The Japanese Journal of Antibiotics
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31 巻, 5 号
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  • 小林 裕, 森川 嘉郎, 春田 恒和, 藤原 徹, 富澤 貞造, 中村 凱次, 丸山 繁, 小西 行郎, 本家 一也, 山本 勇志, 南場 ...
    1978 年 31 巻 5 号 p. 235-248
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近時, 筋注による筋肉障害が社会問題化し, 抗生剤の投与においても静脈内投与が多用されるようになつた。しかし, 筋注と静脈内投与とでは, 同じ抗生剤でも薬動力学が異なつており, その効果および安全性について改めて検討する必要がある。本合剤のうち, Ampicillin (ABPC) の静脈内投与については, すでに適用がみとめられ, 使用症例数も多いが, Oxacillin (MPIPC) のほうは未認可である。本合剤の静脈内投与症例は, 初期の検討段階においてもかなり散見され, 有効で, 副作用はみとめられなかつた。また, ABPCとCloxacillin (MCIPC) 合剤においては, 静脈内投与を主眼とした成績が報告され出している1, 2)。
    中沢ら3)は, 本合剤を小児に点滴静注したばあいの血中濃度分離定量成績および約60例の臨床成績を検討し, 現在の筋注用製剤はそのまま点滴静注用として価値をもつと結論している。その血中濃度成績は, ほぼ予測されたとおりで, 臨床成績と相まつて有効性は一応保証されたとして差し支えないと考えられるが, 副作用については, 症例数の蓄積が大切であるので, われわれも本合剤静脈内投与時の臨床効果とともに, 特に副作用に注目して検討を重ねた。
  • 渡辺 章, 池野 知康, 斎藤 慶一, 三戸 和昭, 横山 隆
    1978 年 31 巻 5 号 p. 249-256
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域における感染症は, 抗生物質が開発され, その占める地位がいささ塗低下したとはいえ, 日常堕床上きわめて大きいことは, 現在なお変りはない。1929年FLEMING1)によるPenicillinの発見, 1945年毒性が少なく安定度の高いPenicillinGの完成によりその後の抗生物質の長足の進歩は周知の事実である。さらに, Penicillinの主核である6-Aminopenicillanic acidの構造醐らかになつて2)以来, その側纏興よつ嘆菌, 薬理作用に新らしい局面が開かれ, 多くの半合成Penicillinが作られ, 経口投与可能なPenicillin V, Penicillinase産生ブドウ球菌に抗菌力のあるMPI-PC (Oxacillin), MCI-PC (Cloxacillin) など, さらにグラム陰性桿菌にも抗菌力のある広範囲抗生物質として従来の壁を打破つたABPC (Ampicillin), CBPC (Carbenicillin) などが出現し, その応用範囲は一段と広くなつた3)。
    Oxacillinは, beta-Lactamaso resistant penicillin群の中では, 経口でも注射でも投与でき, in vitroではPenicillin抵抗性黄色ブドウ球菌に対しては, Methicillinより有効であるといわれている4)。また, 広範囲PenicillinとしてのAmpicillinは, グラム陽性球菌以外にもインフルエンザ桿菌, 大腸菌, 変形菌, 赤痢菌, サルモネラ菌などに対しても有効である。
    Broadcillin (注射用ブロードシリン万有) はAmpicillin-NaおよびOxacillin.Naを1: 1に配合した注射薬で, それぞれの秀れた作用をあらわすとともに, 協力作用が期待され, 特に原因菌が不明のばあい緊急治療を必要としながら菌検索が困難なばあい, またはグラム陽性菌や耐性ブドウ球菌, グラム陰性菌の混合感染が考えられるばあいには, 確実な臨床効果を期待される。
    我々は今回, 種々の気道感染症に対して注射用ブロードシリンの静脈内投与をおこない, みとむべき効果をえたのでその概要を報告する。
  • 河野 通昭, 中山 拓郎, 螺良 英郎, 藪 吉博, 橋本 卓樹, 森岡 茂治, 筒井 大八, 河野 知弘, 安岡 恒, 高田 優, 中村 ...
    1978 年 31 巻 5 号 p. 257-259
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生剤の併用による相乗相加効果は, 種々の機序があるが, 最近の臨床例で増加の傾向にある混合感染症では, 有効なことも多い。BroadcillinはAmpicillin (ABPC) とOxacillin (MPI-PC) の合剤で, ABPC耐性ブドウ球菌の増加に伴ない, Isoxazoly1系抗生剤を併用することによつて, ペニシリナーゼによるABPCの不活化を阻止して, 本来のABPCの抗菌範囲を維持しようとする目的で使用されている。耐性ブドウ球菌やグラム陰性桿菌が原因菌となりやすい最近の感染症の特徴にもとづき, 筋注投与では高い血中濃度を得る必要や, 重症感染症の治療には限界があり, 静注投与の必要性が増しつつある。
    我々は, 呼吸器感染症例を対象に, Broadcillinの静注投与をおこない, その臨床効果および副作用について検討した。
  • I. 半合成Penicillinについて
    森川 嘉郎, 春田 恒和, 藤原 徹, 小林 裕
    1978 年 31 巻 5 号 p. 260-268
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化膿性髄膜炎化学療法の成否は, 使用抗生剤の髄液中濃度が起炎菌に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を十分越えるかどうかに負うところが大きい。しかし, 個々の例において測定された抗生剤の髄液中濃度値は治療成績, その症例のと必ずしも平行せず1~4), 直ちに使用航生剤の適否を判断する資料とはなり難い。その主な理由は中濃度値がそ, 髄液の抗生剤の性格以外に患者の病態, 病日, 抗生剤使用量, 方法, 投与後の髄液採取時間く, その他の多の因子によって左右されるためと考えられる5, 6) 。これをできるだけ補うためには, 頻回採取によって継時的にその推移をみるほかはないが, 人体においてはまず不可能である。それはまた, 人体での抗生剤間の髄液中移行の優劣を決めることの困難な理由でもある。
    そこで, 家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎を用いて, 各種抗生剤の髄液中移行の優劣を比較し, ある抗生剤の髄膜炎に対する臨床応用の適否を推定する資料とすることを企てた。
  • 藤村 宣夫, 湯浅 正明, 上間 健造
    1978 年 31 巻 5 号 p. 269-273
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Combipenixは, 1カプセル中にAmpicillin (AB-PC) 125mg (力価) とDicloxacillin (MDI-PC) 62.5mg (力価) を含有する合剤で, AB-PCのβ-Lactamaseによる不活性化をMDI-PCのβ-Lactamase阻害作用で補うことによつて抗菌スペクトラムの拡大と両剤の協力作用による抗菌力の増大を期待し, AB-PC耐性ブドウ球菌およびある種のAB-PC耐性グラム陰性桿菌に対する有効性を発揮しうる広域性複合抗生物質である。
    このたび, われわれは, 本剤を慢性膀胱炎患者に使用し, 臨床効果を検討したので, その成績を報告する。
  • 藤村 宣夫, 横山 礼子
    1978 年 31 巻 5 号 p. 274-282
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ampicillin (AB-PC) とDicloxacillin (MDI-PC) の協力作用を臨床的に検討し, 前報1) において出したが本報では, 徳島大学泌尿器科の外来および入院患者の尿から分離され左臨床分離株に対するAB-PC, MDI-PCおよびAB-PC・MDI-PC合剤め抗菌作用および寒天平板拡散法による協力作用の検討をおこなつた。
  • 南条 昭一
    1978 年 31 巻 5 号 p. 283-286
    発行日: 1978/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    グラム陽性球菌群ばかりでなく, グラム陰性桿菌群に対しても抗菌力をもつ, 合成ペニシリン製剤であるAmpicillinの中耳の急性化膿性炎症に対する臨床的評価は, すでに確立しているが, その副作用が比較的少ないこともあつて, 臨床的に広く賞用されている。
    今回, Ampicillinと同様に, 広範励抗菌スペクトラム, および抗菌力をもち, 経喉与時にすぐれた吸収性があり, Ampicillinと同量の内服によつて約2倍の血清中濃度が得られ, またAmpicmlnの内服の欠点とされている食事の吸収に与える影響が少ないといわれているAmoxicillinを試用したので, その成績を報告する。
    本剤による耳鼻咽喉科領域の臨床的検討は, 岩沢1) , 高須2) , 本村3) , 岡本4) , 東5) , 前田6) らによつて, カプセル剤について報告されているが, 今回, ペニシリン臭の軽減, 服用しやすい大きさ, 等を考慮したAmoxicillin錠を急性中耳炎の症例を中心に耳鼻咽喉科領域の急性感染症に対して試用した。
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