The Japanese Journal of Antibiotics
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30 巻, 7 号
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  • 岩間 汪美, 伊藤 弘世, 宮内 大成, 森 偉久夫, 井坂 茂夫, 島崎 淳, 小林 章男
    1977 年 30 巻 7 号 p. 471-478
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    グラム陰性菌尿路感染症のうち, 尿流障害を伴なうものおよび変形菌, 緑膿菌による尿路感染症は, 難治のものが多く, 経口剤投与による難治性・慢性尿路感染症の治療には困難な面が多い。したがつて, 変形菌, 緑膿菌等を含む抗菌スペクトラムをもっ内服抗菌剤の開発が待たれていた。今回我々が大日本製薬株式会社から供与をうけたPipemidic acid (PPA) は, Piromidic acid (PA) の誘導体であり, 経口投与後の吸収, 尿中排泄がよく, 主としてグラム陰性菌に有効であり, 緑膿菌, 変形菌およびPA, Nalidixic acid (NA) 耐性菌にも有効であるといわれている1, 2)。今回我々は, 27例の尿路感染症の患者に本剤を投与し, 治療経験を得たので, その成績を報告する。
  • 伊藤 健次郎, 豊田 俊明, 吉川 治, 池田 由美
    1977 年 30 巻 7 号 p. 479-483
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本邦における梅毒患者発生状況については, 昭和23年をピークにして, その後, 減少の一途を示しており, 昭和49年度の報告数は10,340例である2, 3)。
    しかし, 諸外国においては, なお顕性梅毒患者が少なくない所もあり, 一方, 本邦人の経済発展, 外国旅行, 留学等に伴なう国外への流動はますます盛んになり, 本邦内の発生が抑制されても, 移入されて来る梅毒が少なくないことは今後とも留意すべきことであろう。また, 最近健康管理のための医学的資料作製を目的とした総合健康診断が盛んになりつつあり, 血清梅毒反応陽性者の発見率が一段と向上すると思われる。
    我々は先に, 総合健診者10,000人について, 血清梅毒反応陽性を分析し, 陽性者の頻度は, 2.7%前後と考えた。そして, 陽性者の臨床的扱い方として, 合成ペニシリンのCiclacillinを用いた駆梅療法の成績を報告したが1), それと並行して, Amoxicillin (販売名, Pasetocin) の駆梅療法剤としての効果の検討をおこなつて来ている。
    現時点において, Amoxicillin使用例は25例であり, その中の13例は治療終了後1年以上を経過しているので, その成績を総括して報告することにした。
  • 大戸 輝也, 吉田 宗彦, 上野 博嗣, 西川 聖人, 林 龍一郎, 小早川 宏典, 笠間 公憲
    1977 年 30 巻 7 号 p. 484-487
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしく開発されたCephalosporin系抗生物質で, 広範囲抗菌スペクトラムをもち, その作用は殺菌的であるといわれる1~8) Cefacetrile sodium (CEC) について, 基礎的研究をおこない, 臨床的には整形外科領域における感染症, 主に骨髄炎を対象として, その治療効果を検討した。
  • 南里 清一郎, 砂川 慶介, 原 典良, 市橋 保雄, 松尾 武夫, 山田 善三郎, 山下 亮子, 本間 直美
    1977 年 30 巻 7 号 p. 488-492
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    細菌感染症に対する抗生剤の大量投与療法は, 現在, 広くおこなわれている。新生児においては, その肝, 腎, および循環器系機能が未熟のため, 副作用を最小にし, その効果を最大にするために, 抗生剤の血中濃度レベルの持続時間と, 個々の菌のMICとの関連において, 1回投与量と投与法および投与間隔につき検討すべきであると考えられる。内科領域においては, 上記の点を考慮した報告が, いくつかみられるが, 小児科領域, 特に新生児期に関する報告は, 少ないように思われる。我々は, 広域スベクトラムをもち, 毒性が比較的少ないと考えられているCephalothin (以下CETと略す) を用いて, One shot静注, 1時間点滴静注法によつて, 上記の点に関して検討をおこなつたので, ここに報告する。
  • 紺野 昌俊, 沢井 稔, 藤井 良知
    1977 年 30 巻 7 号 p. 493-496
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin-2-phosphate (以下CLDM-2-PO4と略す) は, Clindamycin (以下CLDMと略す) の注射用製剤 (筋注, 点滴静注用) として, 今回新らたに米国Upjohn社で開発された製剤である。CLDM-2-PO4は, CLDMの燐酸エステルであり,in vitroにおいては抗菌力は弱いが, 投与されたCLDM-2-PO4は, 生体内のエステラーゼによつて加水分解され, CLDMとして抗菌活性を示す1) といわれている。
    私達は, 最近, 本薬剤を経口投与が不能な3例のマイコプラスマ肺炎に使用する機会を得たので, その概略を報告する。
  • とくに腎機能障害時の化学療法
    薄田 芳丸, 関根 理, 中野 博, 中村 宏, 難波 克一, 山作 房之輔
    1977 年 30 巻 7 号 p. 497-504
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    点滴静注用Minocyclineは, 新らしい合成Tetracycline系抗生物質であり, 静脈内投与において高い血清中濃度の長時間持続が可能で, 組織移行性も良好であることが証明されている。Tetracycline系抗生物質は,アミノ酸の蛋白合成を阻害するAlltianabolicな作用をもち, 腎機能障害患者に使用すると, BUNと血清無機燐の上昇が著明で, Transient uremiaを勝発することが知られている1)。しかし, 本剤は, 腎外排泄が主であるといわれ, 山作らは, Minocyclineの内服による腎機能障害患者に対する使用法を検討し, 血清中濃度半減期はほとんど延長せず, 腎機能障害患者に対しても, 原則として通常投与量を連日用いて差し支えないと述べている2)。
    今回,私共は日本レダリー株式会社の提供による点滴静注用Minocyclineを, 中等度腎機淺障害患者に使用し, その成績について検討する機会を得たので報告する。
  • 岡田 淳, 小酒井 望, 小栗 豊子
    1977 年 30 巻 7 号 p. 505-510
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penicillin剤などのβ-Lactam系抗生剤は抗菌力が強く, 副作用も少ないため, 臨床各科で汎用されている。しかし, 近年これらの抗生剤に対する耐性菌が増加し, その多くは耐性菌の産生するβ-Lactamaseによつて分解され不活化されるためであろうとされている1)。その対策として, 耐性菌に有効な薬剤の開発も必要であるが, 既存の抗生剤の併用も考慮されるべきであろう。耐性ブドウ球菌に有効な薬剤として開発されたIsoxazolyl penicillin系薬剤の中でβ-Lactamase阻害作用の強いDicloxacillin (MDIPC) 2) と, 既存のPenicillin剤として優れた抗菌力をもつAmpicillin (ABPC) の併用効果について, 好気性菌については, すでに報告されているが8, 4), 今回私達は嫌気性菌の中で臨床的に最も重要で, 耐性株の増加の著るしいBacteroides属について両薬剤のin vitroでの併用効果を検討し, 知見を得た。
  • 富木 経三, 石川 創二
    1977 年 30 巻 7 号 p. 511-516
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近の抗生物質の開発はめざましく, 特に合成ペニシリンにおいて, すぐれたものが多い。これはAminobenzyl penicillin (AB-PC) に代表されるが, このAmino基が, Sulfonyl基に置換されたものが, Sulfobenzyl penicillin (SB-PC) である。SB-PCは, Carbenicillin (CB-PC) とともに近年脚光を浴びており, Broad spectrumの抗菌力をもち, さらに従来のAB-PCではみられなかつた緑膿菌, 変形菌にも抗菌作用を示す特徴をもつている。
    胸部外科領域, 特に肺切除術後の感染予防や肺感染症に対して, 常に抗生物質が投与されるが, このさい, 抗生物質の生体内移行, とりわけ病巣の存在する肺をはじめ, 胸腔内の各々の組織内濃度のパターンを知ることができれば, きわめて有効な術後感染対策が可能と思われる。もちろん, 予想される起炎菌, さらには起炎菌の決定, 薬剤感受性のチェック, 薬剤の排泄状況, 副作用等を考慮することはいうまでもない。
    従来, 人の生体組織, 臓器内への抗生物質移行の検索は非常に困難とされ1), なかでも肺に関しては, ほとんど臨床的検討がなされていない。そこで著者らは, 専門領域における, 肺手術後の感染対策として, 胸郭内の抗生物質の組織内濃度を知るために, 開胸症例について, SB-PCを術中点滴静注し, 抗菌作用に重要な示唆を与える術中血中濃度および組織内濃度を測定し, いささか興味ある知見を得たので, 文献的考察を加えて報告する。
  • 山下 喬, 螺良 英郎
    1977 年 30 巻 7 号 p. 517-520
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    エリスロマイシンを臨床に用いるばあいに, 胃液分泌物からエリスロマイシンを保護することが研究され, エリスロマィシンの多くの塩類が開発されている。その1つに, ステアリン酸塩がある。しかし, ステアリン酸エリスロマィシンも, エリスロマイシンと同様に, 耐酸性に乏しく, 胃酸 (pH=1.2) による失活は37°C 5分間で力価の95%を越える1)。そのため, ステァリン酸エリスロマイシンも胃内で崩壊した後, 失活が起こり, 期待した効力が発揮されないばあいも考えられる。そこで, 大塚製薬技術課の明石, 河内らは, ステアリン酸エリスロマィシンの安定したBioavailabilityを目して, その腸溶性顆粒充填カプセル (OE-7) の開発を試みた。
    著者ら2, 8) はすでに, ステアリン酸エリスロマイシン腸溶性顆粒充墳カプセル (OE-7) は対照薬剤として用いたステアリン酸エリスロマイシンカプセル (D社製品) にくらべて, 第1液中での安定性試験においてはるかにすぐれ, また空腹時服用の血漿中濃度においても, 有意に高い値を示したことを報告した2)。また, 一般に胃内容排泄速度が遅いといわれている胃下垂のヒトに服用させたばあい3) でも, 血漿中濃度が有意に高く, 胃内通過の点でもすぐれた成績が得られたことを報告した。
    しかし, 患者が薬を服用するのは空腹時ばかりでなく, 食後のばあいも多く, 食事のために胃内容物の容量が増し, 薬物の胃内通過がわるくなり, 期待される薬効が発現しないことも考えられる。特に, 耐酸性に乏しい医薬品, またエンテリックコーティングを施した医薬品については, 問題となるところである。
    ステアリン酸エリスロマイシン腸溶性顆粒充填カプセル(OE-7)のばあい, 耐酸性に優れ, 胃内での失活のおそれは少ないにしても, 胃から十二指腸へ移行する速度が食事によりどのような影響を受けるかを検討することは, 期待する臨床治療上, 重要なことである。
    したがつて, 本試験は, OE-7服用時の食事による影響をみる目的で, 対照薬剤をステアリン酸エリスロマイシンヵプセル(D社製)とし, 6時間毎5回連続服用してその血漿中濃度を検討し, 知見を得たので報告する。
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