The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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バーチャルイシュー
69 巻, 3 号
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原著
  • 坂田 宏
    2016 年69 巻3 号 p. 125-130
    発行日: 2016/06/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    2012年4月から2015年3月までの3年間に,胸部X線で肺炎像を認め,CRPが3.0 mg/dL以上を示した34例の肺炎の小児において,tebipenem pivoxil(TBPM-PI)を4 mg/kg/回,1日2回で3日間投与した患者のカルテを後方視的に検討して,臨床効果を評価した。患者の年齢は生後6か月から8歳であった。血清CRPは3.06 mg/dLから14.25 mg/dLの範囲であった。すべての患者で,投与開始後24時間以内に解熱を認め,呼吸器症状も3日から5日間で改善した。終了時の検査で30例中28例はCRPが陽性であったが,終了後に肺炎が悪化した患者は認めなかった。副作用として,下痢を8例(23.5%)に認めた。TBPM-PIの3日間投与は小児の肺炎に極めて有用な治療方法と考えられた。

  • 天野 綾子, 岸 直子, 小山 英明, 松崎 薫, 松本 哲, 内納 和浩, 山口 広貴, 横溝 亜紀, 水野 正巳
    2016 年69 巻3 号 p. 131-142
    発行日: 2016/06/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    2009年~2014年に全国の医療機関において採取された検体より分離した非定型菌(Mycoplasma pneumoniae, Legionella pneumophila, Chlamydia trachomatis, Chlamydophila pneumoniae)を試験菌として,キノロン系抗菌薬(Sitafloxacin(STFX),Levofloxacin(LVFX),Moxifloxacin(MFLX),Garenoxacin(GRNX))およびマクロライド系抗菌薬(Azithromycin, Clarithromycin)のMICを測定した。

    M. pneumoniae(14株)に対するSTFXのMIC90 は0.03 μg/mLで,GRNXと同等,MFLXより2管,LVFXより4管低値であった。M. pneumoniaeのマクロライド系抗菌薬に対する感受性の低下した株が14株中9株で認められた。L. pneumophila(15株)に対するSTFXのMIC90は0.004 μg/mLでGRNXおよびLVFXより1管,MFLXより2管低値であった。また,C. trachomatis(5株)およびC. pneumoniae(5株)に対するSTFXのMIC rangeは各々0.015~0.03 μg/mLと0.03~0.06 μg/mLであった。

    我々は,非定型菌の収集期間と同時期の2009年および2012年に,STFXの適応菌種を対象として日本全国から収集された臨床分離株(一般細菌)の各種抗菌薬に対する感受性調査を実施している。今回それらの結果(Jpn. J. Antibiotics 63: 411~430, 2010, 66: 311~330, 2013)を用いて,STFXに対する一般細菌の経年的な感受性の変化を比較した。その結果,Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus(MSSA),Streptococcus spp. とEnterococcus faecalis の3菌種に対するSTFXの経年的なMIC90の上昇が認められたが,その他の菌種のSTFXに対する感受性に大きな経年変化は認められなかった。

    以上, STFXは非定型菌(M. pneumoniae, L. pneumophila, C. trachomatis, C. pneumoniae)に対して,強い抗菌活性を示すことが確認された。また,MSSA, Streptococcus spp. とE. faecalisを除くグラム陽性菌,グラム陰性菌,嫌気性菌のSTFXに対する耐性化傾向は認められなかった。

症例報告
  • 加藤 秀雄, 萩原 真生, 浜田 幸宏, 小泉 祐介, 西山 直哉, 山岸 由佳, 松浦 克彦, 三鴨 廣繁
    2016 年69 巻3 号 p. 143-150
    発行日: 2016/06/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    ボリコナゾール(VRCZ)は広域な抗真菌スペクトルを有するアゾール系の深在性真菌症治療薬の一つであり,有害事象として肝障害の他に中枢性症状(幻覚・幻視),視覚障害が報告されている。そこで,VRCZの投与中に中枢性症状をきたした4例および視覚障害をきたした2例について,臨床的経過を精査した。

    症例1(68歳女性)はVRCZの投与4日目に幻覚の訴えがあり,VRCZの投与を終了した後に幻覚は消失した(VRCZの血中トラフ値の測定はなし)。症例2(81歳男性)はVRCZの内服をした翌日に幻視の訴えがあったため,VRCZの投与を中止したところ,幻視は消失した(投与を開始した当日のVRCZの血中トラフ値;0.09μg/mL以下)。症例3(67歳男性)はVRCZの投与を開始した翌日に幻覚が出現したが,投与は継続され,次第に幻覚は消失した(VRCZの投与開始から4日目の血中トラフ値;3.79μg/mL)。症例4(68歳女性)はVRCZの投与42日目に幻視が認められ,VRCZの投与を中止した後,幻視症状は消失した(VRCZの投与開始から42日目の血中トラフ値;1.28μg/mL)。症例5(76歳男性)はVRCZの投与3日目に色視症の訴えがあり,VRCZの投与量を減量した後,色視症の改善が認められた(VRCZの投与開始から3日目の血中トラフ値;7.49μg/mL)。症例6(15歳女性)はVRCZの投与9日目に羞明が認められ,VRCZの投与量を減量した後,羞明は消失した(VRCZの投与開始から25日目の血中トラフ値;4.45μg/mL)。

    VRCZによる中枢性症状(幻覚・幻視),視覚障害は,投与開始の早期に出現し,投与継続中または中止後に消失した。したがって,VRCZの投与を開始した早期の患者では,その血中濃度の高低に関わらず中枢性症状(幻覚・幻視),視覚障害の出現について注意深く観察する必要がある。また,VRCZの血中トラフ値が指標域内(1~5μg/mL)の濃度でも中枢性症状(幻覚・幻視),視覚障害を認められたが,特に,視覚障害を発現した症例のVRCZのトラフ値は,視覚障害を発現しなかった症例のトラフ値より高い値を示した。そのため,VRCZによる視覚障害は血中濃度がリスク因子として関与する可能性が考えられた。

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