抗生物質療法の発展は, 感染症の変貌をきたし, 難治性感染症としての, Gram陰性桿菌による感染症もその1つである。
Aminoglycoside系抗生物質や, 合成Penicillin系抗生物質のいくつかが, その治療薬として注目されており, さらに, それら抗生物質の併用作用は,
in vitro2~5, 8~24, 28, 30, 31, 34, 87, 40~47) での抗菌作用, 実験的感染症における治療効果3, 17, 26, 27, 33, 43) ならびに臨床応用などが報告6, 18, 23, 25, 31, 36, 39, 40, 41, 47) されている。
ところで, 抗生物質の併用作用について, 石山16) やJAWETZ17) らによって, 抗菌作用は併用する抗生物質の種類によつて, 協力, 平均および拮抗作用がみられ, また, 濃度によってそれらの作用は変貌し, さらに, 臨床効果ではさらに多面性となり, 一方, 抗菌像の拡大や副作用の軽減などが指摘されている。
他方, 併用時の生体内動態7, 10, 31, 38, 44) や不活性化されることは, 2, 3先人によつて報告7, 20, 88, 34, 35, 48, 44) されている。抗生物質併用のさいの力価測定は, 生物学的測定法として, 耐性菌などによるものが, その大部分1, 29) であり, 一部, 放射活性によるものもある。私どもは, 抗生物質併用時の生物学的材料を, Aminoglycoside系抗生物質が塩基性で, 合成Penicillinなどが酸性である点から考え, 濾紙電気泳動法によって分別したものについて, その生物学的活性を中心に検討した。
つぎに, 近時難治性抗生物質については, その臨床応用に静脈内持続注入が, しばしばおこなわれている。そこで, 生体内動態を検討するにあたつて, 抗生物質はすべて, 静脈注射とし, 生物学的半減期を中心にうかがうこととした。
In vitroで千渉作用 (主として不活性化) をさけるために, 併用する抗生物質は, 10分間隔で投与した。
なお, 静脈注射としたもう1つの理由は, 吸収などの因子を除くためである。
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