The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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34 巻, 5 号
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  • 磯野 美登利, 青木 誠, 小林 とよ子, 丸井 利軌, 山田 寿, 梅村 厚志, 渡辺 邦友, 上野 一恵
    1981 年 34 巻 5 号 p. 647-650
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Bacteroides fragilisは嫌気性菌感染症の起因菌として最も頻度の高い菌種である。またβ-Lactamase産生株が多く, β-Lactam抗生剤であるペニシリン系, セファロスポリン系抗生剤に耐性である。
    近年, Chloramphenicolはβ-Lactam系抗生剤との併用によりSalmonella, Klebsiella, Enterobacter, Serratia, Proteus, Yersiniaなどの腸内細菌EnterobacteriaceaeやHaemophilus influenzae, Staphylococcus aureusなどの多くの菌株に相乗効果がみとめられているが, 嫌気性菌のβ-Lactamase産生株については検討されていない。
    著者らはChloramphenicolと類似の化学構造と抗菌力を示すが, 副作用の少ないThiamphenicolとCephalothinとの併用効果をB.fragilisを用いてin vitroおよびin vivoにおいて検討したので報告する。
  • 高嶋 芳樹, 羽田野 為夫, 田内 宣生, 牧 貴子, 魚住 君枝子, 川村 正彦
    1981 年 34 巻 5 号 p. 651-654
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (以下CTMと略す) は, 7位側鎖にAminothiazole環, 3位側鎖にTetrazole環をもつCephalosporin系抗生物質である。
    本剤は, 従来のCephalosporin系薬剤にくらべ, 大腸菌, Proteus mirabilis, 肺炎球菌にすぐれた抗菌作用を有し, Ampicillin (ABPC) 耐性Haemophilus influenzaeや, Citrobacterにも有効であると報告されている。CTMによる副作用は, 他のCephalosporin系薬剤と大差なく, 比較的安全に使用可能な抗生物質である。
    私達は, 本剤を小児科領域における感染症の治療に使用する機会を得たので, その臨床知見を報告する。
  • 常盤 知宣, 三好 幸二, 高橋 響, 宇田 文昭, 本多 伴子, 星野 節子
    1981 年 34 巻 5 号 p. 655-662
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (CTM) は武田薬品工業株式会仕において開発された Cephalosporin 系抗生物質であり, Fig. 1の構造式をもつている。
    本剤の毒性についてはラット, イヌ, サル等を用いた亜急性毒性あるいは慢性毒性の試験がおこなわれており, その最大無毒性量が100mg/kg/dayであると報告されている1, 2)。
    著者らは, 本剤の幼若動物に対する毒性を調べるため, 3週齢ビーグル犬を用いて5週間皮下投与による亜急性毒性試験をおこない, Cefazolin (CEZ) を対照薬として比較検討をおこなつた。
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 中沢 秀夫, 友利 典子
    1981 年 34 巻 5 号 p. 663-669
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近セファロスポリン剤の開発はめざましく, その薬効が期待されている。Cefotiam (CTM, SCE-963) は武田薬品中央研究所で創製されたCephalosporin系抗生物質1) で, 7位側鎖にAminothiazole環, 3位側鎖にTetrazole環をもち, 分子式C18H23N9O4S3・2HCl, 分子量598.54, 化学名は7β-[2-(2-aminothiazol-4-yl) acetamido]-3-[[[1-(2-dimethylaminoethyl)-l H-tetrazol-5-yl] thio] methyl]-ceph-3-em-4-carboxylic acid, dihydrochloride で構造式はFig. 1に示す。白色ないし黄白色の結晶または結晶性の粉末で, 水に易溶性である。
    本剤は各種のグラム陽性菌およびインドール陽性Proteusを含むグラム陰性桿菌に対しすぐれた抗菌活性を示し, その抗菌力はCephalothin, Cephaloridine, Cefazolinなどにくらべ, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Profeus mirabilisなどに対し数倍であるとされ, 抗菌スペクトルでもHaemophilus influenzae, Enferobacfer, Citrobacterなどにまで拡大され, Ampicillin (ABPC) 耐性H.influenzaeにも抗菌活性をもつ特徴がある。
    本剤の吸収, 排泄については成人領域で検討され, 血中半減期はCefazolinより短いが, Cephalothinより長く, また尿中排泄率は投与後6時間まででおおよそ60~80%という。
    成人領域における本剤の臨床成績はすでに報告されており, 840例に多くは1~2g/日使用されて, 効果判定に耐える822例では73.6%に有効とされ, 副作用は発疹, 癌痒感, 悪心など13例 (1.5%), 副作用として疑われた悪寒, 戦傑, 悪心, 動悸, 熱感など5例 (0.6%) 合計18例 (2.14%) に過ぎなかつたとされた。
    また臨床検査値の異常GOT・GPT上昇, Al-P上昇など各0.5~1.8%をみたという。
    今回, われわれは本剤を小児科領域に使用する機会を得たので, その概要を報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 中沢 進一, 鈴木 博之, 岩崎 章宣, 平間 裕一, 成田 章, 近岡 秀次郎, 岡 秀
    1981 年 34 巻 5 号 p. 670-677
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (SCE-963, CTM) は武田薬品中央研究所で創製された全く新規のセファロスポリン (CEPs) 系注射用製剤であり, その特徴とするところは従来のCEPs系製剤に比較してグラム陰性桿菌, 特に大腸菌, 肺炎桿菌, Profeus mirabilis に対し in vitro, in vivoともにすくれた抗菌活性を示し, また Ampicillin (ABPC) 耐性株を含む Haemophilus influenzae, Enterobacter, Citrobacter, Indole 陽性Proteus等に対しても感性の点であろう。本剤は静注後良く吸収され, 血中半減期は Cephalothin (CET) より長く, 尿, 胆汁中にも活性の状態で排泄される。
    本剤の静注を主体とした成人各科領域における計840例についての基礎的, 臨床的成績については既に昭和53年6月, 第26回日本化学療法学会総会において報告され, その有用性がみとめられた。今回小児科領域における本剤に関する一連の検討をおこなつてみたので以下今日までの概要について報告する。
  • 青山 隆蔵, 永田 紀四郎, 泉 幸雄, 黒沼 忠由樹, 飛鳥 徳久
    1981 年 34 巻 5 号 p. 678-681
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (CTM) は武田薬品工業株式会社が開発した新らしいセファロスポリン系の抗生物質であり, グラム陰性菌に対する抗菌作用が強いことが特徴である。特に従来のセファロスポリン剤にくらべCitrobacfer, Enferobacter, インドール陽性のProteus, Haemophilusなどに強い抗菌力をもつ。
    今回我々は, 本剤を12例の小児感染症に使用する機会を得たので, その臨床成績を報告する。
  • 滝本 昌俊, 吉岡 一, 永松 一明, 高瀬 愛子
    1981 年 34 巻 5 号 p. 682-685
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近新らしく開発されたCephalosporin系抗生剤Cefotiamについては, 成人の800例にのぼる症例について検討がなされ, 有効性と安全性が確認され, 薬物動態的な性質についても十分な成績が集積されている。将来, この薬物が小児の細菌感染症の治療上, 重要な位置を占める可能性を考え, 我々は23名 (札幌市立病院小児科17例, 旭川医大小児科6例) の感染症患児を対象として治験をおこなつた。
  • 金井 朗, 森 正樹
    1981 年 34 巻 5 号 p. 686-689
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしく合成されたCefotiam (CTM, SCE-963) はグラム陽性菌には Cefazolin (CEZ), Cephalor Cephalothin (CET) と同様の抗菌力 (MIC) を示すが, グラム陰性菌に対しては, これまでの Cephalospor薬剤よりも強い抗菌力を示すとされている。今回, 著者らは本剤を使用する機会を得たので, その使用経験を報告する。
  • 豊永 義清, 黒須 義宇, 堀 誠
    1981 年 34 巻 5 号 p. 690-704
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近の7-Aminocephalosporanic acid誘導体の合成研究の成果は目をみはるものがあり, 次々と新らしい抗生物質の開発が成され, 臨床的にも高い評価を得ている。現在使用されているCephalosporin C系抗生物質は広域スペクトルであり, その作用は殺菌的で, 毒性が極めて低いことなどの利点をもち, 小児科領域においても臨床的に広く使用されている。しかし, 近年β-Lactamase産生菌の存在が無視できなくなつてきており, 従来のCephalosporin C系薬剤の利点をもちながら, β-Lactamaseに対しても安定な薬剤の開発が望まれてきた。こうした背景から, 7-ACAの7位側鎖にAminothiazole環を, 3位側鎖にはTetrazole環をもつているCefotiam (CTM, SCE 963) が開発された。本剤は, 7位と3位の側鎖を上記のようにしたことにより, 従来のCephalosporin C 系抗生物質に比し, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisに対してin vitro, in vivoともにすぐれた抗菌活性を示し, 抗菌スペクトルにおいても, Haemophilus influenzae, Enterobacter, Citrobacter, Indole陽性Proteusなどまでに拡大され1), in vitroにおいてAmpicillin (ABPC) 耐性株が増加しつつあるH. influenzae2~4) に対しても有効であるといわれており5, 6), CTMは小児科領域の感染症に対してもすぐれた効果を示す薬剤であると考えられる。今回, 我々はCTMを使用する機会を得たので, 本剤について, 抗菌力, 吸収・排泄などの基礎的検討をおこなうとともに, 各種細菌感染症に使用したのでそれらの成績について報告する。
  • 柳沢 公二, 市橋 治雄
    1981 年 34 巻 5 号 p. 705-710
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (以下CTM) は武田薬品中央研究所で創製されたCephalosporin系に属する抗生物質で構造上セファロスポリン環7位側鎖にAminothiazole環をもち, 3位側鎖にはTetrazole環をもつ。抗菌力はグラム陰性桿菌に対して既存のCephalosporin系薬剤の数倍をもち, また抗菌スペクトラムにおいてもAmpicillin (ABPC) 耐性Haemophilus influenzae, Enterobacter, Citrobacter, Indole陽性Proteusにまで拡大されている。毒性試験, 一般薬理試験においては, その安全性が確認されており, また成人領域においても有効であり, かつ安全性の高い結果が出ている1)。
    我々は今回CTMを小児感染症に使用する機会を得たので, その臨床成績の大要について報告する2, 3, 4)。
  • 目黒 英典, 益子 仁, 男沢 伸一, 松枝 依子, 藤井 良知
    1981 年 34 巻 5 号 p. 711-718
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (SCE-963, 以下CTM) は武田薬品中央研究所が開発した新セファロスポリン剤で, 化学名は7β-[2-(2-Aminothiazol-4-yl) acetamido]-3-[[[1-(2-dimethylaminoethyl)-1H-tetrazol-5-yl] thio] methyl]-ceph-3-em-4-carboxylic acid, dihydrochloride, 構造式はFig.1である。
    CTMは藤井の分類によれば第4群の半合成セファロスポリン剤に属する1)。グラム陽性菌に対しては従来のセファロスポリン剤と同等かやや劣るが, グラム陰性菌に対する抗菌力, 抗菌範囲が増強され, β-Lactamaseにも比較的抵抗性がある2~4)。動物実験による急性, 亜急性, および慢性の毒性試験でその安全性が確認され5, 6), 成人における臨床評価はすでに終り, その有効性と安全性が報告されている7)。
    我々は小児におけるCTMの安全性と有効性について検討したので報告する。
  • 岩城 進, 本家 一也, 大井 仁, 西田 直己, 谷口 昇
    1981 年 34 巻 5 号 p. 719-722
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (SCE-963, CTM) は小児感染症の起炎菌として大きな比重を占めるHaemophilus influenzaeにも抗菌力をもつ1) Cephalosporin系抗生剤で, その有効性は成人領域では, その他の細菌に対してもCefazolinをしのぐ成績が得られている2)。また, 小児科領域での投与成績でもその有効性, 安全性は明白であり, その発売が心待ちされる薬剤である。
    今回, 我々はCTMの分与を受け, 投与時の腸内菌叢の変動をみる機会を得たので, その成績に多少の考察を加え報告する。
  • 秋田 博伸, 岩崎 由紀夫, 岩田 敏, 金光 岳文, 服部 春木, 城崎 慶二, 堀田 昌宏, 山下 直哉, 南里 清一郎, 小島 好文, ...
    1981 年 34 巻 5 号 p. 723-728
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしく開発されたCephalosporin系薬剤, Cefotiam (CTM) は, 従来の同系薬剤と比較し, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Salmonella等のGram陰性桿菌に優れた抗菌力を示し, Hamophilus influenzae, インドール陽性のProteus等に対しても抗菌力をみとめ, 抗菌スペクトルの拡大がみられる1)。
    小児科領域ではGram陰性桿菌による感染症に遭遇する機会が多い。そのため感染症治療において, Gram陰性桿菌に対し, 抗菌力が優れ十分な血中濃度が得られ, 副作用の少ない薬剤が必要とされている。その点でこのCTMは, 十分にその条件を満たす薬剤である。今回我々はCTMの基礎的, 臨床的検討の機会を得て, 多少の考察を加えたので報告する。
  • 1981 年 34 巻 5 号 p. 729-733
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 第1報 中枢神経作用
    柴田 右一, 八巻 芳夫, 浅岡 宏康, 杉山 史郎, 武田 植人, 西森 司雄, 小林 文夫, 堀 恭子
    1981 年 34 巻 5 号 p. 734-746
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Miokamycin (MOM) は明治製菓中央研究所で開発された半合成Macrolide系抗生物質で, Midecamycin (Mdm) の誘導体であり, 化学的にはMdmの9位と3″位の水酸基がAcetyl化された9, 3″-Diacetylmide-camycinである (Fig. 1)。
    MOMは抗菌スペクトルが広範囲であり, 特に生体内の抗菌力が強く, 従来のMacrolide系抗生物質よりも優れたED50を示すことが報告されている。また生体内代謝の研究の結果, 代謝経路が解明されるとともに, 得られた代謝産物はMOMに近い感染治療効果を示すことが確認されている。
    安全性の面においても, 本剤に特有の毒性発現はみとめられておらず, Macro1ide系抗生物質で留意すべぎ胃粘膜の刺激作用および肝への影響も非常に軽微であることが知られている。なお, 本剤は苦味が少なく臨床的にも服用が容易であるという利点も併せもつている。
    今回, 著者らはMOMおよびMOMの代謝物であるMb-1, Mb-2, Mb-6およびMb-12について, 一般薬理作用の一環として中枢作用を検討したので報告する。
  • 寺島 周, 中村 明, 沖本 由理, 菅谷 直子, 黒崎 知道, 佐藤 武幸, 岩田 裕子, 斉藤 直美, 上原 すゞ子
    1981 年 34 巻 5 号 p. 747-756
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    塩野義製薬研究所で開発された6059-Sは化学構造上, 従来のセファロスポリン骨格の1位の硫黄原子が酸素原子に置換され, かつセファマイシン様構造をももつ新抗生物質である1, 2)。本剤はグラム陽性球菌にやや弱い面をもつがHaemophilus influenzae, Proteus, Enterobacter, Serratia, Pseudomonas, Bacteroidesには強い抗菌力をもち, 特にグラム陰性桿菌により産生されるβ-Lactamaseへの安定性は極めて高い3, 5, 6)。
    今回, 我々はAmpicillin (ABPC) 耐性株を含むH. influenzaeの抗菌力を検討し, また小児期の化膿性髄膜炎, 敗血症, 肺炎, 尿路感染症等の患児へ投与し, 優れた成績を得たので報告する。
  • 柳沢 公二, 井出 啓子, 保科 弘毅, 市橋 治雄
    1981 年 34 巻 5 号 p. 757-763
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6059-Sは・塩野義製薬研究所で創製された新らしいOxacephem系抗生剤で, 化学構造上Cephalosporin骨格の硫黄原子 (S) が酸素原子 (0) に置換された点が特異的である1, 2)。抗菌活性はグラム陰性菌に極めて強く, 特に従来のCephem系抗生剤には感受性の低かつたProteus, Enterobacter, SerratiaおよびPseudomonasに対してもすぐれた抗菌力を示すことが明らかとなつている3~6)。また, 細菌の産生するβ-Lactamaseに極めて安定である。
    私達は, 今回, 6059-Sを中等症以上の小児感染症に臨床使用する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 豊永 義清, 杉田 守正, 黒須 義宇, 熊谷 公明, 堀 誠, 高橋 孝行
    1981 年 34 巻 5 号 p. 764-781
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近Cephalosporin誘導体の合成研究の成果は特にすばらしく, 次々と新らしい抗生物質が国内においても開発され, 基礎的, 臨床的に高い評価を得ている。現在使用されているCephalosporin C系抗生物質は広域スペクトルであり, 毒性も極めて少ないなどから, 臨床的に小児科領域でも広く使用されている。しかし, β-Lactamase産生株の出現により, 従来のCephalosporin C系抗生物質にかわるβ-Lactamaseに対して, より安定な薬剤の開発が望まれてきた。こうした背景から7α位にMethoxy基をもつCephamycinの開発がおこなわれ, さらに母核の硫黄原子 (S) を酸素原子 (O) におきかえたOxacephem系抗生物質6059-Sが開発された。本剤は特にグラム陰性桿菌に対してすぐれた抗菌力を示す他に, Pseudomonas aeruginosaに対してもスペクトルは拡大され, かなりの有効性がみとめられるようになつてきた。今回, 我々は6059-Sを使用する機会を得たので, 本剤について抗菌力, 血中・髄液中移行率などの基礎的研究をおこなうとともに, 各種感染症に使用したので, その成績について報告する。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 種田 陽一, 大須賀 民子, 猪熊 和代
    1981 年 34 巻 5 号 p. 782-799
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    6059-Sは, 塩野義製薬研究所で開発された新らしい注射用抗生物質である。化学構造上では, 従来のCephalosporin骨格の1位の硫黄原子 (S) が酸素原子 (O) に置換されている点が特異的であり, かつ7α位にメトキシ基 (-OCH3) をもちCephamycin様構造をも備えている1, 2)。活性面では, 嫌気性菌を含むグラム陰性菌, グラム陽性菌に対し幅広いスペクトラムをもち, β-Lactamaseに極めて安定であるのが特徴である1, 4, 5)。特に, グラム陰性菌に対する抗菌力が優れており, 従来のCephem系薬剤にくらべてEscherichia coli, Proteus mirabilis, Klebsiella pneumoniaeはもとより, Haemophilus influenzae, Indole (+) Proteus, Enterobacter, Citrobacter, Serratiaなどにも極めて強い抗菌力を備えている1, 2, 5)。またPseudomonas aemginosaにもかなりの抗菌活性をもつている1, 4)。吸収・排泄および代謝面では, 注射により高い血中濃度が得られ, しかも血中半減期が長いのが特徴である1, 5)。また生体内では代謝をうけずに, 大部分が尿中に排泄される。
    今回, 我々は本剤の小児科領域感染症について以下の検討をおこなつたので, その成績を報告する。
  • 西村 忠史, 広松 憲二, 高島 俊夫, 田吹 和雄, 高木 道生
    1981 年 34 巻 5 号 p. 800-816
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    種々の抗生物質の発見, 開発により細菌感染症に対する治療は一段と進歩したが, とりわけセファロスポリン系抗生物質の進歩は医療の多様化と相まつて, 感染症治療に大きく貢献している。さて, 今日の化学療法が直面する問題は, 従来の感染症と異なり宿主のもつ基礎疾患および病原微生物の変化が加わつた難治感染症の治療にある。したがつて新抗生物質の開発の方向も抗菌力の強化と抗菌スペクトラムの拡大にある。さらに, 難治感染症の主要菌種ともなつているグラム陰性桿菌におけるβ-Lactamase産生菌の増加と耐性化の問題は極めて重要である。
    今度塩野義研究所で開発された6059-Sは, 従来のセファロスポリン骨格の1位のSが0に置換され, かつ7位にMethoxy基をもつセファマイシン様構造も加わつた, 化学構造上特異的な新らしい抗生物質で, Oxade-thiacephamycinとも称される。6059-Sはグラム陽性および陰性菌に対して広範囲の抗菌スペクトラムをもち, 特に従来のセファロスポリン系薬剤で抗菌力の弱かつたHaaemophilus, Indole陽性.Proteus, Serratia, Enterobacter, Citrobacterにまで抗菌スペクトラムが拡大されている。したがつて, グラム陰性桿菌に対しては, 既存のセファロスポリン系薬剤にくらべ極めて強力な抗菌力をもち, 緑膿菌に対してもCarbenicillin (CBPC) より優れた抗菌力を示す。さらに本剤はグラム陰性菌の産生するβ-Lactamaseに安定で, かつ強い殺菌作用を示す。一般毒性も従来のセファロスポリン系薬剤と同程度またはそれ以下である。本剤は投与後ほとんど代謝されずに尿中へ排泄される。
    すでに, 本邦では6059-Sに関する基礎的および成人領域における臨床検討がおこなわれ, 第27回日本化学療西日本支部総会において, 本剤の評価がおこなわれた。今回著者らは, そこで得られた本剤の有効性と安全性の成績に基づいて, 小児における6059-Sの基礎的および臨床的検討をおこなつたので, その成績について述べる。
  • 1981 年 34 巻 5 号 p. 817-818
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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