小児科領域においても,
Pseudomonas aeruginosaをはじめとするブドウ糖非醗酵性グラム陰性桿菌による重症感染は, 新生児, 未熟児の様な幼若小児のばあい, また, 年長児においても, 種々の基礎疾患, たとえば血液疾患, 悪性腫瘍, 先天性免疫不全症などをもつばあい, そして熱傷, 外傷, 手術後の創面からの2次的感染症においては, 決して希ではなく, 初期治療薬の選択は, 非常に困難である。アミノ配糖体系抗生物質は,
P. aeruginosaおよび他のグラム陰性桿菌の感染症のばあい, 最も信頼し得る薬剤であり, 他系抗生物賀無効のさいには単独あるいは併用薬剤として使用されている。しかし, 本系の薬剤は, 周知の様に, 高い血中濃度を示すばあい, 腎障害, 聴神経障害をおこしやすく, 本邦では, 静脈内投与を避け, 筋肉内投与が適応とされている。
一般に, 小児においては, 抗生物質の投与は, 筋肉内投与においては筋硬縮症の問題があるので, 静脈内投与がなされることが多い。しかし小児科領域におけるアミノ配糖体系抗生物質の静脈内投与に対する検討は現在まであまりなされていないように思われる。
そこで我々はTobramycin (TOB) をとりあげ, 最高血中濃度があまり高くならないように注意しつつ, できるだけ筋肉内投与における濃度推移に近い体内動態を得るための点滴静注法を, 薬動力学的に検討するとともに, 臨床例についてその有効性, 安全性についても検討を加えたので報告する。
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