S-6436は, 塩野義製薬で開発された持続性Cephalexin製剤である。これは, 胃溶性Cephalexin顆粒30%と腸溶性Cephalexin顆粒70%を混合することによつて血中濃度を長く持続させることを意図したものであり, 従来のCephalexin (以下CEX) よりも投与回数が少なくてすむことから, 特に外来患者にとつて服薬の煩雑さを減らすことができると考えられる1) 。上田泰ら2) および真下啓明ら3) によると, CEXは1日4回服用する必要があるのに対して, このS-6436は1日2回の服用でよく, 分服回数を半減できると考えられる。
昨今, CEXは, 発病後治療によつて軽快し, その後通勤・通学しながらなお治療を要する軽症・中等症の感染症患者に特に盛用されているが, S-6436を用いれば, 朝・夕食後の1日2回の投与でよいため, 昼用の薬剤を持ち歩く必要がなく, また, そのために服薬が確実になることも考えられる。有効性および安全性においてCEXと同等であれば, こめ分服回数が少なくてよいという便利性において持続性Cephalexinが優れることになり, 本剤の有用性がみとめられることになる。
このような意味において, 今回我々は成人の急性咽頭炎および急性扁桃炎に対してCEXを対照薬とした二重盲検試験をおこない, S-6436の有効性, 安全性について検討したのでその成績を載告する。
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