The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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バーチャルイシュー
62 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 亀田 敬子, 三木 瑞香, 猪川 和朗, 森川 則文, 小林 正夫
    2009 年62 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2009/02/25
    公開日: 2024/12/20
    ジャーナル フリー

    近年,Pharmacokinetics-Pharmacodynamics(PK-PD)理論に基づいた抗菌薬の適正な使用が求められている。今回我々は,小児におけるビアペネムのPKパラメータを算出し,モンテカルロシミュレーションを用いて適正な用法・用量を検討した。広島大学病院小児科に入院した患者10名を対象として,血中濃度からビアペネムのPKパラメータを算出した。重回帰分析の結果,PKパラメータに影響を与える因子は患者の体重とクレアチニンクリアランスであった。これらの値を基に算出した患者の血中濃度シミュレーション曲線は血中濃度実測値とよく一致した。次に,全国サーベイランスで得られた肺炎球菌および緑膿菌の最小発育阻止濃度(Minimum inhibitory concentration: MIC)分布を用いたモンテカルロシミュレーションにより,体重別・腎機能別の患者4群における目標達成確率(Time above MICが40%を上回る確率)を比較・検討した。体重20kg前後では,肺炎球菌に対し5mg/kgx2/day,緑膿菌に対しては10mg/kgX2/dayで治療効果が期待された。体重の増加および腎機能の減少(クレアチニンクリアランスが通常の1/3に低下)に伴い,投与量・回数の調節が必要と考えられた。今後,地域ごと・施設ごとのMIC分布を利用したモンテカルロシミュレーションを行うことで,必ずしも血中薬物濃度を測定することなく,個々の患者に対する適正な経験的投与法が可能になると思われる。

  • 泉川 公一, 橋口 浩二, 澤井 豊光, 井上 祐一, 今村 圭文, 関 雅文, 掛屋 弘, 山本 善裕, 栁原 克紀, 河野 茂
    2009 年62 巻1 号 p. 9-16
    発行日: 2009/02/25
    公開日: 2024/12/20
    ジャーナル フリー

    成人院内肺炎患者を対象に,セフェム系抗菌薬ceftazidime(CAZ)の1回1g,1日4回投与による有効性を検討するとともに,血中濃度の測定を行った。評価対象となった5例に対する臨床効果判定は,すべて有効であり,早期から体温,CRP,白血球数などの改善が認められた。副作用は,2例に肝機能異常が認められたが,重症度はいずれも軽度であった。血中濃度は,点滴終了直後の最高値が72.1~176.5μg/mL(中央値82.7μg/mL),点滴開始直前のトラフ値が5.1~72.1μg/mL(中央値26.6μg/mL)であり,推定原因菌のMICを上回る高い血中濃度が維持されていた。

    以上の結果から,CAZ1回1g,1日4回投与は,高い血中濃度を長時間維持できる本剤の効果増強において有効な方法と考えられ,院内肺炎に対する治療薬としても有効な抗菌薬であると考えられた。

  • 和田 秀穂, 田邊 誠子, 市川 和子, 佐野 史典, 久保 安孝, 松橋 佳子, 中西 秀和, 田坂 大象, 杉原 尚
    2009 年62 巻1 号 p. 17-25
    発行日: 2009/02/25
    公開日: 2024/12/20
    ジャーナル フリー

    造血幹細胞移植後の真菌感染予防薬としてのイトラコナゾールの有用性と忍容性に関する報告は既になされている。また国内外のガイドラインにおいても造血幹細胞移植時における真菌感染予防薬として,イトラコナゾールの内用液剤が推奨されている。しかし造血幹細胞移植を施行する患者においては,内用液剤自体の苦味によって服薬困難が生じることが少なくなく,服薬を妨げる重要な因子となっている。

    そこで我々はイトラコナゾール内用液剤のゼリー化を考案し,臨床的有用性を検討した。ゼリー化することによりイトラコナゾールは極めて服薬しやすくなり,また苦味が原因で内用液剤の服薬困難がある場合においては,ゼリー化の導入が服薬の継続を容易にすることが明らかになった。更にゼリー化製剤を服用した場合でも,予防に必要とされるイトラコナゾールの体内動態(血漿中トラフ値として250ng/ml以上)は確保されていることも確認され,ゼリー化製剤においても同等の予防効果が期待できることが示唆された。

    造血幹細胞移植患者のような真菌感染症のハイリスク例においては,抗真菌薬の投与が長期間に及ぶこととなり,服薬アドヒアランスの向上は予防の成功にとって極めて重要な因子であると思われる。

学術講演記録
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