Amoxicillin (以下AMPC) は, Ampicillin (以下ABPC) 類似の広範囲抗菌スペクトルをもつ経口用ペニシリン剤で, 本邦においては1973年の第21回日本化学療法学会総会1)でシンポジウムにとりあげられ多くの基礎的・臨床的成績が報告されている。
本剤の特徴は, 経口投与時の吸収がすぐれる点であり, たとえば同量のABPCを投与したばあいに比較すると, 約2倍の高い血中濃度が得られるという。
小児科領域の諸種感染症に対する本剤の臨床的検討は, 吉岡2), 中沢3), 本廣4), 西村5), 小林のらによって, カプセル剤および細粒について実施されている。
さて, 日常診療において適切な抗生物質をどのように選択するかは重要な課題であるが, その選択基準として, 一般的には抗菌スペクトルが広く殺菌的で, 副作用が少ないことがあげられる。その他に, 小児科の特殊性として服用しやすさ (味, 臭気, 大きさ, 量) も無視できない要因である。
今回, この点を考慮したAMPC錠の小児感染症に対する臨床効果を検討する機会を得たので, その成績を報告する。
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