1963年WEINSTEINら1) によつて発表されたAminoglycoside系抗生剤Gentamicin (以下, GMと略す) は, 抗菌作用が広域ではあるが, 我国では主として
Pseudomonasおよび
Proteusによる感染症の治療に用いられている。
近来, 種々の抗生剤が開発されており, なかでも合成ペニシリン製剤およびセファロスポリン系の薬剤は, グラム陽性菌に対してばかりでなく各種グラム陰性菌に対しても抗菌作用をもち, 毒性が低いことから, 現在種々の感染症に対して広く用いられている。反面, これらの抗生剤に対する耐性菌も数多く発見され, 難治性感染症に対する適当な抗生剤の選択は, 患者の予後に対して, 重要な問題となつている。
Aminoglycoside系抗生剤は, GMも含めて, 未変化のままで高濃度が尿路系から排泄されることから, 尿路感染症には広く用いられている。
現在GMは,
Pseudomonasおよび
Proteusによる感染症に主として用いられているが, 前述のように, 各種抗生剤に耐性をもつ病原菌の発現もみられるので, GMを
Pseudomonasおよび
Proteusによる感染症に限らず, 主として難治性尿路感染症に使用した治療経験について,ここに記載する。
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