The Japanese Journal of Antibiotics
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28 巻, 6 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 岡田 淳, 小酒井 望, 小栗 豊子
    1975 年 28 巻 6 号 p. 727-739
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 嫌気性菌の培養法, 同定技術の進歩によつて嫌気性菌感染症が世の注目を浴びるようになった。ことに, Bacteroides属は臨床材料から検出される頻度が高く, また常用抗生物質に耐性の菌株が増加しっっあることから, 嫌気性菌感染症の起炎菌として重要視されるようになった。このような状況の下で, 嫌気性菌感染症に対する化学療法は大きく変貌をとげようとしている。私達は, 過去10年間にわたつて, 臨床材料から分離された嫌気性菌の薬剤感受性をしらべ, その推移を検討し, そのつど報告してきたが1~3), 今回はそれらの成績を含め, 1965年から1975年5月までに実施した結果をまとめた。
  • 松本 慶蔵, 野口 行雄, 宇塚 良夫, 今岡 誠, 木村 久男, 西岡 きよ, 本田 一陽
    1975 年 28 巻 6 号 p. 740-744
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tetracycline系抗生物質は, 初期に開発された広範囲抗生物質であり, 作用域の広さおよび副作用の少ない点, またMycoplasma pneumoniaeに対する有効性など, 多くの利点をもち, これまで広範に使用されて聖た。しかし, 近年における病原性ブドウ球菌や大腸菌, 肺炎桿菌, 溶連菌等,次第にこれら薬物に対して耐性化がみられ, これら薬物の優れた作用は保持されつつも次第にTotracycline(TC)系抗生物質に対する評価は低下の傾向にあつたが, Doxycyclino, Minocyclineの両者は, 耐性ブドウ球菌に対して強力な抗菌力をもち, また従来TC系抗生物質の作用は静菌的であるといわれるのに対して, これら抗生物質は殺菌的に作用するとされ, かつ血中に長時間持続し, TC系抗生物質の最終到達物であるとの評価を受けている1~3)。最近, これら新TC系抗生物質の点滴用静注剤が開発され注目を浴びているが, Minocycline系抗生物質に関しては, 我々はすでに報告しており4), Doxycycline (DOTC) に対して,抗生物質中でのその位置を明らかにするため, Minocyclineとも対比しつつ, 基礎的方面から検討を加えたので報告する。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫
    1975 年 28 巻 6 号 p. 745-752
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    緑膿菌, 変形菌を含む広い抗菌スペクトルをもつ新らしい合成Penicillin剤であるSulfobenzylpenicillin (以下SB-PCと略記) 1) について, 臨床検査としてのディスク法による感受性測定法を検討したので報告する。SB-PCのように新らしく出現した薬剤の臨床的な感性, 耐性に相当する最小発育阻止濃度MIC値の基準は全く不明で, 多くの起因菌について得たMIC値と薬剤投与による臨床効果との集計の上に, 将来定められるべきものであり, したがつて適当に規定された実験条件でのMICを推定することが臨床的感受性検査の日的と考えられる。この目的にそうように, われわれは, 単一ディスク(Single-disc)を用いるMIC測定を含めた化学療法剤の感受性測定についてたびたび報告してきた2~5)。今回は, SB-PCについても本法が適用されるかについて検討した。
  • 冨永 健, 鄭 則之, 北村 正次, 東 淑子, 堀端 謙吉
    1975 年 28 巻 6 号 p. 753-757
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Bleomycin (Bleo, BLM) 7) は, 従来から主として扁平上皮癌の治療に用いられ, その抗腫瘍性は高く評価されている8)。しかし, 同じ上皮性悪性腫瘍である腺癌に対する効果については, 未だ十分な検討はなされていない。
    TOMINAGAら1)は, Bleoの1成分であるBLM-A5を, 7, 12-Dimethylbenz (a) anthracene (DMBA) でInducoしたラット乳癌に投与し, それがBleoの主成分であるB提LM-A2よりも高濃度に乳腺組織や他の腺組織中にとり込まれることを実証した。また, このBLM-A5がある程度, 乳腺腫瘍の増殖を抑制することも報告している.
    本実験は乳癌に対するBLM治療における基礎的研究の一環として, BLM-A2を主成分としBLM-A5を僅かに含有する市販Bleoを油性懸濁化した新剤型2, 3) で投与したばあいの腫瘍組織, 各臓器内への移行濃度および実験乳癌に対する作用を, 先ず第1歩として, 市販Bleoの水溶液と比較検討したものである。
  • 主として急性呼吸器感染症を中心に
    佐藤 幹弥, 松山 隆治, 宮田 亮
    1975 年 28 巻 6 号 p. 758-766
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Erythromycin (EM) は, 1952年McGUIRE1) 等によつて発見され, 主にグラム陽性菌, 一部のグラム陰性菌, リケッチア, スピロヘータ, 大型ビールス感染に有効なことが知られ, 特にマイコプラズマによる呼吸器感染症に対してEMが優れた治療薬であることは周知のとおりであり, すでにEMの誘導体Propionyloster等が発見されてきたが, 最近における抗生物質の進展は, 新抗生物質の発見応用の分野と同時に, 既知製剤の改良および新誘導体の製作による優秀製品の発見にむけられている感がある。
    今回, 大塚製薬において従来のステアリン酸エリスロマイシンをさらに製剤的に改良し, 生物学的有効性 (Bioavailability) を高める目的で腸溶性穎粒 (OE-7) が開発された。胃内滞留時間を短縮し, 胃酸による失活を防ぎ, より安定した血中濃度を得るのが目的である。
    我々は主として, 急性呼吸器感染症に対してOE-7の臨床治験をおこなう機会を得たので報告する。
  • 倉本 昌明, 石村 泰子, 森本 順子, 大久保 孝明, 李 雄毅, 大西 黎子
    1975 年 28 巻 6 号 p. 767-774
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tobramycinの30日間筋注時のラットにおける無作用章と, 30日間の投与中止期間を設けたばあいの変化の回復性を検討するために, 7.5, 15, 30挙よび120mg/kg/dayを雌雄のWistar系ラットに30日間連日大腿筋に注射した。Tobramycin 30mg/kg以上の投与群では, 体重の抑制, 腎重量の増加, 腎尿細管の変化がみられ, 120mg/kgでは赤血球パラメーターの減少もみとめられた。
    これらの変化は, 30日間の投与中止期間により, 120mg/kgの雌性群の腎重量を除き, すべて対照値に回復した。
    15mg/kg群では, 雄2/10例と雌1/10例に円形細胞浸潤を伴なう近位尿細管上皮の変性がみられただけで, 7.5mg/kg群では, 全例に変化をみとめなかつた。
    以上の成績から, Tobramycinの30日間筋注時のラットにおける最大無作用量は7.5mg/kg/dayであること, および30, 120mg/kg/dayの30日間投与によるラットの障害は30日間の投与中止により回復し得ることが知られた。
  • 中村 孝, 橋本 伊久雄, 沢田 康夫
    1975 年 28 巻 6 号 p. 775-777
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    塩酸Doxycycline (DOTC)は, 臓器への移行性および持続性の高い抗生剤1) として, 今日広く用いられているが, 正常臓器および組織には, 充分な量の移行がみられるとしても, これに炎症が加わり, 循環動態の変動を伴なう臨床上では, はたして治療上または感染防止の目的に充分な量のDOTCがその目的臓器組織に移行するかどうかは, 非常に興味ある問題といえよう。
    我々は, 台糖ファイザー社の提供によるDOTC静注液を昭和49年11月から50年4月までの外来および入院患者21例に使用し, 手術にさいして術前静注したDOTCが切除摘出組織内にどの程度移行しているかを検索し, 知見を得たので報告する。
  • 高平 好美, 内村 正幸, 武藤 良弘, 脇 慎治, 鮫島 恭彦
    1975 年 28 巻 6 号 p. 778-784
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    腸チフスの保菌者の内科的治療については, 従来からAmpicillin (AB-PC) 1日4.0~6.0gを1カ月あまり, 投与して, その除菌効果 (菌陰性化率) は60%程度といわれる1, 2)。
    Sulfobenzyl-penicillin (SB-PC) が合成PCの誘導体でAB-PCと類似の化学構造式をもつこと8), Salmonellatyphosaに対するMICは6.25μg/mlであり4), 有効な感受性を示し, SB-PC投与における腸tyチphoフs スの治療効果の報告がみあたらないこと等から, 腸チフス保菌者の2症例に投与を試みてその効果を検討した。
    なお, SB-PCの胆道系への移行性については, 外科で胆道疾患の手術後, 胆のう外痩およびT-tubeから胆汁の排泄がかなり多量にみられる症例を選択して抗生剤投与後の推移を検討した。
  • 出口 浩一, 小田 清次, 佐藤 佳子, 池田 よし子, 中村 保, 横沢 教子
    1975 年 28 巻 6 号 p. 785-794
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    グラム陰性桿菌が感染症のなかで, 主役として登場してすでに久しい。そして, グラム陰性桿菌にスペクトルと抗菌力をもつ各種の抗生物質が次々と開発されて来た。なかでも, 広域スペクトル合成ペニシリン剤, 合成セファロスポリンC系剤の使用頻度の高まり, 大量投与など, 従来のものと比較して質的に変化しつつある化学療法の現状のなかにあつて, これらの広域スペクトル抗生物質の抗菌力を正確に把握し, 耐性菌の推移を経時的に観察することの意義が高まつている。
    私たちは, 各種の抗菌性物質の試験管内抗菌力を, 臨床分離株を用いて検討しているが, 今度, 広域スペクトルをもつ3系6剤のグラム陰性桿菌の試験管内抗菌力を検討したので, 以下報告する。
  • 福島 修司, 藤井 浩, 北島 直登, 鈴木 充
    1975 年 28 巻 6 号 p. 795-801
    発行日: 1975/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性膀胱炎は, 日常の外来診療にあつては最も多い疾患で, われわれの所での年間外来統計でも全外来患者の1/4であり, 女性だけでは半数を占めるほどである。
    これまで本疾患は自覚症状と尿所見から診断されて, 抗生物質ないしは化学療法剤が投与され治療効果を挙げてきた。ところが, 時には治療効果の発現が遅かつたり, あるいは効果が現われず, 止むなく他剤に変更することもあった。「本症の治療にあたつては, 1日でも早く治癒できる薬剤を選択することが大切である」1)ことから, 感受性のある薬剤を投与することにあると思われるが, 最近のわれわれの所での初診時尿培養結果をみると, 大腸菌のDisc法による薬剤感受性分布ではGentamicin (GM), Nalidixic acid (NA), Ampicillin (ABPC), Carbenicillin(CBPC) などに高感受性を示している。
    そこで, ABPCときわめて類似した性状をもつていて, しかも経口投与で吸収性がよく, 同量内服でABPCより約2倍高い血中濃度が得られると報告2) されているAmoxicillin (AMPC) を使用する機会があったので, 尿路感染症患者から検出された細菌のAMPCのMICを測定するとともに, 実際にも内服させて治療効果を検討してみたので報告する。
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