呼吸器感染症では, 各種抗生物質の投与にもかかわらず, 胸部レ線所見はもとより, 自他覚症状が増悪をっづけ, 特に発熱が持続し, 患者の消耗が甚しく, 治療に困惑するばあいがある。起炎菌の同定も容易でない。すでに各種の抗生剤が使用されて, 検出される菌は,
Klebsiella pneumoniaeであったり, α-
Streptococciであったり, 嫌気性菌であつたり, 雑多である。
私共は, Cefmetazole (CMz, CS-1170) 使用後, 他剤使用後にくらべて, 菌交代現象または菌交代症の原因菌としての
Klebsiella pneumoniaeの検出率がきわめて低率で, これはこれまでの種々の抗生剤療法の経験からすると, むしろ特異的な現象として注目し, 報告したが1), この臨床経験は,
in vitroの抗菌作用からも充分に裏づけ出来る所見である2御4)。
本稿は, 種々の抗生剤療法で効果がみられず, 検出菌が,
Klebsiella pneumoniaeや判然と同定が不可能なきわめて重篤な呼吸器感染症に, CMZの大量療法 (1日109以上) を試みて良好な成績を得たので, その概要の報告である。
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