The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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32 巻, 11 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 中沢 進一, 鈴木 博之, 岩崎 章宣, 近岡 秀次郎, 岡 秀, 平間 裕一, 成田 章
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1081-1090
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefamandole (以下CMDと略記) は, 1972年, 米国Eli Lilly社で開発された新注射用Cephalosporin系抗生剤であり・抗菌性の面で従来本邦で常用されているCephalothin (CET), Cephaloridine (CER), Cefazolin (CEZ) 等に比較してグラム陰性桿菌類 (Proteus, Enterobacter, Citrobacter, Haemophilus influenzae等) に対して感性である点が特徴とされているが, 本邦においては本剤のSodium製剤についての成人各種疾患を対象とした一連の検討がおこなわれ, 昭和53年6月, 第26回日本化学療法学会総会においてはその成果が報告された。今回, 小児科領域においても, 本剤の検討がおこなわれるようになり, 私等もこのグループの1員として本剤に関する基礎的, 臨床的研究をおこない, 一連の成果が得られたので, 以下今日までの概況について報告することにした。
  • 堀 誠, 黒須 義宇, 豊永 義清, 河野 三郎, 橋本 文久, 松永 貞一, 高橋 孝行
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1091-1100
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefamandole nafate, 7-D-Mandelamido-3- [[(1-methy1-1H-tetrazo1-5-yl)-thio] methyl] -3-cephem-4-carboxy-lic acid, formyl estor, sodium saltは, 米国Eli Lilly社で開発された半合成セファロスポリン系製剤で, 広い抗菌スペクトラム1~3) をもち, Fig.1のような構造式をもち, 米国およびその他の諸国では臨床症例1,392例が集積され, 現在最も広く使用されているCephalosporin C系薬剤の1つである。しかし, 本邦ではこの薬剤が加水分解によつてCefamandole sodium (CMD) と蟻酸に分解され, その安全性の検討に困難が予想されるため, Nafateの開発を断念し, 安定なSodium塩をつくるために, 製造法を改良し, その結果, 最近増加しつつある院内感染の病原菌となるEnterobacter, Serratia, Citrobacter, Proteus sp.等の腸内細菌群には, 従来開発されたCephalothin (CET), Cefazolin (CEZ), Cephaloridinc (CER) は抗菌力が弱いが, CMDはそれらと比較したさい, すぐれた抗菌力を示し4~6), また, in vitmにおいて現在Ampicillin (ABPC) 耐性株が増加しつっある7~9)。Haemophilus influenzaeに対しても非常に有効であるという報告もあり10), CMDは小児期感染症に対してすぐれた効果を示す薬剤であると考えられる。
    今回我々は, CMDについて, 体内動態および臨床効果の検討をおこなつたので, その成績を報告する。
  • 吉川 紀雄, 辻 寧重, 佐藤 雄民, 池田 雄祐, 品田 佳秀, 河西 紀夫, 玉置 明, 葛西 洋一
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1101-1106
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸に併発する胆道感染は, 発生頻度も高く, 重篤で致命的経過をとることが多い1, 2)。この治療には, すみやかな胆道ドレナージと, 適切な抗生物質の投与が必要である。しかし, 血中濃度が高く, 胆汁中への移行性の高い抗生物質であっても, 胆道閉塞と肝実質障害をともなう閉塞性黄疸時に, 抗生物質が胆汁中へ移行するかどうかは不明である。
    閉塞性黄疸時の抗生物質の胆汁内移行に関しては, 臨床的には多少の報告がみられ, 肝障害よりはむしろ胆道閉塞が, 胆汁内移行を阻止する要因であるとされている。しかし, 閉塞性黄疸の病態は多様であり, また, 胆汁の採取法, 採取時期などの差異もあつて, これらに関する見解は一定していない。
    今回, われわれは, 実験的に胆道閉塞時の抗生物質の胆汁内移行性について, Cephalosporin系の新らしい抗生物質Cefbtiam (CTM) とCefazolin (CEZ) を用い比較検討したので, その知見を報告する。
  • 長 和彦, 滝本 昌俊, 吉岡 一, 立花 啓, 棚川 信夫, 穴倉 迫弥, 南部 春生, 永松 一明
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1107-1116
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしい注射用セファロスポリンC系抗生物質Cefuroximeは, 腸内細菌が産生するβ-Lactamaseに対する抵抗力が強いこと, またAmpicillin耐性のインフルエンザ菌やNeisseriaに対する抗菌力の強いことがin vitroの実験で確かめられ, 臨床上でも, 同様の特徴があることが知られている1, 2)。
    我々は, この抗生剤を21例の細菌感染症の治療に使用し, また2例についてPharmacokinetics dataを得ることができたので報告する。
  • 大沼 一夫, 飛鳥 徳久, 永田 紀四郎, 青山 隆蔵
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1117-1121
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuroximeは英国のGlaxo研究所で開発された新らしい注射用セファロスポリンC系の抗生物質で, 本剤の化学構造式は, 下記のとおり, 7位のAmino基に2-Mothoxyimino furylacetic acidを結合させることによつてβ-Lactamaseに対する安定性を高めることに成功した。これは, Methoxyimino基がβ-Lactam環のC-N結合に対するβ-Lactamaseの攻撃を立体的に阻害するためと考えられている。
    本剤は, β-Lactamase産生菌に対して抗菌力を示し, E. coli, Klebsiellaのセファロスポリン耐性株やCitrobacter, Proteus, Enterobacterにも抗菌力を示す。また, 本剤はH.inflzuenzaeN. gonorrhoeaeに対しては, 在来のセプアロスポリン剤にくらべて特に強い抗菌力をもつといわれている1)。
    我々は今回, 本剤を13例の小児疾患に使用する機会を得たので, その臨床成績を中心に報告する。
  • 小牧 久美子, 松枝 依子, 益子 仁, 藤井 良知
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1122-1126
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuroximo (CXM) は, 英国Glaxo研究所において開発された注射用新Cephalosporin (CEPS) 剤で, その炉Lactamase安定性と抗菌領域の拡大から, 藤井によつてCEPS第4群に分類されており1), 日本においても, 成人領域における有用性の評価をすでにうけているものである2)。
    この度, 帝京大学小児科に入院した11例の小児臨床例についてCXMの効果を検討ずる機会があうたので, 報告する。
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 中沢 秀夫
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1127-1131
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    英国のGlaxo研究所で開発されたCefuroxime (以下CXM) は, Cephalosporin分子内の7位のAmino基に2-Methoxyiminofurylacetic acidを結合させ, β-Lactamaseに対する安定性を高めることに成功した新セファロスポリン系薬剤である。したがつて, 本剤はβ-Lactamase産生菌に対して抗菌力を示し, 従来のセファロスポリン系抗生剤より抗菌スペクトラムが広い。さらに本剤は, MICの近くで殺菌的に作用し, グラム陽性菌に対してよりもグラム陰性菌に迅速に作用するという1)。また, 筋注および静注によつて比較的高い血中濃度が得られ, 血清蛋白との結合率も低く, 代謝されず, 活性型のまま速やかに尿中に排泄される特長がある。すでに欧米では, 臨床例の検討が終り2), わが国でも1976年11月から成人例の臨床成績が得られて, 第26回日本化学療法学会総会の新薬シンポジウムで発表された。小児疾患に対する本剤の治験も, SORINらをはじめ, いくつかの報告がある2)。ここでは, 我々が小児疾患に対して本剤を投与し, 臨床検討をおこなつた成績を報告する。
  • 中村 幸義, 柳沢 公二, 市橋 治雄
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1132-1136
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbroximoは, Fig.1に示すように, 7-Aminocephalosporanic acid (7-ACA) の7位のAmino基に2-Mothoxyimmofbrylacetic acidを結合させることによつて, グラム陰性桿菌の産生するβ-Lactamasoに安定性を示す新らしいセファロスポリンC系の抗生物質である。
    本剤はEscherichia coli, Klebsiellaのセプアロスポリン耐性株のほかAmpicilln (ABPC) 耐性のHaemophiius inftuuenzaeや1), Neisseria gonorrhoeaeに対しても強い抗菌力を示すという特色をもつ広領域抗生剤であるが, 緑膿菌には作用しないので, 藤井の2) 分類による第4群に属する。私達は, Cefuroximeを小児感染症に使用する機会を得たので, その臨床成績の大要について報告する。
  • 堀 誠, 河野 三郎, 橋本 文久, 豊永 義清, 黒須 義宇, 松永 貞一, 高橋 孝行
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1137-1145
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    現在, 小児期の細菌感染症に対して多くのセファロスポリンC系薬剤が使用されているが, この系統の薬剤の作用機序のなかで特異的なものは, グラム陰性桿菌が産生するβ-Lactamaseに対して耐性を示すことであると思われる。
    最近, 小児科領域においても, グラム陰性桿菌慮染症が次第に増加の傾向を示し, ことに新生児, 幼若乳児においては, グラム陰性桿菌による化膿性髄膜炎, 敗血症など, 重篤な病像を示すものが少なくない。したがつて, 小児期の細菌感染症においては, 発病早期に適切な抗生物質療法の開始が, 予後を左右する上で重要なことと考える。
    Cefuroximeは, Fig.1に示すような構造式をもつ新らしい半合成セファロスポリンC系薬剤で,(1) インドール陽性のプロテウス属, エンテロバクターを含めて, グラム陰性桿菌が産生するβ-Lactamaseに対して抵抗性がある。 (2) 筋注, 静注時ともに高い血中濃度の維持が期待できる。 (3) 薬物代謝の面からみても安定で,(4) 血清蛋白との結合率が低く,(5) 体内蓄積がないので, 投与後数時間はかなり高い血中濃度を維持するが, 尿中の回収率も高く,(6) 一時毒性が低く, 腎毒性が低いなどの特性をもつているといわれている1~3)。
    In vitroでの抗菌力については, すでに多くの報告がみられ, 本剤と他のセファロスポリンC系の薬剤とを比較したばあい, NORRBYら4) はグラム陽性球菌に対してはCephaloridineとほぼ同様の抗菌力を示し, Cefbxitinよりは優れており, グラム陰性桿菌については, 大腸菌, インドール陽性プロテウス, インフルエンザ菌に対してCephaloridine, Cefoxitinよりも優れていると報告し, O'CALLAGHANら1) もCephalothinと比較して, 黄色ブドウ球菌以外のグラム陽性球菌, グラム陰性桿菌に対して優れた抗菌力をもち, なかでもAmpiciulin (AB-PC) 耐性のインフルエンザ菌に対して有効であると報告している。
    今回われわれは, Cefuroximeを小児期細菌感染症に対して使用する機会をえ, その体内動態, 臨床的効果を検討したので, その成績について報告する。
  • 平間 裕一, 岩崎 章宣, 鈴木 博之, 中沢 進一, 成田 章, 新納 憲司, 佐藤 肇, 中沢 進, 近岡 秀次郎, 岡 秀
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1146-1160
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuroxime (CXM) は, Glaxo研究所で開発された新らしい注射用Cophalosporin系抗生剤であり, その特徴はβ-Lactamase産生菌に対して強い抗菌力を示し, Eseherichia comi, KlebsiellaのCephalosporin耐性株やCitnbacter, Enterobacterにも抗菌力を示し, また, Haemophilus inftuenzae, Neisseria gonorrhoeae等に対しそ強い抗菌力をもつ点であろう。一方, Cephalothin等に比較して血中半減期も長く, 投与後体内で代謝を受けず, 腎を介して6時間以内に投与量の80~90%が活性型のまま尿中に排泄される。
    本剤は, 1976年4月からヨーロッパを中心とした19力国において臨床治験が進められ, すでに4,000例以上についての臨床的検討がおこなわれた。本邦においても1976年11月以来, 成人各科に関する研究会が組織され, 以上の基礎的, 臨床的成果について第26回日本化学療法学会総会 (1978年6月) で報告された。
    本剤は, 筋注, 静注ともに可能であり, ヨーロッパの小児科領域では, 筋注での治療も盛んにおこなわれている1) が, 本邦では小児筋注後の筋拘縮症が問題視されているので, 今回私等は本剤の静注 (One shot, 点滴) を主体とした小児科領域における基礎的, 臨床的検討をおこない, 一連の成果を得ることができたので, 以下, 今同までの概況について報告する。
  • 堀田 昌宏, 老川 忠雄, 砂川 慶介, 南里 清一郎, 山下 直哉, 秋田 博伸, 市橋 保雄
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1161-1164
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuroxime (CXM) は, 新らしい注射用セファロスポリンーC系の抗生物質で, β-Lactamase産生菌に対して抗菌力を示し, Escherichia coli, Klebsiellaのセファロスポリン耐性株やCitrobacter, Pmteus, Enterobaeterにも抗菌力を示す。また本剤は, Haemophilus inftuenaeNeisseria gonorrhoeaeに対しては, 在来のセファロズポリン剤にくらべて特に強い抗菌力をもつ。このCXMに関して, 小児科領域における基礎的および臨床的検討をおこなつたので, ここに報告する。
    基礎的検討としては, 血中濃度, 脳室内濃度, それに臨床分離株のE. coliSalmonellaについてMICの測定をおこなつた。臨床的には, 尿路感染症, 呼吸器感染症, 眼窩蜂窩織炎, 骨髄炎などに対し本剤を投与し, その効果を検討した。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 宮津 光伸, 大須賀 民子, 稲熊 和代
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1165-1177
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 合成ペニシリン剤やセファロスポリン剤の多用にともなつて, β-Lactamase産生菌が増加の傾向にある。それらの細菌や従来の薬剤に感受性のないグラム陰性桿菌による感染症が問題となつてきている。小児科領域の感染症では, 今もグラム陽性菌によるものが多いが, 基礎疾患があるばあい, 宿主側に抵抗性の減弱があるばあい等には, 同じような傾向がうかがえる。したがつて, 小児科領域においてもβ-LactamaseにResistantなセブアロスポリン剤は, 不可欠なものになつてくると考えられる。
    Cefuroxime (CXM) は, 英国のGlaxo研究所で開発された, 新らしい注射用セファロスポリンC系抗生剤である。本剤はβ-Lactamaseにつよい抵抗性を示し, グラム陽性菌ばかりでなく, Escherichia coli, Klebsiellaのセファロスポリン耐性株にも, その他Citrobacter, Proteus, Enterobacterなどのグラム陰性菌等にも抗菌力をもつている。また, 従来のセファロスポリン剤の弱点であつたHaemophilus inftuenzaeに対してな, 欧米で問題となつているAmpicillin耐性株を含めて, つよい抗菌性を示すといわれる1)。
    本剤は, 投与後, 体内で代謝をうけることなく, ほとんど腎を介して活性型で排泄され1), 新生児においても蓄積はみられなかつた2, 3) と報告されている。また, 腎毒性については, 動物実験ではCephalothin (CET) と同じか, それより軽度であるといわれている1)。
    今回, こういつた特徴をもっCefuroximeを小児科領域の細菌感染症に使用したので, その臨床成績を報告する。また, 小児における本剤の吸収, 排泄, 髄液内移行についても, 検討したので, あわせて報告する。
  • 吉田 幸雄, 松尾 喜久男, 猪飼 剛, 山田 稔, 塩田 恒三, 荻野 賢二, 竹内 滋, 岡田 清吾, 嶋田 義治, 栗本 浩, 久納 ...
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1178-1182
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Recently, it has been known that the aminosidine has marked anthelmintic efficacy against tapeworm. In this investigation, aminosidine was used for treating 14 cases with Diphyllobothrium latum infection and 5 cases with Taenia saginata infection.
    Aminosidine was administered orally in a single dose of 50mg/kg, followed by a purge after the treatment. Fourteen patients with D. latum infection and 5 patients with T. saginata infection expelled long strobila in all cases. Although only 7 scolices of 18 worms of D. latum were found in the stool and no scolex of T. saginata was found, follow-up examination for a long period showed no evidence of remaining infection with one exception of D. latum.
    Mild nausea, vomiting and abdominal pain were observed in only one of 19 cases given aminosidine. But in the other 18 cases, no side effects were encountered.
    It was concluded that aminosidine is safe, effective therapeutic agent for the treatment of cestodiasis in man.
  • 斎藤 豊一, ウン シータン
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1183-1188
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Minocycline (MINO) は, 米国レダリー研究所で開発されたTetracycline (TC) の誘導体であり, Fig一1に示す化学構造をもつている。MINOは, ブドウ球菌に対して殺菌的作用を示し, 耐性ブドウ球菌をはじめとするグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対し広範な抗菌作用をもつことが知られている1~3)。
    MINOは, 構造上TCとわずかな相違があるにすぎないが(Fig.1), TCに比較して, 種々の臨床上の優れた特長をもつていることがAUENの最近の研究で明らかにされている4)。MINOは, すでに内服剤および点滴静注用製剤として各種感染症に広く用いられ優れた治療効果をおさめているが, 一方にやいて, MINOを服用した患者において「めまい」などの前庭器症状 (Vestibular symptoms) の発現が高い頻度でみとめられるという報告を, 最近多く目にするようになつた5~9)。この症状は女性患者に多くみられ10), しかも用量依存的である11) との指摘がなされている。
    今回我々は, MINOの効果を減ずることなく「めまい」などの副作用症状を少なくすることが可能かどうかを検討する目的で, 初回に100~200mgを投与し, 以後12時間ごとあるいは24時間ごとに100mgずつ投与という従来のカプセル剤の投与法に代え, 1回50mg1日3回経口投与の方法を試みた。この投与法を用い, 急性尿路感染症の患者にMINOの50mgカプセル製剤 (日本レダリー社提供) を投与し, 良好な成績を得たので, その概要を以下に報告する。
  • 増田 剛太, 矢島 太郎, 中村 毅志夫, 柳下 徳雄, 山崎 悦子
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1189-1195
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    寒天平板法を用い, 低濃度Tobramycinとβ-Lactam抗生剤の併用効果を, 静菌および殺菌レベルで検討した。殺菌力の測定では, 被検菌に対する抗生剤の作用時間を3時間および20時間とした。まず, TobramycinとCephalothinの併用効果を静菌力 (MIC) を指標として評価したが, Escherichia coliで26株中20株, Klebsiella sp.では27株中15株に相乗効果がみられた。20時間抗生剤作用時の殺菌力で検討すると, より多くの菌株で相乗効果が生じた。他の菌株では, 多くが相加効果を示した。さらに, 3時間抗生剤作用時点での殺菌力による評価では, ほぼ全株に相乗効果を証明した。また, 36株のPseudomonas aeruginosaに対するTobramycinとCarbenicillinの併用効果の検討では, 静菌, 殺菌レベルともに, 大多数の菌株に相乗効果をみとめた。なお, 少数菌株間では拮抗効果も証明された。
    抗菌物質の抗菌力の指標として, 今日, 検査室レベルではDisc法が, 研究室レベルでは静菌力 (Minimal inhibitory concentration, MIC) や, 殺菌力の測定がおこなわれ, 最近では抗生剤接触による細菌の形態変化を指標とする試み1, 2) もなされている。また, 近年の臨床においては, 血液疾患, 悪性新生物, 免疫代謝異常, 老令者, または放射線照射や副腎皮質ホルモン剤等の投与をうけたいわゆるCompromised hostが増加しており, これら宿主に合併した細菌感染症は, きわめて難治性で, その治療にPenicillin, Cephalosporin等のβ-Lactam製剤, またはGentamicin, Tobramycin, Dibekacin, Amikacin等のAminoglycoside製剤が単独または併用で, しばしば大量に用いられる。これら薬剤は, いわゆる殺菌性抗生剤と称せられるもので, その抗菌力の指標としては, 静菌力よりむしろ殺菌力の選択が望ましいと考えられるが, 技術的な理由から, しばしば静菌力で代用される。これら抗生剤の抗菌力, とくに併用時におけるそれを殺菌レベルで評価した従来の報告は, 液体培地法での殺菌曲線を利用したものであり 3, 4, 5), その実験には多くの時間と器材を必要とするため, 同時に多数の抗生剤, 被検菌を対象としえない欠点がある。
    われわれは, 寒天平板を用いたβ-Lactam抗生剤の殺菌力測定法を開発中であり6, 7), 本論文では, 低濃度Tobramycinとβ-Lactam抗生剤の併用効果を, 比較的多くの菌株について, 静菌, 殺菌両レベルで検討した。被検菌種としてはCompromised hostにおける感染症で分離頻度の高い, 8, 9, 10), Escherichia coli, Klebsiella sp.およびPseudomonas aeruginosaを選んだ。
  • 松本 和彦
    1979 年 32 巻 11 号 p. 1196-1202
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Vastcillin®は, 新ちしく開発された合成ペニシリンであるCidadlin血 (以下ACPC) の製剤であつて, 経口投与によつて速やかに, かつ効率よく吸収され, 高い血中および臓器内濃度を示すことが特長とされている。また, Solcillin®は, 無水Ampicimn (以下ABPC) の製剤であるたあ, Trihydrate型Ampicinin製剤にくらべて吸収が早く, より高い血中濃度がえられるという特長がある。
    両者とも, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に殺菌作用をあらわす広域合成ペニシリン系製剤である。著者はこれら両薬剤を経口投与したばあいの血中濃度および扁桃内濃度に関して, 種々の検討をおこなつたので報告する。
  • 1979 年 32 巻 11 号 p. 1206-
    発行日: 1979年
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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