合成Cephalosporin C の腎毒性は, 動物の種類による変動が大きく, マウス, ラット, 猫, 犬などでは障害をみとめないが, ATKINSON
et al. によると, 家兎においてはCephaloridine の腎毒性が特につよいといわれている。 WELLES
et al.によると, 家兎に対するこの腎毒性は, 静注において特に著るしく, これは急激に血中濃度が高くなり, 腎内濃度が特に高くなるためではないかという。また, 梶本らは, CephalothinとCephaloridineには, 著るしい毒性差があることを明らかにしている。
一方, 臨床成績では, Cephalosporin C大量投与においても, 腎障害をきたすことはないと, ふつう考えられている。 しかし, Cephaloridine 1日7g以上の投与例で, 腎機能の障害を7例にみとめたという調査もあり, 真下らは, 本剤との因果関係は不明であるが, Cephaloridine投与中に乏尿の傾向が増大した1例を報告している。
このように, 合成Cephalosporin Cの腎毒性については, 見解に不詳の点が多いので, 私は, 腎障害の予想される症例や, 生体機能のlabilな新生児・胎児の化学療法にさいし, 腎毒性の発現を防止する目的で, 以下の動物実験をおこなつた。
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