The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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75 巻, 1 号
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総説
  • 輪島 丈明
    2023 年 75 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2023/03/25
    公開日: 2024/06/13
    ジャーナル フリー

    昨今,新型コロナウイルスが猛威を振るっているが,細菌感染症においては薬剤耐性菌が世界的な問題となっている。細菌感染症の治療薬である抗菌薬の評価は,従来人工培地を用いて行われてきた。一方で,人工培地を用いた評価と生体内での活性には乖離があることも知られている。このことは,これまで無効とされてきた化合物群にも生体内では効果があるものが含まれている可能性を示している。すなわち,ヒト生体内に近い条件で薬物の評価ができれば,この乖離を減らし,より正確な評価が可能となる。生体内に近い評価法として,動物実験がある。しかしながら,実験動物を用いた場合,種差の問題に加え倫理的な問題が生じる。そこで,近年ヒト由来の培養細胞を3次元構築した3次元ヒト組織モデルが注目されている。本モデルは,種差,倫理の問題がないことに加え,通常の人工培地や単層の培養細胞を用いた実験よりも生体内に近い。このモデルを用いて感染症をin vitroで再現し,感染モデルを用いて治療薬の評価をすることにより,ヒトの生体内に近い環境条件下で薬物の評価をすることができると考えられる。本稿では,3次元組織モデルの特徴や作成法に加え,我々が現在行っている呼吸器感染症起炎菌の感染モデルや今後の展望についてまとめる。

原著
  • 大西 由美, 久田 晴美, 野村 伸彦, 水永 真吾, 太田 浩敏, 波多野 正和, 八島 繁子, 宮嶋 友希, 山本 善裕, 飛田 征男, ...
    2023 年 75 巻 1 号 p. 10-21
    発行日: 2023/03/25
    公開日: 2024/06/13
    ジャーナル フリー

    2017年1月から2018年12月の期間に中部地方の医療施設で分離された呼吸器又は口腔由来嫌気性菌及び微好気性菌である口腔連鎖球菌の薬剤感受性について調査した。嫌気性菌については併せてβ-lactamase産生性を検討した。

    Prevotella 属のβ-lactamase産生率は54.9%であった。β-lactamase阻害薬配合ペニシリン系薬及びカルバペネム系薬に対するPrevotella 属の感性率は100%であったが,ceftriaxone(CTRX),moxifloxacin(MFLX)及びclindamycin(CLDM)に対する感性率はそれぞれ86.3%, 72.6%及び74.5%であった。また,マクロライド系薬であるclarithromycin(CAM)及びazithromycin(AZM)に対して感受性の低下した株が認められた。

    Fusobacterium 属のβ-lactamase阻害薬配合ペニシリン系薬,CTRX及びカルバペネム系薬に対する感性率は,いずれも100%であった。一方で,MFLX及びCLDMに対しては耐性株が認められた。CAM及びAZMの90%最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration: MIC90)は,それぞれ>64 μg/mL及び>16 μg/mLであり,抗菌活性の低下傾向が認められた。

    Parvimonas 属もFusobacterium 属と同様に,β-lactamase阻害薬配合ペニシリン系薬,CTRX及びカルバペネム系薬に対する感性率はいずれも100%であった。MFLXに対する感性率は92.3%であった。CAM, AZM及びCLDMのMIC90は,それぞれ>64 μg/mL, >16 μg/mL及び16 μg/mLであり,これらの薬剤に対しては感受性の低下傾向が認められた。

    微好気性菌であるStreptococcus anginosus groupに対しては,β-lactamase阻害薬配合ペニシリン系薬,CTRX及びカルバペネム系薬はいずれも良好な抗菌活性を示し,CTRX及びmeropenem(MEPM)に対する感性率は100%であった。キノロン系薬の抗菌活性はカルバペネム系薬と比較して弱かった。CAM及びAZMに対する感性率はいずれも74.2%であった。CLDMのMIC90は0.0625 μg/mLと良好な抗菌活性を示したが,耐性株が1株認められた。

    今回の検討では,呼吸器又は口腔由来嫌気性菌及び口腔連鎖球菌のβ-lactamase阻害薬配合ペニシリン系薬及びカルバペネム系薬に対する感受性は良好であったが,マクロライド系薬及びCLDMに対する感受性の低下傾向が認められた。今後も薬剤感受性動向を把握するために,継続的なサーベイランスが重要である。

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