全国の16医療施設で2004年に臨床分離されたPseudomonas aeruginosa 92株を用い,カルバペネム系抗菌薬doripenem(DRPM)とアミノグリコシド系薬tobramycin(TOB),amikacin(AMK),あるいはDRPMとフルオロキノロン系薬ciprofloxacin(CPFX)とのin vitro併用効果についてCLSIの推奨する微量液体希釈法に準じたチェッカーボード法で検討し,この併用効果を他のカルバペネム系抗菌薬であるimipenem(IPM),meropenem(MEPM),biapenem(BIPM)とTOB,AMK,CPFXとの併用効果と比較した。DRPMはTOBやAMK,CPFXとの併用により90%以上の臨床分離株において相乗あるいは相加効果を示した。特に,IPM低感受性及び耐性株に対してDRPとアミノグリコシド系薬との併用は,他のカルバペネム系抗菌薬との併用時に比べ,強い併用効果を示した。以上,IPM低感受性および耐性株を含むP. aeruginosa感染症に対してもDRPMはアミノグリコシド系薬との併用が有効な選択肢になり得ることが示唆された。
Levofloxacin(LVFX)のクラミジア性子宮頸管炎および子宮内感染に対する有効性および安全性を検討した。LVFXの用法・用量は1回500mg1日1回7日間経口投与とした。
クラミジア性子宮頸管炎における治癒判定時(投与終了14~21日後)の微生物学的効果は94.4%(17/18)であり,臨床効果は100%(16/16)であった。子宮内感染では,投与終了時の臨床効果は94.7%(18/19),微生物学的効果は68.8%(11/16)であった。
副作用の発現は43例中9例(20.9%)に認められ,その内訳はɣ-GTP増加および尿中ブドウ糖陽性がそれぞれ2例に発現した以外はすべて1例のみの発現であった。副作用の重症度は,いずれも軽度あるいは中等度であった。
以上の成績より,LVFX 1回500mg1日1回投与はクラミジア性子宮頸管炎および子宮内感染の治療に有用な薬剤であることが確認された。
感染症治療において,in vitroでの感受性結果が良好でも,臨床の場で治療が奏功しないことがある。その一つの理由として,菌量の増加に伴ってMIC値が上昇する,いわゆるinoculum effectを有する薬剤はin vitroで感性と判断されても,in vivoでの治療成績が悪い可能性が考えられる。今回著者らは,九州大学病院および福岡市近郊の病院より分離されたMethicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA) 49株とMethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 54株に対し,接種菌量を5~8x104 cfu/mLから5~8x108 cfu/mLの5段階に変化させ,MIC値の変動を検討した。薬剤にはAmpicillin (ABPC), Cefazolin (CEZ), Meropenem (MEPM), Ciprofloxacin (CPFX), Vancomycin (VCM), Teicoplanin (TEIC), Linezolid (LZD), Arbekacin (ABK)を使用した。MSSAではABPCにおいて接種菌量の増加に伴うMIC値の変動が大きくみられ,CEZ, MEPM, CPFXでは変動は小さく認められた。抗MRSA薬ではMSSA,MRSAに対する違いは認められず,VCM, ABKでは接種菌量の増加に伴うMIC値の変動は少なく,TEIC, LZDでのMIC値の変動は大きく認められた。これらの結果はin vitroのものであるが,菌濃度が高いと予想される感染巣においては薬剤による菌の発育抑制に違いが生じることが予想され,抗菌薬選択の際には組織移行性などと同様にこれらの特徴も考慮すべきと考えられた。
高用量メロペネム投与により治療し得たB群溶血性レンサ球菌III型による成人髄膜炎の1例を報告する。67歳,男性。腰痛,発熱,嘔吐,けいれんを主訴に受診。40歳時に脊髄腫瘍摘出術施行の既往歴があった。現在,デイサービスを受けている。受診時,体温37.0°C,意識レベルはGlasgow Coma Scaleは5(E1,V1,M3)で,項部硬直を認めた。臨床検査では,白血球が14600/𝜇L,CRP4.39mg/dL,髄液細胞数の上昇を認めた。経験的初期治療としてメロペネム1日6gと,バンコマイシンが血中濃度モニタリングに基づいて開始された。入院4日目になっても体温37.8°C,白血球が17300/𝜇L,CRP18.03mg/dLと改善傾向を認めなかったため,バンコマイシンをリネゾリド1日1200mgに変更,メロペネムは継続にて治療したところ,次第に解熱し,炎症所見も改善した。髄液からはB群溶血性レンサ球菌(Streptococcus agalactiae)が検出され,血清型はIII型であった。また,現在,日本では,髄膜炎に対するメロペネムの投与量は1日3gまでしか承認されていないが,各種ガイドライン等では,1日6gの高用量が推奨されている。メロペネム6gなどの高用量使用例の文献的報告もわずかであり,実臨床における臨床データの集積ならびに臨床試験の実施が期待される。
Pseudomonas aeruginosaの最小発育阻止濃度(MIC)と抗菌薬使用密度(AUD)との関連について地域4病院において比較調査した。材料は2002~2005年及び2008~2010年の尿・喀痰・膿などから得られた476株であり,8剤(meropenem,imipenem,ceftazidime, cefepime, ciprofloxacin, piperacillin,tazobactam/piperacillinとamikacin)のMIC50,MIC90を得た。8剤のMIC50,MIC90は恒常的に推移した。一方MIC値(476株)は5剤で有意差があり,B病院が全5剤で最高値,D病院が4剤で最低値をとった。3病院で15剤のAUDが得られ,うち9剤で有意差があり,B病院ではmeropenem,flomoxefとsulbactam/cefoperazoneが最高値,D病院ではmeropenem, ceftazidime,cefotaximeとsulbactam/cefoperazoneが最低値だった。よってP. aeruginosaにおけるMICの調査から,広域抗菌薬のAUDが高いと耐性化する可能性が示された。