The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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バーチャルイシュー
69 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 八木澤 守正, PATRICK J. FOSTER, 黒川 達夫
    2016 年69 巻4 号 p. 221-234
    発行日: 2016/08/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    我が国において,優れた品質の抗生物質医薬品の医療現場への供給は,国民の健康維持に貢献してきた。本報においては,製造工程における品質管理の指針とされてきた個別の抗生物質医薬品に係る品質基準の制定と改定に関する調査・解析の結果を著述した。

    1947年5月に制定された「ペニシリン基準」は,我が国の技術水準を勘案した緩やかな規定であったが,製造技術の急速な発展と新しい製剤の開発に対応した数回の改定が行われ,より厳格な基準となった。

    1949年12月に制定された「ストレプトマイシン基準」は,米国からの輸入製剤を用いて規格を定めており,第3の「ジヒドロストレプトマイシン基準」および第4の「クロラムフェニコール基準」は米国食品医薬品局の検定規則を準用した規定であった。

    抗生物質医薬品の種類と品目数の増加に伴い,既存の個別基準と新たに制定された基準を統合した「抗菌性物質製剤基準」が制定され,その後,科学技術の革新と抗生物質医薬品の国際化に対応して「日本抗生物質医薬品基準」へと発展し,高品質の製品を供給するための規範とされてきた。

  • MORIMASA YAGISAWA, PATRICK J. FOSTER, TATSUO KUROKAWA
    2016 年69 巻4 号 p. 235-256
    発行日: 2016/08/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    In order to investigate the roles of quality requirements for antibiotics products in Japan, from historical and hygienic aspects, we examined how technology and knowledge in the production and quality control of streptomycin were introduced from the United States of America.

    In this study, through detailed investigations and analyses, it was confirmed that the introduction of technology and knowledge on streptomycin was strongly supported by Brigadier General CRAWFORD SAMS, the chief of the Public Health and Welfare Section (PHW) of the Supreme Commander for Allied Powers/General Headquarters, via the Ministry of Welfare in Japan.

    Dr. SELMAN WAKSMAN, the discoverer of streptomycin, along with scientists of Merck & Co., also helped Japanese industries extensively, via PHW, by providing the original streptomycin-producing strains and transferring expertise in streptomycin production.

    With the technology and knowledge being introduced from the USA, domestic production of streptomycin preparations increased very rapidly. As noted in our previous report, domestic production reached amounts enough to satisfy national demand within three years. Japanese people have a racial tendency to be highly susceptible to tuberculosis known as an incurable national disease. Thanks to streptomycin therapy, the tuberculosis mortality rate (per 100,000 population) had fallen dramatically within only five years from 187.2 in 1947 to 82.2 in 1952.

  • 吉田 未識, 森田 慶紀, 石和田 稔彦, 地引利 昭, 金澤 正樹
    2016 年69 巻4 号 p. 257-264
    発行日: 2016/08/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    2014年3月から2015年2月の1年間に,急性下気道感染症で当院に入院した全419症例を,ヒトメタニューモウイルス群(35例),RSウイルス群(145例),陰性群(239例)にわけ,患者背景,各種検査結果,臨床症状について比較検討を行った。その結果,ヒトメタニューモウイルス群では,RSウイルス群における喘鳴のような特徴的な臨床症状に乏しいが,高熱や強い全身状態不良を契機として入院となる重症例が多いこと,発症時期や家族歴などが診断の参考となることなどが示唆された。また,4割以上のヒトメタニューモウイルス感染症症例が肺炎像を呈さず,「6歳未満の,画像上肺炎が疑われる症例」という現行の迅速抗原検査適用対象については再検討の余地があると考えられた。

  • 菅野 利恵, 高田 利彦, 千手 奈美, 高山 吉弘, 井田 孝志
    2016 年69 巻4 号 p. 265-290
    発行日: 2016/08/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    経口用カルバペネム系抗菌薬tebipenem pivoxil(TBPM-PI:オラペネム®小児用細粒10%)の特定使用成績調査を,tebipenem(TBPM)に対する感受性変化を検討する目的で実施した。2010年4月から2015年3月まで隔年毎に,全国の医療機関15施設において小児患者より分離されたメチシリン感性Staphylococcus aureus(MSSA:303株),Streptococcus pneumoniae(554株),S. pneumoniaeを除くStreptococcus spp.(242株:うちStreptococcus pyogenes 133株),Moraxella catarrhalis(306株)及びHaemophilus influenzae(506株)を使用した。調査は3回実施され(2010年4月~2011年3月,2012年4月~2013年3月,2014年4月~2015年3月),いずれの調査期間においても,年齢構成別では乳幼児からの分離頻度が多かった。

    3回の調査におけるMSSA, S. pneumoniae, S. pneumoniae を除くStreptococcus spp., M. catarrhalis及びH. influenzaeに対するTBPMのMIC90 は,0.015~0.03, 0.06, 0.008~0.015(S. pyogenes に対して0.002),0.03及び0.5~1μg/mLといずれも2倍以内であり,MIC90 の顕著な上昇は認められなかった。一方,S. pneumoniaeに対するTBPMを含むカルバペネム系及びペニシリン系抗菌薬のMIC50 は調査期間中で1/4~1/8に低下しており,ペニシリン結合蛋白質(PBP)をコードする遺伝子pbp1a, pbp2x, pbp2bに変異を有するgPRSPの減少(48.7%→26.1%)とpbp2xのみに変異を有するgPISP(2x)の増加(24.1% → 46.8%)が関与することが示唆された。また,S. pneumoniae においては薬剤排出蛋白質をコードする遺伝子mefAによるマクロライド耐性株の減少(38.5%→18.8%)とマクロライド系抗菌薬の標的部位であるリボソームのジメチル化に関与する遺伝子ermBによるマクロライド耐性株の増加(41.7% → 62.4%)が認められた。H. influenzae において,β-ラクタマーゼ非産生でPBP3をコードする遺伝子ftsIのKTGとSSN領域変異を有するgBLNAR及びβ-ラクタマーゼ産生株の分離頻度は,それぞれ60~70%及び7~9%程度であり,いずれの抗菌薬においても顕著な感受性変化は認められなかった。

    今回,特定使用成績調査として小児患者由来の臨床分離株の感受性を測定した結

    果,TBPMに対する感受性の低下は認められなかった。

研究報告
  • 宮崎 成美, 山岸 由佳, 和泉 孝治, 川嶋 洋介, 末松 寛之, 三鴨 廣繁
    2016 年69 巻4 号 p. 291-298
    発行日: 2016/08/25
    公開日: 2024/08/10
    ジャーナル フリー

    性器クラミジア感染症および淋菌感染症の検出法としては,核酸増幅法(遺伝子検査法)が感度の高い方法として推奨されている。我々は,約1時間で遺伝子検査を実施可能な全自動遺伝子解析装置GENECUBE(東洋紡株式会社)を用いた遺伝子検査法(以下GC法)の感度,特異度について,検査に2~4時間程度を要する既存検査法であるTMA法および免疫クロマトグラフィー法(クリアビュー クラミジア,クリアビュー ゴノレア,共にアリーア メディカル株式会社)と比較検討した。クラミジア・トラコマティス検出におけるGC法とTMA法との全体一致率は95.8%,陽性一致率は90.5%,陰性一致率は98.6%で良好な相関を示した。淋菌検出におけるGC法とTMA法との全体一致率,陰性一致率はいずれも100.0%で非常に良好な相関を示した。GENECUBEを用いたクラミジア感染症および淋菌感染症検査は,従来の核酸増幅法による検査と同等の結果が得られた。GENECUBEは約1時間で核酸抽出,核酸増幅,増幅産物の検出が可能であるため,従来よりも短時間での検査が可能になり,クラミジアおよび淋菌感染症の迅速な診断や治療に貢献することが期待される。

学術講演記録
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