The Japanese Journal of Antibiotics
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30 巻, 9 号
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  • 西岡 孝純, 横田 祥夫, 福増 広幸, 大高 道也, 安田 隆三郎
    1977 年 30 巻 9 号 p. 645-649
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    開心術後の感染症は, 心内膜炎, 敗血症, 肺炎, 創感染など, きわめて重篤である。心臓血管外科手術は時間が長くかかり, 細菌が生体の循環系に入りやすく, また, 人工弁, 人工血管, Tefion布, 縫合糸等の異物の循環系への直接縫合がおこなわれ, また空中の落下細菌の吸引など, 他の外科手術に比較して, 細菌感染の危険性がきわめて大である。一たん心内膜炎が発症すれば, 保存的療法が困難であり, 致命的な結果を招く1)。加えて人工心肺使用による宿主側のさまざまな障害 (血清蛋白の低下, 食菌能の低下2), 網内系への障害など) が現われて生体の防禦機構の低下を来たすことは自明である。一方, 抗生物質は少なからず副作用があり, 必要かつ十分量を投与すべきものであるが, ショック, 不整脈, 心肺機能不全, 長時間体外循環による溶血のため腎機能障害を伴なつた開心術後の患者に対する抗生物質の投与には十分な注意を要する3)。また, 心臓外科の対象として数多い乳幼児, 小児期の患者については, その投与量, 投与方法などの詳細はなお不明な点が多い。
    我々は, 開心術後の抗生物質投与にさいして最適投与量を知るため, 成人および小児の2群に分け, Cephalothin sodium (以下CETと略す) のOne shot投与法を検討したので, ここに報告する。
  • KOSHIRO UMEMURA, IZUMI KOMIYA, SHINJI NAKADORI, SIEN-YAO CHOW
    1977 年 30 巻 9 号 p. 650-656
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Dibekacin (3', 4'-dideoxykanamycin B) was synthesized by H. UMEZAWA and his co-workers 1), based on their theoretical and enzymological studies on the resistance mechanism of the aminoglycoside antibiotics 2). It possesses a prominent activity against the organisms resistant to other aminoglycoside antibiotics and Pseudomonas. Pharmacokinetic studies on this antibiotic in animals and human patients, had been reported by K. UMEMURA and his co-workers.3-6)
    The present comunication is concerned with the pharmacokinetic analysis of serum concentration and urinary excretion data from cross-over intramuscular administrations of three dosage levels of dibekacin to healthy male volunteers in Taiwan.
  • 特にSodium cephalothinの胆汁中移行について
    増本 鉄郎, 野沢 真澄, 枡岡 進, 上原 従正, 西本 政功, 安藤 嗣彦, 革島 康雄, 換水尾 哲也, 板谷 博之
    1977 年 30 巻 9 号 p. 657-661
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    一般に, 胆道感染症は胆嚢および胆管の細菌感染であり, そのうちでも胆石症をもつものが一番多いとされ, 成因について種々の説があげられている。ANDREWS1) は, 胆汁酸等の化学物質の刺激によっておこるいわゆるChemical cholecystitis説, また真下2) も, 胆道感染症のばあいには遊離型胆汁酸の増加がみとめられ, なかでもDesoxycholic acid, Lithocholic acidは起炎性が強いとのべており, 胆汁酸を中心として炎症惹起の要因が考えられるが, 胆汁酸以外にも胆汁中のコレステロール重視説3), 食餌アレルギーまたは大腸菌等による細菌アレルギー説4, 5, 6), 膵液の逆流説等7)があるが, 胆道疾患においては胆汁中に細菌を証明することが多いことは周知の事実である。とくに胆道感染症のばあい, 諸家の報告のように, グラム陰性桿菌が圧倒的に多く, なかでもEscherichia coli, Klebsiellaが多く検出されている。1960年以後, 臨床外科における感染症の起炎菌としてグラム陰性桿菌が増大し, これはSeptic shockの起炎菌とされ, 死に至らせることが多いことは周知のとおりである。
    感染症の化学療法の原則は, 起炎菌を正確に把握し, その菌の感受性が高い薬剤を十分に使用することであり, とりわけ胆道感染症のばあい, 胆汁中の薬剤濃度を高めることがきわめて重要である。
    われわれは, 胆道疾患142例に術中胆汁培養, さらにまた感受性検査をおこない, うち27例について, 広範囲の抗菌スペクトルをもち, 特にE. coli, Klebsiella等に強い抗菌力をもつCephalosporin系薬剤であるSodiumcephalothin (以下CETと略す) を用い, CETの血中濃度, 胆汁への薬剤移行性を検討し, 同時に, 総ピリルビン値, GOT, GPT, アルカリフォスファターゼ等の検査成績との関連性について検討したので, 多少の文献的考察を加え報告する。
  • 加藤 繁次, 田中 豊治, 橋本 正夫, 納賀 克彦, 竹中 能文, 小島 正夫
    1977 年 30 巻 9 号 p. 662-666
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, 新らしい広域性半合成ペニシリンが, つぎつぎに開発されセファロスポリンC系剤とともに, 化学療法にとつて最も重要な役割を占めるようになつてきた。Amoxicillin (AMPC) は, Beecham研究所で開発されたAmpicillin (ABPC) の誘導体で, 抗菌活性はABPCときわめて類似した性状をもつているが, 経口投与での吸収性が高く, ABPCより約2倍高い血中濃度が得られるといわれている。今回, われわれは, AMPCの抗菌力, 吸収・排泄, 臓器内濃度, 臨床成績について検討する機会を得たので報告する。
  • 沢江 義郎, 八田 善弘, 滝井 昌英
    1977 年 30 巻 9 号 p. 667-671
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    従来, アミノ糖系抗生物質は腸管からの吸収がほとんど望めないため, 特殊なばあいの内服療法を除いて, その投与法は筋肉内注射 (筋注) によるのが原則的である。しかし, 近年のグラム陰性桿菌による重症感染症の著るしい増加とともに, 一方で出血傾向の著明なものや, るいそうの甚だしい全身状態の悪化した症例の増加などから, 抗生物質の静脈内点滴注射 (点滴静注), なかでも大量投与法が普及してきている。そこで, グラム陰性桿菌に優れた抗菌力をもつているアミノ糖系抗生物質が点滴静注できないかという希望があり, BODEYら1) は, 白血病や転移癌患者の感染症にGentamicinの点滴静注による治療を試み, 安全かつ有効であつたと報告している。
    われわれは, アミノ糖系抗生物質の1つであるDibekacin (DKB) について, 点滴静注によつて得られる血中濃度を測定し, その臨床応用の可能性について検説したので報告する。
  • 斉藤 洪太, 生方 公子, 紺野 昌俊
    1977 年 30 巻 9 号 p. 672-676
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalexin (以下CEXと略す)は, すでに広く用いられている経口Cephalosporin剤であり, 小児用には主として, シロップ用細粒剤が用いられており, 細粒剤のまま処方されていることが多い。これを経口投与したばあいの血中濃度Peak値は, 1~2時間目にみとめられ, 6~8時間目にはほとんど血中から消失する1)。したがつて, 血中濃度維持のためには, 1日4回の投与が必要とされてきた2)。
    ところで, 培地中でCEXを細菌に作用させたばあい, CEXの濃度を高めるよりもCEXの作用時間が長いほうが, より菌数の減少効果が強くなるとの知見3) および投与回数が1日2回となれば便利であろうとの考えから, 今回血中濃度が長く持続する製剤S-6437が開発4) され, この薬剤の小児科領域における検討をおこなつたので報告する。
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 中沢 秀夫
    1977 年 30 巻 9 号 p. 677-683
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cophalosporin C系の開発研究は, Cephalothin, Cephaloridineとして世に現われ,臨床に広く使用されたが, いずれも注射剤であり, 小児科の実用には困難を感ずることが多かつた。経口剤としてまずCephabglycinが, 次いでCephalexin (CEX) が開発され, 今日ではカプセル剤とともに小児用ドライシロップが中等症までの感染症に多く用いられている。CEXの小児科領域における血中濃度, 尿中排潅量, 細菌に対する感受性, 臨床治験例については, すでに藤井ら1), 中沢ら2,3), 小林4), SIMON5), HELWIG6) らによつて検討されており, 経口投与}こよるCEXは血中にきわめてよく移行し, 1時間で高いPeakが得られるが, 2時間では急速に下降し, 4時間でははなはだ低値となり, 6時間目ではほとんど血中から消失する。このように, CEXは吸収がきわめて良好であるが, 血中からの消失も早く, 尿中回収率も6時間目までに50~80%に達するという1)。
    乳児の哺乳1時間後に経口投与したばあいの血中濃度のPeakは,2時間目であることが知られているものの, 臨床治療に用いるCEXは, これらの成績を参考に, 小児では通常, 体重kg当り1日25~50mg (力価), 重症では体重kg当り1日50~100mg (力価) を, いずれも6時間毎, 1日4回投与とされてきた。
    臨床的には,効果に差がなければ, 投与回数が少ないことが好ましく, ことに小児にとつて便利であることは, いうまでもない。すでにカプセル剤であるS-64367) が持続性CEXとして成人に対して良好な治験が得られているが, 私達は今回, 塩野義製薬KKが開発した持続性CEXの顆粒剤S-6437を猩紅熱を主とした各種小児感染症の治療に使用する機会を得たので報告する。
  • 佐藤 肇, 藤井 尚道, 新納 憲司, 小島 碩哉, 平間 裕一, 中沢 進, 近岡 秀次郎, 定岡 啓三, 山口 剛
    1977 年 30 巻 9 号 p. 684-690
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    現在一般的に使用されているCephalexin (CEX) 内服後の血中濃度のPeakは, 1時間前後にあつて, その後急速に低下し, 5~6時間目には消失するのが多かつたため, 治療にさいしては1日3~4回の分割投与が必要とされていた。今回, CEXの特殊加工によつて内服後10~12時間有効血中濃度が持続し, 1日2回の投与で臨床効果の期待できる新製剤が製作された機会に, 本剤を使用しての小児科領域における一連の検討をおこなつてみたので, 以下今日までの概況について報告する。
  • 近藤 銈造, 久野 邦義, 小出 照子, 深谷 桂子, 上瀬 英彦, 山口 英明
    1977 年 30 巻 9 号 p. 691-698
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セファロスポリンC系抗生物質は, 我国では昭和40年以来, 広域スペクトラムの細胞壁合成阻害剤としてCephalothin (CET), Cephaloridine (CER), Cefazolin (CEZ), Cephaloglycin (CEG), Ceplialexin (CEX) が市販され, 優れた臨床効果によつて広く使用されているが, 現在もなお, 構造の異なる多くの製剤が合成, 開発, 治験中であり, 注射剤として, Cephapirin, Cepbacetrile, Ceftezol, Cefbxitin, Cefuroxime, SCE-129, CS-1170, 内服剤としてCephradine, Cefatrizine, FR-10612が知られている。一方, 従来のCEXに製剤上の改良を加えた新製剤も登場している。我々は今回, セファレキシンの胃溶顆粒と膿溶穎粒を3: 7に混合し, 吸収差による血中濃度の持続性を期待したセファレキシン持続製剤S-6437 (以下S-6437と略す) を塩野義製薬から提供されたので, 小児の各種感染症に使用し, 一連の臨床的, 基礎的検討を加えた。以下にその大要を報告する。
  • 南里 清一郎, 砂川 慶介, 原 典良, 木村 和弘, 小佐野 満, 市橋 保雄
    1977 年 30 巻 9 号 p. 699-709
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalexin (CEX) は, すでに我国においても広く利用されている経口Cephalosporin剤であり, 小児に対して, シロップ用細粒が好んで用いられている。この薬剤を経口的に投与したばあいに, その血中濃度のピークは, 投与後1~2時間目にみとめられ, 6~8時間後にはほとんど血中から消失するということが, 諸家1~4) の報告から明らかである。したがつて, 有効血中濃度維持のためには, 1日4回の投与が必要とされているが, 4回投与法のばあいには, 夜間就寝後に投与をおこなう必要が生じ, 治療の大原則である安静を著るしく妨げる結果となる。今回, 従来のCEX顆粒 (胃溶顆粒) に加えて, pHが6.0以上で溶出する腸溶顆粒 (Enteric granules) がつくられ, この両者を混合し, 経口投与することによつて, 従来のCEXより血中濃度が長く持続し, 投与間隔を6時間ごとから, 12時間ごとに延長しうるという, 主として便利性の向上を意図した製剤が考案された。基礎的検討5)によつて混合比が定められ, 胃溶顆粒: 腸溶顆粒=3: 7の混合物とした顆粒剤S-6437がシオノギ製薬から提供されたのを機会に, 感染症の治療, あるいは, 感染予防の目的に投与をおこない, この薬剤の臨床効果, 血中濃度, 尿中排泄の推移を検討したので, ここに報告する。
  • 岩井 直一, 鈴木 千鶴子, 牧 貴子, 田内 宣生, 川村 正彦, 西山 泰暢
    1977 年 30 巻 9 号 p. 710-721
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    経口用Cephalosporin C系抗生物質であるCephalexin (CEX) は,小児科領域において日常の診療でよく使用されている抗生物質の1つである。従来のCEXは, 吸収がよいため, 血中濃度は内服後, 急速に上昇し, ほぼ1時間でピークに達する。その後は急速に血中から消失するといった特徴をもっている1~5)。いつてみればShort activeな抗生物質である。
    持続性Cephalexin (S-6437) は, 従来の胃溶顆粒と特殊コーティングをした腸溶顆粒を3: 7に混合した小児用顆粒製剤である。長時間の血中濃度維持を特徴とし, いわばLong activeなCephalexin製剤といえる。
    抗生物質が細菌にはたらくためには, まず薬剤が細菌に接触しなければならないことは当然である。その抗生物質の殺菌力が強ければ強いほど良いだろう。また, 抗生物質の血中濃度の持続は, 細菌との接触時間を長くし, その臨床効果は一層すぐれたものになるだろう。一方, 持続性であればあるほど, 副作用の面には注意しなければならない。
    今回, 我々はシオノギ製薬からS-6437の供与をうけ, 本剤の小児科領域における検討をおこなったので報告する。
  • 西村 忠史, 小谷 泰, 広松 憲二, 高島 俊夫, 浅谷 泰規
    1977 年 30 巻 9 号 p. 722-728
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalexin (CEX) は, 経口用Cephalosporin系薬剤として臨床各科において広く使用されており, とくに小児科領域においては, その細粒が各種細菌感染症に投与されることが多い。
    本剤は腸管からの吸収がきわめて良好であり, その血中濃度ピークは投与後1~2時間にみられ, 8時間後にはほとんど血中から消失するために, 濃度維持のためにも, 1日4回の投与が必要とされている。
    しかし, 小児のばあい, 頻回に確実投与することは, 年令, 病態によつて容易でないこともあり, この点の改良と有用性を期待して持続性CEX (S-6437) が開発された。本剤は食後経口投与によつてCEXより体内濃度維持は長く, したがつて投与間隔が12時間毎という利点をもつている。
    S-6437は, 胃溶顆粒と腸溶顆粒が3: 7の力価比で混合された橙黄色の顆粒で, 0.5g中100mg力価のCephalexinを含有している。そこで, 我々は本剤の体内動態を吸収, 排泄の面からCEXと比較検討し, さらにその治療成績についても検討したので, それらの成績について述べる。
  • 小林 裕, 森川 嘉郎, 春田 恒和, 吉岡 伸子
    1977 年 30 巻 9 号 p. 729-737
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalexin (CEX) は,セファロスポリン中でフィラメント形成が強く,殺菌力が弱い欠点がある1, 2)。加藤ら3) は, 黄色ブドウ球菌を用いた試験管内実験において, CEX接触時の生菌数の減少と除去後の再増殖を検討し, CEXの殺菌効果は,作用濃度よりもむしろ作用時間と大きな関連をもち, 時間が長いほうがすぐれていることをみとめた。CEX経口投与時の吸収排泄は, きわめて速やかで1, 2, 4~6), 1時間でPeakに達し,4時間では非常に低下する。そこで, CEXの70%に腸溶Coatingを施し, それが徐々に腸に移行してpHが上昇した時点で溶解して, 遅れて吸収されることによつて, 血中濃度を持続させようと意図したS-6435およびS-6436が開発され, さらにその顆粒に小児が服用しやすいように味と匂いをつけたのがS-6437である。
    われわれは, シオノギ製薬(株)から本剤の提供をうけたので, 家兎および患児における吸収排泄と臨床使用成績を検討した。
  • 横田 正幸, 小滝 益三, 小枝 武美, 佐藤 喜一
    1977 年 30 巻 9 号 p. 738-743
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1928年ALEXANDBR FLEMINGによるPenicillinの発見に端を発し, 多数の抗生物質が開発されたが, これらの繁用にともない, 副作用についての報告の少くないことは周知の事実である1~2)。ストレプトマイシン, カナマイシン, ゲンタミシン等に代表されるアミノ配糖体系抗生物質については, 程度の差はあれ, ときに腎障害や聴覚器障害を招来するおそれのあることもよく知られている3~6)。このばあいの聴覚器障害は非可逆的で, 特に腎機能障害をもつ患者や高血圧症患者に適用したときにその発現頻度が高まるとの報告もある7)。
    今回, 著者等は, 自然発症高血圧ラット(Spontaneously hypertensive rat, 以下SHR)にビスタマイシン(以下VSM), カナマイシン(以下KM), 3', 4'-Dideoxykanamycin B(以下DKB)およびゲンタミシン(以下GM)をi. m. 投与し, 聴覚器におよぼす影響について検討し, 2, 3の知見を得たので報告する。
  • 三木 吉治, 皆見 紀久男, 中村 準之助, 岡本 昭二, 小野田 洋一, 笹井 陽一郎, 丸田 宏幸, 井上 和彦, 白取 昭, 津上 久 ...
    1977 年 30 巻 9 号 p. 744-755
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    内服用のPenicillin (PC) 剤は, その注射剤にくらべて強いアレルギーをおこさないうえ, 万一のばあいにも服用を中止するだけでその副作用の発現を軽微なうちに阻止できるため, 多くの疾患の治療に用いられてそれぞれ優れた効果をあげている。その結果, 多種類の合成PC剤が製造され, 臨床に用いられるようになつた。
    Amoxicillin (AMPC) も1種の合成PC剤で, 多くの疾患の治療に用いられて効果をあげている。その構造上の性質から, 当然, 梅毒にも治療効果があがると考えられるにもかかわらず, まだどこの国からもその報告がおこなわれていない。
    今回, ビーチャム薬晶株式会社からAmoxicillin (クラモキシルカプセル) の提供を受けたので, われわれは, 協力してAMPC梅毒研究会を結成し, 梅毒に対する基礎的および臨床的研究を開始して以来2年を経過した。その研究成果から, AMPCがこれら両方面ともに優れた梅毒治療効果を示すことが明らかとなつたので, その経過および結果について述べる。
  • 大久保 暢夫, 柴田 実, 柏木 義勝, 善養寺 浩, 深井 孝治
    1977 年 30 巻 9 号 p. 756-760
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    梅毒性疾患の治療法は, 従来の古典的な重金属塩類を主体とした治療薬から脱却して, 抗生物質療法に完全に転換したといつて過言ではない。しかし, この疾患の性質上, 現在においてもなお, 長期大量の薬剤投与を必要とするために, 抗菌性は当然のこととしても, 吸収・排泄性がよく, 副作用の少ない薬剤の開発が常にのぞまれている。これらの点を満足する薬剤として,半合成ペニシリンが各期の梅毒に用いられているのが現状である。
    今回われわれは, 内服によつて高い血中濃度が得られ, 殺菌的に作用し, さらに蛋白結合率が低いといわれているAmoxicinin (以下AMPCと略) を用いて, 実験的にその抗トレポネーマ作用を検討した。以下はその報告である。
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