The Japanese Journal of Antibiotics
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30 巻, 12 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 鈴木 一, 松本 博光, 刑部 尚美, 綱川 宏, 益海 信一朗, 山村 光久, 近藤 攻三, 中神 和清, 長島 則夫, 河本 英世, 里 ...
    1977 年 30 巻 12 号 p. 949-957
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化学療法, 特に抗生物質療法の原則は, 起因菌を正確に検出し, その感受性によつて使用する抗生物質を決定することである。しかし, 実際には, 菌検出から感受性テストの結果の判明するまで, かなりの日時を要する。また, 病原菌の検出されない例も, 相当あるようである。特に, 呼吸器感染症では, 単一の真の起因菌を決定することは, 困難であり, 非病原性菌 (常在菌) と混入して検出されることが多いと考えられる。いずれにしても, 臨床診断によつて抗生物質を使用することとなる。このばあい, 広範囲適応の抗生物質を単独, または併用投与することが多く, 併用療法のばあいは, グラム陰性, 陽性 (特に耐性ブドウ球菌) との混合感染を考えて治療することが有用である。この点, Broadcillin ‘Banyu’(OxacillinとAmpicillinとの合剤) は, 便利な抗生物質で, すでに多くの報告がなされ, 広く使用されているようである。しかし, これらのほとんどが筋注例である。我々は, 今回, 内科系感染症, 特に呼吸器感染症10例に, Broadcillin ‘Banyu’を経静脈内投与法で使用し, その臨床成績を得たので報告する。
  • 谷村 弘, 日笠 頼則
    1977 年 30 巻 12 号 p. 958-960
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    消毒法を考案したイギリスの外科医LISTERの見出した“外科手術後の創感染症は, 空気中および手術器具に付着した細菌にある”という事実は, 現在でも立派に通用するものであるにも拘らず, 多種類の抗生物質が使用可能となつた今日においても, なお外科手術後の創感染は決して皆無とはなつていないようである。その予防対策としての抗生物質の濫用は, 本邦における抗生物質生産量を世界第1位と押し上げてしまつた。その結果, さらに日々新らしい抗生物質の開発に躍起となる悪循環に陥つている。このようにして挺生した新抗生物質が次々と臨床的に試用され, その結果から効果を判断されて来ているが, 臨床における効果の優劣を判定することは, きわめて困難なことが多い。
    今回, 新らしく開発されたセファロスポリン系抗生物質の臨床試験め一環として,「術後創感染症比較試験研究会」が発足したが, われわれは, その試験施行前に, 今日における本邦の術後創感染症の現状把握が最も大切な条件と考え, 当教室および関連病院における最近3年間の術後創感染症の発生数と, それらの予防対策として現在頻用されている抗生物質名の調査をおこなつた。
  • 本廣 孝, 阪田 保隆, 西山 亨, 中島 哲也, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄
    1977 年 30 巻 12 号 p. 961-972
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalexin (CEX) は, 多くの製薬会社から発売されている薬剤で, ペニシリン系のAmpicillinおよびAmoxycillinなどの経口剤とともに臨床上, 各種の細菌感染症に用いられているが, 乱用気味の傾向にあるといつても過言ではない現状である。
    本剤は, 空腹時内服後に血中濃度は1時間, 食後服用で2~3時間後にピークに達するが, 6~8時閥後にはほとんど消失1, 2)することから, 1日4回の投与が必要である。このさい, すくなくとも1回は就寝中に内服が必要であり, 通園, 通学児では, 保育園, 幼稚園または学校, 成人では勤務先に薬剤をもつて行かねばならない不便さから, 内服時間が守られていないことが少なくないと思われる。これらを考慮して, 塩野義製薬で開発された薬剤が, 持続性CEX (S-6437) である。
    本剤は, CEXの胃溶顆粒と腸溶顆粒の2剤型が混合されたもので, 顆粒剤とカプセル剤があり, その特徴は, 長時間血中濃度が持続するといわれている3, 4)。
    私たちは, S-6437顆粒と同剤に含有されている腸溶顆粒を小児に投与し, その血中濃度および尿中濃度, 回収率を測定し, CEXの適応疾患である尿路感染症児に本剤を投与し, 臨床効果, 副作用について検討したので, その成績を報告する。
  • 二重盲検法によるCephalexinとの比較成績
    藤井 良知, 打田 耕三, 坂野 靖章, 清水 茂夫, 西田 務, 福田 道夫, 槇野 幾之輔
    1977 年 30 巻 12 号 p. 973-992
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    S-6437は, 塩野義製薬で開発された小児用の持続性Cephalexin製剤であり, 胃溶性Cephalexin顆粒30%と腸溶性Cephalexin顆粒70%を混合することによつて血中濃度を長く持続させることを意図したものである。これは従来のCephalexin製剤 (以下CEX) よりも投与回数が少なくてすむことから, 患者にとつて服薬の煩雑さを減らすことができると考えられる1)。
    今回我々は, 小児における急性咽頭炎および急性扁桃炎に対して, CEXを対照薬とした二重盲検試験をおこない, S-6437に有効性があるとみとめたので, その成績を報告する。
  • 早原 信行, 西島 高明, 前田 勉, 大山 武司, 松村 俊宏, 西尾 正一, 船井 勝七, 佐々木 進, 中西 純造, 辻田 正昭, 岸 ...
    1977 年 30 巻 12 号 p. 993-998
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Carfecillinは, 半合成ペニシリンCarbenicillinの経口用製剤として新らしく開発されたものである。今回, 慢性尿路感染症に本薬剤を使用する機会を得たので, その臨床成績を報告する。
    Carfecillinは, Fig. 1のような構造式をもち, 分子式はC28H21N2O6SNa, 白色粉末, 分子量は476.5, 水溶性で, 経口投与によつて腸管から吸収され, 速やかに加水分解を受け, Carbenicillinとして血中および尿中に出現する。今回使用した錠剤は, 1錠中Carfecillin 500mg (Carbenicillinとして397mg) を含有する。
    今回は慢性尿路感染症を次の2群に分けて使用した (Fig. 2)。A群とは, PseudomonasまたはProteusによる感染症症例, B群とは, 複雑性尿路感染症に対して, あらかじめCarbenicillin静注をおこない症状改善または原因菌の改善をみとめた症例である。
    以下,A群B群に分けて, 別々にその治療成績を報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 藤井 尚道, 小島 碩哉, 平間 裕一, 渡辺 修, 近岡 秀次郎, 成田 章, 定岡 啓三, 神田 修次
    1977 年 30 巻 12 号 p. 999-1005
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amoxicillin (α-Amino-p-hydroxybenzyl penicillin, 以下AMPCと略記) は, 新らしい広域性半合成タニシリンで, Aminobenzyl Penicillin (ABPC) と同等の抗菌活性と抗菌スペクトルをもつているが, ABPCと同量の経口投与によつてABPCの約2倍の血中濃度に達し得る点が特徴とされている1)。
    本剤は, すでにCapsule (1 Cap. AMPC 250mg, 125mg含有) ならびに穎粒製剤 (10倍散, 甘味, 年少小児用製剤) として広く使用されている現況であるが, 今回, 幼児でも服用の容易な小型錠剤が製作され, 本剤を使用しての一連の検討をおこなうことができたので, 以下今日までの概況について報告する。
  • 水沼 寛, 皆見 新, 忠 信吾, 平山 靖子, 村山 礼子, 横内 弘
    1977 年 30 巻 12 号 p. 1006-1011
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amoxicillin (α-Amino-p-hydroxybenzyl penicillih, BRL-2333) は, 経口用半合成ペニシリンで, Fig. 1のような構造式をもち, 酸に対してきわめて安定で, 経口投与における吸収もよい。
    今回著者らは, Amoxicillin錠 (1錠あたりAmoxicillin 50mg (力価) 含有) を, 小児を対象に臨床使用する機会を得たので, 以下に報告する。
  • 堀 誠, 河野 三郎, 岡本 和美
    1977 年 30 巻 12 号 p. 1012-1015
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amoxicillinは, Ampicillinのベンゼン核のパラの位置に-OH基を導入したα-Amino-p-hydroxybenzylpenicillin trihydrateである。抗菌域および抗菌力はAmpicillinと同様で, その作用機序も同じく殺菌的で, 血清蛋白結合率もほぼ同様である。しかし, この薬剤の特徴とするところは, 経口投与時の吸収がAmpicillinより優れており, 血中濃度の持続には差がないが, そのピークはAmpicillinの約2倍で, 6時間までの尿中回収率もAmpicillinよりも優れている1, 2)。
    私たちは今回, Amoxicillinの小型錠剤 (1錠中50mg含有) の試供をえ, 小児期感染症に対して試用する機会をえたので, その使用経験について報告する。
  • 川名 嵩久, 富田 章
    1977 年 30 巻 12 号 p. 1016-1020
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amoxicillin (AM-PC) は, 英国ビーチャム社研究所において開発された経口半合成ペニシリンで, Fig. 1のような構造式をもつ。
    AmoxicillihとAmpicillinとの構造的差異はわずかで, 抗菌力・抗菌スペクトルともに, Ampicllinと同様であるが, 吸収がよいため, Ampicillinよりもずつと高い血中濃度が得られる点ですぐれている。我々は, このAmoxicillinの細粒の小児疾患に対する臨床投与成績について先に発表したが1), 今回はその50mg含有錠剤を用いての, 小児疾患に対する臨床投与成績について報告する。
  • 植田 高彰, 田窪 孝行, 長谷川 義尚, 柴田 弘俊, 中村 博行, 正岡 徹, 吉武 淳介
    1977 年 30 巻 12 号 p. 1021-1025
    発行日: 1977/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    硫酸アミカシン (以下AMK) は, カナマイシンAの誘導体で, ゲンタマイシン, トブラマイシンなどの他のアミノグリコシド系抗生物質との交叉耐性がほとんどないユニークな抗生物質である1)。すでに本邦においても臨床に使用されているが, ほとんどが筋肉内投与であり, 静脈内投与はほとんどなされていない2)。
    急性白血病, 再生不良性貧血などの患者においては, 出血傾向や注射部位の膿瘍形成等のため, 筋肉内投与はむしろ禁忌となることさえあり3), 一般的には, 静脈内投与が望ましいと考えられている。
    最近, AMKを血液疾患患者に経静脈的に投与し, その効果および副作用について検討したので報告する。
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