The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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ISSN-L : 0368-2781
バーチャルイシュー
63 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
総説
  • 寺田 道徳, 大木 恵美子, 山岸 由佳, 三鴨 廣繁
    2010 年63 巻2 号 p. 93-104
    発行日: 2010/04/25
    公開日: 2024/12/12
    ジャーナル フリー

    わが国における女性性感染症(Sexually transmitted infection: STI)の罹患率は,平成14年以降減少傾向にあるものの,未だ社会問題として顕在化している。15員環マクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシンは,1g単回投与にてSTIとして最も報告件数の多いクラミジア・トラコマティス(以下,クラミジア)性感染症に対する適応症を有しているが,この既存製剤にPharmacokinetics-Pharmacodynamics(PK-PD)の観点から改良を加えた単回投与製剤2gが平成21年4月に上市され,クラミジア性感染症のみならず,淋菌による性感染症の適応も承認された。この新製剤による臨床試験は実施されていないことから,淋菌による性感染症も含む女性STIに対するアジスロマイシン単回投与製剤の臨床応用について,自験例の情報を含めて考察した。アジスロマイシン単回投与製剤は,クラミジアのみならず淋菌も関与するSTI治療において,理論的に新たな治療の選択肢の1つとなりうることが示唆されたが,STIに対して今後の臨床検討が必要であると考えられた。

原著
  • 品川 長夫, 長谷川 正光, 平田 公一, 古畑 智久, 水口 徹, 長内 宏之, 柳内 良之, 秦 史壯, 佐々木 一晃, 染谷 哲史, ...
    2010 年63 巻2 号 p. 105-170
    発行日: 2010/04/25
    公開日: 2024/12/12
    ジャーナル フリー

    1982年7月から外科感染症分離菌に関する多施設共同研究を行ってきたが,ここでは2008年度(2008年4月~2009年3月)の成績を中心にまとめた。1年間で調査対象となった症例は215例であり,このうちの173例(80.5%)から694株の細菌と18株の真菌が分離された。一次感染症から357株,術後感染症から337株の細菌が分離された。一次感染症では,嫌気性グラム陰性菌の分離頻度が高く,次いで好気性グラム陰性菌であり,術後感染症では,好気性グラム陽性菌の分離頻度が高く,次いで嫌気性グラム陰性菌であった。好気性グラム陽性菌については,一次感染症においてEnterococcus faecalisEnterococcus faeciumEnterococcus aviumなどのEnterococcus spp.の分離頻度が最も高く,次いでStreptococcus anginosusなどのStreptococcus spp.,Staphylococcus aureusなどのStaphylococcus spp.であった。術後感染症からは,Enterococcus spp.の分離頻度が最も高く,次いでStaphylococcus spp.であった。好気性グラム陰性菌では,一次感染症からEscherichia coliの分離頻度が最も高く,次いでKlebsiella pneumoniaePseudomonas aeruginosaなどであり,術後感染症からはP. aeruginosaE. coliEnterobacter cloacaeK. pneumoniaeの分離頻度が高かった。嫌気性グラム陽性菌では,一次感染症からEggerthella lentaParvimonas micraStreptococcus constellatusGemella morbillorum,術後感染症からはE. lentaP. micraの分離頻度が高かった。嫌気性グラム陰性菌では,一次感染症からは,Bacteroides fragilisの分離頻度が最も高く,次いでBacteroides thetaiotaomicronBacteroides ovatusBilophila wadsworthiaであり,術後感染症からはB. fragilisの分離頻度が最も高く,次いでB. thetaiotaomicronB. wadsworthiaB. ovatusであった。バンコマイシン耐性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やEnterococcus spp.および多剤耐性緑膿菌は認められなかった。

    1982年7月から全国的に外科感染症における分離菌とその薬剤感受性の調査1~31)を行ってきたが,今回は,2008年度(2008年4月~2009年3月)における分離菌の動向とその薬剤感受性成績を中心に検討した。

  • 木村 匡男, 山岸 由佳, 寺田 道徳, 大木 恵美子, 田中 香お里, 渡邉 邦友, 三鴨 廣繁
    2010 年63 巻2 号 p. 171-177
    発行日: 2010/04/25
    公開日: 2024/12/12
    ジャーナル フリー

    抗菌薬の投与は腸内細菌叢に影響を与え,Clostridium difficile腸炎を誘発しやすい。C. difficile腸炎(C. difficile colitis: CDC)を誘発しやすい抗菌薬として,クリンダマイシン,ペニシリン系抗菌薬アンピシリン,セフェム系抗菌薬が知られているが,近年,キノロン系抗菌薬もその一つにあげられている。そこで,Bifidobacterium属およびC. difficileに対する経口キノロン系抗菌薬の抗菌活性について検討した。2004年~2006年の健常人から分離されたBifidobacterium属47株に対する抗菌活性は,ガレノキサシン(GRNX)0.5~16𝜇g/mL(MIC50: 2𝜇g/mL, MIC90: 8𝜇g/mL),モキシフロキサシン (MFLX)0.06~2𝜇g/mL(MIC50: 0.5𝜇g/mL, MIC90: 2𝜇g/mL),レボフロキサシン (LVFX)0.5~8𝜇g/mL(MIC50: 4𝜇g/mL,MIC90: 8𝜇g/mL)であった。2004年~2006年のCDC患者から分離されたC. difficile 51株に対する抗菌活性は,GRNX 0.5~~64𝜇g/mL(MIC50: 2𝜇g/mL,MIC90: 64𝜇g/mL),MFLX 1~64𝜇g/mL(MIC50: 2𝜇g/mL,MIC90: 16𝜇g/mL),LVFX 0.125~32𝜇g/mL(MIC50: 0.5𝜇g/mL,MIC90: 8𝜇g/mL)であった。今回の結果から,LVFXは,Bifidobacterium属などの善玉菌を殺菌しないで保持するが,C. difficileに対しては殺菌的に作用することから,腸内細菌叢に影響を与えにくい薬剤であると考えられる。GRNXは,Bifidobacterium属などの善玉菌に対しては影響を与えにくいが,C. difficileに対してはLVFXより抗菌活性が弱いため,CDC発症のリスクが残ることに留意する必要がある。MFLXは,Bifidobacterium属などの善玉菌を殺菌し,C. difficileに対してはLVFXよりは抗菌活性が弱いため,正常腸内細菌叢を乱す可能性が高いと推察される。

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