系統的レビューによるエビデンスに基づいたガイドライン作成が必要である.そして,今後必要とされる研究としては,エビデンスに基づく効果的な食事指導の確立とその検証,バイオマーカー測定を包含する質の高い臨床試験,メカニズム解明に迫る生物学的研究である.

  • 蜂須 貢, 大林 真幸, 船登 雅彦, 芳賀 秀郷, 上間 裕二, 三邉 武幸, 向後 麻里
    2021 年 58 巻 2 号 p. 187-192
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー

    高度な集中力をもって被検者がパフォーマンスを発揮する場合に自律神経活動がどの様に変化するかを明らかにすることを目的として,デッドリフト(DL)直後の自律神経機能の変化を検討した.被検者は常時ウエイトトレーニングを行っている10名(30.0±15.0歳)とした.DLの重量は本人の最大挙上重量の90%(90%max)を基準とし,初日の2回と1週間以上間隔をあけた2日目の1回,計3回それぞれ行った.また,最大挙上重量の90%±5 kgの3重量における自律神経機能への影響を検討した.自律神経機能は心電図を自律神経機能解析ソフト「きりつ名人((株)クロスウエル)」で解析した.測定項目は安静座位時2分間のCVRRとccvL/H,立位時のΔCVRRとΔccvL/Hおよび立位継続時1分間のccvHFである.90%maxのDLの自律神経機能への影響を間隔をあけ3回観察したが有意差は認めなかった.90%max±5 kgのデッドリフトでは重量依存的に心拍数が増加し,90%max−5 kg時の心拍数増加と比較して+5 ㎏で有意な増加を認めた.きりつ名人スコアは90%max−5 kgと比較して90%max時で有意に値を低下し,自律神経機能のバランスの崩れを認めた.

  • 小池 春樹
    2021 年 58 巻 2 号 p. 199-203
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー

    レビー小体病はパーキンソニズムか認知症が前景に立つことが多いが,起立性低血圧などの自律神経障害のみを長期間呈することもあり,このような病型は純粋自律神経失調症(pure autonomic failure; PAF)と呼ばれてきた.PAFは緩徐進行性の神経変性疾患であるが,血清中の抗ganglionic acetylcholine receptor (gAChR) 抗体が測定可能になって以来,免疫介在性ニューロパチーにも同様の進行様式と自律神経障害を呈する病型が存在することが明らかになってきた.抗gAChR抗体陽性の自律神経ニューロパチーは自己免疫性自律神経節障害という呼称が用いられるようになり,免疫療法の有効性が示唆されていることからPAFとの鑑別の重要性が高まっている.

  • 山本 達也
    2021 年 58 巻 2 号 p. 204-207
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/06
    ジャーナル フリー

    多系統萎縮症(MSA)は自律神経系,錐体外路系,小脳系が障害される神経変性疾患で自律神経障害の存在が診断に必須である.下部尿路機能障害が病初期から認められることもある.我々の検討でMSAの18.2%から24%は下部尿路機能障害が初発であった.MSAでは病初期から排出困難感などの排尿障害が目立つ例があることが特徴であり,一部の症例では仙髄から病変が進展していくのではないかと考えられている.また近年の研究により下部尿路機能障害の存在はMSAの予後予測因子としても使えることが明らかになっている.排尿症状についての詳細な問診,残尿量測定が早期診断や,鑑別として問題になることが多いパーキンソン病(PD)との鑑別にも有用である.本稿では下部尿路機能障害初発型のMSAを中心にMSAの下部尿路機能障害の特徴,下部尿路機能障害の予測因子としての有用性,PDとMSAとの鑑別について言及する.

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