The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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ISSN-L : 0368-2781
34 巻, 4 号
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  • 金尾 昌明, 佐藤 昌平, 伊藤 将史, 岡田 弘二
    1981 年 34 巻 4 号 p. 453-458
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefatrizine (CFT) は, 米国ブリストル研究所で開発された経口用半合成Cephalosporin系抗生剤で, Fig. 1のように, 7-Aminocephalosporanic acidの3位にトリアゾール環を導入し, さらに7位はp-Hydroxy-D-pheny1-glycineでアシル化したものである。従来から用いられていたCephalexin (CEX) は, 濫用によつて最近, 感受性の低下が指摘されているが, CFTはCEXより抗菌力が強く, かつ殺菌作用が強いとされている。われわれは今回, 本剤をブリストル・マイヤーズ社から提供を受け, 産婦人科領域の各種感染症に使用する機会を得たので, 報告する。
  • 谷村 弘, 向原 純雄, 日笠 頼則, 羽白 洗, 竹中 正文, 牧 安孝, 中島 建二, 辺見 公雄, 仁尾 義則, 菊地 俊二, 浜垣 ...
    1981 年 34 巻 4 号 p. 459-465
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefsulodin (CFS) は, 武田薬品中央研究所で開発された新らしい注射用半合成セファロスポリン剤の1つである。化学構造上, 7位側鎖がSulbenicillin (SBPC) と同一であり, 3位側鎖がCephaloridine (CER) のそれと.類似し, 緑膿菌に対して強い抗菌力を示すという, 従来のセファロスポリン剤にみられない細菌学的な特徴がある。
    現在, 臨床応用可能な緑膿菌に対して, 有効な抗生物質としては, Gentamicin (GM), Dibekacin (DKB), Amikacin (AMK), SBPC, Carbenicillin (CBPC) などがあるが, いずれもアミノ配糖体系抗生物質あるいは, 合成ペニシリン剤である。このほか, ポリペプチド系としては, Colistin (CL), Polymyxin B (PL) なども, 緑膿菌に対して有効であるが, 腎毒性が強いため, 臨床使用の頻度はきわめて少なくなつた。
    これに反し, CFSは従来のセファロスポリン剤が抗菌力をほとんど示し得なかつた緑膿菌に抗菌力を示す最初のセファロスポリン剤であり, その抗菌力の強さは, アミノ配糖体とほぼ同程度であり, かつアミノ配糖体耐性の緑膿菌に対しても, 感受性菌とほぼ同等に抗菌力を示すとされている。
    本剤については, すでに第26回日本化学療法学会新薬シンポジウムで, 尿路感染症と敗血症を中心に臨床的検討がおこなわれ, 緑膿菌に対する臨床的効果が確認されている。
    今回, われわれは外科領域における感染症のなかで, 比較的緑膿菌の検出率の高い, 重症術後創感染および熱傷感染を中心に, 本剤の臨床的検討をおこなつたので, ここにその成績を報告する。
  • 福原 幸輝, 藤井 登志之, 加堂 洋一, 渡辺 信夫
    1981 年 34 巻 4 号 p. 466-476
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしく開発されたCephalosporin誘導体であるCeftizoximesodium (以下, Ceftizoximeと略す) の生殖能に及ぼす影響について検討したので, その結果をまとめて報告する。試験は, 昭和50年3月31日付の厚生省示達 (薬審第529号) に記載されている方法に基づき, ラットを用いて妊娠前および妊娠初期投与試験, 胎仔の器官形成期投与試験ならびに周産期および授乳期投与試験をおこなつた。
    Ceftizoximeは水に易溶で, Fig. 1のような化学構造をもつている。
  • 石川 睦男, 桜庭 衛, 清水 哲也
    1981 年 34 巻 4 号 p. 477-480
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotaxime (CTX, HR 756) は, フランスRoussol社, ドイツHoechst社で共同開発された新規なCephalosporin剤である。CTXは, 分子量477.44で, グラム陽性・陰性菌に広範な抗菌作用をもち, グラム陽性菌に対してはCefazolin (CEZ) と同等, グラム陰性菌に対しては, CEZの10~100倍の抗菌力をもつ。従来のCephalosporin系抗生物質が無効なインドール陽性Proteus, SerratiaおよびEnterobacterなどに対して, 強い抗菌力をもつている。また, 緑膿菌に対しても, Carbenicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC) より優れた抗菌力をもつている。β-Lactamaseに対して安定で, 耐性Escherichia coliを含むβ-Lactamase産生菌に対しても, 強い抗菌力をもつている。また, 毒性試験においても, 一般毒性, 腎毒性の低いことが判明している。
    今回, 本薬剤の産婦人科領域での臨床検討をおこなつたので, その結果を報告する。
  • 特に子宮動脈血中濃度, 女性内性器内組織濃度および骨盤死腔液内濃度について
    斉藤 良治, 九嶋 理, 生盛 剛, 成田 潤, 田口 圭樹, 設楽 芳宏, 大友 公一, 後藤 薫, 竹内 譲, 田口 純子
    1981 年 34 巻 4 号 p. 481-488
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotaxime (CTX) は, 従来のCephalosporin剤にくらべ, 特にグラム陰性菌に対して優れた抗菌力を示し, また, 緑膿菌に対しても治療の可能性を示唆するMICをもつことが知られている。われわれは, CTXが産婦人科領域の感染症に対して, 使用に値する薬剤であるか否かを検討する目的で, CTXを子宮, 付属器剔出例において, 術中あるいは術後1回静注し, 肘静脈血, 子宮動脈血中濃度, 卵巣・卵管・子宮各部位における組織内濃度および骨盤死腔液中濃度を測定した。
  • 早崎 源基, 岩砂 眞一, 野田 克巳, 伊藤 邦彦
    1981 年 34 巻 4 号 p. 489-494
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotaxime (CTX, HR756) は, Ceftizoxime (CZX), SCE-1365な どと同様Methoxyimino-cephalosporin で, Cephalosporinの7-Aminocephalosporanic acid (7-ACA) の7位の側鎖に=NOCH3基をもち, β-Lactamaseに対して安定で, 他のCephalosporin類と比較して, Penicillin binding protein Ibにとくに強い親和性を示し, この性状がこの薬剤の強い殺菌活性と関連していると考えられている。現在頻用されているCefazolin (CEZ) にくらべ抗菌スペクトラムも拡大され, インドール陽性のProteus, Serratia, CEZ耐性菌などにも優れた抗菌力を示し, Pseudomonas aeruginosaに対してもCarbeiicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC) より優れた抗菌力をもつていると報告されている。
    今回, 産婦人科領域の感染症の治療にCTXを使用した臨床成績について報告する。
  • 宮本 尚彦, 中村 英世, 林 茂
    1981 年 34 巻 4 号 p. 495-499
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セファロスポリン系抗生物質は, 広範なスペクトルをもち, 臨床的にも多くの製剤が用いられているが, 現在では, これらの耐性菌の増加が問題とされている。セファロスポリソ系抗生物質の耐性菌に対する対策として, β-Lactamaseに対して安定な抗生物質の開発が進められてきた。
    Cefotaxime (CTX, HR756) は, このような耐性菌に対して抵抗性のβ-Lactam構造をもつセファロスポリン剤として, フランス, ルセルユクラフ社で合成され日本ルセルとヘキスト・ジャパンで共同開発されている, 半合成セファロスポリン剤である。7-ACAの7位にアミノチアゾリル核とsyn-メトキシイミノ基, 3位にアセトキシメチル基をもつている。
    構造式をFig.1に示す。化学名は, Sodium7-[2-(2-amino-4-thiazolyl)-2-methoxyiminoacetami-do] cephalosporanateで, 分子式はC16H16N5NaO7S2, 分子量は477.44である。
    グラム陽性, 陰性菌に対して広範なスペクトラムをもち, とくにグラム陰性菌に対しては, 従来のセファロスポリン系抗生剤にくらべ10~100倍の抗菌力をもつている。また, 従来のセファロスポリン系抗生物質には感受性がなかつな, Indole陽性Proteus, Serratia, Enterobacterにも感受性を示すばかりでなく, Pseudomonas aeruginosaに対してもCarbenicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC) よりすぐれた抗菌力をもつとされている。
    今回, われわれは, CTXを使用する機会を得たので, 多少の臓器内移行の成績および臨床成績を報告する。
  • 萩原 克美
    1981 年 34 巻 4 号 p. 500-506
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 抗生剤の著るしい開発によつて感染症の様相は変貌し, 産婦人科領域でも重篤な感染症は減少してきたが, 反面, 耐性菌の出現による難治性感染症の問題があり, これに対する充分な治療効果を期待する新らしい薬剤が必要となつてきた。選択毒性の強いCephalosporin系薬剤の化学構造を変えることによつて, 抗菌スペクトルを拡大させ, その有効性の面で進歩を逐げる努力が盛んである。Cefoaxime (CTX) も, この試みの1環として出現した新らしい抗生剤である。著者は, この薬剤について, 産婦人科領域における臨床的検討をおこなつたので報告する。
  • 二宮 敬宇, 長谷川 幸生, 浜谷 恵子, 西尾 武人
    1981 年 34 巻 4 号 p. 507-514
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotaxime (CTX) は, Hoechst, Roussel 社により開発された半合成 Cephalosporin 剤で, 第27回日本化学療法学会総会の新薬シソポジウムにおいて, その有用性が評価されている。産婦人科領域における本剤に対する臨床評価は, 高瀬ら1), 松田ら2), SOUTOUL3) らにより報告されているに過ぎない。今回, 本領域における, 本剤の基礎的, 臨床的検討の機会にめぐまれたので報告する。
  • 金尾 昌明, 伊藤 将史, 山元 貴雄, 岡田 弘二
    1981 年 34 巻 4 号 p. 515-520
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotaxime (HR-756, CTX) はドイツヘキスト社とフランスルセル社で共同開発された半合成のセファロスポリン系抗生物質で, Fig.1の構造をもち, その抗菌スペクトルは好気性のグラム陽性菌および陰性菌だけでなくBacteroides fragilisを含む嫌気性菌の広範囲にわたつており, β-Lactamase産生菌に対しても強い抗菌力をもつている。セファロスポリン系ではもつとも新らしいタイプの薬剤で, 第3世代のセファロスポリンとも, 第5群のセファロスポリンともいわれるものである。われわれは本剤を主として産婦人科領域の骨盤内感染症に使用すると共に, 婦人性器への臓器内濃度, 骨盤死腔液への移行など, 多少の基礎的検討もおこなつたので報告する。
  • 本村 龍太郎, 森 広康, 寺元 千香子, 西村 幸洋, 荘田 恭仁, 山辺 徹
    1981 年 34 巻 4 号 p. 521-531
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotaxime (HR756, CTX) はドイツヘキスト社およびフランスルセル社で共同開発された注射用の半合成Cephalosporin剤である。
    その特長は広範囲な抗菌スペクトル, 従来のCephalosporin剤にまさるすぐれた抗菌力および各種β-Lactamaseに対する高安定性などが挙げられる。また, 一般毒性も低い1)。
    私どもは産婦人科領域におけるCefotaximeに関する基礎的および臨床的検討をおこなつたので, 得られた成績について報告する。
  • 池内 正憲, 高島 英世, 浅野 定, 春田 恒和, 森川 嘉郎, 小林 裕
    1981 年 34 巻 4 号 p. 532-536
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbtaxime (HR 756, CTX) はドイツヘキスト社とフランスルセル社の協同で開発された新らしい半合成セファロスポリン系抗生物質であり, 広範囲な抗菌スペクトルをもち, 特に従来のセファロスポリン剤にくらべてグラム陰性菌に対して優れた抗菌力を示し, Cefazolinの10~100倍の抗菌力がある。緑膿菌に対してもかなり強い抗菌力をもつており, その作用は殺菌的である。またβ-Lactamaseに対する安定性も高く, 動物実験において一般毒性, 特殊毒性ともに他のセファロスポリン剤と同様に弱いという特長をもつている。
    この優れた抗生物質の婦人科領域における有用性を検討するために, すでに著者らは産婦人科領域の感染症に投与して高い臨床効果を得ているが, さらに本剤の内性器および骨盤死腔への移行性を調べたので, 以下にその概要を報告する。
  • 石井 良夫, 縄稚 和男, 奥田 博之, 関場 香
    1981 年 34 巻 4 号 p. 537-544
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, フランスルセル社とドイツヘキスト社で共同開発された新らしいセファロスポリン系抗生剤, Cefotaxime (CTX) は, 現在までの基礎, 臨床両面での検討の結果, 抗菌スペクトラム, 抗菌力, β-Lactamaseに対する安定性の視点から, 従来のセファロスポリン系抗生剤の概念を越えた, 全く新らしい範疇に属する抗生剤として注目を浴びている3, 4)。今回, 婦人科領域における本剤の有効性を基礎的および臨床的に検討する機会を得たので報告する。なお, CTXの濃度測定は川崎医科大学産婦人科, また, 臨床例の起炎菌の分離同定は岐阜大学医学部嫌気性菌実験施設にそれぞれ依頼した。
  • 滝本 昌俊, 楠 祐一, 長 和彦, 吉岡 一, 早苗 信隆, 丸山 静男
    1981 年 34 巻 4 号 p. 545-550
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6059-Sは多くのグラム陰性桿菌に対しすぐれた抗菌力をもち1), また, 嫌気性菌に対しても他のCephalosporin系抗生剤にくらべ抗菌力の強い2) Oxacephem系に属する新抗生物質である。
    本剤のグラム陰性桿菌に対する抗菌力が強いという特性は, 髄液中への移行がよいこととあいまつて, 新生児に多いグラム陰性桿菌による化膿性髄膜炎の治療にすぐれた効果をあらわすことが示唆されている3)。
    私共は小児において頻度の高い細菌感染症に対する本剤の有用性を検討する目的で, 20例の感染症患児に本剤を使用した。また, 細菌感染症をもつ4例の腎機能正常患児および1例の腎不全患児に本剤を投与し, その薬物動態上の特徴を検討した。
  • 永松 一明, 高瀬 愛子, 高橋 聡, 太田 寿子, 富樫 要
    1981 年 34 巻 4 号 p. 551-557
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6059-Sは塩野義製薬研究所において開発された新らしい半合成のβ-Lactam剤で, 構造上Cephalosporinに似ているが, 骨格のSの代りにOが入り, 7位にMethoxy基をもち, Cephamycinにも類似しているが, 全く新らしい抗生剤である。その特徴はβ-Lactamaseに安定であり, グラム陰性菌から陽性菌, さらに嫌気性菌および緑膿菌にも抗菌力を示す広領域抗生剤である。本剤は注射によつて高い血中濃度が得られ, かつ半減期も比較的長く, 臨床上きわめて有用な注射用抗生剤と考えられる。
    今回塩野義製薬から6059-Sの提供をうけ, 小児科領域における各種感染に対して使用する機会を得たので, その臨床成績について報告する。
  • 永田 紀四郎, 藤田 誠, 羽根田 敏, 青山 隆蔵, 泉 幸雄
    1981 年 34 巻 4 号 p. 558-561
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6059-Sは塩野義製薬研究所で開発された新抗生物質で1), 化学構造式上の特徴は Cephalosporin 系抗生物質の基本構造7-ACAの母核のSがOに置換さ乳, さらに7位にMethoxy基 (-OCH3) を有する点である (Fig. 1)。本剤はβ-Lactamaseに抵抗性を示し2), グラム陰性菌に対しては従来のものにくらべて著るしく優れていることが, 成人領域における臨床検討でみとめられた3)。われわれは本剤を小児の各種感染症に使用する機会を得たので, 臨床知見について報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 中沢 準一, 鈴木 博之, 岩崎 章宣, 近岡 秀次郎, 岡 秀, 平間 裕一, 成田 章
    1981 年 34 巻 4 号 p. 562-575
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6059-sはこれまでのCephalosporin剤 (CEPs) の母核の硫黄原子が酸素原子に置換され, あわせてCephamycin構造をもつCEPs類似の第3世代の製剤である (Fig. 1)。抗菌力の面で従来のCEPsに堵較してグラム陰性桿菌 (GNB) 中の, Indole陽性Proteus, Enterobacter, Citrobacter, Serratia marcesens, Haemophilus influenzae, Pseudomonas aeruginosaのほか, Anaerobic bacteriaにも強い抗菌力を示し, β-Lactamaseにも安定であるため従来のPenicillin, CEPs耐性菌にも抗菌力を発揮する国産の新抗生物質である1, 2)。
    本剤は筋注, 静注が可能であり成人においては1時間点滴静注にて血中濃度も1gで, Peak値66.0μg/mlと高く, また, 半減期も108分と長く, 検討成績から高い治療効果と安全性がみとめられている3)。
    今回小児科領域において本剤を使用する機会を得たので, 血中濃度, 尿中排泄, 髄液移行の基礎的検討をおこなうとともに, 各種感染症に陣用し一連の成績が得られたので報告する。
  • 山下 直哉, 砂川 慶介, 原 典良, 南里 清一郎, 森川 良行, 秋田 博伸, 堀田 昌宏, 東條 雅宏, 市橋 保雄, 広瀬 誠
    1981 年 34 巻 4 号 p. 576-586
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    細菌感染症に対する抗生物質療法の発達により, 多くの重症感染症を治癒させることができるようになる一方, グラム陰性菌, 中でもPseudomonasや, Serratia等のOpportunistic pathogenを起炎菌とする感染症が増加し, 深刻な問題となつている。このような状況下, 1976年, 塩野義製薬研穽所解おいて開発された注射用抗生物質, 6059-Sは, Oxacephem系に属し, 広範囲スペクトルをもつているが, 特にグラム陰性菌に対して極めて強い抗菌力を示し, しかもPseudomonasおよび嫌気性菌にも有効であり, 更にβ-Lagtamaseに極めて安定であるとされている。この6059-Sに関して, 小児科領域において基礎的, 臨床的検討をおこなうたので, ここに報告する。
    基礎的検討としては, 抗菌力および血中濃度に関しておこない, 臨床的には, 敗血症, 髄膜炎, 尿路感染症, 呼吸器感染症, 腹腔内膿瘍に本剤を担与し, その効果を検討した。
  • とくに化膿性髄膜炎を中心として
    小林 裕, 春田 恒和, 黒木 茂一, 大倉 完悦, 藤原 徹, 森川 嘉郎
    1981 年 34 巻 4 号 p. 587-598
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6059-Sはβ-Lactamaseに安定で, グラム陰性桿菌に広く強い抗菌力を示し, 家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行もばらつきが少なく良好で, グラム陰性桿菌性髄膜炎に対して有効であろうと推測された。
    本剤の成人における臨床検討成績は, 1979年12月の第27回日本化学療法学会西日本支部総会で新薬シンポジウムとして討議され, その有用性と安全性がみとめられたので, 小児科領域においても1980年2月から研究会を組織して研究が開始された。われわれもその一員として臨床的検討をおこない, とくに化膿性髄膜炎に関して興味ある知見が得られたので報告する。
  • 目黒 英典, 有益 修, 松枝 依子, 東郷 知子, 平岩 幹男, 男沢 伸一, 益子 仁, 藤井 良知
    1981 年 34 巻 4 号 p. 599-607
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6059-Sは1976年にシオノギ製薬研究所で開発された新抗生物質で, 化学名は (6R, 7R)-7-[2-arboxy-2-(4-hydroxyphenyl) acetamido]-7-methoxy-3-[(1-methyl-1 H-tetrazol-5-yl-thio) methyl]-8-oxo-5-oxa-1-azabicyclo [4. 2. 0.] oct-2-ene-2-carboxylic acid disodium saltである。化学構造式はFig. 1のようである。
    従来のセファロスポリン系製剤とはセファロスポリン骨格の母核の硫黄原子が酸素原子に置換された点で異なり, かつセファマイシン様構造も加わつたOxacephem系と称される注射用抗生物質である1)。
    6059-Sは第5群のβ-Lactam剤類似の抗菌力をもち2), グラム陽性のStaphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniaeにはCefazolin (CEZ) に比較して劣るが, グラム陰性菌に対しては極めて強く, かつ広範囲のスペクトルをもつ3)。Proteus属,Enterobacter属, Pseudomonas aeruginosa, Serratia marcescensに対しても優れた抗菌力をもつ。また, β-ラクタマーゼに極めて安定である4)。
    動物における急性, 亜急性毒性試験等ではその安全性が確認され, 成人における臨床検討も終り, その安全性, 有効性が確認されている (第27回日本化学療法学会西日本支部総会, 1979年12月7日, 大阪)。
    我々は小児における本剤の安全性および有効性について検討したので報告する。
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 友利 典子
    1981 年 34 巻 4 号 p. 608-617
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6059-Sは, 塩野義製薬研究所で1976年に開発された新らしい注射用抗生物質で, Fig. 1に示す化学構造式, 分子式, 分子量をもち, その特徴は従来のセファロスポリン骨格の硫黄原子を酸素分子に置換し, かつセファマイシン構造を所有しているいわゆるOxacephem 系抗生物質1) である。
    本剤は2, 3, 4, 5), 細菌の産生するβ-Lactamaseに対して, 非常に高い安定性をもつており, かつ抗菌領域が広く, グラム陽性菌から陰性菌および嫌気性菌に対して有効であり, 特に変形菌, エンテロバクター, セラチア, 緑膿菌に対して極めて強い抗菌活性がみとめられている。しかし, Staphylococcus pyogenesをはじめグラム陽性菌に対する抗菌活性は, グラム陰性菌と比較してやや弱い傾向がある。
    本剤の成人領域における臨床研究は6), 1978年9月から約1年間にわたつておこなわれた。本剤は1,293例に使用され, 慎重な検討を加えられ, 評価に耐える全臨床領域1,221例での有効率は80%であり, 副作用解析対象1,262例における副作用発現率2.5%, 発現件数3.0%であつたと発表されている。
    私達は, 6059-Sを中等症以上の小児感染症例に使用したので, その成績を報告する。
  • 穂垣 正暢, 室之園 悦雄, 松本 ゆり子
    1981 年 34 巻 4 号 p. 618-622
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6059-Sは, 塩野義製薬研究所で開発された新らしい注射用抗生物質であり, その構造式は, 図1に示すように, 従来のCephalosporin剤 (CEPs) とは異なつたユニークなものでOxacephem系ともよばれるものである。抗菌スペクトルはグラム陽性菌からグヲム陰性菌および嫌気性菌まで幅広く, 特に従来のCEPsには抗菌力の弱かつた変形菌, エソテロバクター, セラチアおよび緑膿菌にも強い抗菌力を備えている。また, 細菌の産生するβ-ラクタム酵素に対する安定性が非常に高いといわれている1, 2)。
    今回, 産婦人科領域における本剤の有用性を検討するため, 子宮内胎児発育遅滞 (IUGR) 時の6059-Sの胎児への影響と女性性器感染症7例に対する臨床的検討を実施したので, 以下その成績を報告する。
  • 組織内濃度と臨床効果の関連
    橋本 伊久雄, 沢田 康夫, 中村 孝, 三上 二郎, 戸次 英一, 平沢 貞子, 阿部 弘, 加藤 博, 松田 繁雄
    1981 年 34 巻 4 号 p. 623-630
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    腹膜炎は一般外科において, 日常もつとも手掛けることの多い疾患の1つであり, 感染症の典型的なものとして, 従来から広く治療されてきている。抗生物質の進歩, 普及している今日, 軽症あるいは急性初期の腹膜炎の治療は, ドレナージ併用の時期, 適応を誤らなければ, さして困難であるとはいえない。勿論, 今日でも麻痺性イレウス等を合併する重症例もあり, さらにEndotoxinshock等を併発すれば死亡することも稀ではないが, 大部分の腹膜炎は, 今日では化学療法の発達によつて比較的治療し易い疾患となつているといえるようである。
    しかし最近になつて, 現在広く用いられている Ampicillin, Carbenicillin (CBPC), Sulbe の Penicillin 系抗生剤, さらにはCephalothin (CET), Cephaloridine, Cefazolin (CEZ) 等の Cephalosporin 系抗生剤の多くに耐性をもつβ-Lactamase産生菌の存在が指摘され, 特にこれは Escherichiacoli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter 等のグラム陰性桿菌に多いとされ, 今日腹膜炎の起炎菌として多くみとめられている細菌群であるところから, 腹膜炎治療上の大きな問題となつてきた。
    著者らは最近β-Lactamase抵抗性をもつている新らしい抗生剤Oxacephem系抗生物質6059-Sの試用をおこなう機会を得た。穿孔性虫垂炎, 腸閉塞症, 腸管穿孔などによる急性腹膜炎の手術にさいして, 6059-Sの各種組織内濃度を測定した。これらの例に術後の化学療法として6059-Sを用い臨床効果の検討をおこない, 組織内濃度と臨床効果の関連を検討して多少の興味ある所見を得たので報告する。
  • 治療効果と組織内濃度の関連
    阿部 弘, 平沢 貞子, 戸次 英一, 沢田 康夫, 橋本 伊久雄, 中村 孝, 三上 二郎, 加藤 博, 松田 繁雄
    1981 年 34 巻 4 号 p. 631-640
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年増加しているとされている疾患の1つに胆嚢炎, 胆管炎, 胆石症等の胆道系疾患がある。特に急性胆嚢炎患者 が救急患者として運ばれてくることは稀ではない。これらの患者は胆嚢炎, 急性腹症等の病名で治療され, 軽快, 再発を長期間に亘り繰り返し, 種々の抗生剤による治療を受け, このために起炎菌がすでに種々の抗生剤に耐性をもち, 治療に困難をきたすことが稀ではなくなつてきた。しかも今日広く用いられているAmpicillin (ABPC), Carbenicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC) などのPenicillin製剤や, Cephalothin (CET), Cephaloridine (CER), Cefazolin (CEZ) 等のCephalosporin系抗生剤に耐性を有するβ-Lactamase産生菌の存在, 増加が指摘され, これらが胆道系疾患に比較的多いとされることから, 治療上の大きな問題となって来ている。我々は最近β-Lactamase抵抗性をもっ新らしい抗生剤Oxacephem系抗生物質6059-Sの試用をおこなう機会を得た。胆道系疾患患者に対して6059-Sによる治療をおこない, 症状の軽快後の手術時に6059-S 500mgを筋肉内注射して, 血中濃度, A, B胆汁内濃度, 胆嚢壁内濃度を測定した。臨床効果と組織内濃度の関係を検討し, 若干の興味ある所見を得たので報告する。
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