The Japanese Journal of Antibiotics
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31 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 第1報学童, 幼児, 乳児を中心として
    岩井 直一, 鈴木 千鶴子, 川村 正彦, 牧 貴子, 田内 宜生, 伊藤 昌男, 安田 正俊
    1978 年 31 巻 10 号 p. 571-578
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    細菌感染症に対して, 抗生剤はできる限り合理的に投与されなければならない。それであつてこそ, 治療効果はより-層向上し, 副作用は極力避けられるだろう。人では炎症時に抗生剤が血中から病巣内へど (20) 程度移行するか, その詳細が解明されていない今日, 正確な血清内濃度の推移を知り, それを手がかりにして投与量, 投与方法, 投与間隔を決定しなければならない。このように, 血清内濃度の推移は, 合理的な化学療法をおこなう上での重要な指標である。
    小児科領域での抗生剤の投与方法については, 筋肉内投与が四頭筋短縮症などにみられるように, 筋肉損傷の問題から極力避けられる傾向にある。中等症から重症の感染症では, 静脈内投与が常識化してきた。
    そのような現況をふまえて, すでに多数の症例に使用され, 安全性が確められている抗生剤をより-層合理的に使用するために, 静脈内投与時の血清内濃度を把握することはさし迫つた問題である。
    今回, 我々は広域スペクトラムをもつCephalosporinC系薬剤のなかで, 最も腎毒性が少ない1, 2)とvいわれているCephalothin sodium Lilly (以下CET) の学童, 幼児, 乳児における点滴静注時の血清内濃度についで検討したので報告する。
  • 第2報新生児を中心として
    岩井 直一, 鈴木 千鶴子, 川村 正彦, 牧 貴子, 田内 宜生, 伊藤 昌男, 安田 正俊
    1978 年 31 巻 10 号 p. 579-586
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    多数の症例に使用されて, すでに安全性が保証されている抗生剤を, 一層合理的に使用したいという目的で我はCephalothin sodium ‘Lilly’ (以下CET) の点滴静注時の血清内濃度について検討した。第1報では, 学童, 幼児, 乳児を中心に検討した結果を報告した。その結果は, 以下のようであつた。 (1) 正確なConstant in-fusionをおこなえば, 点滴開始後30-60分にプラトーレベルが得られ, 点滴終了時まで維持された.(2) プラトーレベルまたはピーク値は, 学童〉幼児〉乳児の順に高かつたが小さ。 (3) 投与量, 投与時間が同一であるなら, 体重いほどピーク値は低くなり, 体重とピーク値の間には1正の直線関係がみとめられた意であ。これは推計学的に有つた (P<0.05) 。 (4) プラトーレベルまたはピーク値は, 投与量に比例し, 点滴時間に反比例していた。 (5) 成人における血清半減期が約20分であるのに反し, 小児ではかなり短く, 平均値において学童9児10.8分, 幼.4分, 乳児16.8分であつた。 (6) 成人と同一のプラトーレペルを得るには, 学童では成人投与量 (mg/kg) の1.06~1.33倍, 幼児では1.18~1.62倍, 乳児では1.75~2.02倍必要と計算された。
    今回は, 肝腎機能がようやく安定し始めてきたと考えられる生後2週以後の新生児についての成績を報告するとともに, 第1報で報告した学童, 幼児, 乳児と比較して検討したい。また, 一部の症例では, 血清, 尿ともにDesacetyl-Cephalothin (以下DesCET) の分離定量をおこなつたので報告する。
    なお, 今回の新生児についての成績の中には, 日本化学療法学会母子化学療法研究班1班長藤井良知教授) の一員として, 提出した成績が含まれている。
  • 第3報薬動力学的検討
    岩井 直一, 鈴木 千鶴子, 川村 正彦, 牧 貴子, 田内 宜生, 山田 秀雄, 尾熊 隆嘉, 伊藤 昌男, 安田 正俊
    1978 年 31 巻 10 号 p. 587-594
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    敗血症や細菌性心内膜炎などのきわめて重篤な感染症の治療にさいしては, 投与ルートとして静注が多用される。その際, 投与抗生剤の1回投与量, 点滴時間, 投与間隔などが適切であるかどうかのチェックを絶えずおこなわなくてはならない。
    投与中の抗生剤の臨床効果が思わしくないばあい, 1回投与量.点滴時間または投与間隔を変更することにより, 急に良好な臨床効果が得られ, 当初の投与方法が適切でなかつたと反省させられる症例に時に遭遇するものである。適切な投与方法で最大の臨床効果を得たいというのが, すべての臨床医の願望であろう。しかし, この適切な投与方法を決めることは, 現実問題として非常に難かしいことであるが, 1っの指標として正確な血清内濃度を把握することが, 大変重要なこととなつてくる。
    このため, 著者等は, Cephalosporin C系抗生剤のうちで, 腎毒性が最も少なく, 小児においても多数の症例に使用され, その有効性と安全性が, 保証されているCephalothin sodium'Lilly' (以下CET) の点滴静注時の血清内濃度を測定し, その成績を第1報1), 第2報2)に報告してきたが, 本報 (第3報) においては, 既報告の成績に薬動力学的な検討を加え, 幼小児におけるCET血清内濃度の簡便な計算式を算出したので報告する。
  • 和志田 裕人, 上田 公介, 渡辺 秀輝
    1978 年 31 巻 10 号 p. 595-600
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    平均寿命の延長に伴い老令人口の増加が近年いちじるしぐ, これに伴つて老年者に手術療法を加える機会が泌尿器科領域でも飛躍的に増加している。このさい泌尿器科手術の特性として, 術後数日またはそれ以上に尿路へのカテーテルの留置がさけられないことが多い。尿路にカテーテルを留置すると, 4同から1週間で尿路感染は必発すること, しかもその起因菌はグラム陰性桿菌が大半を占めていることは, 周知のことであり1, 2), その予防および治療にいろいろな試みがなされてきている。その1つとして, 抗生剤の投与がおこなわれ, しかも広範囲に抗菌スペクトラムをもち, かつ比較的安全に使用できるセファロスポリン系薬剤の使用頻度が高くなつている。その中で最も腎毒性が少ないCephalothin sodium‘Lilly’(以下CET) は, 1962年に実用化されて, 以来, 基礎的または臨床的に枚挙にいとまがないほどであるが, 老人における検討はほとんどないので, 今回, 高令者を対象としてCETの血中および尿中濃度を手術前後に測定したので, その成績を報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 小島 碩哉, 平間 裕一, 近岡 秀次郎, 神田 修次, 山口 剛
    1978 年 31 巻 10 号 p. 601-605
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    広域性半合成Penicillin, Amoxicillin (α-Aminor-p-hydroxybenzyl penicillin, 以下AMPCと略記) は, 抗菌性はAminobenzyl penicillin (ABPC) に類似しているが, 内服後の血中濃度が同量のABPC使用時に比較して2倍以上であり, 抗菌性も高濃度に諸臓器中に移行する点が特徴とされている。
    本剤にはCapsule (1cap. AMPC250mg, 125mg含有) および穎粒製剤 (10倍散, 甘味, 年少小児用製剤), 小型錠剤 (1錠中AMPC50mg含有) が臨床的に使用され, 各製剤についての臨床成績については, 既に報告してきたところである2~4)。
    今回, 1錠中250mg含有製剤 (Widecillin) について一連の検討をおこなつてみたので, 以下今日までの概況について報告する。
  • V. In vitroにおけるペニシリン, セファロスポリン感受性大腸菌に対する作用
    諸星 俊郎, 嵯峨井 均, 溝口 順三, 小谷 勝
    1978 年 31 巻 10 号 p. 606-609
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アンピシリンとイソキサゾリル系ペニシリン, ジクロキサシリンとの配合剤は, セファロスポリナーゼ型β-ラクタメースを産生する菌種に対して相乗作用を示す1) 。その機構は, ジクロキサシリンがβ-ラクタメースによるブンピシリンの発解を掬制することによる。今回, 臨床分離のペニシリン, セファロスポリン感受性大腸菌に対する配合剤の作用で興味ある知見を得たので報告する。
    アンピシリンに対する最小発育阻止濃度 (MIC) が3.1~6, 3mcg/mlを示す感受性大腸菌は, アンピシリンージクロキナシリン配合剤によっでMICレベルでは相乗効果がみとめられなvいが, 増殖に及ぼす影響 (Growth curve) においては, その1/2MIC濃度でアンピシリン単剤より増殖抑制効果がみとめられた。
  • 出口 浩一
    1978 年 31 巻 10 号 p. 610-613
    発行日: 1978/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    β-Lactam系抗生剤とアミノ配糖体系剤の併用に関する検討が近年も続けられている1, 2, 3)。
    今回, Ampicillin (以下ABPC) とCloxacillin (以下MCIPC) の1: 1の合剤 (Viccillin S) とDibekacin (以下DKB) の臨床分離ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌とセラチアに対する試験管内協力作用に関する検討をおこなつたので報告する。
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