The Japanese Journal of Antibiotics
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31 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 特にSulbenicillinの腹水移行について
    谷村 弘, 小林 展章, 瀬戸山 元一, 丸山 啓介, 日笠 頼則, 伊豆蔵 健, 藤井 一寿, 安本 裕, 関谷 司, 重城 博一, 西嶋 ...
    1978 年 31 巻 3 号 p. 133-144
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1940年, 抗菌物質としてSulfanilamideの出現以来, 腹膜炎の救命率は著るしく改善され, 今日多くの抗生物質が腹膜炎の化学療法として使用されるようになつてきた。腹膜炎の起炎菌は, ほとんどすべて腸管由来であり, 常に2, 3の菌種の混合感染であると考えられるので, 腹膜炎と診断されたならば, 直ちに広範囲抗菌スペクトルの抗生物質投与を開始し, 手術の準備を進めねばならない。
    その抗生物質は, 原則として経静脈的投与でなければならない。なぜならば, 筋肉内注射では十分な血中・組織内濃度が得られず, また腹腔内直接撒布は, 強度の術後癒着と腹腔内膿瘍を残すことになるからである。そのため, 大量投与が可能で, 肝・腎障害の少ない, 広範囲抗菌スペクトルをもつ抗生物質としで, 合成ペニシリン系薬剤が選ばれるわけであるが, その腹水 (膿性滲出液を含む) への移行を検討した報告はほとんどない。
    われわれは, 今回, このような合成ペニシリン系抗生物質の中でも, 広範囲な抗菌スペクトルをもち, 大量投与の可能なSulbenicillin (SBPC) を使用して腹膜炎の治療をおこなv・, そのさv・, この抗生物質が果して腹水に十分に移行し, 有効に作用していたかどうかを, 腹腔ドレナージ術後10日間, 詳細に観察し, 腹膜炎の化学療法における静脈内投与の有用性を検討した。
  • 藤田 信一, 岡藤 和博, 舟田 久, 服部 絢一
    1978 年 31 巻 3 号 p. 145-148
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症において, 嫌気性菌が起炎菌として分離されることはまれでなく, すでに本菌群による呼吸器感染症症例が数多く報告されている1~2) 。これにくらべ, 本邦においては, これらの症例綴告はきわめて少癒く, 二宮ら3) は, 鎌気性菌による呼吸器感染症の重要性を指摘し, 嫌気培養が広くおこなわれるべきであることを強翻している。従来から, 口腔内には魔気性菌が多数常在していることから, 喀痰を鎌気培養して起炎菌を決定することは, きわめて無意味であるといわれている1) 。したがつて, 呼吸器感染症において, 鎌気性菌を起炎薗として分離するためには気管支局所採痰4), TTA (Transtracheal aspiration), または病巣部の経皮的肺穿刺によつて得られた材料, 胸水等を嫌気培養する必要がある。しかし, 急性呼吸器感染症において, これらの検査をすべての症例に実施すること絃困難であり, 喀痰を使用しなければならないばあいが多い5) 。
    最近, われわれは, てんかん発作を背景に発症し, 喀痰のグラム染色塗抹所見および涜浄後の喀痰を嫌気的に定量培養することによつて, Fusobacterium nucleatumを起炎菌と推定しえた肺化膿症の1例を経験した。本報告では, 症例の捷示とともに喀痰の嫌気定量培養の有用性について考察を加えてみた。
  • 出口 隆志, 奥村 修造, 清水 源昭
    1978 年 31 巻 3 号 p. 149-152
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体抗生物質の測定法には, Microbioassay, Radioimmunoassay (RIA), Radioenzymatic assay, Hemaggutination inhibition assay, 高速液体クロマト法などがある。これらのうちで, RIAは迅速で高感度, かつ正確なAssay法として臨床サンプルについて広くおこなわれている。特に, 腎障害のある患者にこの種の抗生物質を投与するさい, 投与量および投与時期の決定には, 血中薬物濃度を迅速に知ることが必須の条件となつでいる。この目的で, Gentamicin1~5) を始めとする主なアミノ配糖体抗生物質にRIAが応用されてきた。
    我々は, Gentamicin C complexの新規な成分であるSagamicin (6'-N-Methylgentamicin C1a) 6, 7) のRIAによる測定法を検討し, さらにEnzyme immunoassayなどに応用する目的でアフィニテイクロマトグラフイーによる抗体の精製をおこなつたので報告する。
  • 真山 三賀雄, 永田 弘, 青井 いずみ
    1978 年 31 巻 3 号 p. 153-165
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生剤を併用する目的には, 抗菌スペクトラムの拡大, 相乗効果の期待, 耐性獲得の防止, 毒性の軽減等, 種々のばあいがあるが, 緑膿菌に対して相乗効果を期待した併用例として現在最も広くおこなわれているのは, アミノグリコシド系抗生剤 [Gentamicin (GM), Dibekacin (DKB), Tobramycin (TOB), Amikacin (AMK)] と抗緑膿菌性ペニシリン系抗生剤 [Carbenicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC)) との併用であり, これらの併用作用に関しては, 基礎的ならびに臨床的に広く研究され, 報告も多い。他方, 臨床上広く使用されているセファロスポリン系抗生剤とアミノグリコシド系抗生剤との併用作用に関する報告例は, 前述の併用作用の報告に較べるといまなお少ない現状である。
    そこで, 今回我々は, アミノグリコシド系抗生剤としてTOBを選び, セファロスポリン系抗生剤としてCephalothin (CET) を, 対照薬剤としてCBPCを用い, MICおよびBactericidal activityを指標として, 緑膿菌を除く臨床分離グラム陰性桿菌を対象として, TOB十CET (またはCBPC) の併用作用を基礎的に検討し, 知見を得たので報告する。
  • 立花 章男, 大谷 恭子, 小宮 正行, 内藤 重信, 清水 千加, 矢野 邦一郎
    1978 年 31 巻 3 号 p. 166-176
    発行日: 1978/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Talampicillin hydrochloride (以下TAPCと略記する) は, 当研究所で開発された易吸収性の新らしいAmpicillin誘導体で, 化学構造はAmpicillinのカルボキシル基にPhthalidy1基がエステル結合したPhthalidy1D-α-aminobenzylpenicillinate hydrochlorideである (Fig.1) 。TAPCの細菌学的な作用1), またTAPCをマウス, ラットおよびヒトに経口投与したときの血漿中濃度がABPCを経口投与したばあいの約2倍に達すること2, 3, 4), およびTAPCが生体内で加水分解され, 速やかにAmpicillinになる2) こと等については, すでに一部報告した。ここでは, TAPC, Amoxicillin (AMPCと略記する) およびAmpicillin (ABPCと略記する) の3剤について比較するために, in vitroおよびin vivoの細菌学的作用を検討し, さらにヒトに250mg (力価) 経口投与したときの血漿中濃度, 尿中排泄を測定し, 尿についてはABPCおよびAMPCのPenicilloic acidの定量をおこない, 生体内動態の比較をおこなつたので報告する。
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