2008年1月~11月の慶應義塾大学医学部中央臨床検査部において,血液培養検体から分離・同定された187株を対象として,meropenem(MEPM)の抗菌力を対照薬剤とともに測定した。その結果,MEPMはカルバペネム系抗菌薬の中でも,特にグラム陰性桿菌に対して優れた抗菌力を示した。また,今回のMEPMの抗菌力について過去の結果と比較したが,明らかな低下傾向は認められなかった。
以上,MEPMは現時点においても良好な抗菌力を保持していることが確認できたことから,依然として臨床で有用な抗菌薬であると考えられた。しかし過去の調査時に比較して,大腸菌における基質拡張型𝛽-ラクタマーゼ(ESBL)産生株の増加が認められているため,今後も動向には引き続き十分な注意が必要であると考えられた。
2006年から2008年に福岡大学病院の細菌検査室で検出された緑膿菌903株を対象に分離状況および抗緑膿菌活性を有する薬剤に対する感受性の状況を評価した。分離状況において患者年齢は,70歳代にピークがあり,検体は呼吸器(47.8%),尿(24.4%),膿(18.9%)の順であった。外来患者由来株のpiperacillin/tazobactamに対する感受性率は98.7%ともっとも高く,ceftazidime,cefepime,imipenem,meropenem,amikacinに対して感受性率は90%以上であった。一方入院患者由来株では,amikacinに対して93.3%,piperacillin/tazobactamに対して83.2%の感受性率を示したが,aztreonamに対して49.3%であり,その他の抗菌薬に対して感受性率は60%台であった。多剤耐性緑膿菌(MDRP)の分離頻度は,対象株の3.3%であった。2007年にMDRPが短期間に複数の患者より分離されたことを契機に,カルバペネム系薬の使用届けの義務化および感染対策室の抗菌薬投与に関する指導の強化を実施した。その結果, 2008年の抗菌薬使用量はpiperacillin/tazobactamを除いて減少し,カルバペネム系薬剤使用量は前年比の69%まで減少した。それにともない緑膿菌の感受性率は,amikacinに対して変化がなかったが,piperacillin/tazobactam,ceftazidime,cefepime,meropenem,aztreonam,imipenem,meropenem,ciprofloxacin,levofloxacinに対しては10~17%回復した。今後も薬剤感受性サーベイランスを通して薬剤感受性および抗菌薬使用量の動向に注意を払っていく必要性があると考えられた。
2005年9月~2007年9月にかけて岐阜県下の医療関連施設から分離されたstreptococciに対する各種抗菌薬の抗菌活性を測定した。分離菌の内訳は,A群streptococci 118株,B群streptococci 89株及びG群streptococci 58株であった。分離株に対する各種抗菌薬のMIC90は,A群streptococciでは,cefteram(CFTM)及びimipenem(IPM)が0.0078𝜇g/mLと最も小さく,次いでcefditoren(CDTR)及びcefcapene(CFPN)で0.0156𝜇g/mL,penicillin G(PCG),amoxicillin(AMPC)及びmeropenem(MEPM)で0.0313𝜇g/mLであった。B群streptococciでは,MIC90はCFTM,CDTR,CFPN及びIPMが0.0313𝜇g/mLと最も小さく,次いでPCG及びMEPMで0.0625𝜇g/mL,AMPCで0.125𝜇g/mLであった。G群streptococciでは,MIC90はCFTM及びIPMが0.0078𝜇g/mLと最も小さく,次いでPCG,CDTR,CFPN及びMEPMで0.0156𝜇g/mL,AMPCで0.0313𝜇g/mLであった。A及びB群streptococciの薬剤感受性を2000年2月~2001年12月分離株と比較すると,A群streptococciでは,𝛽-ラクタム系薬では同程度のMIC50及びMIC90を示したが,キノロン系薬でMIC90は2.5倍程度上昇しており,耐性株も確認された。B群streptococciでは,MIC50及びMIC90は同程度であったが,clarithromycinのMIC90は10倍に上昇しており,耐性化が進行していた。