The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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バーチャルイシュー
69 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 山口 惠三, 舘田 一博, 大野 章, 石井 良和, 村上日 奈子
    2016 年69 巻1 号 p. 1-25
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    我々は,1994年以降継続的に抗菌薬感受性サーベイランスを実施しており,今回は2013年に日本国内69施設から分離された臨床分離株19菌種11,762菌株の抗菌薬感受性試験を,フルオロキノロン系薬(FQ系薬)を中心とした33薬剤を対象に実施した。呼吸器感染症の主要原因菌種であるStreptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Moraxella catarrhalis, Haemophilus influenzaeは,FQ系薬に対し高い感受性を保持していた。一方,マクロライド系薬に対する耐性率は,S. pneumoniae で約8割と顕著に進行していた。H. influenzaeにおいては,2002年以降β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性H. influenzae の分離頻度は経年的に上昇していたが,2010年から2013年にかけて上昇は認められなかった(2002年:25.8%, 2004年:40.0%, 2007年:50.1%, 2010年:57.9%, 2013年:57.1%)。腸内細菌科細菌はFQ系薬に対して高い感性率を示したが,Escherichia coliにおいては中等度耐性を含めた耐性株(MIC≧4 μg/mL)の分離頻度はlevofloxacinで34.4%であり,経年的な上昇が継続していた。一方,同じ腸内細菌科細菌のKlebsiella pneumoniae に関しては,E. coli と異なり,FQ耐性率は低かった。メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)のFQ系薬に対する感性率はsitafloxacinで55.3%,その他のFQ系薬に対して15.8~18.0%であったが,メチシリン感性S. aureusのFQ系薬に対する感性率は87.0~99.3%であった。Enterococcus faeciumのFQ系薬に対する感性率は6.8~24.7%であった。Pseudomonas aeruginosa のFQ系薬に対する感性率は,尿路感染症由来株が83.4~89.3%,呼吸器感染症由来株が88.1~93.7%といずれも80%以上であった。特に尿路感染症由来株ではFQ耐性率の経年的な減少が認められた。多剤耐性P. aeruginosa の分離頻度は2007年から経年的に低下しており,本サーベイランスでは尿路感染症由来株で1.6%,呼吸器感染症由来株で多剤耐性株は認められなかった。Acinetobacter spp. はFQ系抗菌薬に対し高い感性率を示した。Imipenem耐性株は2.7%(14株)認められ,多剤耐性Acinetobacterの分離頻度は0.2%(1株)であった。Neisseria gonorrhoeae のceftriaxone(CTRX)に対する感性率は2007年まで100%を保持していたが,2010年の調査に続き今回の調査でもCTRX耐性株が認められた。

    以上,今回の感受性調査において,臨床での使用が20年以上経過したFQ系薬に対し,メチシリン耐性staphylococci, E. faecium, N. gonorrhoeae, E. coliは耐性率が30%以上(31.7~87.1%)であったが,過去の成績と大きな違いはなく,著しい耐性化の進行を認めた菌種はなかった。その他の菌種では,ciprofloxacinで感性率が80%を下回る菌種が一部認められたが,その他のFQ系薬では80%以上の感性率が保持されていた。

  • 小阪 直史, 山田 幸司, 木村 武史, 児玉 真衣, 藤友 結実子, 中西 雅樹, 小森 敏明, 四方 敬介, 藤田 直久
    2016 年69 巻1 号 p. 27-40
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    レスピラトリーキノロンは,広域スペクトラムを有する抗菌薬であり,市中感染症を始め院内感染症に幅広く用いられている。しかし,キノロン耐性菌の増加が問題となっている。今回,当施設において臨床分離された9菌種について,Garenoxacin(GRNX),Levofloxacin(LVFX),Sitafloxacin(STFX),Moxifloxacin(MFLX)に対する薬剤感受性を調査し,モンテカルロシミュレーションを用いて,これらの細菌に対するPharmacokinetics-Pharmacodynamics(PK-PD)による有効性の評価を行った。また,腎排泄型であるGRNX,LVFX,STFXについては,その有効性に対して腎機能が与える影響についても評価した。薬剤感受性調査は,9菌種(Streptococcus pneumoniae:15株,Streptococcus pyogenes:14株,Streptococcus agalactiae:19株,Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA):24株, Escherichia coli:35株, Haemophilus influenzae:17株, Klebsiella pneumoniae:14株, Pseudomonas aeruginosa:31株,Moraxella catarrhalis:11株)で行った。LVFXは最もグラム陽性球菌に対して耐性化しており,S. pneumoniaeS. pyogenesS. agalactiae,MSSAのMIC90は,それぞれ2,16,>16,8 μg/mLであった。グラム陰性桿菌では,E. coliの感受性が低下しており,GRNX,LVFX,STFX,MFLXのMIC90は,それぞれ>16,16,1,16 μg/mLであった。キノロン系抗菌薬における有効性の指標となるPK-PDパラメーター( f・AUC/MIC)を用いて各レスピラトリーキノロンのターゲット値達成率をシミュレーションしたところ,S. pneumoniaeについては86.9~100%の高い達成率を示したが,E. coliでは52.1~66.2%と低値となった。また,クレアチニンクリアランス(CLcr)の上昇により,S. pneumoniaeS. pyogenesS. agalactiae に対するLVFXの有効性は低下傾向を示し,MSSAについてはLVFXとSTFXの両剤で低下傾向を示した。これらのことから,同一菌種であっても各レスピラトリーキノロンにおける薬剤感受性分布は異なり,その期待される有効性についても薬剤間で異なる可能性が示唆された。また,腎排泄型の3剤(GRNX, LVFX, STFX)においても,患者腎機能から受ける影響が異なることが示唆された。レスピラトリーキノロンの投与においては,地域の感受性サーベイランスや患者背景による薬物動態的特徴を考慮した選択が望まれる。

  • IRINA PARTINA, OLGA KALINOGORSKAYA, SATOSHI KOJIMA, VLADIMIR GOSTEV, M ...
    2016 年69 巻1 号 p. 41-51
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    A total of 473 strains of Enterobacteriaceae, including Escherichia coli, Klebsiella spp., Proteus spp., Citrobacter spp., Enterobacter spp., Serratia spp. and Providencia spp., were isolated from patients admitted to intensive care units and surgical units in Russia. About 90% of the isolates carried factors resistant to betalactams. The isolation rates of the extended-spectrum beta-lactamase (ESBL) producer defined in this study among E. coli, Klebsiella spp. and Proteus spp. were 45%, 48% and 17%, respectively. In the settings with high prevalence of the ESBL producer, flomoxef, which belongs to the oxacephem subgroup, and carbapenems retain their activity. The MIC50 of flomoxef, meropenem and imipenem against total isolates were 1 μg/mL, ≤0.063 μg/mL and 0.25 μg/mL, respectively. Fifty-five carbapenem-resistant strains were isolated in this study. The carbapenem resistant rates of E. coli, Klebsiella spp. and Proteus spp. were 3%, 16% and 29%, respectively.

  • 片岡 裕史, 笠原 浩, 笹川 裕次, 松本 正人, 島田 誠也
    2016 年69 巻1 号 p. 53-76
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    経口用カルバペネム系抗菌薬であるTebipenem pivoxil小児用細粒(オラペネム®小児用細粒10%)の肺炎,中耳炎および副鼻腔炎を対象とした使用成績調査を2010年4月から2013年3月まで実施し,安全性,有効性を検討した。

    3,547例が登録され,そのうち調査票を回収した3,540例について解析を行った。3,540例の内訳は,安全性解析対象症例が3,331例,有効性解析対象症例が2,844例,臨床効果解析対象症例が2,769例,細菌学的効果解析対象症例が461例であった。副作用発現率は9.97% (332/3,331例)であり,主な副作用は下痢などの「胃腸障害」が317例(9.52%)であった。「下痢」は313例(316件)発現したが,全て非重篤であり,94.9% (297/313例)が回復または軽快した。

    有効率は94.0% (2,604/2,769例)であり,肺炎95.6% (415/434例),中耳炎93.7%(1,389/1,482例),副鼻腔炎93.6%(659/704例)であった。小児の肺炎,中耳炎,副鼻腔炎の主要な原因菌であるStreptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, MoraxellaBranhamellacatarrhalisの菌消失率はそれぞれ94.4%(134/142株),92.2% (130/141株),97.8% (45/46株)であった。

    服用性については,易服用率は83.1% (2,767/3,331例)であり,良好な結果であった。

    以上,本剤の安全性について問題は認められず,有効性も十分な効果が示された。服用性も良好であり,小児の肺炎,中耳炎および副鼻腔炎に対して有用な薬剤であることが確認できた。

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