The Japanese Journal of Antibiotics
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34 巻, 11 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 山作 房之輔, 山田 秀雄
    1981 年 34 巻 11 号 p. 1429-1435
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tobramycin (TOB) はアミノ糖抗生剤の中で緑膿菌に対する抗菌作用が最も強く, 重症, あるいは難治感染症治療に対する主力抗生剤の1っである。一方, 重症, 難治感染症の中には出血傾向のため筋注が不適当なものや, 輸液がおこなわれていて, 経静脈的に使用する方が容易なばあいもあり, 実際に, アミノ糖抗生剤の点滴静注療法が少なからずおこなわれている。他方, アミノ糖抗生剤は聴器, 腎毒性があり, Penicillin, Cephem系抗生剤に比較すると, 有効濃度と中毒濃度の幅が接近しており, 点滴静注をおこなうさいに中毒濃度に達しないよう, 投与量と点滴時間を調節する必要がある。これらの基礎的資料を得る目的で, 定量を定速度で一定時間内に注入する持続注入器を用い, TOB静脈内持続注入時の血清中濃度の薬動力学的解析をおこない, 併せて副作用防止のため血清中濃度をチェックするRapidassayとしてRadioimmunoassayについても検討した。
  • 豊永 義清, 黒須 義宇, 堀 誠
    1981 年 34 巻 11 号 p. 1436-1446
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域においても, Pseudomonas aeruginosaをはじめとするブドウ糖非醗酵性グラム陰性桿菌による重症感染は, 新生児, 未熟児の様な幼若小児のばあい, また, 年長児においても, 種々の基礎疾患, たとえば血液疾患, 悪性腫瘍, 先天性免疫不全症などをもつばあい, そして熱傷, 外傷, 手術後の創面からの2次的感染症においては, 決して希ではなく, 初期治療薬の選択は, 非常に困難である。アミノ配糖体系抗生物質は, P. aeruginosaおよび他のグラム陰性桿菌の感染症のばあい, 最も信頼し得る薬剤であり, 他系抗生物賀無効のさいには単独あるいは併用薬剤として使用されている。しかし, 本系の薬剤は, 周知の様に, 高い血中濃度を示すばあい, 腎障害, 聴神経障害をおこしやすく, 本邦では, 静脈内投与を避け, 筋肉内投与が適応とされている。
    一般に, 小児においては, 抗生物質の投与は, 筋肉内投与においては筋硬縮症の問題があるので, 静脈内投与がなされることが多い。しかし小児科領域におけるアミノ配糖体系抗生物質の静脈内投与に対する検討は現在まであまりなされていないように思われる。
    そこで我々はTobramycin (TOB) をとりあげ, 最高血中濃度があまり高くならないように注意しつつ, できるだけ筋肉内投与における濃度推移に近い体内動態を得るための点滴静注法を, 薬動力学的に検討するとともに, 臨床例についてその有効性, 安全性についても検討を加えたので報告する。
  • 鈴木 秀明, 黒瀬 恒幸, 長尾 二郎, 炭山 嘉伸, 恩田 昌邦, 鶴見 清彦
    1981 年 34 巻 11 号 p. 1447-1450
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoxitin (以下CFX) は1972年, 米国メルク社においてStreptomyces lactamduransが産生するCephamycin Cの誘導体として最初に開発されたセファマイシン系の抗生物質である。CFXはβ-ラクタム環にメトキシ基をもつため各種細菌が産生するβ-ラクタマーゼに対しきわめて安定しており, 多くのグラム陰性桿菌に強い殺菌的抗菌効果を示し, 従来のセファロスポリン, ペニシリン系薬剤に耐性を示す細菌に対しても優れた抗菌効果を発揮する)。
    今回われわれは, 主に消化器領域の術後感染症および感染予防にCFX (マーキシン注射用) を使用する機会を得たので, その臨床的および細菌学的効果と副作用について検討したので報告する。
  • 阪神造血器疾患感染症研究グループ
    椿尾 忠博, 木谷 照夫, 永井 清保, 金丸 昭久, 堀内 篤, 長谷川 廣文, 正岡 徹, 柴田 弘敏, 川越 裕也, 篠原 慶希, 吉 ...
    1981 年 34 巻 11 号 p. 1451-1456
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    チカルシリン (TIPC) は, カルベニシリン (CBPC), スルベニシリン (SBPC) に類似した抗菌スペクトルをもっ広範囲半合成ペニシリンで, Pseudomonas aeruginosaを始めとするグラム陰性桿菌に対する抗菌, 殺菌作用は一般にCBPC, SBPCより強いとされている)。血液疾患に伴なう感染症に対して, CBPC, SBPCの天量投与にアミノ配糖体系あるいはセフェム系抗生剤の併用は現在広く用いられ, これらのペニシリン剤は大量投与 (20-30g/日) しても毒性の問題は少なく, 安全性が高いことがみとめられている。しかし, 大量投与にはNaのオーバーロードとそれに伴なう低K血症, 血液凝固系に対する影響などの懸念があり, TIPCにより投与量を減量することが可能であれば, 臨床的な意義は大きいものと考えられる。
    既にTIPCの一般感染症に対する治療効果については多くの文献があり, CBPC, SBPCの半量で同等の効果をもつことがみとめられている)。またTIPCは, CBPCなどと同様, P.aeruginosaなどに対しアミノ配糖体との間に併用による相乗効果がみとめられている)。
    ところで, 血液の腫瘍性疾憲では強力な化学療法や疾患自体により正常な白血球の絶対数が著るしく減少し, しかも起筆菌が不明のことが多く, 単一の抗生剤で治療を開始することは実際上殆どおこなわれていない 。われわれはTIPCとアミノ配糖体系抗生剤の併用を基本として, 症例により本剤単独あるいはセフェム系抗生剤との併用を臨床判断に基づいて選択するというプロトコールによつて, 各種血液疾患に合併した感染症に対する本剤の治療効果の検討を試みたので, 以下その成績を報告する。
  • 堀田 知光, 平林 憲之, 清水 一之, 内海 真, 加藤 泰治, 前田 秀明, 平野 明人, 大西 一功, 村手 隆, 山田 英雄
    1981 年 34 巻 11 号 p. 1457-1464
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫, 非定型的白血病, 再生不良性貧血などの難治性血液疾患は, 原病そのものがすでに免疫不全あるいは生体防御機構の低下した状態にある。その上, その治療過程で化学療法剤などの投与により, さらに高度の免疫能, 防御能の低下が避けられないため, 種々の感染にさらされる頻度は極めて高率である。また, このような状態にあつては同時に血小板減少を伴なつているため, 抗生物質などの投与にあたつては筋注は禁忌であるばあいが多く, 静脈内投与が必要である。今回, 我々はこれら難治性血液疾患における重症感染症に対するAmikacin下AMKと略す) の点滴静注投与による基礎的および臨床的検討を加えたので報告する。
  • 松本 忠彦
    1981 年 34 巻 11 号 p. 1465-1469
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmetazole (CMZ) は三共中央研究所で開発されたセファロスポラン酸の7α位にメトキシ基をもつセファマイシン系の抗生物質である (Fig. 1)。
    特徴としては, β-Lactamaseに対する抵抗性が極めて強くセファロスポリン, ペニシリン耐性菌に有効であること, グラム陽性, 陰性菌に広い抗菌スペクトラムをもつこと, 毒性が弱いことなどが挙げられる。
    今回, グラム陽性菌による中等症以上の各種皮膚科領域感染症に対してCMZを投与し, 多少の知見を得たのでここに報告する。
  • 河内 毅, 本田 忠雄, 伊藤 述弘, 余吾 全弘, 山口 久夫
    1981 年 34 巻 11 号 p. 1470-1476
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    合成ペニシウン系抗生物質アモキシシリン (以下AMPCと暗す) は, 経口投与で消化管から, よく吸収され, 呼吸器感染症や尿路感染症等に広く使用されている。筆者らは先に, Proteus mirabilis IID)-994およびEseherichia coli NIHJ JC-2を被検菌としたAMPCのin vitroにおける抗菌試験をおこない, その結果MIC以上に, 濃度を上げても抗菌効果はあまり変らず, AMPCの作用時間が長い程, 効果が増強されることを報告した。これ等の知見にもとづき, 経口投与時のAMPCの血中濃度を持続化させることを目的とした製剤について種々検討した。その結果;胃溶性顆粒と腸溶性顆粒 (溶出pH6) を3:7の力価比で混合したものが最も良い結果が得られたので報告する。
  • 二宮 敬宇, 長谷川 幸生, 浜谷 恵子, 増田 薫子, 西尾 武人
    1981 年 34 巻 11 号 p. 1477-1484
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoximo (CZX) は藤沢薬品中央研究所で創製された注射用のCephalosporinで, 7-アミノセファロスポラン酸の3位に置換基がない点が他のセファロスポリソ剤と構造的に異なつている。本剤に対する細菌学的, 臨床的評価は第26回日本化学療法学会東日本支部総会新薬シソポジウム (昭和54年, 東京), およびChemotherapyに報告されている。その中で本剤はEscherichiacoli, Klebsiella, Proteus mirabilisに対してはもちろん, 従来のセファロスポリン剤では抗菌力の弱かつたHaemophilus influenzae, インドール陽性Proteus, Serratia, Enterobacter, Citrobacterなどにも強い抗菌力を示し, 種々の細菌の産生するβ-Lactamaseに対して非常に安定であることが示されている。本剤の産婦人科領域における基礎的, 臨床的評価は松田ら, 張ら, 中村, 青河ら, 高瀬ら, 岡田ら, 本村らにより報告されているが, 著者らも本剤を試用する機会を得, 本剤の抗菌力性器組織への移行, 臨床について検討したので報告する。
  • KOKI YAGISHITA, HIDEAKI JINNOUCHI, HARUO YAMAMOTO
    1981 年 34 巻 11 号 p. 1485-1495
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    The investigation of mechanism of synergistic action with SYN and ECZ was performed using C. albicans SC5314 so that SYN was confirmed to show strong synergistic effects against Candida sp.in particular with addition of extremely small quantities under the MICs of imidazole antimycotics such as ECZ, MCZ and CTZ.
    The synergistic effect of antifungal activity against C. albicans SC5314 with a combination of SYN and ECZ (SYN+ECZ) showed fungistatic action. Effect of SYN+ECZ on osmotic resistance was not recognized and protoplast was not observed under a microscope. Accordingly, SYN+ECZ was considered not to take part in cell wall synthesis directly. For effect of SYN+ECZ on release of intracellular components, slow release of 260 nm-absorbing substances was occurred, so that SYN+ECZ was seemed not to affect cytoplasmic membrane damage directly. Also, it was suggested clearly that SYN+ECZ affected lipid metabolism and glycolysis including TCA cycle from the investigation on antagonism by growth recovery of C. albicans SC5314 by 106 kinds of substances such as fatty acids, isoprenoids, phospholipids, vitamins, amino acids, nucleic acid-related substances and TCA cycle-related substances. From the above results, it was suggested that the mechanism of synergistic action with SYN and ECZ against C. albicans SC5314 was due to affect the different reactions in lipid metabolism and the similar reactions in glycolysis including TCA cycle, respectively, in consideration of respective mechanism of actions of SYN alone and ECZ alone.
    A part of this work was presented at the Annual Meeting of the Agricultural Chemical Society of Japan, 1981 (Kyoto).
  • 1981 年 34 巻 11 号 p. 1497-1513
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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