担子菌
Schizophyllum communeの産生する粘性多糖Schizophyllan (以下SPGと略) は, その化学構造がβ-1, 3結合を主鎖とし, β-1, 6結合の側鎖をもっ単純グルカンである1,2)。小松ら3~11)は, その生物活性について研究をおこない, SPGは同種皮下移植腫瘍に対する抗腫瘍作用3), 急性および慢性の実験的感染症に対する非特異的防御作用4~8), マクロファージ, そのほか, 網内系の活性化作用4,9,10), マクロファージ遊走阻止の増強11) など, 多彩な諸活性を示すことをみいだし, SPGの作用は主として細胞性免疫の活性化にあると考えられている。
著者らは, 前報12) において, SPGを超音波処理してえた低粘度SPG (以下SPG-Sと略)を用い, CUNNINGHAM法18) による溶血プラクテストによって, T-B細胞依存系抗原 (ヒツジ赤血球) を投与したさいのマウスの免疫グロブリン産生系に対する作用を検討した。その結果, SPGまたはSPG-Sには免疫グロブリン産生細胞数をも増加させる作用のあることが明らかにされた。
今回, 著者らは, ハプテン型抗原 (塩化ピクリル) を用いたマウスの遅延型皮膚反応14~16) を指標として, 細胞性免疫におよぼすSPG-Sの効果について検討したので, その知見をここに報告する。
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