The Japanese Journal of Antibiotics
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30 巻, 11 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 服部 春木, 若林 良, 草野 正一, 清水 節, 柿沼 利明
    1977 年 30 巻 11 号 p. 877-880
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本剤 (Broadcillin‘万有’) は, 主に筋肉内注射によって使用されてきた。 しかし, 大腿四頭筋短縮症の多数の報告は, 医療従事者, 特に小児科医にとって, 安易な筋肉内投与に対しての反省を強いることとなった。 また, 小児に対する経口的な抗生物質の投与は, 吸収および血中濃度の上昇が不確実であること, さらに小児の重症感染症では嘔吐, 下痢等の消化器症状が合併し, 経口投与不能なことが多いこと, および消化器症状を増悪させる危険性があること等の欠点があるため, 当院では, 感染症による入院患者については, 可能なかぎり静注による抗生物質投与を心掛けている。
    本剤についても, 従来の報告は, 投与方法を筋肉注射とするものが多いが, 我々は静脈注射による投与をおこない多少の症例を得たので, 効果, 副作用等の評価を加え, ここに報告する。
    今回は, 昨年度例数の多かった下気道感染症を中心に検討したが, これは尿路感染等と異なり, 原因菌の決定が困難であり, 咽頭培養による検出菌が下気道の炎症の原因菌 (たとえば, 胸水から培養された菌種) と異なることも多く, 必ずしも原因菌を反映しないということから, 広範囲のスペクトルをもつ本剤をFirst choiceとして使用し, 培養の結果によって, 必要があれば他剤との併用等を考えることとしている。
  • 林 正樹, 杉田 勝洋, 村田 良輔, 藤井 邦生
    1977 年 30 巻 11 号 p. 881-887
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefalexinは, 経口Cefhlosporin C系抗生物質として各科領城の各種感染症にすぐれた効果を示し, 副作用の少ない薬剤である。
    小児の各種感染症には, 専ら小児用Cefalexin製剤(以下CEXと略す)が, よく使用されている。 特に私達は, CEXの長期投与時における副作用について検討し, CEXは長期投与においても安全性にすぐれた抗生剤であることを実証した1)。
    CEXは, 経口投与によって, 高い血中・尿中濃度2)が得られるが, その持続時間は短く, 原則として1日4回6時間間隔の投与が必要である。
    小児用Cofalexin持続性顆粒剤 (以下S-6437と略す) は, CEXより血中・尿中濃度3)が長時間持続するよう製剤的に改良されたもので, 1g中「胃溶性顆粒3:腸溶性顆粒7」の割合に配合されたCefalexinの200mg (力価) を含有する。
    今回私達は, 塩野義製薬K.K.からS-6437の提供を受け, 朝夕食後1日2回12時間間隔投与の臨床を試み, その成績を得たので報告する。
  • 加藤 瑠璃子, 浅野 喜造, 都築 一夫, 岩山 精三, 伊東 重光
    1977 年 30 巻 11 号 p. 888-892
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    広範囲抗菌スペクトラムをもつCephalosporin C系抗生物質であるCephalexinは, 今日種々感染症に広く頻用されている。
    今回, 我々は塩野義製薬からCephalexinの胃溶顆粒と特殊のコーティングをほどこした腸溶穎粒を3:7に混合した経口用持続性製剤 (S-6437) の提供を受け, 臨床的に検討する機会を得たので, 小児の感染症に対する成績について報告する。
  • 竹中 正文, 谷村 弘, 鎌田 寿夫, 瀬戸山 元一
    1977 年 30 巻 11 号 p. 893-897
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefalosporin Cが1955年BURTON, ABRAHAMらによつて始めて分離され, 1961年, 彼らによつてその化学構造式が決定されて以来, 多数のCefalosporin系抗生物質が開発されて臨床応用されるに至つた。中でもCefalexin (以下CEX) は, 経口用Cefalosporin系抗生物質として最も優秀な薬剤である。その特徴は, 経口投与によつて高い血中濃度が得られ, その作用はPenicillinと同じく殺菌的であり, シャープな効果が得られることである。しかし, 10年近くの臨床経験から, 血中濃度がすみやかに上昇する代りに, すみやかに尿中へ排泄され, 血中濃度が急速に減少していく。CEXは, 尿路感染症にはきわめて優れた抗生物質であるが, 外科領域の感染症には頻回投与を必要とするのである。したがつて, 有効血中濃度以上を長時間持続し, CEXと同等またはそれ以上の効果を期待でき, 副作用はCEXと同等またはそれ以下になるような剤型が試案されて当然といえよう。
    今回, 塩野義製薬K. K. からCEXの胃溶顆粒と腸溶顆粒を3:7に混合したCefalexin持続性製剤 (S-6436) の提供を受けたので, 外科領域の感染症に使用し, 知見を得たのでここに報告する。
  • 紺屋 博暉, 黒田 治朗, 岩尾 典夫
    1977 年 30 巻 11 号 p. 898-905
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    尿路感染症は, 臨床医が毎日のように出合う一般的な疾患であり, そのため尿路感染症に対する抗生剤は, 数多く開発されている。なかでも, 経口用Cephalosporin C系抗生物質であるCefalexin製剤 (以下CEX製剤と略す) は, 有効性, 安全性に優れた薬剤であり, 泌尿器科領域の各種感染症によく使用されている製剤である。CEX製剤は, 経口投与後, 小腸上部から短時間に吸収され, 血中濃度は注射剤に匹敵するほど上昇するが, 尿中排泄が早く, 8時間以内に, 代謝されることなく大部分が排泄される1, 2)。
    S-6436は, 従来のCEX製剤より血中・尿中濃度が長く持続するよう, CEXの粉末を製剤的に胃溶性顆粒と腸溶性顆粒に改良し, 胃溶3, 腸溶7の比率で1カプセル250mg力価に配合したCEX製剤である。
    S-6436の血中・尿中濃度について検討した上田ら3) 真下ら4) の成績によれば, S-6436は1回500mg食後投与でCEX 1回250mg投与にくらべてCEX製剤の6時間から, S-6436では12時閥まで, 血中・尿中濃度が延長すると指摘されており, さらに1日量を従来のCEX製剤と同じにし, S-6436の服用回数を1日朝夕食後2回の投与でCEX製剤と同等以上の臨床効果が期待できると報告されている。
    今回我々は, S-6436を塩野義製薬K. K. から提供を受け, 尿路感染症に対する臨床を試み, そめ成績を得たので報告する。
  • 久保 敬一
    1977 年 30 巻 11 号 p. 906-910
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科診療において, 上気道感染は最もしばしば遭遇するものであり, 中でも膿栓または偽膜を伴なう急性扁桃・咽頭炎は, 細菌感染との関連が高率である疾患の1つである。
    今回, 抗生剤セファレキシンの持続性製剤(S-6435およびS-6436)をシオノギ製薬K. K.から提供を受け, 臨床的検討の機会を得たので, 扁桃・咽頭炎の患者を選び, 本剤の臨床効果および検出菌種とその感受性について検索をおこなつたので, その成績を報告する。
  • 沖田 和男, 佐藤 みち子, 早川 久仁子, 木村 和郎
    1977 年 30 巻 11 号 p. 911-915
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    皮膚科において多くみられる細菌感染症は, 節, 癰, 毛嚢炎などであり, 起炎菌はほとんどがStaphlococcus aureusである。
    Cephaloxinは, このStaphlococcus aureusに対して, その細胞壁生合成を阻害することによつて殺菌的に働き, かつ経口投与でよく吸収され, 皮膚にもよく移行するので, すぐれた抗生物質である1, 2)。しかし, Cephalexinは, よく吸収される反面, 排泄も速やかであり, 通常1日4回6時間毎の投与が必要とされている。しかし, 6時間毎の投与は, 実際上無理であり, 当皮膚科においでも1日4カプセル(1,000mg)を処方して, その服用は朝1, 昼1, 夕2カプセルと指示するのが普通である。
    このCephalexinを製剤的に改良して, 朝・夕食後の1日2回内服で有効血中濃度が得られる3, 4) というCephalexin持続性製剤, S-6436カプセル, 小児用のS-6437顆粒をシオノギ製薬から提供をうけた。
    1日2回内服で十分な製剤であれば, 上記のように服用上の問題もなく, かつ服み忘れも少ない便利な製剤と考えられたため, 各種の皮膚細菌感染症に対する臨床的効果を検討したので, その成績について報告する。
  • 橋本 保彦, 嶋 武, 松川 周
    1977 年 30 巻 11 号 p. 916-919
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体系抗生物質の副作用として, 第VIII神経障害, 腎障害, アレルギー性反応などのほかに, 神経・筋接合部に対するブロック作用があり, この作用はアミノ配糖体系のほか, ポリペプチド系, テトラサイクリン系抗生物質およびLincomycin, Clindamycinなどにもみとめられている。手術中に用いられたこれらの抗生物質によつて, 麻酔薬, 非脱分極性筋弛緩薬の作用が増強され, 時として術後の遷延性呼吸抑制をきたすことが報告されている1)。
    われわれは, これまで各種の抗生物質の筋弛緩作用を検討してきたが2,3), 今回アミノ配糖体系抗生物質であるAmikacin sulfate (以下AMK)(Fig.1) について, その筋弛緩作用, 筋弛緩薬との相互作用およびEdrophonium, カルシウムの影響を臨床例について検討したので報告する。
  • 横田 正幸, 鈴木 平治郎, 小滝 益三, 小枝 武美
    1977 年 30 巻 11 号 p. 920-927
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfomycinは, STAPLEY等1, 2) によつて見い出された新抗生物質で, きわめてユニークな化学構造式をもち3)(Fig.1), 細菌細胞壁合成の初期段階を阻害し, 他剤との交叉耐性はなく, グラム陰性菌感染症に卓越した効果を有する物質である4~6)。
    今回, 著者らは本物質の視覚および聴覚器におよぼす影響について検討したので報告する。
  • A COMPARATIVE STUDY WITH AMOXICILLIN BY A RANDOMIZED DOUBLE-BLIND TECHNIQUE
    JOJI ISHIGAMI, SABURO TANIKAZE, SHIGERU MIYAZAKI, SHUTA ONO, MAMORU KU ...
    1977 年 30 巻 11 号 p. 928-940
    発行日: 1977/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Pivmecillinam is a new synthetic penicillin1) for oral use which was developed in 1972 by LUND, et al. The molecule is a new type of 6-aminopenicillanic acid derivative, of which the 6-position substitute is combined with an amidino structure (Fig. 1).
    Pivmecillinam is converted to mecillinam at the time of absorption through the intestinal walls by the action of non-specific esterases, the pivaloyloxymethyl-ester moiety at the 3-posi-tion of the molecule being hydrolyzed to give mecillinam which is the antimicrobially active form of pivmecillinam.
    As mecillinam has a potent antibacterial activity against Gram-negative bacteria, pivmecillinam has mainly been evaluated for treatment of urinary-tract infections 2-5). We have previously performed a double-blind comparative study on pivmecillinam for treatment of acute simple cystitis using amoxicillin as control 6). The results have indicated that pivmecillinam is significantly superior to amoxicillin in efficacy as well as about adverse reactions with such a small dosage [150mg (potency)/day] as one-fifth the dosage of amoxicillin.
    The good results obtained with pivmecillinam in treatment of simple cystitis have prompted us to evaluate the efficacy and safety of the drug in treatment of intractable complicated urinary-tract infections using amoxicillin as reference drug.
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