The Japanese Journal of Antibiotics
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33 巻, 2 号
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  • L-Cysteineおよびその誘導体の抗生物質の力価に及ぼす影響
    菊地 法男, 月永 充, 遠藤 和嘉子, 上條 清明
    1980 年 33 巻 2 号 p. 117-124
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    L-Cysteineは, その化学構造式内にもつている-SHによつてMucoprotein中の-S-S-結合と置換し, 粘液溶解作用を示すことから, 種々の誘導体が去疾剤として広く使用されている。近年, このL-Cysteine誘導体が種々の抗生物質の力価を低下させるという報告がいくつか発表されている1~6)。
    一方, 呼吸器疾患の細菌感染時における治療には, 種々の抗生物質とCysteine系去疾剤とを併用する機会が多く, 力価の低下は治療上重大な問題となつてくる。
    われわれは, 臨床上広く用いられている12種の抗生物質に対する4種のCysteine誘導体の影響をinvitroにおいて液体希釈法を用いて最小有効阻止濃度(MIC)を指標として検討した。
    その結果, L-Cysteine, Acetylcysteino, Ethylcysteine, Mecysteineとも, 高濃度(500mcg/ml)ではほとんどの抗生物質の力価を低下させたが, 低濃度(12.5mcg/ml)では, Mecysteineは3種類, L-Cysteineは4種類の抗生物質の力価を低下させるにとどまつた。これに対して, Acetylcysteineでは6種, Ethylcysteineでは7種の抗生物質の力価を低下させた。
  • Pectite®(L-Methylcysteine hydrochloride)と抗生物質とのヒト体内における相互作用
    菊地 法男, 竹内 久人, 月永 充, 遠藤 和嘉子, 上條 清明
    1980 年 33 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    先に, われわれは第1報1) において, Cysteine化合物と抗生物質の相互作用について, in vitroで抗生物質の最小有効阻止濃度(MIC)に対するCysteine化合物の影響について報告した。今回は, このうちL-Methylcysteine hydrochloride (Mecysteine, ペクタイト®) をとり挙げた。
    抗生物質としては, 第1報1) において, Mecysteineの臨床用量での卑清中濃度に近似と思われる25mcg/mlの濃度で力価の低下がみられたSodium cephaLothin (CET), Cephalexin (CEX), Lincomycin hydroghloride(LCM)のうち, 経ロ剤のあるCEX, LCMを選んだ。さらに龍華ら2, 3), 佐竹ら4, 5) の報告でレCysteineによつて力価の低下が報告されているAmpicillin (ABPC) を選び, ヒトにおける抗生物質の血清中濃度を指標として相互作用について検討した。
    対象は, 志願者15例をABPC, CEX, LCMの3群 (各群5例) に分け, 投与方法は, 各群とも同一例に先ず抗生物質を単独投与し, 1週間後, 抗生物質 +Mecysteine 100mgの併用投与をおこなつた。
    その結果, Mecysteine 100mgとABPC 250mgまたはCEX 250mg, LCM 500mgとの同時1回経口投与による血清中濃度は, ABPC, CEX, LCMの単独投与とそれぞれほぼ同等の血清中濃度が得られ, 有意な差はみとめられなかつた。
  • 佐藤 博
    1980 年 33 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aclacinomycin A (ACMと以下略), MA 144 N1 (N1と略) およびMA 144 S1 (S1と略)は, Streptomyces galilaeus MA l44-M1の培養液から単離, 構造決定された新規なアンスラサイクリン抗生物質である1~2)(Fig.1)。ACMは, 種々の動物実験から, 心毒性3) が低く, 安全性の高い物質であり, 抗腫瘍効果3) もみとめられ, 内外において研究が進行している。また, N1およびS1は, ACMの生体内代謝物として血液中, 臓器内にみとめられている4)。著者らが確立したラット腹水肝癌を用いた癌化学療法剤のスクリーニングシステム5, 6) を用いて検討した3化合物の抗腫瘍効果を報告する。
  • 白井 正孝, 大森 健太郎, 平野 伸一, 井口 博吏, 堀 千之, 佐藤 博
    1980 年 33 巻 2 号 p. 138-149
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aclacinomycin A は, Streptomyces galilaeus MA144-M1 (ATCC 31133) によつて生産される新らしい抗生物質であり, その生物活性からみて抗腫瘍剤としての有用性が期待される物質である1)。この抗生物質は, 化学構造 (Fig.1) からAnthracydline系に分類されるが, 現在使用されているAdriamycinまたはDaunomycin等のAnthracycline系抗厘癌剤とは化学構造上も異なり, 抗口瘍スペクトルや作用機作にも特徴ある性質を示す2~7)。
    著者らは, Acladnomycin Aについてマウス, ラットおよびイヌにおける念性毒性試験をおこなったので, その結果を報告する。
  • 白井 正孝, 大森 健太郎, 平野 伸一, 井口 博史, 堀 千之, 佐藤 博
    1980 年 33 巻 2 号 p. 151-162
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Adacinomycin Aは, streptomyces galilaeus MA 144-M1(ATCC 31133) の培養液中から分離精製された新らしいAnthracycline系抗腫瘍満抗生物質である1)。
    Amthracyclime系抗腫瘍剤としては, DaunomycinおよびAdriamycinがすでに市販されている。Aclacinomycin Aは, これらDaumomycin, Adriamycinと異) るAglyconeおよび糖鎖を含む化学構造 (Fig.1) をもつており, 抗腫瘍スペクトル, 心臓毒満, 生体内動態, 作用機作等においても, 特徴のある満質がみとめられる2~7)。
    著者らは先に, マウス, ラットおよびイヌにおける急満毒満試験8) をおこ) つたが, 今回, ラヅトに対して30日間の連日腹腔内投与をおこ)い, その毒満について検討したので, 結果を報告する。
  • 沖 俊一, 柴本 憲夫, 井口 博史, 白井 正孝
    1980 年 33 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aclacinomycin A (以下ACMと略す)は, Streptomyces galilaeus MA144-M1によつて生産されるアンスラサイクリン系抗腫瘍性抗生物質である1)。ACMの抗腫瘍性2), 毒性3, 4), 心臓毒性2, 5~7), 生体内動態8, 9), 作用機作10~18) 等に関する報告から, ACMがアドリアマイシン, ダウノマイシンと異なる抗癌スペクトルをもち, 心臓毒性が少ないことが期待できる。
    本報では, 種々の動物臓器ホモジネートを用いて, ACMの代謝・分解をしらべ, 代謝物の同定をおこなつた結果を報告する。
  • 14C-または3H-Aciacinomycin Aのマウス, ラットおよびウサギにおける吸収, 排泄および体内分布
    井口 博史, 芹生 良博, 清崎 俊雄, 堀 千之, 刀根 弘, 沖 俊一
    1980 年 33 巻 2 号 p. 169-178
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1.14C-ACMの5mg/kgをウサギに投与したばあいの血中濃度は, 投与後すみやかに低下し, 30分後には1mcg/ml以下となるが, その後, 低濃度ながら長時間にわたつて持続) た。排泄については, 投与後72時間までに投与量の45%の放射活性が尿中から, 20%が糞中からそれぞれ回収された。
    2.40mg/kgの3H-ACMを正常マウスに, 10mg/kgの14C-ACMを担癌マウスにそれぞれ投与し, 経時的に臓器内分布を測定した結果, 2時間では, 肺, 脾臓に最も高く, 次いで腎臓, 肝臓に高い分布がみられ, 肺, 脾臓では活性型, 腎臓, 肝臓では不活性型で存在することがわかつた。
    2.時間以降は, 肺, 腎臓, 肝臓等では低下するのに対して, 脾臓, 胸腺においては明らかな濃度の増犬がみとめられた。また, 腸管内にも, 胆汁排泄によると思われるかなり高濃度の分布がみとめられた。
    脳への移行は非常に微量であつた。
    3.正常ラットに10mg/kgの14C-ACMを投与し, オートラジオグラフィーによつて観察した結果, 上記の肺, 脾臓, 腎臓, 胸腺, 腸管以外にリンパ節, 骨髄および下垂体, 唾液腺, 松果体等の分泌腺にも高い分布がみとめられた。
    4.妊娠ラットに10mg/kgの14C-ACMを投与し, 2時間, 8時間後の胎仔への移行を測定した結果では, 胎仔1匹当りへの移行量は, 母獣への投与量の約0.2%であり, 胎仔中濃度はほぼ母獣のプラズマレベルと同程度で, 非常に低い値を示した。また, 蓄積性はみとめられなかつた。
  • 吸光度分析法によるAclacinomycin Aのマウス, ウサギおよびイヌにおける吸収, 排泄および体内分布
    井口 博史, 松下 由行, 大森 健太郎, 平野 伸一, 清崎 俊雄, 堀 千之, 刀根 弘, 沖 俊一
    1980 年 33 巻 2 号 p. 179-191
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aclacinomycin Aは, Streptomyces galilaeus MAl44-M1(ATCC 31133) によつて生産される新らしいAnthracycline系抗生物質であり1), 既存のAnthracycline系抗腫瘍剤であるAdriamycimやDaunomycin等とは化学構造が異なり, 抗腫瘍性2), 作用機作6~9), 代謝11) および毒性8~5) 等においても特徴ある性質を示す。
    著者らは, 前報10) において, 14C-または3H-Aclacinomycin A の生体内動態について報告したが, 本報では主としてウサギとイヌに対する静脈内投与および経口投与時の吸収, 排泄および体内分布を吸光度分析法および生物検定法によつて検討した。
  • 大森 健太郎, 平野 伸一, 堀 千之
    1980 年 33 巻 2 号 p. 192-213
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aclacinomycin A (以下ACMと略)は, Streptomyces galilaeus MA 144-M 1の培養液中から分離精製された新規なAnthracycline抗生物質であリ1), Fig.1に示す化学構造をもつ。
    本物質は, すでに市販されているAnthracycline系制癌剤Daunomycin (以下DMと略) およびAdriamycin (以下ADMと略) と種々の点で性質を異にしている。実験動物腫瘍に対する抗腫瘍効果は, ADMに劣るが, DMと同等か, それ以上を示し2), ラットAH肝癌, マウスCD乳癌, Colon 38癌などに対する抗腫瘍スペクトルは, ADM, DMとやや異なる8)。さらに, 軽微な毒性, 特に心臓に対する毒性が少ないこと2), 代謝, 分布等の生体内動態8~8), 非変異誘起性9), 核酸合成阻害8) 等に特徴ある性質を示す薬剤である。
    今回, 著者らは本物質の一般薬理作用について検討したので報告する。
  • 鈴木 俊夫, 大鶴 正満
    1980 年 33 巻 2 号 p. 214-218
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年のめざましい農業形態の変貌や生活環境の整備などによつて土壌由来の線虫 (Soi1-borne nematodes), 蛔虫, 鉤虫, 鞭虫などの寄生者が激減してきているが, それとは反対に, 最近むしろ増加しつつあるいくつかの寄生虫症もある。広節裂頭条虫症も最近・全国的な増加傾向の伝えられる寄生虫症の1っであるが, 本虫の感染がサケ, マスの生食によるということから考えても, 近年食生活が豊かになつてきたということとは無縁なものではない。
    本症は, 魚類の生食を好む日本人の間には古くからよく知られた疾患で, 駆虫には種々の薬剤が用いられたようで, フィルマロン, 綿馬エキス, コソ, カマラ, ザクロ根皮, 椎の実, チモール, 四塩化エチレン, アテブリンなどが一昔前までの成書や種々の治療指針にみられる。しかし, それら薬剤のいずれもが使用方法, 駆虫効果, さらには副作用などの点で満足すべきものではなかつたようで, 現在では使用されていない。それにかわつて, 最近ではBithionol (Bitin) 1), Niclosamido (Yomesan) 2), 硫酸Paromomycin8) などが試みられ, いずれも安定した駆虫効果を示すことがみとめられている。
    著者らも, 1969年から硫酸Paromomycinを広節裂頭条虫症の駆虫に使用し始め, 1978年までに秋田 (うち1例は青森県人), 新潟両県で56例に達したので, 以下その成績を簡単に報告する。
  • KW-1062とGeutamicinの聴器毒性の比較 (28日間投与による急徃毒性試験)
    秋吉 正豊, 原 卓司
    1980 年 33 巻 2 号 p. 219-226
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    KW-1062は, 新規アミノ配糖体系抗生物質であり, Gentamicin (以下GMと略) と類似した物理化学的性状および抗菌スペクトラムをもつており, グラム陽性菌ならびに緑膿菌, 変形菌, セラチア, 肺炎桿菌などのグラム陰性桿菌に対して強い抗菌力を示すことが報告されている1)。
    しかし, KW-1062の聴器毒性は, 著者らが報告2)したように, GMに比較し, かなり弱いことが判明している。そこで著者らは, さらに用量の範囲を広げ, 前回と同様に広周波数域における周波数別耳介反射試験による聴覚検査を実施し, 耳介反射消失のみとめられる最小用量を求め, そのばあいの聴器に対する影響を検討している。今回は第1報として, 耳介反射試験の成績について報告する。
  • SADAO MIYAMURA, NAGAHIRO OGASAWARA, HITOSHI OTSUKA, TAKEO UCHIYAMA, HI ...
    1980 年 33 巻 2 号 p. 227-233
    発行日: 1980/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    A new antibiotic designated tendomycin was isolated from the culture of Strepto-myces No.9034. The antibiotic is active against Gram-positive bacteria, fungi and cultured cancer cells, and shows an inhibitory effect of EHRLICH carcinoma in mice.
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