淋菌に対するSpectinomycinとPenicillin Gの抗菌作用を検討した。臨床分離淋菌に対する感受性は, Penicillin Gでは0.011~6.25μg/mlと幅広い範囲に分布を示し, 耐性菌もみとめられたが, Spoctinomycinでは3.13~12.5μg/mlに分布を示し, 約60%は6.25μg/mlの感受性を示し, Penicillin G耐性菌にも良好な感受性を示した。感受性相関は全くみとめられなかつた。
ブイヨン培地を用いた両薬剤の殺菌作用の検討では,Spoctinomycin 12.5μg/ml以上の添加によつて短時間内に著明な殺菌作用をみとめたが, Penicillin Gでは, 濃度に応じBactericidalまたはBacteriostaticな作用をみとめた。また, Penicillin GとSpectinomycinの併用についても検討をおこなつたところ, 両剤間に協力作用がみとめられ, 同時添加において最も著明な協力効果を観察することができた。
次に, これら両剤の抗菌作用像について走査電子顕微鏡による立体的な形態観察を行つた結果, Spectinomycin 6.25μg/mlの作用では, その形態にはほとんど変化がみとめられなかつたが, 62.5μg/mlの作用で菌体表層のあれや, 突起様構造物や突起用構造が遊離したような像を観察することができた。Ponicillin G 0.19μg/ml作用では, 1時間作用時に分裂阻害像が観察され, 時間の経過とともに菌体の膨化や溶菌像を観察でき, 1.9μg/ml作用では, これらの膨化, 溶菌像が早い時期に観察することができた。
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