最近セファロスポリン剤の開発はめざましく, その薬効が期待されている。Cefotiam (CTM, SCE-963) は武田薬品中央研究所で創製されたCephalosporin系抗生物質1) で, 7位側鎖にAminothiazole環, 3位側鎖にTetrazole環をもち, 分子式C
18H
23N
9O
4S
3・2HCl, 分子量598.54, 化学名は7β-[2-(2-aminothiazol-4-yl) acetamido]-3-[[[1-(2-dimethylaminoethyl)-l H-tetrazol-5-yl] thio] methyl]-ceph-3-em-4-carboxylic acid, dihydrochloride で構造式はFig. 1に示す。白色ないし黄白色の結晶または結晶性の粉末で, 水に易溶性である。
本剤は各種のグラム陽性菌およびインドール陽性
Proteusを含むグラム陰性桿菌に対しすぐれた抗菌活性を示し, その抗菌力はCephalothin, Cephaloridine, Cefazolinなどにくらべ,
Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Profeus mirabilisなどに対し数倍であるとされ, 抗菌スペクトルでも
Haemophilus influenzae, Enferobacfer, Citrobacterなどにまで拡大され, Ampicillin (ABPC) 耐性
H.influenzaeにも抗菌活性をもつ特徴がある。
本剤の吸収, 排泄については成人領域で検討され, 血中半減期はCefazolinより短いが, Cephalothinより長く, また尿中排泄率は投与後6時間まででおおよそ60~80%という。
成人領域における本剤の臨床成績はすでに報告されており, 840例に多くは1~2g/日使用されて, 効果判定に耐える822例では73.6%に有効とされ, 副作用は発疹, 癌痒感, 悪心など13例 (1.5%), 副作用として疑われた悪寒, 戦傑, 悪心, 動悸, 熱感など5例 (0.6%) 合計18例 (2.14%) に過ぎなかつたとされた。
また臨床検査値の異常GOT・GPT上昇, Al-P上昇など各0.5~1.8%をみたという。
今回, われわれは本剤を小児科領域に使用する機会を得たので, その概要を報告する。
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