The Japanese Journal of Antibiotics
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35 巻, 1 号
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  • 益子 仁, 目黒 英典, 男沢 伸一, 東郷 知子, 野中 千鶴, 平岩 幹男, 藤井 良知
    1982 年 35 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (FK749, 以下CZX) は藤沢薬品中央研究所で創製開発された注射用新Cephalosporin系抗生剤で化学名はSodiu-m (6R, 7R)-7-[(Z)-2-(2-amino-4-thiazoly1)-2-methoxyiminoacetamido]-8-oxo-5-thia-1-azabcydo-4.2.0] oct-2-ene-2-carboxylateである。化学構造式はFig.1に示すとおりであり, 従来のCephalosporm系薬剤とは, 7-Aminocephalosporanicacidの3位に置換基のない点で異なつている。
    CZXは第5群のβ-Lactam剤に分類され1), その特徴として, 従来のCephalosporin系薬剤に比較して抗菌スペクトルが拡大されtIndole陽性Proteus属, Enterobactercloacae, Serratiamar。cescens, Haemophilusinfluenzaeや嫌気性菌などにも強い抗菌力をもつことである。また諸種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して非常に安定で, 多剤耐性菌に対しても感受性菌と同様の強い抗菌力を示すとされている。
    動物にお, る急性, 亜急性毒性試験ではその安全性が確認され, 成人における臨床検討も終りその安全性, 有効性が確認されている2)。
    今回我々は小児における本剤の安全性, 有効性について検討したのでここに報告する。
  • 豊永 義清, 黒須 義宇, 杉田 守正, 川村 悟朗, 奥山 真紀子, 吉野 則子, 堀 誠, 高橋 孝行
    1982 年 35 巻 1 号 p. 9-32
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    現在使用されているCePhalosPorin系 (CEPs) 抗生物質は広域スペクトラムであり, その作用は殺菌的で, 毒性も極めて低いなどの利点をもち, 臨床的にも小児科領域で広く使用されている。
    小児科領域の細菌感染症の原因菌としては現在でもグラム陽性菌の占める割合が多いが, グラム陰性桿菌による重症感染症の増加も衆知の事実である。こうした背景から, 従来のCEPs系抗生物質の利点をもちながら, 近年増加しているCEPs系薬剤に感受性を示さないSerratia, Enterobacter, CitrobacterおよびProteus等にも優れた抗菌力を示す薬剤の開発が望まれてきた。
    Ceftizoxime (CZX) は, 藤沢薬品中央研究所にて創製された新らしい注射用CEPs剤であり, 本剤は7-Aminocephalosporanicacid の3位に置換基がないのが他のCEPs系薬剤と異なつており, 非常にグラム陰性桿菌に強い抗菌力を示し, さらに嫌気性菌に対しても有効であるといわれている1, 2)。また, 本剤はAmpicillin (ABPC) 耐性R-pIasmidによる影響をほとんど受けず, 抗菌活性はPlasmidに全く無関係であることも証明され, 最近合成された第5群3) のCEPsおよびCephamycin系抗生物質と比較しても, R-Plasmid保有および染色体由来耐性菌に対するMICでは最も低い値を示していることも報告4) されている。
    今回, 我々はCZXを使用する機会を得たので, 本剤について, 抗菌力, 吸収・排泄, 髄液中移行などの基礎的検討をおこなうとともに各種細菌感染症に使用したので, それらの成績について報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 中沢 進一, 新納 憲司, 平間 裕一, 成田 章, 近岡 秀次郎, 岡 秀
    1982 年 35 巻 1 号 p. 33-46
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (CZX) は藤沢薬品中央研究所で創製された新らしい注射用Cephalosporins (CEPs) 系抗生剤であり, その特徴は従来のCEPS系製剤の無効であつたインドール陽性PrOteUS, Ent.erObaCter, Serratia, CitrObacter, Haemophilus influenzae等を含むグラム陰性桿菌, 嫌気性菌等に抗菌力を示し, また諸種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して非常に安定な点であり, 注射後の血中濃度の半減期はCefotiamに比較して長く, かつ血中濃度も高く, 体内で代謝を受けず, 尿, 喀疾, 髄液, 胆汁などに活性の状態で高濃度に移行することが証明されている1, 2)。本剤の成人各科領域における検討に関しては既に昭和54年11月, 第26回日本化学療法学会東日本支部総会において1,127例の治療成績が報告されその臨床的有用性が確認されている1, 2)。
    今回小児科領域における本剤の臨床的検討をおこない, 一連の成果が得られたので報告する。
  • 岩井 直一, 種田 陽一, 佐々木 明, 猪熊 和代, 溝口 文子, 中村 はるひ
    1982 年 35 巻 1 号 p. 47-68
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (CZX) は藤沢薬品中央研究所で開発された新らしい注射用CePhalosPorin系抗生物質である。本剤はとくにグラム陰性桿菌に対する抗菌力が優れており, Escherichia coli, KlebsieUa pneumoniae, Proteus mirabilisなどに対してはもちろん, 従来のCePhalosPorin剤では抗菌力が弱かつたHaemophilus influenzae, Indole陽性Proteus, Serratia, Enterobacter, CitrobacterやBacteroides fragilisなどの嫌気性菌に対しても強い抗菌力を示すのが特徴である1)。またβ-Lactamaseにきわめて安定であることから, 従来のCePhalosPorin剤に耐性を獲得した細菌にも強い抗菌活性を示す1) といわれている。一方, 部分が尿中に排泄されるi)。また蛋白結合率は低く, 喀疾, 髄液, 胆汁への移行も良好である1) と報告されている。今回, 我々は小児科領域において本剤の基礎的, 臨床的検討をおこなつたので, その成績を報告する。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 広松 憲二, 高島 俊夫, 小谷 泰, 高木 道生
    1982 年 35 巻 1 号 p. 69-80
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年CePhalosPorin系抗生物質に対する耐性菌の増加に伴ない, 抗菌スペクトルの拡大, 抗菌力の強化を目標に新らたなCephalosporin系抗生物質の開発がすすめられ, すでにその一部は実際使用の段階に至つている。
    さて, 新らしいCephalosporin系抗生物質であるCeftizoxime (CZX, FK749) は, 従来のCephalosporin系抗生物質にくらべ, とくにグラム陰性桿菌に対する抗菌力が強く, lndole陽性Proteus, Serratia, Citrobacter, Enterobacterにも抗菌力を示し, 各菌種のβ-Lactamaseに対する安定性も明らかにされている1, 2)。本剤は構造上7位の側鎖にメトキシイミノ基をもち, 7-アミノセファロスポラン酸の3位に置換基がないことを特徴とし, 藤沢薬品工業株式会社中央研究所において合成された。
    CZXはすでに本邦において成人領域での評価がおこなわれ, その有効性と安全性が確認されている3)。そこでこれらの成績をもとに小児科領域でも多施設協同で本剤に関する研究が開始され, その成績は第29回日本化学療法学会総会で報告された4)。
    今回著者らも, この研究に参加し本剤の基礎的および臨床的検討をおこなつたので, その成績について述べる。
  • 細田 禎三, 富松 宏文, 大原 克明, 岡本 喬
    1982 年 35 巻 1 号 p. 81-90
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (CZX) は, 藤沢薬品中央研究所で創製された新らしい注射用セファロスポリン系抗生物質である1) ℃Fig.iに示すように, 7一アミノセファロスポラン酸の3位に置換基がない点が, 他剤と構造的にまつたく異なる1)。本剤は, グラム陰性桿菌に対しては, Escherichia coli, Klebsiella, Proteusmirabilis などに対してはもちろん, 従来のセファロスポリン剤では抗菌力が弱かつたHaemophilus influ。enzae, インドール陽性Proteus, Serratia, Enterobacter, CitrobacterBBacteroidesfragilisをはじ, めとする嫌気性菌に対しても, 強い抗菌力を示す。また諸種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して非常に安定で, 多剤耐性菌に対しても感受性菌と同様に強い抗菌力を示す1)。今回, 我々はCZXを小児細菌感染症に対して使用する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 岡田 隆滋, 平尾 文男, 古川 正強
    1982 年 35 巻 1 号 p. 91-104
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoximeは藤沢薬品中央研究所で新らしく開発されたCephalosporin系抗生物質で, 化学構造上Aminocephalosporanic acid7位側鎖にAminothiazolyl-methoxyiminoacetyl基をもち, 3位側鎖に置換基がないのが他剤と全く異なる (Fig, 1)。
    本剤は, グラム陰性桿菌に対する抗菌力が特に強く, 更に既存のCephalosporin系抗生物質が無効であつたインドール陽性Proteus, Enterobacter, serratia, citrobacter, Haemophitusinfluenzaeや嫌気性菌などに強い抗菌力をもつ。またβ-Lactamaseに対しても非常に安定で多剤耐性菌に対しても抗菌力を示す1)。
    今回我々は, 本剤を臨床的に使用する機会を得たのでその成績を報告する。
  • 吉田 哲也, 松田 博
    1982 年 35 巻 1 号 p. 105-112
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしく開発されたCephalosporin系薬剤Ceftizoximeは, すでに体内への吸収, 移行, 排泄, 安全性などについて基礎的検討を終え, 成人領域での臨床的検討もなされている1)。今までの検討から, Ceftizoximeはグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトラムをもち, とくにグラム陰性菌に対しては従来のCephalosporin系薬剤にくらべ強い抗菌力をもつと報告されている。
    今回, 小児期の感染症患者に対して, Ceftizoximeを使用する機会を得たので, その結果について報告する。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 西山 亨, 中島 哲也, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文 ...
    1982 年 35 巻 1 号 p. 113-136
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (FK749, CZX) は藤沢薬品工業株式会社中央研究所で開発された新らしい注射用Cephem系抗生物質で, その化学名はSodium (6R, 7R)-7 {(Z)-2-(2-amino-4-thiazoiyi)-2-methoxyiminoacetamido1-8-oxo-5thia-1-azabicyclo [4.2.0] oct-2-ene-2-carboxylateで, 7-アミノセファロスポラン酸の3位に置換基がないのが従来のCephem系薬剤と異なり, 構造式はFig.1に示すとおりである。
    本剤は広域の抗菌スペクトルをもつが, 従来Cephalosporin系といわれていた薬剤では抗菌力の.弱かつたHaemophilusi解uenzae, インドール陽性lproteus, Serratia, Enterobacter, CitrobaclerおよびBacteroides fragilisなどの嫌気性菌に対しても優れた抗菌力があり1, 2, 3, 4, 5, 6), 強い殺菌作用をもち, 1981年の第26回日本化学療法学会東日本支部総会の新薬シソポジウムでその有用性7) が論じられた。
    私たちは本剤を小児に投与し, 血清中, 尿中濃度および回収率, 髄液, 膿瘍穿刺液中濃度を測定, 種々の細菌感染症に投与してその臨床, 細菌学的効果, 副作用を検討したので, その成績を報告する。
  • 小林 裕, 春田 恒和, 筒井 孟, 黒木 茂一, 大倉 完悦, 辻 新次, 大内 徹, 山川 勝
    1982 年 35 巻 1 号 p. 137-151
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoximeは藤沢薬品中央研究所で開発された第3世代の新Cephem系抗生剤で, きわめて広い抗菌域と強い抗菌力をもち, β-Lactamaseに安定である1)。われわれも本剤に関して多少の基礎的検討をおこない, その優秀な抗菌力とともに, 家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行について, 移行効率においては, Ampicillin, Cefotaximeにはやや及ぼないが, Cefazolinよりはすぐれ, 髄液中濃度半減期が長く, その髄液血清比が他剤よりきわめて大きいという特徴をもつていることをみとめた2)。本剤の成人における臨床検討成績は1979年11月の第26回日本化学療法学会東日本支部総会において討議され, その有用性と安全性がみとめられたので, われわれも小児科領域研究会の1員として臨床検討をおこなつた。
  • 小川 昭正, 麻生 幸三郎, 宮地 幸紀, 西川 和夫, 屋冨祖 正光, 久野 邦義
    1982 年 35 巻 1 号 p. 152-159
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (以下CZX) は本邦で開発された新らしい注射用セファロスポリン系抗生物質である。Fig.1の構造をもち, グラム陰性桿菌に対する抗菌力が強く, 従来のセファロスポリン剤では無効であつたインドール陽性hoteus, Enterobecter, Strratia, Citrobecter, Haemophlas in fluentaeや嫌気性菌にも大いに抗菌力が期待される。諸種細菌の産生するβ-Lactamaseに対し非常に安定で, 多剤耐性菌に対しても強い抗菌力を示すといわれている1)。今回我々は本剤を小児科領域の細菌感染症に使用する機会を得たのでその臨床成績および副作用について報告する。
  • 関口 隆憲, 宮尾 益英, 古川 民夫, 湯浅 安人, 宇山 祐子, 田中 弘
    1982 年 35 巻 1 号 p. 160-170
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしく開発された注射用CephaloSporin (CEPS) 系抗生物質であるCeftizoxime (CZX)(Fig.1) は, グラム陰性桿菌に対する抗菌力が非常に強く, かつ殺菌的であり, そのスペクトラムは血dole陽性hoteus, EnterobaCter, Slerratta, Citrobacter.Haemphilus influenzaeといつた従来のCEPs系抗生剤に抗菌力のみとめられなかつた薗種にまで拡大されているのが特徴とされている1~5)。
    今回, われわれは小児科領域における細菌感染症患者に本剤を使用する機会を得たので, 臨床的検討と多少の基礎的検討について報告する。
  • 清水 信, 登 勉, 川村 芳秋, 神谷 斉, 桜井 実, 井澤 道
    1982 年 35 巻 1 号 p. 171-183
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (CZX, FK749) は, 藤沢薬品中央研究所で開発されたCephalospoTin系抗生物質で構造上3位に置換基がないことが特徴とされている1)。本剤は, Escherichiacoli, nlebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisに対してはもちろん, 従来のCephalosporin系抗生物質では抗菌力が弱かつたHaemophilusinfluenzae, インドール陽性Proteus, serratia, Enterobacter, CitrobacterBacteroides fragilisを含む嫌気性菌に対しても強い抗菌力を示す1, 2)。
    今回, 上記のような抗菌力をもつCeftizoximeについて, 体内動態および臨床的効果を検討したので報告する。
  • 1982 年 35 巻 1 号 p. 184-188
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 早崎 源基, 岩砂 眞一, 野田 克巳, 山田 新尚, 伊藤 邦彦, 飯田 光雄, 陳 超権
    1982 年 35 巻 1 号 p. 189-201
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoxitin (CFX, Merxin (R)) はCephem環の7α 位にMethoxy基のついた構造をもち, Cephalosporinase (β一Lactamase) に対して安定性が増強された最初のCePhamycin系の抗生物質である。β-Lactamaseを産出し, 従来のCephalosporin剤に耐性を示すEscherichia coli, nlebsiellaなどに対して有効であり1, 2), 従来のCephalosporin剤では無効とされていたBacteroides fragrilisにも高い抗菌活性を示す8, 4)。
    産婦人科領域の細菌感染症においては, 好気性菌嫌気性菌の混合感染の頻度が高く, B.fragilisはPeptococcusと同様比較的高頻度に臨床材料から分離されることから, CFXによる治療に高い臨床効果が期待される。
    今回, 我々がCFXを産婦人科領域感染症に使用した臨床効果および教室保存臨床分離菌株に対するCFXのMICについて報告する。
  • 武田 恒雄, 梶原 正行, 斉藤 寵介, 増田 游
    1982 年 35 巻 1 号 p. 202-205
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    注射用セファロスポリンCefmenoxime (CMX) は, 武田薬品研究所で開発された広域抗菌スペクトラムをもっCephalosporin系抗生剤であり, その抗菌スペクトラムは, Gram陽性菌では, Streptocoecus pyogenes, Streptoeoccus pneumontaeに対する抗菌力がCefotiam (CTM) よりも著るしく強く, またHaemopntlus infiuenuae, Citrobecter freundtii, Enterobacter cloacae, indole陽性Proteus, Sigrratia morcescensを含むGram陰性菌にまで抗菌スペクトラムが拡大された。
    CMXは, 分子式C16H17N9O5S3・1/2HCl (分子量529.78) をもつFig.1のような化学構造式を示す。性状は, 白色-帯橙淡黄色の結晶または結晶性の粉末で, 溶解性はジメチルスルホキシドに溶けやすく, メタノールにきわめて溶けにくく, 水, エタノール, アセトンにほとんど溶けない1)。このCMXの広域抗菌スペクトラムは, 耳鼻咽喉科領域の臨床において, その有用性が嘱望されている。このたび我々は, CMXの提供を受け, 耳鼻咽喉科領域感染症に対し臨床実験をおこない多少の成績を得たので報告する。
  • 井上 明生, 多田 浩一, 高岡 邦夫, 清水 信幸
    1982 年 35 巻 1 号 p. 206-211
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    術後感染を含めて, いろいちの原因でおこる骨・関節の化膿性炎症をいかに治療し, また予防するかということは, 整形外科医にとつて非常に大切なことである。感染症の治療予防のために一般に用いられる抗生物質には現在, 多くのものがあるが, 整形外科領域においては, それらの抗菌力, 抗菌スペクトラムと同様に, 骨髄血. にどの程度移行するかということが使用薬剤を決める上で大切なことと考えられる。
    抗生物質の骨髄血への移行に関しては, 近藤の一連の研究1~4) があり, 種々のパターンが存在するが, 一般に骨髄内へはかなりの濃度で移行するとされている。
    今回, われわれは, 武田薬品 (株) が開発したCefmenoximeとCefbtiamの骨髄血への移行濃度を検討したので, 多少の考察を加えて報告する。
  • 垣内 佐士志, 田川 新生, 渡辺 一美, 小坂 義種, 竹沢 英郎
    1982 年 35 巻 1 号 p. 212-221
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年感染症に対する化学療法は, 多数の抗生剤の開発に伴ない著るしく進歩してきているが有, これらの薬物を効かつ安全に使用する事が重妻な問題になつてきている。
    従来から腎疾患例への抗生剤投与にさいしては慎重な配慮がなされ, 内因性クレアチニンクリアランスが投与量および投与間融定のパラメーターとして使用されている。また, 重症肝疾患例における感染の合併が肝不全, 消化管出血などを惹起することが知られ, 肝障害時の抗生剤の使用頻度の増加ととも趣こ慎重な配慮がなされるようにつてきてはいる。しかし, その投与量および投与間隔を決定するうえで不十分な点が多いのが現状である。
    本稿では, 約30%の胆汁中排泄率をもつとされている1) ピベラシリンナトリウム (以下PIPC) について肝障害時の体内動態を検討し, さらに, 各種肝機能検査成績との関連性についても検討したので, その成績を報告する。
  • 村岡 義博, 奈良 博, 吉崎 敏夫, 原田 喜男
    1982 年 35 巻 1 号 p. 222-239
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latarnoxef (LMOX, 6059-S) は, 塩野義製薬研究所で開発されたOxacephem系の新らしい注射用抗生物質である。その抗菌力はグラム陽性薗, 陰性菌および嫌気性菌までの幅広い抗菌スペクトラムをもつうえ, 従来ゐCephalosporin系抗生物質が無効であつた変形薗, エンテロバクター, シトロバクターセラチアに極めて強い抗菌力を示し, 縁膿菌にも抗菌力を備えている。
    6059-Sの連続投与時の安全性に関してラット1), イヌ2), サル3) での亜急性毒性試験, ラット4) での慢性毒性試験をおこない, 屍に報告した。ここではイヌを用いた慢性毒性試験について報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 平間 裕一, 成田 章, 中沢 進一, 近岡 秀次郎, 田添 克衛
    1982 年 35 巻 1 号 p. 240-250
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    9, 3-Diacetylmidecamycin (MOM) は既に市販されているMidecamycin (以下MDMと略記する) のエステル型誘導体で下記の化学構造をもち, その特徴はMDMに比較して動物実験の結果からではin vivo活性が優れており, 内服後の血中濃度が空腹, 食後ともに高い点とされ, 成人に錠剤を投与したさいの成績からもこの面が実証されている1)。本剤の錠剤を使用しての臨床的, 基礎的検討は既におこなわれてきたが2, 3, 4, 5), 今回本剤の小児用製剤ドライシロップが製作された機会に小児科領域における一連の検討をおこなつてみたので以下今日迄の概況について報告する。
  • 篠崎 立彦, 目黒 英典, 小池 依子, 柱 新太郎, 藤井 良知
    1982 年 35 巻 1 号 p. 251-260
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    9, 3-Diacetylmidecamycin (MOM) はMacrolide系抗生物質ミデカマイシソの誘導体である。
    ミデカマイシソ (MDM) よりも優れたin vivo抗菌活性をもち, 成人領域の一般感染症に対し, 一日量600mg (分3) で良好な臨床効果が得られている1, 2, 3)。
    また, 幼若動物に対する急性, 亜急性毒性試験の結果, 安全性が確認され, Pharmaookineticsの結果にも成熟動物の結果に比較し特記すべきことが見受けられなかつた4)。
    そこで小児科領域においても本剤を検討する価値があるものとされ, 研究会が組織された。慎重に研究が進められ, その総括は第28回日本化学療法学会東日本支部総会に研究会として発表した。ここでは当教室において検討した症例についてその成績を報告する。
  • 渡辺 靖, 横山 美保子, 伊藤 一成, 山田 晃司
    1982 年 35 巻 1 号 p. 261-267
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmetazole (以下CMZ) は三共株式会社中央研究所で開発されたセファマイシン系抗生物質である。本剤はセフェム骨格の7a位にメトキシ基をもつ新らしい化合物で, その作用は殺菌的であり, β-Lactamaseに強い抵抗性をもち, β-Lactamase産生菌に対しても非産生感受性菌に対すると同様の抗菌力をもっだけではなく, グラム陽性菌, グラム陰性菌, 嫌気性菌 (バクテロイデス) に対し強い抗菌力を示すこと, 毒性が弱いことなどが特長として挙げられる1, 2)。
    今回, 我々は皮膚科領域のStaphylococcus aureusによる感染症に対するCMZの有効性と安全性を客観的に評価するために, 基礎的および臨床的検討をおこなつたのでその成績を報告する。
  • 西島 浩, 落合 武徳, 渡辺 一男, 浅野 武秀, 林 良輔, 大塚 雅昭, 坂本 薫, 鈴木 孝雄, 佐藤 博
    1982 年 35 巻 1 号 p. 268-272
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Netilmicinは米国シエーリング社で開発された新らしい半合成アミノ配糖体系抗生物質である。構造式は図1のとおりで, Sigomicinの1位のアミノ基をエチル化して得られる。そのため, 2の水酸基をアデニル化する酵素等に抵抗性を示し, 最近増加しつつあるGentamicin耐性菌の一部にも抗菌力をもつ。また, 腎毒性, 聴器毒性が従来の同系抗生物質より少ないといわれている1, 2, 8)。
    今回, 本剤を外科手術後の感染症に使用する機会を得たので, その成績を報告する。
  • 山本 泰秀, 佐藤 和夫, 海野 良二, 宮崎 亮之助
    1982 年 35 巻 1 号 p. 273-280
    発行日: 1982/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性尿路感染症の起炎菌は, Escherichia coliが大部分を占めていることは従来から報告されているが, 慢性症では基礎疾患をもつことが多く, その菌種も多種多様である。
    最近の人口構成の変化, 高令者医療体制の充実, 手術法の進歩は高令者のカテーテル留置等の処置, 手術の大幅な増加をきたし, 慢性複雑性尿路感染症の機会を増大させた。さらに, ある種の化学療法の乱用傾向, 感染予防目的の化学療法は一層尿路感染の傾向を複雑に変化させつつある。これらの感染症では従来グラム陰性桿菌の多いことが指摘されていたが, 最近3年間の当科の統計ではCoccus27.47%→32.59%と大幅な増加をみせた。菌種別ではPseudomonas, Micrococcusの増加, E.coliの減少傾向が明確にみとめられた。特に高令者ではこの傾向が顕著で注目すべきであろう (Table1)。
    しかし, 化学療法の著るしい進歩は複雑性尿路感染の予後もある程度改善しつつあるように思える。
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