The Journal of Antibiotics, Series B
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最新号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 小松 信彦, 須山 忠和
    1967 年 20 巻 6 号 p. 395-400
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新乳酸菌製剤Polylacton (ミドリ十字社製) は, 多種抗菌性物質に対して抵抗性を付与させた乳酸菌 (Lactobacillus acidophilus, Lactobacillus lactisおよびStreptococcus lactis) を腸溶性カプセルに封入した製剤であり, これを健康人に1回経口投与したばあい, 長期間 (4~10週) にわたつて服用者の糞便中に製剤由来の乳酸菌が検出されることが証明された1)。また製剤乳酸菌は腸内で著明に増殖することもみとめられている。したがつて, このように腸内に定着し増殖する乳酸菌が他の腸内細菌に対しどのような影響をおよぼすかを明らかにすることは, 乳酸菌製剤の効果を知るためにも興味あることであろう。
    一般に, 乳酸菌がある種の微生物に対して発育抑制的に作用することはかなり古くから知られており, その作用因子としては, 生成した乳酸によるものであろうとの推測がなされている2)。しかし, 一方では, 乳酸とは明らかに異なる因子として, 抗菌活性をもつ物質を乳酸菌培養濾液から得たという報告もある3, 4, 5)
    そこで, 今回われわれは, Polylacton中の乳酸菌を用いて, 混合培養によつてCandida albicansおよびStaphylococcus aureusに対する発育抑制効果をしらべ, さらに乳酸菌培養濾液を用いて, それがStaphylococcus auyeusおよびShigella sonneiの発育にどのような影響をおよぼすかを検討し, 若干の知見を得たので, ここに報告する。
  • とくにCephaloridineディスクについて
    我謝 充弘, 清水 喜八郎
    1967 年 20 巻 6 号 p. 401-405
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床細菌検査において, 感受性ディスクを用いる化学療法剤感受性検査が広くおこなわれていることは衆知のことである。ディスクを用いて正しい感受性測定をおこなうには, 使用する培地の組成, 培地のpH, 培地の厚さ, 接種菌量, 培養前の放置時間などを規定しておかなければならないが, これらの諸条件がみたされても, 抗生剤によつては, ディスクの保存状態が悪ければ正しい感受性測定をおこなうことが困難なことがある。また, ディスクのLot. 番号と関係なく, 感受性測定の成績は一致することが理想的であるが, 時おり, 著るしく異なることがある。近年開発されたCephaloridine (CER) について, 種々の保存状態における安定性, 主として3濃度ディスク (栄研) および1 濃度ディスク (昭和) を比較しながら, CERディスクの保存性について若干の実験をおこなつたので報告する。
  • 横田 芳武, 西 熈雄, 吉田 高子, 吉永 真智子
    1967 年 20 巻 6 号 p. 406-409
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本論文の要旨は, 昭和41年12月京都における第14回日本化学療法学会中日本支部総会において報告した。
    Chloramphenicol (CP) は, すぐれた抗生物質であるが, その副作用として大量, 長期投与のばあい, 重症でしかも致命的な血液疾患が生じることが知られている。この欠点を補う目的で, 種々の研究が広くおこなわれてきた。その結果, 1957年I. VILLAXがCP誘導の1つとして4分子のCPと1分子のパントテン酸カルシウムが結合した物質の合成に成功し, Pantofenicol (PANT) と命名された。その構造式は次のとおりである。
    PANTのLD50は, 動物実験によるとCPの2.7倍で, 肝によるアセチル化がCPより少く, 血中濃度の持続が良好であると述べられている。
    今回, 私どもはPANTの細菌学的基礎研究をCPと比較検討したのでその成績について報告する。
  • 北本 治, 深谷 一太
    1967 年 20 巻 6 号 p. 410-414
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Triacetyloleandomycin (TAOM) は, 1954年に分離されたOleandomycin (OM) のトリアセチル誘導体で, OMのもつ抗菌力を増加し, マクロライド系抗生剤の1員としてEMとともにひろく用いられている抗生剤である。剤型として, 従来からcoatingした錠剤 (タオシン) およびカプセル入り (マトロマイシンT) の2種があり, 主として成人用として用いられ, さらに顆粒またはDry syrup型のもの (タオシンシロップ) が小児用として市販されている。一方, EMには錠剤であつて風味をよくし, 噛み砕いて服用するいわゆるchewable tabletなるものが製作されて小児用に試用され, そのものの検討が報告されている1)。今度TAOMにも同様の試みがなされ試用を, その臨床的おこなう機会をえたので, 成績を報告する。
  • 高田 道夫, 森 操七郎, 萩原 璋恭
    1967 年 20 巻 6 号 p. 415-419
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    耐性菌の出現率がますます増加してきている現況では, 使用する抗生物質の選択に苦慮するような感染症に遭遇する機会も多く, このような傾向はグラム陽性菌に対して強い抗菌力があり, 耐性ブドウ球菌感染症に対して, 第1選択薬剤として使用されているOleandomycin (以下OMと略) においても例外ではない。
    したがつて本剤による内服治療のばあいよりも, より高い血中濃度を維持するだけの充分な量を投与しなければならない必要性に迫られるばあいもあり, 耐性ブドウ球菌感染症でなくても, 症状のより急速な改善が望まれるばあいもしばしばである。
    このような目的にかなう薬剤として, Oleandomycinの静注薬 (1バイアル中に燐酸オレアンドマイシン500mg含有) を使用する機会を得たのでその成績を報告する。
  • 岩田 豊治, 今 忠正, 久米 祥彦, 藤沢 純爾, 柿田 章, 西代 博之, 斎藤 修弥, 櫛田 正一, 小林 良二, 江端 英隆
    1967 年 20 巻 6 号 p. 420-423
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    胆道感染症は, その起炎菌決定の困難さ, さらには胆嚢造影不能例, 胆道系結石合併例, また反復する再発例等, 治療に困難をきわめることが, はなはだ多い。胆道感染症は衆知のように, 胆道系結石を伴なうばあいが少なくない。したがつて, 外科的治療の適応となる症例が比較的多い。一般的に, 外科的治療は, その間歇期が適応とされているが, しばしば, 急性腹症を呈するばあい, または, 急性症状期の症例に対して, 手術を施行しなければならないことがある。このようなとき, 術前および術後の管理に, または, 胆道系疾患に対する術後の感染予防として, 広範囲スペクトルをもち, 胆汁内排泄量の多い抗生物質を, 選択することが望ましい。
    1959年, BLACKWOOD等によつてOxytetracyclineから誘導されたMethacycline (Rondomycin ‘Pfizer’) は, 血中濃度, 抗菌効果, 副作用など多くの点で, 広範囲抗生物質である従来のTetracycline系薬剤とくらべて, 優れているとされている。
    われわれは, 胆道系疾患の外科的治療にさいして, 胆道感染症の治療および予防に対するMethacyclineの適性に関して検索し, さらに, 少数例ではあるが, 臨床的に使用し, 良効な成績を得たので報告する。
  • 占部 治邦, 名嘉真 武男
    1967 年 20 巻 6 号 p. 424-426
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カスガマイシン (以下KSMと略) は, 1964年梅沢浜夫博士らが奈良春日神社境内の土壌から分離したStreptomyces kasugaensisから得た抗生物質である。同博士らは, 本物質が稲イモチ病の病原菌Piricularia oryzaeに強い静菌作用をもつことを知り, さらに植物にたいして病原性のある真菌類および一部の白癬菌やカンジダ属にたいするin vitroの抗菌試験を試みている1)。
    KSMは, アミノ糖とイノシトールからなる配糖体で, その効力は酸性側においてよく安定しているといわれる。KSMは生体に筋注したばあい, その吸収排泄が非常にはやいうえ, 尿からの回収率がきわめて高く, そして毒性のすくないことが特徴で, そのため医薬としての応用が期待され, 臨床的にはとくに緑膿菌による尿路感染症の治療に卓効を示すことが報告されている2)。
    今回われわれは, KSMの各種病原真菌類にたいする抗菌スペクトルをしらべると同時に, 実験的Cryptococcus neoformans感染マウスの治療実験ならびに白癬の臨床的治験をおこなつてみたので, 以下その成績を報告する。
  • 高須 照男, 馬場 駿吉
    1967 年 20 巻 6 号 p. 427-432
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしい抗生物質の開発が各種感染症の治療に画期的な進歩をもたらしたことは, 今さらいうまでもないが, 一方, 耐性菌の出現も著るしく, 我々臨床医の悩みである。したがつて, これら耐性菌に高い抗菌力をもつ新抗生物質の研究開発がさらに望まれるのが現状である。
    我々は最近, 新抗生物質Cephaloridineを耳鼻咽喉科領域各種感染症に臨床応用し, その治療成績を検討するとともに, 2, 3の基礎的実験をおこなつたので, その結果を併わせてここに報告する次第である。
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