多数の症例に使用されて, すでに安全性が保証されている抗生剤を, 一層合理的に使用したいという目的で我はCephalothin sodium ‘Lilly’ (以下CET) の点滴静注時の血清内濃度について検討した。第1報では, 学童, 幼児, 乳児を中心に検討した結果を報告した。その結果は, 以下のようであつた。 (1) 正確なConstant in-fusionをおこなえば, 点滴開始後30-60分にプラトーレベルが得られ, 点滴終了時まで維持された.(2) プラトーレベルまたはピーク値は, 学童〉幼児〉乳児の順に高かつたが小さ。 (3) 投与量, 投与時間が同一であるなら, 体重いほどピーク値は低くなり, 体重とピーク値の間には1正の直線関係がみとめられた意であ。これは推計学的に有つた (P<0.05) 。 (4) プラトーレベルまたはピーク値は, 投与量に比例し, 点滴時間に反比例していた。 (5) 成人における血清半減期が約20分であるのに反し, 小児ではかなり短く, 平均値において学童9児10.8分, 幼.4分, 乳児16.8分であつた。 (6) 成人と同一のプラトーレペルを得るには, 学童では成人投与量 (mg/kg) の1.06~1.33倍, 幼児では1.18~1.62倍, 乳児では1.75~2.02倍必要と計算された。
今回は, 肝腎機能がようやく安定し始めてきたと考えられる生後2週以後の新生児についての成績を報告するとともに, 第1報で報告した学童, 幼児, 乳児と比較して検討したい。また, 一部の症例では, 血清, 尿ともにDesacetyl-Cephalothin (以下DesCET) の分離定量をおこなつたので報告する。
なお, 今回の新生児についての成績の中には, 日本化学療法学会母子化学療法研究班1班長藤井良知教授) の一員として, 提出した成績が含まれている。
抄録全体を表示