The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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バーチャルイシュー
65 巻, 6 号
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原著
  • 魚山 里織, 神田 裕子, 吉田 久美, 星野 一樹
    2012 年65 巻6 号 p. 355-363
    発行日: 2012/12/25
    公開日: 2024/10/25
    ジャーナル フリー

    緑膿菌による呼吸器感染症は難治性であることが多く,第一選択薬として使用されているカルバペネム系抗菌薬でも治療が困難となる場合がある。今回,Hollow fiber system(HFS)を用いたin vitro 血中濃度シミュレーションモデルにより,メロペネム(MEPM)1000 mg(0.5時間点滴)1日3回投与(t.i.d.)時,レボフロキサシン(LVFX)500 mg(1時間点滴)単回投与(q.d.)時,及び2薬剤併用時のヒト血漿中濃度推移をHFS内で24時間再現し,MEPM単剤では治療効果が低いと想定される緑膿菌に対して,生菌数を指標にLVFX併用時の殺菌効果について単剤作用時と比較検討した。供試菌株として,MEPMのMIC:2~16μg/mL及びLVFXのMIC:2μg/mL,in vitro チェッカーボード法によるMEPM及びLVFX併用時のFractional inhibitory concentration(FIC)indexが0.625~1を示した臨床分離緑膿菌,計6株を用いた。

    MEPM単剤作用時は,いずれの菌株でもシミュレーション開始(106~107 CFU/ mL)後に殺菌効果が認められたが,生菌数は検出限界(100 CFU/mL)以下に減少することなく,その後再増殖が確認された。LVFX単剤作用時は,いずれの菌株でもシミュレーション開始後に速やかな殺菌効果が確認され,生菌数は検出限界以下まで減少したが,24時間後に再増殖が確認された。一方,MEPMとLVFXの2薬剤併用時は,すべての菌株においてMEPMあるいはLVFX単剤作用時を上回る併用殺菌効果が認められ,生菌数は検出限界以下まで減少した。特に,MEPMのMIC:2及び4μg/mLの菌株では,シミュレーション開始24時間後まで再増殖は確認されなかった。本シミュレーションモデルにおいて,MEPMとLVFXを併用することで単剤作用時と比較して高い殺菌効果が認められることが明らかとなった。また,今回の供試菌株は,一定濃度の薬剤を一定時間作用させたin vitroチェッカーボード法では相乗効果ありと判断されなかった菌株(FIC index>0.5)であるが,臨床での薬剤濃度暴露を作用させたin vitroシミュレーションモデルにおいて強い併用殺菌効果が確認されたことから,臨床においてもMEPMとLVFXを併用することで治療効果を高める可能性が示唆された。

  • 松本 卓之, 山口 広貴, 内納 和浩, 高橋 周美, 児玉 浩子, 濱島 里子, 米持 理恵, 藤田 祥子, 瀧田 厚, 山之内 直樹, ...
    2012 年65 巻6 号 p. 365-380
    発行日: 2012/12/25
    公開日: 2024/10/25
    ジャーナル フリー

    ニューキノロン系経口抗菌薬であるsitafloxacin(STFX,グレースビット®錠50 mg・細粒10%)は2008年1月に製造販売承認を取得し,2008年12月から2010年11月までの2年間に使用成績調査を実施した。そのうち尿路感染症(膀胱炎,腎盂腎炎,尿道炎)に対しSTFXが使用された1,452症例を対象にして,本剤の有効性及び安全性について分析した。

    有効率は91.4%(1,235/1,351例)であり,感染症別では単純性膀胱炎で95.9%(466/486例),複雑性膀胱炎で87.2%(511/586例),単純性腎盂腎炎で96.1%(49/51例),複雑性腎盂腎炎で93.5%(145/155例),尿道炎で87.7%(64/73例)であった。また,セフェム系抗菌薬無効例,他のキノロン系抗菌薬無効例に対し,それぞれ86.0%(49/57例),77.4%(48/62例)の有効率を示した。

    菌消失率は90.5%(545/602株)であり,菌種別の消失率はEscherichia coliで92.7%(294/317株),Enterococcus faecalisで86.0%(43/50株),Pseudomonas aeruginosaで66.7%(16/24株),Klebsiella pneumoniae で95.2%(20/21株),Chlamydia trachomatisで88.9%(8/9株)であった。

    副作用発現率は2.71%(37/1,365例)であり,主な副作用は下痢(0.88%,12例),肝機能障害(0.51%,7例)であった。重篤な副作用は1例(肝機能異常)認められ,本剤中止後に回復した。

    以上,尿路感染症に対するSTFXの有効率は91.4%で,最も有効率が低かった複雑性膀胱炎に対しても87.2%を示し,安全性にも大きな問題点は認められないため,使用実態下においても有用性の高い抗菌薬であると考えられた。

  • 太田 芽里女, 鳥羽 晋輔, 伊藤 暁信, 中村 理緒, 辻 雅克
    2012 年65 巻6 号 p. 381-398
    発行日: 2012/12/25
    公開日: 2024/10/25
    ジャーナル フリー

    全国の医療機関で2007年に臨床分離された小児あるいは成人由来のStreptococcus pneumoniae 200株とHaemophilus influenzae 197株,2006年に臨床分離されたH. influenzae type b 50株,1990~2005年に臨床分離されたListeria monocytogenes 20株,2007~2009年に臨床分離されたNeisseria meningitidis 23株,1989年~2003年に臨床分離されたBordetella pertussis 83株を用い,カルバペネム系抗菌薬doripenem(DRPM)のin vitro 抗菌活性を評価した。対照薬としてカルバペネム系抗菌薬meropenem(MEPM),imipenem(IPM),panipenem(PAPM),biapenem(BIPM),セフェム系抗菌薬ceftriaxone(CTRX),cefotaxime(CTX),ペニシリン系抗菌薬ampicillin(ABPC)及びマクロライド系抗菌薬clarithromycin(CAM)を用い,CLSIの推奨法に準じた微量液体希釈法または寒天平板希釈法により感受性を測定した。DRPMの小児由来のS. pneumoniae あるいはH. influenzaeに対するMIC90はそれぞれ0.25 ȝg/mL,1 ȝg/mLと同時期に分離された成人由来菌株とほぼ同じ値を示し,DRPMの抗菌力が患者年齢にかかわらずほとんど変動しないことが示された。また,DRPMは化膿性髄膜炎の主要な原因菌であるH. influenzae type b,L. monocytogenesN. meningitidis及び百日咳の原因菌であるB. pertussis に対して他のカルバペネム系抗菌薬と同程度以上の優れた抗菌力を有していることが示された。DRPMは小児感染症領域で問題となることの多い菌種の臨床分離株に対して優れた抗菌力を有することが示唆された。

  • 小野寺 昭一, 尾上 泰彦, 細部 高英, 加藤 哲朗, 吉田 正樹
    2012 年65 巻6 号 p. 399-409
    発行日: 2012/12/25
    公開日: 2024/10/25
    ジャーナル フリー

    非淋菌性尿道炎に対するレボフロキサシン(LVFX)500 mg 1日1回投与の有効性及び安全性を検討した。

    対象は,20歳以上の男性で,尿道炎症状を有し,微生物検査でChlamydia trachomatisC. trachomatis)またはMycoplasma genitaliumM. genitalium)が検出された患者とした。LVFXの投与量は,1回500 mg 1日1回経口投与とし,投与期間は原則として7日間とした。22例を安全性ならびに有効性解析対象症例とした。22例の内訳は,C. trachomatis 性尿道炎が17例,M. genitalium 性尿道炎が4例,C. trachomatis M. genitalium の混合感染が1例であった。主判定は,投与終了2~4週後の細菌学的効果とした。全体の菌消失率は,86.4%(19/22)であった。C. trachomatis性尿道炎,M. genitalium 性尿道炎,C. trachomatis M. genitalium の混合感染の菌消失率は,各々94.1%(16/17),50.0%(2/4),100%(1/1)であり,3群間に有意差は認められなかった。投与終了2~4週後の臨床効果は,全体で90.9%(20/22)であった。C. trachomatis性尿道炎,M. genitalium 性尿道炎,C. trachomatis M. genitalium の混合感染の有効率は各々100%(17/17),50.0%(2/4),100%(1/1)であり,M. genitalium性尿道炎の有効率が有意に低かった(P=0.0071)。

    安全性解析対象症例22例中,有害事象が認められた症例はなかった。以上の成績から,LVFX 500 mg 1日1回投与法は,非淋菌性尿道炎に対して,有効かつ安全な投与法であることが示された。

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