The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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バーチャルイシュー
66 巻, 6 号
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総説
  • 三鴨 廣繁, 山岸 由佳, 松原 茂規
    2013 年66 巻6 号 p. 305-310
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー

    従来の感染症治療では抗菌薬は細菌を殺菌することが主目的とされてきた。しかし,今回示した実験結果や臨床成績は,マクロライド系薬が細菌だけでなく宿主にも働きかけることで感染症を制御している可能性を示唆するものである。つまり,感染症治療は細菌に対する殺菌作用だけでなく,細菌の病原性発現を抑制すること,さらには宿主の過剰な免疫反応を抑えるという抗炎症作用まで含めた新しい考え方も重要であることが明らかになってきていると考える。マクロライド系抗菌薬クラリスロマイシンは代表的な炎症性サイトカインの一つであるインターロイキン(IL)-8の産生を抑制することにより気道局所への好中球の浸潤を抑制する。この抑制は免疫抑制効果ではなく,過剰になった免疫能を正常レベルに戻す免疫調節作用を介した抗炎症作用であることが示唆された。

原著
  • 天野 綾子, 松崎 薫, 岸 直子, 小山 英明, 長谷川 美幸, 池田 文昭, 松本 卓之, 山口 広貴, 奥谷 幸裕
    2013 年66 巻6 号 p. 311-330
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー

    2012年1月~12月に全国の医療機関において採取された各種感染症患者由来検体より分離した好気性菌および嫌気性菌1,620株を試験菌として,キノロン系抗菌薬(Sitafloxacin(STFX),Levofloxacin(LVFX),Moxifloxacin(MFLX),Garenoxacin(GRNX)),セフェム系およびマクロライド系の各種経口抗菌薬のMICを,Clinical and Laboratoary Standards Institute(CLSI)に準拠した微量液体希釈法により測定した。

    Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus(MSSA)に対するSTFXのMIC90は0.5𝜇g/mLでGRNXの1/2, MFLXの1/4, LVFXの1/16であった。Streptococcus pneumoniaeに対してSTFXは,Penicillin Gに対する感受性に関わらず0.06𝜇g/mL以下ですべての株の発育を阻止し,そのMIC90は0.03𝜇g/mLであり,GRNXの1/2,MFLXの1/4, LVFXの1/32であった。Streptococcus pyogenesに対するSTFXのMIC90は0.06𝜇g/mLであり,GRNXの1/2, MFLXの1/8, LVFXの1/32であった。Enterococcus faecalisに対するSTFXのMIC90は2𝜇g/mLであり,GRNXの1/4,MFLXの1/8, LVFXの1/32であった。腸内細菌科の菌種に対するSTFXのMIC90は,Escherichia coliでは2𝜇g/mL,他の菌種では0.03~1𝜇g/mLであり,何れの菌種に対しても測定したキノロン系抗菌薬の中で最も低値を示した。また,Pseudomonas aeruginosaの尿路由来株に対するSTFXのMIC90は4𝜇g/mLであり,GRNX,MFLXおよびLVFXの1/32であった。P. aeruginosaの呼吸器由来株に対するSTFXのMIC90も4𝜇g/mLで,GRNX, MFLXおよびLVFXの1/8~1/16であった。Haemophilus influenzaeに対してSTFXは0.004𝜇g/mL以下ですべての株の発育を阻止し,そのMIC90はGRNXの1/4, MFLXの1/16, LVFXの1/8であった。Moraxella catarrhalisに対するSTFXのMIC90は0.015𝜇g/mLで,GRNXと同等,MFLXおよびLVFXの1/4であった。その他,各種偏性嫌気性菌に対してもSTFXのMIC90は0.03~0.25𝜇g/mLと今回測定した薬剤の中で最も低値を示した。2012年臨床分離株に対するSTFXの抗菌活性を他のキノロン系抗菌薬と比較した結果,グラム陽性菌には同等あるいはそれ以上,グラム陰性菌および偏性嫌気性菌には最も高い抗菌活性を有していた。

  • 後藤 元, 武田 英紀, 河合 伸, 渡邊 卓, 岡崎 充宏, 島田 馨, 佐藤 哲夫, 森 健, 近藤 成美, 木戸 健治, 小栗 豊子, ...
    2013 年66 巻6 号 p. 331-355
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー

    2006年10月~2007年9月の間に全国14医療機関(Table 1)において,呼吸器感染症患者(上気道感染症患者を除く)356例から採取された検体を対象とし,分離菌の各種抗菌薬に対する感受性及び患者背景などを検討した。これらの検体(主として喀痰)から分離され,起炎菌と推定された細菌414株のうち,407株について薬剤感受性を測定した。主な分離菌の内訳は,Staphylococcus aureus 64株,Staphylococcus pneumoniae 96株,Haemophilus influenzae 87株,非ムコイド型Pseudomonas aeruginosa 52株,ムコイド型P. aeruginosa 11株,Klebsiella pneumoniae 20株,及びMoraxella catarrhalis 44株であった。

    S. aureusのうち,Oxacillin(MPIPC)のMICが2𝜇g/ml以下の株(Methicillin感受性S. aureus: MSSA)及びMPIPCのMICが4𝜇g/ml以上の株(Methicillin耐性 S. aureus: MRSA)は,それぞれ27株(42.2%)及び37株(57.8%)であった。MSSAに対しては,Imipenem(IPM)の抗菌力が最も強く,0.063𝜇g/ml以下で全株の発育を阻止した。MRSAに対しては,Vancomycin(VCM)及びLinezolid(LZD)の抗菌力が最も強く,いずれも1𝜇g/mlで全菌株の発育を阻止した。S. pneumoniaeに対する抗菌力は,カルバペネム系抗菌薬が良好であり,特にPanipenem(PAPM)は0.063𝜇g/ml以下で全菌株の発育を阻止した。IPM及びFaropenem(FRPM)の抗菌力も良好で,それぞれ0.125𝜇g/ml及び0.5𝜇g/mlで全菌株の発育を阻止した。一方で,Erythromycin(EM)及びClindamycin(CLDM)では,高度耐性株(MIC: >128𝜇g/ml)が,それぞれ44株(45.8%)及び20株(20.8%)検出された。H. influenzaeに対する抗菌力はLevoflaxacin(LVFX)が最も強く,そのMIC90は0.063𝜇g/ml以下であった。ムコイド型P. aeruginosaに対しては,Meropenem(MEPM)が最も強い抗菌力を示し,そのMIC90は0.5𝜇g/mlであった。非ムコイド型P. aeruginosaに対しては,Tobramycin(TOB)が最も良好な抗菌力を示し,そのMIC90は2𝜇g/ml であった。K. pneumoniaeに対する抗菌力は,Cefozopran(CZOP)が最も強く,0.063𝜇g/ml以下で全菌株の発育を阻止した。M. catarrhalisに対しては,Ampicillin(ABPC)を除くいずれの薬剤も比較的強い抗菌力を示し,MIC90は2𝜇g/ml以下であった。

    呼吸器感染症患者の年齢分布は,70歳以上が全体の50.6%と半数以上を占めた。疾患別では,細菌性肺炎及び慢性気管支炎の頻度が高く,それぞれ49.2%及び28.1%であった。細菌性肺炎患者から多く分離された菌は,S. pneumoniae(29.2%),S. aureus(20.8%)及びH. influenzae(12.9%)であり,慢性気管支炎患者においては,H. influenzae(25.0%)及びP. aeruginosa(21.7%)の分離頻度が高かった。抗菌薬投与前の呼吸器感染症患者から多く分離された菌は,S. pneumoniae及びH. influenzaeで,その分離頻度はそれぞれ27.5%及び22.5%であった。前投与抗菌薬別に分離菌種を比較したところ,マクロライド系抗菌薬が前投与されていた患者からP. aeruginosaが多く分離され,その分離頻度は39.4%であった。

  • KAYOKO MATSUMOTO, NOBUO SATO, NAYU MITOMI, SHIGEKI SHIBASAKI
    2013 年66 巻6 号 p. 357-375
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2024/10/01
    ジャーナル フリー

    Population pharmacokinetic analysis was conducted on cefditoren pivoxil (CDTR-PI, Brand name: MEIACT, Meiji Seika Pharma Co., Ltd.), a third generation oral antibiotic, using plasma concentrations of cefditoren (CDTR, total number of sampling points: 578) obtained from pediatric patients (153 subjects, dose: 5.62±1.62 mg/kg) after CDTR-PI administration as well as demographic data of those subjects. NONMEM (Ver. VI Level 2.0) was used as software. The first-orer confitional estimation (FOCE) method without interaction was employed as algorithm. A one-compartment model with first-order absorption was used as pharmacokinetic model. As the result of analysis, the following population pharmacokinetic parameters were obtained for CDTR.

    Population mean parameters: ka (hr-1)=0.527, CL/F (L/hr/kg)=-0.474×Scr+0.82, Vd/F (L/kg)=0.77, Tlag (hr)=0.282×(1+0.435×NAT) (NAT: 0=Japan, 1=USA, interindividual variability: ω(ka)=17.23%, ω(CL/F)=33.02%, ω(Vd/F)=86.66%, intraindividual residual variability: σ=0.428𝜇g/mL.

    Bayes estimation was carried out for each subject using the final model to calculate secondary parameters such as Cmax, Tmax, AUC, and t1/2. Cmax and AUC increased significantly with dose. However, Tmax was approximately 2 hours and t1/2 was approximately 1 hour at any dose level, showing no significant dose-dependent changes. When CDTR-PI was administered orally to a child, a significant increase was noted in plasma CDTR concentrations, suggesting high efficacy. In addition, pharmacokinetics of CDTR were simulated in patients with renal impairment using the final model. As a result, a delay in Tmax and increases in AUC, Cmax, and t1/2 were presumed with increased Scr, and the degrees of such increases were also quantitatively estimated.

    As mentioned above, the population pharmacokinetic parameters of CDTR were obtained, which is sure contribute to simulation of its plasma concentrations in patients with various backgrounds and to speculation of its efficacy and safety.

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