The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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バーチャルイシュー
63 巻, 5 号
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原著
  • 久保 淑, 角田 正代, 山下 誠
    2010 年63 巻5 号 p. 337-346
    発行日: 2010/10/25
    公開日: 2024/12/12
    ジャーナル フリー

    ラニナミビルは新規のインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ(NA)阻害薬で,CS-8958はそのプロドラッグ体であり,長時間作用の性質を有することが知られている。2009年にパンデミックを起したパンデミック(H1N1)2009インフルエンザウイルスの長崎分離株を使用し,ラニナミビルがNA活性と培養細胞系でのウイルス増殖に対し強い阻害活性を有すること,さらにNAに対し強い結合力を示すことを明らかにした。さらに,マウス感染モデル系において単回経鼻投与のCS-8958が優れた肺中のウイルス産生抑制効果を示したことから,パンデミック(H1N1)2009インフルエンザウイルス感染に対してもCS-8958は長時間作用型薬剤として有効であることが示唆された。

  • 山岸 由佳, 三鴨 廣繁
    2010 年63 巻5 号 p. 347-364
    発行日: 2010/10/25
    公開日: 2024/12/12
    ジャーナル フリー

    2008年1月から2009年6月に愛知医科大学病院においてアムホテリシンB脂質製剤(liposomal amphotericin B: L-AMB)が投与された41例について,臨床背景と,有効性,安全性について後方視的に検討をおこなった。

    L-AMBは重症例で使用されていることが判明し,死亡により治療継続できない症例が31.7%みられた。

    L-AMBは第2選択薬としての投与例が56.1%(23/41)で,前投与抗真菌薬が無効の場合が48.8% (20/41)であった。第1選択薬として投与された例は43.9%(18/41)で,(1)Cryptococcus 感染症例1例,(2)severe sepsisまたはseptic shockの症例7例,(3)バイオフィルム形成が疑われる人工異物抜去不能症例2例,(4)step-down therapyを実施した症例6例,(5)発熱性好中球減少症において経験的投与を強力に実施した症例2例であった。

    投与前後で血清カリウム値(p=0.10),血清クレアチニン値(p=0.05)に関しては有意な変化は認められなかった。投与開始時クレアチニン値は,1.31±1.30(平均±S.D.)(分布範囲: 0.13±5.36)mg/dLであった。L-AMB投与前から透析を実施していた症例が7.3%(3例),L-AMB投与開始後に新たに透析が必要となった症例は認めなかった。LAMB投与例における最高血清クレアチニン値が,正常→異常が29.3%(12/41),異常値→異常値が24.4%(10/41)であった。投与前が異常値であった場合にL-AMB投与した場合の変動について十分に検討された報告はなく,自験例は貴重な検討と思われる。抗微生物薬で腎機能へ影響を与える薬剤併用例は51.2%(21/41)と高率であったことは,LAMB使用例では他の細菌合併症が多いことを示している。クレアチニンの変動に関しては,L-AMBの投与期間にかかわらず,症例によって変動する症例とまったく変動をきたさない症例を認めた。L-AMB投与開始時の血清カリウム値は4.1±0.8 (平均±S.D.)mEq/L,フロセミドなどの利尿薬併用例は31.7%(13/41),投与期間中最低血清カリウム値は3.4±0.9(平均±S.D.)(分布範囲: 1.9±6.2)mEq/L,L-AMB投与中カリウム補充例は34.1%(14/41),補充カリウム総投与量は131.25 mEqであった。なお,低カリウムが原因で死亡した症例は認めなかった。

    L-AMBは,殺真菌的作用を有する唯一の抗真菌薬である特性を生かした投与を考慮する一方で,重症例に用いる場合は併用薬や腎機能,カリウム値などを慎重にモニタリングし対応しながら投与することで投与継続し得ることが示唆された。

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