The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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バーチャルイシュー
64 巻, 5 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 迎 寛, 矢寺 和博, 長田 周也, 山崎 啓, 西田 千夏, 川波 敏則, 石本 裕士, 吉井 千春, 井上 直征, 野口 真吾, 粟屋 ...
    2011 年64 巻5 号 p. 281-291
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    今回,われわれは,軽症または中等症の市中肺炎および慢性呼吸器疾患の二次感染を対象として,sitafloxacin(STFX)の有効性と安全性を検討した。その結果,有効性解析対象症例における有効率は96.5%(111/115例)であった。STFXの投与方法別の有効率は50mg×2/日投与で93.9%(46/49例),100mg×1/日投与で100%(37/37例),100mg×2/日投与で96.6%(28/29例)であった。また,胸部X線で投与前に陰影が見られた102例に対する画像改善率は94.1%(96/102例)であった。STFX投与方法別の画像改善率は50mg×2/日投与で90.5%(38/42例),100mg×1/日投与で97.1%(33/34例),100mg×2/日投与で96.2%(25/26例)であった。副作用は115例中5例(4.3%)に認められた。肝機能検査値異常が2例,腎機能検査値異常が3例であり,4例は軽微で処置なくSTFX投与を継続でき,1例はSTFX投与中止後,速やかに回復した。

    以上より,日常の診療において患者背景等に応じてSTFXを承認用量内で投与方法を調整することにより,安全に使用することが可能となり,呼吸器感染症に対して高い治療効果を期待できることが確認された。

  • 竹井 七保子, 小松 恒彦
    2011 年64 巻5 号 p. 293-310
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    発熱性好中球減少症(FN)は,難治性かつ反復して発症するという性質上,確実な診断を行うとともに,早期から適切な抗菌薬を用いた経験的治療を行うことが重要になる。こうした背景を受け,国内外でFN診療に関するガイドラインが発表されてはいるが,いまだ本邦の実情に則した治療法が確立されているとは言い難い。そのため,我々は,本邦におけるFN診療確立の一助にすべく,FNに対する抗菌薬の処方動向を始めとした実態調査を行った。FN患者の割合は,血液内科>小児科(血液)>呼吸器内科>腫瘍内科>呼吸器外科という順に多く,血液内科においてFNと診断された患者および抗菌薬治療の割合が他科と比して高いことが確認された。初期治療の第一選択薬としては,診療科全体でCefepime(CFPM)が35.9%と最も多く,次いでMeropenem(MEPM)が24.3%という結果であった。選択の要因については,FNにおける推定起炎菌に広く強い抗菌力を有することに加え,本邦における保険適応の有無が大きく影響するという結果が確認された。第二選択薬については,MEPMが46.3%と最も多いことが確認された。ガイドラインの参考状況については,全診療科で52.0%という高い結果が示され,特に本邦におけるFN研究会のガイドラインが参考にされているという現状が確認された。一方,院内指針やクリニカルパスの導入状況は全体で13.0%と低率であった。FN患者に適切な治療を行うという意味でも,保険適応の有無,ガイドラインやエビデンスを参考にした院内指針およびクリニカルパスの導入は必須であり,これらが実施されていない現状は望ましいとはいえない。本調査結果から,本邦の実情に則したガイドラインの改訂と,院内指針やクリニカルパスの導入が必要と考えられる。

  • 矢寺 和博, 山崎 啓, 神崎 未奈子, 島内 真基子, 川波 敏則, 長田 周也, 鈴木 雄, 徳山 晋, 井上 直征, 西田 千夏, 石 ...
    2011 年64 巻5 号 p. 311-318
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    2007年1月から2011年4月に産業医科大学病院および関連施設においてアムホテリシンB脂質製剤(liposomal amphotericin B: L-AMB)が投与された慢性壊死性肺アスペルギルス症24例において,L-AMBを4時間で点滴投与した群(4時間投与群)と,3時間以下で点滴投与した群(3時間以下投与群)について,臨床背景および安全性について後方視的に比較検討を行った。

    L-AMB 3時間以下投与群と比較して,4時間投与群は投与期間中における血清カリウム値の低下幅が有意に小さく,4時間投与を行うことにより投与後の血清カリウム値の低下が抑えられる可能性が示唆された。また,血清クレアチニン値,AST値,ALT値,白血球数,血小板数の変動については両群に有意な差は認められなかった。

    L-AMBの点滴時間と安全性について,特に血清カリウム値の変動について検討された報告はない。L-AMBは抗真菌薬の中でアスペルギルスに対して殺真菌的に作用する薬剤の一つであり,他にアムホテリシンBデオキシコール酸塩(D-AMB)やボリコナゾールがある。臨床的に重症の真菌感染症例で用いられる場面も多く,患者の全身状態が悪いことが多いため,血清クレアチニン値や血清カリウム値の変動に十分注意して用いることが重要であるが,L-AMBの点滴投与時間を延長することにより投与中の血清カリウム値の低下を抑えることができる可能性が示唆された。

  • 松本 卓之, 内納 和浩, 山口 広貴, 吉田 早苗, 高橋 周美, 児玉 浩子, 濱島 里子, 米持 理恵, 藤田 祥子, 瀧田 厚, 山 ...
    2011 年64 巻5 号 p. 319-337
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    ニューキノロン系経口抗菌薬であるsitafloxacin(STFX,グレースビット®錠50mg・細粒10%)は,2008年1月に製造販売承認を取得し,2008年12月から2010年11月までの2年間に使用成績調査を実施した。全国287の医療機関から3,558例の調査票を収集し,安全性評価対象症例3,331例,有効性評価対象症例3,225例について検討した。

    副作用発現率は4.44%(148例/3,331例)であり,主な副作用は下痢(軟便含む)55例,肝機能障害39例で,発現率はそれぞれ1.65%,1.17%であった。重篤な副作用は5例(7件)認められ,その内訳は,胃腸出血,肝機能異常,白血球数減少,薬疹,低血糖症,肺炎,重複感染が各1件であった。

    有効率は,全体で92.9%(2,997例/3,225例),呼吸器,尿路等の感染症領域別にみると91.4%〜97.8%を示した。また,適応菌種における菌消失率は91.5%(808株/883株)で,グラム陽性菌92.3%(310株/336株),グラム陰性菌90.7%(458株/505株),偏性嫌気性菌100.0%(28株/28株),非定型菌85.7%(12株/14株)であった。

    以上,使用実態下で実施した本調査においてSTFXは安全性に大きな問題点を認めず,各感染症に対する有効率は90%以上を示したことから,有用な抗菌薬であることが確認された。

学術講演記録
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