The Japanese Journal of Antibiotics
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33 巻, 12 号
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  • 他剤無効例について
    矢口 慧, 荻 光春, 山科 賢児, 小林 豊司, 武内 靖宏, 加賀 谷闊, 松島 達明, 北浜 恵三
    1980 年 33 巻 12 号 p. 1259-1267
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 多くの抗生剤が登揚したことにより急性呼吸器感染症の治療は, 比較的容易になつてきた。しかし, 入院患者の高令化につれて, 慢性の呼吸器疾患をもつ患者が多くなり, これらに併発してくる気管支肺感染症では, 菌交代現象を含めて菌の消失が一時的で, 種々の抗生剤に抵抗し, その経過が遷延化する症例が多くなつてきている。
    今回, 著者らはこれら難治性の気管支肺感染症に対して, Cephamycin系に属する最初の抗生剤でβ-Lactamaseに高度の抵抗性を示すCefoxitin (以下CFX) を使用する機会を得たので, その成績を報告する。
  • 白松 幸爾, 佐々木 一晃, 丸山 芳朗, 内沢 公伸, 平田 公一, 早坂 滉
    1980 年 33 巻 12 号 p. 1268-1273
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Merck Sharp & Dohme Research Laboratoriesで開発されたCefoxitin (以下CFXと略) は, Fig.1に示すように, β-Lactam環の7α 位にMethoxy基をもち, β-Lactamaseによる分解にきわめて安定嶺初のCephamycin系抗生物質で1, 2), 従来のCephalosporn 系薬剤に耐性のグラム陰性桿菌のうち, Escherichia coli, Klebsiella, インドール陽性Proteus, Serratiaおよび偏性嫌気性菌Bacteroides fragilisにも優れた抗菌力を示すことが報告されている3-6)。
    われわれは, 腹部外科領域の感染症および術後感染予防にCFXを使用する機会をえたので, 臨床効果および副作用について報告する。
  • 加治木 章, 高本 正祇, 石橋 凡雄
    1980 年 33 巻 12 号 p. 1274-1276
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症は, 口常診療において大きな比重を占めている。この治療には, 一般の感染症と同様の治療計画が必要であるが, 呼吸器感染症の特異性も考慮しなければならない。一般に, 感染症の治療は, 起炎菌を決定し, その薬剤感受性の結果に基づいた化学療法を開始するのを原則とする。しかし, これらの手続きには, 2-3日を要する。一方, 肺炎のような急性呼吸器感染症による死亡は, 発病後24時間以内におこることが多いため, すみやかに治療を開始しなければならない。また, 呼吸器感染症のばあいには, 検査材料としての喀疾が, 常在細菌叢のある上気道, 口腔を通過して得られるために, 分離菌を直ちに起炎菌と即断できないという制約がある1-3)。
    したがつて, 急性呼吸器感染症では, 臨床像および起炎頻度から起炎菌の推定をおこない, 抗生物質を選択, 治療を開始し, 細菌検査の結果が出てから次の対応を考えるというのが現実的であろう。このような観点から, First choice抗生物質として, Cefadroxilを使用し, その臨床効果を検討した。
  • 豊永 義清, 黒須 義宇, 熊谷 公明, 堀 誠
    1980 年 33 巻 12 号 p. 1277-1284
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    細菌性髄膜炎の治療の基本は, 早期診断による早期の適切な抗生物質の選択と適切な血清中および髄液中濃度の保持によるものと考えられるが, 起因菌の決定前に抗生物質の使用を開始しなければならないばあいが多い。初期治療薬として, MATHIES, WEHRLEら1) は, Ampicillin (ABPC) 単独療法を, McCRAKEN2), MuRRAYら3) はABPC+アミノ配糖体 (Gentamicin) 大量療法を推奨している。しかし, ABPCとこれらアミノ配糖体系抗生物質の併用が, 相互間の不備を補うためのものであり, 現在ではABPCまたはKanamycin (KM), Gentamicin (GM) 耐性大腸菌が増加しつつあり, KM耐性ブドウ球菌も増加の傾向がある。さらに, ABPC耐性のインフルエンザ菌が増加し, ABPC耐性インフルエンザ菌性髄膜炎の報告4-6) もある。また, ABPCによつて奏功し得ないばあいにChloramphenicol (CP) を使用したばあいも以前は多かつたが, KINMoNTHら7)は, CP耐性インフルエンザ菌性髄膜炎の報告をしている。小林ら8) は, 新生児期の化膿性髄膜炎において, 大腸菌, ブドウ球菌の耐性株のほとんどないセファロスポリンC系薬剤をABPCのかわりに用いるべきだと述べ, なかでもCefazolin (CEZ) を選ぶべきだと報告している。著者らも, 乳児期以降に増加しているEscherichia coli, Haemophilus influenzae および, Streptococcus pneumoniaeによる髄膜炎において, 第5群のCEPs系抗生物質であるCefotaxime (CTX) あるいはCefoperazone (CPZ) を使用し, 有効な成績を得5, 9) ている。
    近年, β-Lactamase産生菌の存在がしられるようになり, 臨床上無視し得ないものとなつているが, 従来のCEPs系抗生物質の利点をもちながら, β-Lactamaseに対して安定な薬剤の開発が進み, 数々の新合成CEPs系薬剤が登場している。Cefuroxime (CXM) も, 同群の1つであり, 化膿性髄膜炎の原因菌であるNeisseria meningitidis, H.influenzaeおよびS.pneumoniae等に非常に優れた抗菌力を示している10)。また, 化膿性髄膜炎についての臨床報告および髄液濃度は, 岩井ら11), KUZEMKOら12) により, すでになされており, 新生児期での髄液移行に関しても, RENLuNDら13), WILKINSONら14) の報告がある。
    今回, われわれは, 小児期化膿性髄膜炎に対しCXMを使用する機会を得, 4例の小児に対して使用し, 有効な成績を得たのでその結果を報告する。
  • 第2報小児科の使用状況
    藤井 良知, 山岡 桂子, 真田 弘子
    1980 年 33 巻 12 号 p. 1285-1293
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    当大学病院の昭和49年から51年の3年間にわたる抗生剤使用現状と, 内容分析をおこなった前報1) において小児科, は経口抗生剤の処方件数において他を引き離して断然多いこと, また, 全般的に使用の内容は, セファロスポリン系 (CEPs), ペニシリン系 (PCs) が主要なものであり, マクロライド系 (MACs), クロラムフェニコ_ル (CP) は急激に減少し, テトラサイクリン系 (TCs) の使用は, 極めて少ないことに触れた。
    今回は, 感染症の多い小児科の特殊性に鑑み, 小児科だけを調査の対象として, 昭和49年から昭和53年に至る最近5年間の抗生剤の使われ方と, その変動について詳細に調査したので, その結果を報告するな。
    なお, この研究の目的は, 日本全国の抗生剤消費状態との関連, 大学病院小児科における必要抗生剤の範囲を知り, 院内耐性菌対策, 病院管理上の資料とする点にある。
  • 治療効果と組織内濃度について
    平沢 貞子, 阿部 弘, 戸次 英一, 橋本 伊久雄, 沢田 康夫, 中村 孝, 三上 二郎, 渡辺 泰雄
    1980 年 33 巻 12 号 p. 1294-1300
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 胆嚢炎, 胆石症等の胆道系疾患の患者は増加しており, 特に急性胆嚢炎患者が救急にて運ばれてくることもまれではない。これらの患者は, 急性腹症, 胆嚢炎等の診断を受けて治療され, 軽快, 再発をくりかえして, 種々の抗生剤による治療を受けていることが多い。したがつて, すでに各種の抗生剤がかなり長期間, しかも不充分な使用量により使用され, このために入院治療をおこなつても, 種々の抗生剤に耐性をもつている起炎菌のために, 治療に困難を来たすこともまれではなくなつている。特に最近, 広く用いられている合成ペニシリン剤, セファロスポリン剤に耐性をもつているβ-Lactamase産生菌の存在が指摘され, 治療上の大きな問題となつて来ている。
    我々は最近, β-Lactamase抵抗性をもつ新合成Cephalosporin剤, Cefoperazone (CPZ) 1) の試用をおこなう機会を得た。急性胆嚢炎患者は, 10例であつたが, このうち6例に症状の軽快後に手術をおこない, この手術中にCPZ19を静注し, 血中濃度, A, B胆汁内濃度, 胆嚢壁内濃度を測定した。この組織内濃度と臨床効果の関係を検索し, 多少の興味ある所見を得たので報告する。
  • 組織内濃度と臨床効果の関連
    橋本 伊久雄, 沢田 康夫, 中村 孝, 三上 二郎, 平沢 貞子, 阿部 弘, 戸次 英一, 渡辺 泰雄
    1980 年 33 巻 12 号 p. 1301-1305
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    腹膜炎は, 一般外科において日常最も手掛けることの多い疾患の1つであり, 感染症の典型的なものとして, 従来から広く治療されて来ている。抗生物質の広く用いられている今日, 軽症あるいは急性初期の腹膜炎の治療は, ドレナージ併用の時期や適応を誤らなければ, さして困難であるとはいえない。もちろん, 今日でも, 麻痺性イレウス等を合併する重症例もあり, さらにEndotoxin shock等を併発すれば死亡することもまれではないが, 大部分の腹膜炎は今日の化学療法の発達によつて, 比較的治療し易い疾患となつているようである。
    しかし, 最近になつて, 現在広く用いられているAmpicillin, Carbenicillin, Sulbenicillin等のPenicillin系抗生剤, さらにはCephalexin, Cephalothin, Cefazolin等のCephalosporin系抗生剤の多くに耐性をもつβ-Lactamase産生菌の存在が指摘され, 特にこれはEscherichia coli, Klebsiella, Enterobacter等のグラム陰性桿菌に多いとされ, 今日, 腹膜炎の起炎菌として多くみとめられている細菌群であるところから, 腹膜炎治療上の大きな問題となつて来た。
    我々は最近, β-Lactamaseに抵抗性をもつ新合成Cephalosporin剤Cefoperazone (CPZ) の試用をおこなう機会を得た1)。このうち腹膜炎の術中に1gのCPZを静注し, 組織内濃度を測定, 起炎菌を検索し, 術後CPZによる腹膜炎治療をおこなつた症例は6例である。この6例について検討し, 多少の興味ある所見を得たので報告する。
  • 椹東 明, 木村 孔右, 徳田 安章
    1980 年 33 巻 12 号 p. 1306-1312
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone (CPZ) は. 新規注射用Cephalosporin系抗生剤であり, 筋注, 静注によつて高い血中濃度が得られ, その持続性が良好である。また, 皮膚科領域感染症の原因菌として, 最も頻度の高い黄色ブドウ球菌等グラム陽性菌ばかりでなく難治性感染症で, しばしばみうけられるPseudomonas aeruginosa, Escherichia coli, Enterobacter等にも強い抗菌力をもつている1)。
    前回, われわれは, 膿皮症に対する臨床効果を検討し, 高い有効率を得たが2), 今回さらに症例数を重ね検討したので, その結果について報告する。
  • 河村 正三
    1980 年 33 巻 12 号 p. 1313-1317
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone (CPZ) は, 本邦で開発されたCephalosporin系注射剤である (Fig.1)。
    本剤は, グラム陽性菌および陰性菌に対して優れた抗菌力を示すだけでなく, 従来のCephalosporin系抗生物質が無効な, Pseudomonas, Indole陽性Proteus, Serratiaなどに強い抗菌力をもつている。また, 筋注, 静注によつて高い血中濃度が得られ, 血中濃度半減期がCefazolin (CEZ) よりも長く, 腎毒性も少ないといわれている1)。
    今回, 耳鼻咽喉科領域の感染症に対する本剤の臨床検討をおこなつたので, ここに報告する。
  • FUSANOSUKE YAMASAKU, YASUTOSHI SUZUKI, KOSHIRO UMEMURA
    1980 年 33 巻 12 号 p. 1318-1331
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ribostamycin is an aminoglycoside antibiotic produced by Streptomyces ribosidificus, and extracted and isolated by NIIDA et al. 1, 2) It has been used widely clinically with its characteristic of low ototoxicity.
    UMEMURA et al. studied the pharmacokinetics of this antibiotic in animals and reported that it has a similar pharmacokinetic behavior in vivo to kanamycin. 3)
    In the present studies, the pharmacokinetic behavior of ribostamycin was studied in 5 healthy adult volunteers receiving different doses (0.5g, 1.0gand1.5g) by intramuscular injection, and 0.5 g by intravenous drip infusion.In addition, a similar study was conducted with11patients with varying degrees of renal dysfunction in order to study the application of ribostamycin in such patients.
  • 猿渡 勝彦, 北島 幸子, 外輪 幸一, 餅田 親子, 林 愛, 那須 勝
    1980 年 33 巻 12 号 p. 1332-1342
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    各種臨床材料から分離される菌種は, 近年多くの抗生剤に耐性化の傾向がみられ, 特にβ-Lactam系薬剤に対する感受性の低下は, 顕著になりつつある。このような状況のなかで, 細菌の各種抗生剤に対する感受性分布の動向を知ることは, 臨床的に細菌感染症に対する適切な治療を施す上に重要であるばかりでなく, 疫学的な見地からも大切である。私達は, 現在広く用いられている抗生剤を選び出し, これらの抗生剤の年次的な感受性の変動を知る目的で, 日常各種感染症の起炎菌としてよく遭遇する主な菌種について検討をおこない, 1978年の分離株については既に報告した1)。
    今回は, 1979年の分離株について, 同じ抗生剤を用い, これらの抗菌力を検討し, 2, 3の菌種についてはさらに喀痰由来株および尿由来株に分け, 最近耐性株の出現が顕著であるといわれるCephalosporin系薬剤に対して2), 由来別にみた感受性の相違についても検討したので, その成績について報告する。
  • 1980 年 33 巻 12 号 p. 1343-1346
    発行日: 1980/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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