The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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35 巻, 3 号
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  • 大越 正秋, 岡田 敬司, 河村 信夫
    1982 年 35 巻 3 号 p. 691-703
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Micronomicin is a new aminoglycosidic antibiotic discovered and developed by Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd.It is produced by Micromonospora sagamiensis var.nonreducans.
    Investigation of micronomicin performed in134research facilities in Japan led to the following results.
    1) Micronomicin showed a broad antibacterial spectrum against Gram positive and Gram negative bacteria.
    2) In susceptibility tests of clinical isolates, micronomicin was almost similarly active to GM.
    3) Bactericidal activity of micronomicin against Pseudomonas aeruginosa and E.coli was higher than those of TOB and DKB.
    4) Micronomicin showed a synergistic antibacterial activity against Pseudomonas aeruginosa and E. coli with CBPC and SBPC.
    5) The therapeutic activity of micronomicin in mice infected with Pseudomonas aeruginosa and Serratia sp.was in high correlation with in vitro antibacterial activity similarly to that of GM.
    6) Micronomicin was confirmed to be stable against aminoglycoside 6'-acetyltransferase of Pseudomonas aeruginosa and to be not inactivated.
    7) Pharmacokinetics of micronomicin was almost similar to those of GM with respect to the concentrations in the serum, urine and tissues.
    8) Ototoxicity of micronomicin in guinea pigs was found to be approximately four times lessthan that of GM.
    9) Nephrotoxicity of micronomicin in rabbits was estimated to be less than those of GM and DKB. In rats, nephrotoxicity of micronomicin was approximately4times less than that of GM.
    10) Micronomicin was effective on 964 cases out of1, 469cases from127research facilities in Japan (65.6%), suggesting its favorable activity against respiratory tract infections and against urinary tractinfections.
    11) Side effects with the drug were observed in43cases out of1, 532 cases (2.81%).Abnormalities in laboratory findings were also recognized, but transient without severe cases.
    12) In conclusion, micronomicin is a favorable drug having lesser ototoxicity and nephrotoxicity as well as antibacterial and bactericidal activity of aminoglycosidic antibiotics usually used.
  • 松本 慶蔵
    1982 年 35 巻 3 号 p. 704-713
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ラタモキセフナトリウム (治験記号: 6059-S, 略号: LMOX) は1975年に塩野義製薬研究所で合成されたオキサセフェム系に属する注射用抗生物質で, 従来のセフェム系抗生物質と比較してその化学構造式の特異性が大きな特徴である。すなわち, 従来のセフェム骨格の1位の硫黄原子 (S) が酸素原子 (0) に置換され, 同時に7α位にMethoxy基を持つセファマイシン系の構造をも有していることである (Fig.1)。
    本剤については, 木邦ならびに諸外国において基礎的, 臨床的に広く検討されてきたが, ここでは本邦での検討成績を中心としてその概要を以下に紹介する。
  • 藤井 良知
    1982 年 35 巻 3 号 p. 714-723
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 大脇 弘之, 西野 武志, 谷野 輝雄
    1982 年 35 巻 3 号 p. 724-730
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    現在臨床的に2っあるいは数種の抗生物質の併用療法が, 慢性かつ複雑な感染症などに使用されている。このような併用療法は1. 抗菌スペクトラムの拡大, 2. 相乗作用による抗菌力の増強, 3. 耐性菌出現の防止, 4. 菌交代現象の防止, 5. 副作用の軽減などの理論的根拠に基づいて行なわれているように思われる。しかし, 使用する薬剤の種類や使用方法を間違えると, 併用することによりかえつて単剤の場合より効果が減弱したり, 副作用が増強されたりする可能性があるので, 適切な使用方法を厳守しなければならない。
    Ampicillin (ABPC) とDicloxacillin (MDIPC) を併用することにより, ABPC耐性グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して抗菌作用が発揮され, 両剤間に相乗作用が認められている。このような併用効果は主としてMDIPcによるB-Lactamaseの阻害作用に基づいていると報告されている1, 2, 3, 4)。
    今回, 私どもはABPcとMDIPCの併用効果について, B-Lactamaseを産生する臨床分離の大腸菌Escherichia coliNo.106株を用い, 主として形態学的に検討を行なつたので報告する。
  • 内田 立身, 松田 信, 刈米 重夫
    1982 年 35 巻 3 号 p. 731-738
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化学療法剤による急性白血病の治療中にはしばしば感染症を合併し, 予後に重大な影響をおよぼす。急性白血病に伴う感染症の特徴は, 白血病症例の正常造血細胞が極端に少なく, 免疫能の低下を背景に発症するもので, いわゆるOPPortunistic infectionが多い。すなわちPseudomonas, Escherichia coli, Klebsiella, Enterobacterなどのグラム陰性桿菌が多く, 治療にはこれらに抗菌力をもっAminoglycoside系抗生物質が用いられる。他方, Aminoglycoside系薬剤は, 筋肉内投与が原則とされているが急性白血病においては血小板減少が著明で, 注射部位の出血, 血腫, これにっつく感染をきたすことがよく経験される。このような観点から, 白血病症例に対しては点滴静脈内投与が理想的である。今回, 私たちは, Aminogycoside系抗生物質であるGentamicin (GM) の点滴静脈内投与法を急性白血病に伴う感染症に施行したので, その臨床的効果, 副作用などを中心にここに報告する。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 種田 陽一, 溝口 文子, 中村 はるひ
    1982 年 35 巻 3 号 p. 739-753
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    9, 3-Diacetylmidecamycin (MOM) は明治製菓株式会社で開発されたマクロライド系抗生物質で, Midecamycin (MDM) のDiacetyl誘導体である1)。本剤はMDMにくらべて, in vivoにおける抗菌力が2~10倍強く, また血中濃度, 組織内濃度が高く維持される1) といわれている。しかも毒性の低い薬剤であり, 幼若動物に対しても特異な影響を認めないことが確認されている1)。すでにおこなわれた成人領域の検討でも, 良好な臨床効果がえられており, 安全性も確認されている1)。
    今回, 我々は本剤の小児用ドライシロップ製剤について, 基礎的, 臨床的検討をおこなつたので, その成績を報告する。
  • 菅谷 直子, 難波 真美, 沖本 由理, 中村 明, 寺嶋 周, 上原 すゞ子
    1982 年 35 巻 3 号 p. 754-760
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    9, 3-Diacetylmidecamycin (MOM) はマクロライド系抗生物質ミデカマイシソ (MDM) の誘導体である。今回われわれは, MOMドライシロップ (19中MOM100mg (力価) を含有) を呼吸器感染症と溶連菌感染症児に投与する機会を得たので, その臨床知見について報告する。
  • 染谷 佐和子, 庄村 知子, 村田 信二郎
    1982 年 35 巻 3 号 p. 761-765
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    9, 3-Diacetylmidecamycin1) (以下, MOMと略称する, Fig.1) は16員環マクロライド抗生物質Midecamycin2) (以下, MDMと略称する, Fig.1) のエステル型誘導体で, in vitro活性が母抗生物質MDMとほぼ同等であるにもかかわらず, in yivo活性, すなわち, マウスによる実験的感染治療実験では, MDMよりはるかにすぐれた有効性を示し3), 毒性試験においては特筆すべき毒性を示さず, より有用な新マクロライド剤として注目されている。MOMは生体内で数種の代謝物にかわるが, そのいくつかは単独投与によつても親物質MDMと同等ないしはそれを凌ぐほどの有効性を示した。ラットを用いた詳細な報告によれば, MOMは組織移行性が高く, その結果, 体内推移時間の延長をきたし, おそらくその点が, MOMのin vivo活性に最も大きく関係しているものと推察されている4, 5)。このようにMOMは組織移行性が高く, 持続性製剤であるため, 毒性が懸念されるところであるが, 前にも述べたように, MOMは特筆すべき毒性は持つていない。ここでは, MOMの妊娠ラットにおける胎仔移行と連続投与における臓器への蓄積性について検討したので報告する。
  • 滝本 昌俊, 沖 潤一, 吉岡 一, 高瀬 愛子, 永松 一明
    1982 年 35 巻 3 号 p. 766-769
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    9, 3-Diacetylmidecamycin (MOM) は新しく開発されたMacrolide系抗生剤で, Midecamycinの誘導体であるが, 本剤の特徴としては, 生体内代謝の結果生ずる代謝産物もMOMと同様の抗菌力を示し, また毒性の低いことなどが挙げられる1)。MOMドライシロップは苦味のない服用しやすい経口用製剤であるので, とりわけ小児科領域での使用が予想され, 効果が期待される。
    MOMの成人領域での有効性と安全性は, すでに確認されているので, 私共は, 外来および入院の小児を対象として, 本剤の感染治療効果を検討した。
  • 沢江 義郎, 岡田 薫, 梅村 甲子郎
    1982 年 35 巻 3 号 p. 770-778
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近のグラム陰性桿菌による感染症の増加に伴つて, Dibekacin (DKB) をはじめとするアミノ配糖体系抗生剤が治療の第1選択となることが多い。とくに, これらの感染症は白血病や悪性リンパ腫などの血液疾患や末期癌患者など, 感染防御能の著明に低下した患者に合併してくることが多く, 出血傾向の著しいこともあり, アミノ配糖体系抗生剤についても静脈内投与が望ましい場合が多い。
    われわれはこれまでに健康成人を対象として, DKBを30分から1時間かけて点滴静注したとき, 同量を筋注したときとほぼ等しい血中濃度曲線が得られ, 筋注と同様に安全に使用しうることを報告してきた1, 2)。今回は明らかな腎臓病はないが腎機能低下の予測される高令者を対象として, DKBを点滴静注したときの血清中濃度および尿中排泄量を測定し, 薬動力学的解析を試みた。
    また, 副作用として聴力障害や腎障害をきたしやすいアミノ配糖体系抗生剤については, その血清中濃度が常に安全圏内にあるか否かをモニタリングできることが必要であると, 最近とくに強調されている。そのために, DKB濃度の迅速測定法の1つであるRadioimmunoassay (RIA) 法による血清中, 尿中濃度測定を従来のBioassay法と同時に施行し, 両者の相関ならびにRIA法の有用性について検討した。
  • 菊地 臣一, 星加 一郎, 松井 達也, 蓮江 光男
    1982 年 35 巻 3 号 p. 779-783
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    整形外科領域において, 抗生物質は術後感染予防の一手段としてもちいられることが多い。しかし抗生物質の全身投与によつて, どの位の速度で, どの位の量が何時間位骨組織に移行しているのかについてはあまり報告がない。今回我々はDibekacin sulfate (DKB) の骨組織への移行について検討したので報告する。
  • 三井 幸彦
    1982 年 35 巻 3 号 p. 784-788
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    サンテマイシン点眼液 (開発Code No.DE-020) は硫酸ミクロノマイシン (開発Code No.KW-1062, 全身薬商品名サガミシン) を主成分とする点眼液で, 主成分の濃度は0山3%力価である。硫酸ミクロノマイシンは協和醗酵工業の研究所が開発したアミノグリコシド系の抗生物質で, その抗菌スペクトルは広く, グラム陽性球菌およびグラム陰性桿菌 (緑膿菌, 変形菌, セラチア, 肺炎桿菌など) に強い抗菌力を持つている1)。アミノグリコシド系抗生物質は第VIII脳神経および腎臓に対する影響が強いことが問題になつているが, 硫酸ミクロノマィシンはこれらの毒性が弱いともいわれている。しかし点眼薬として投与する場合には局所障害の方が問題であつて, 全身障害は一般に問題にならない。
    硫酸ミクロノマイシン点眼液の基礎と臨床に関しての研究は, 眼感染症研究会が推奨する方式2) にしたがって, その大部分が実施された。
  • 山口 哲郎
    1982 年 35 巻 3 号 p. 789-793
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, ソラム陰性悍菌感染症1~3) の増加に伴つて, Emerobacteriaccae群 (Escherichia coli, Klebsiella, Proteus, Serratia) およびPseudomonasなどの感染症の治療か間題となつている。今回蓍者は71才と言う高令者肺化膿症4~10) にAmikacin (AMK) の長期投与を実施し蓍明に改善を示した症例を経験したので報告する。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫, 松本 清幸
    1982 年 35 巻 3 号 p. 794-800
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfomycinは, アメリヵMerck社およびスペインCEPA社において共同開発され1), その構造がきわめて簡単なために, 現在は合成によつて製造されている抗生物質である2)。これまでの抗生物質とは異なり, 低分子の広域抗生物質で, 殺菌的であり, 細菌細胞壁合成の初期の段階を阻害するといわれている。また, 抗菌作用の面では作用機作に特徴があるという。これらの理由から, 多くの実験ではNutrient agar (Difco) を用い実施され, その結果によればグラム陽性, 陰性菌にほぼ同様に抗菌作用を示し, 腸内細菌中ではとくにサルモネラに対する作用が強く, 緑膿菌にも有効であると報告されている3~5)。今回われわれは, 臨床検査としてのディスク法による感受性測定法を検討したので報告する。
    Fosfomycinのように新しく出現した薬剤の臨床的な感受性, 耐性に相当する最小発育阻止濃度 (MIC) 値の基準は全く不明で, 暫定的には推定される体液中有効濃度との関連から一応の基準が論ぜられたとしても最終的には多くの起炎菌について得たMIC値と, 薬剤投与による臨床効果との集計の上に, 将来定められるべきものであり, したがつて現時点においては適当に規定された実験条件でのMIC値を推定することが臨床的感受性検査の目的と考えられる。この目的に沿うように, すでに金沢6-9) により設定されたMIC値の推定を目的とするSingle-disc法による各種化学療法剤の感受性測定法についてたびたび報告した。今回はFosfomycinについても本法が適用されるかどうかを検討した。
  • 青山 恒夫
    1982 年 35 巻 3 号 p. 801-806
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (SCE-963, CTM) は, 沼田ら1) により合成されたセファロスポリソ系抗生物質で (Fig.1), Gram陽性菌, Gram陰性菌に広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特に臨床分離のEscherichiacoli, Klebsiella pneumoniae, Haemolphilus inf7uenzae, Proteus miraわilisのほとんどの菌株に対し, MICは0.2~0.78μg/mlの範囲にあり, Cefazolin (CEZ), Cephaloridine (CER) の約10倍の抗菌活性を示す2, 3)。今回, CTMの小児への適応にあたり小児におけるCTMの吸収・排泄および尿中活性代謝物の有無を検討したのでその成績を報告する。
  • 小児浅在性膿瘍由来株を用いた検討成績
    出言 浩一
    1982 年 35 巻 3 号 p. 807-811
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    著者は, 1981年9月に発行された本誌上において, 1980年までの検討成績として, 臨床分離黄色ブドウ球菌 (以下, Staphylomcus aureus) のセフェム系抗生剤の耐性菌が出現していることを指摘したが1), このたび, 1981年1月~9月に, 小児浅在性膿瘍から検出したS.aureusを用いて, セフェム系 (以下CEPs) の7剤のMICを測定した。この結果, 検討した7剤のCEPsに, 一定の頻度でS.aureusの耐性菌と考えられる高MIC株が存在した。
    従来, S. aureusのCEPs耐性菌は, 皆無に等しいか, 極めて稀な存在と考えられていた4, 5, 6)。著者の検討では, Primary infectionの領域, Field workとしての性格をもつ第一線の診療施設において, S.aureusのCEPs耐性菌が出現してきたのは1977年以降であるが1), 1978年~1980年の検討1), そして今回の検討で, S.aureusのCEPs耐性菌は, 一定の頻度で定着かつ増加傾向を示していることに確信を持つものである。
    我国におけるCEPs, 特に経口剤の伸長は著しいものであるが2), これに加えて, 新しいCEPsが, 続々と登場してきている。こうした現状からして, 今後, CEPs耐性菌が, 各菌種に現れてくることが憂慮されるが, 耐性菌の増加傾向が現れていると考えられるS.aureusについて, 最新の検討成績を報告する。
  • 出口 浩一, 河村 正三, 杉田 麟也, 藤巻 豊, 大沢 博之
    1982 年 35 巻 3 号 p. 812-820
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科領域 (以下, 耳鼻科領域と略す) の感染症における主な起炎菌は, 肺炎球菌, 溶レン菌, 黄色ブドウ球菌, インフルエソザ菌, 肺炎桿菌, 変形菌, 緑膿菌, および各種の嫌気性菌である1, 2, 3, 4)。
    近年, セフェム系 (CEPs) 抗菌剤の開発のめざましい発展にともない, 各種の経口および注射剤としてのCEPs剤の使用頻度が高まつてきているが, これらCEPs剤の耳鼻科領域における臨床細菌学的, 臨床的検討は, 必ずしも十分なものとはいえない現状である。
    私たちは, 1980年以降, いわゆる第3世代に属するものも含めて, 各種のCEPs剤の臨床細菌学的, 臨床的検討を行なつているが, このたび, いわゆる第2世代に属するCEPs剤に対して, 耳鼻科領域感染症患者由来株の感受性を検討したので, 以下報告する。
  • 本廣 孝, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄, 小野田 嘉明, 草柳 哲生, 坪井 峰男, 東保 ...
    1982 年 35 巻 3 号 p. 821-834
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmetazole (CMZ) は三共株式会社で開発されたCephamycin系抗生物質の注射用製剤で, グラム陰性桿菌に優れた抗菌力を有し1, 2, 3), β-Lactamaseに対しきわめて安定である1, 4) ことから, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus [Indole (-),(+)], Bacteroidesによる気管支炎, 肺炎, 膿胸, 敗血症, 胆管炎, 胆嚢炎, 腹膜炎, 腎孟腎炎, 膀胱炎, 子宮内感染症などに多く使用されているが, グラム陽性球菌中Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae1, 3, 5) にもかなりの抗菌力があり, これらが起炎菌の敗 (菌) 血症に対しても有効であるとの報告が散見される6, 7, 8, 9)。
    そこで私たちは臨床例から分離されたS.aureus62株のCMZ, Cefoxitin (CFX), Cefuroxime (CXM), Cefazolin (CEZ), Ampicillin (ABPC) に対する薬剤感受性を測定し, CMZと他4剤問のMIC比較を行ない, S.aureusが起炎菌の敗血症およびS.epidermidisによる髄膜炎の7例にCMZを投与し, その臨床効果, 細菌学的効果および副作用を検討したので, その成績を報告する。
  • 川嶌 眞人, 田村 裕昭, 北原 靖久, 陣山 貴美子
    1982 年 35 巻 3 号 p. 835-839
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化膿性骨髄炎は, 化学療法の進歩した今日にあつても, その治療の困難性は, 日常臨床の上でもしばしば整形外科医を悩ます疾患である。骨髄炎の治療や予防に, いく種類もの抗生物質が使用されているが, 臨床分離菌株の感受性, 骨髄内濃度を測定するなどして基礎面から抗生物質の有効性について検討した研究は意外と少ないのが現況である。
    骨, 関節感染症を治療するにあたつて, 抗生物質が臨床分離菌株のMIC値を十分上まわる濃度として病巣局所に移行しているかどうかを知ることは重要な問題である。抗生物質の種類, 投与量を決定するにあたつて, 骨髄内への移行状態を観察することと臨床分離菌株に対するMIC値の分布を把握することは大きな指標となると思われる。
    昭和45年から昭和55年にかけて九州労災病院整形外科にて治療をおこなつた化膿性骨髄炎の症例のうちStaphylococcus aureusは起炎菌として44.8%を占め, 今なお首位であることに変わりない1)。
    近年, 抗生物質の発達はめざましいものがあり, 中でもCefmetazole (CMZ) は国産初のセファマイシン系抗生物質であり, β-Lactamaseに強い抵抗性をもち, グラム陽性菌, 陰性菌に強い抗菌力を有すること, 毒性が弱いことなどを特徴とし, 最近広く使用されている抗生物質のひとつである2, 3)。
    今回, われわれは最近6ヵ月間の骨, 関節感染症から分離同定されたS.aureusのCMZ, Cefuroxime (CXM), Cefazolin (CEZ), Ampicillin (ABPC) に対する感受性を測定するとともに, 日常の骨, 関節手術前に感染予防の為にCMZを筋注し, 術直前に静脈血, 骨髄血を採取することによつて, CMZの骨髄内移行濃度を測定してみたので報告する。
  • 川嶌 眞人, 田村 裕昭
    1982 年 35 巻 3 号 p. 840-844
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ROBERTSON (1927~1935年) が急性骨髄炎75例中10.7%に死亡をみたと報告しているように, 抗生物質登場以前の急性骨髄炎は5~10%に死亡例をみていた1)。
    1928年, ALEXANDER FLEMINGのPenicillinの発見以来, 骨髄炎による死亡率は著しく減少し, ALTEMEIER (1948年) は71例中1.4%, TRUETA (1950年) は100例中0%, 河野 (1951~1959年) は87例中0%と報告している1)。
    抗生物質の出現は, 骨髄炎の病態や予後に大きな影響を与えてきたが, 近年に至つても骨髄炎の難治性は解決されておらず, 耐性菌の増加, 外傷性骨髄炎の増加に伴うグラム陰性桿菌の増加, Opportunistic infectionの問題L型菌の問題等は, 骨髄炎の治療にあたつて, 考慮しなければならない重要な点であると考えられる2, 3)。
    現在でも起炎菌の主流をなすStaphylococcus aureusに対して, 強い抗菌力を有する抗生物質の出現が望まれているが, 今回β-Lactamaseに強い抵抗性を示すCephamycin系抗生剤のCefmetazole (以下CMZ) を骨髄炎に応用してその効果を検討してみたので報告する。
  • 斎藤 健一, 藤井 研一, 青木 慎一郎, 道 健一, 上野 正, 橋本 賢二, 岩城 博, 清水 正嗣, 塩田 重利
    1982 年 35 巻 3 号 p. 845-849
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 各科領域において感染症の検出菌の変遷が報告されてきている。顎口腔領域感染症においても, 従来, 大部分は好気性菌によるとされてきたが, 最近嫌気性菌の研究が進むにつれて, その検出率が高まり, より多彩な像を示すようになつてきた。
    Cephamycin系抗生物質Cefoxitin (Merxin, CFX) は, 好気性菌, 嫌気性菌に対し幅広い抗菌Spectrumを有し, かつ速やかに高い血中濃度が得られるとされている1~4)。しかしながら, 顎口腔領域組織への移行性についての報告は未だみられない。そこで, われわれはCFXの顎口腔外科領域における有用性を検討するため, 実験動物および口腔外科手術症例について顎口腔領域組織内濃度を血清中濃度と併せてBioassay法により検索したので報告する。
  • 斎藤 正人, 斎藤 武, 矢野 邦一郎
    1982 年 35 巻 3 号 p. 850-855
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotetan (CTT, YMO9330) は, 山之内製薬株式会社中央研究所で開発された7a位にメトキシ基を有するCephamycin系抗生物質である (Fi9.1)。
    本剤はβ-Lactamaseに対する抵抗性が極めて強く, Penicillin及びCephalosporin耐性菌に有効であり, Gram陽性及び陰性菌に広い抗菌スペクトラムをもつ。又, 従来のCephamycin系抗生物質に比べ, Indole陽性Prooteus, Citrobacter, Eterobacter及びSerratia等のGram陰性桿菌に優れた抗菌力を有すること, 血中濃度の持続時間が長く, ヒトに静注したときの血中半減期が約3時間と従来のβ-Lactam系薬剤の中で最も持続的であることが特徴である1, 2)。
    今回, CTTによるEscherichia coli NY-17及びSerratia marcescems IID 620の形態変化をCefmetazole (CMZ) を対照薬剤として, 走査電子顕微鏡を用いて検討した。
  • 中谷 林太郎, 千田 俊雄, 柴岡 はるみ, 相楽 裕子
    1982 年 35 巻 3 号 p. 856-863
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotetan (YM 09330) は山之内製薬株式会社で開発されたセファマイシン系抗生物質である。Cefotetanの化学構造式はFig.1に示すとおりで, 化学名はDisodium (6R, 7S)-7-[[4-carbamoylcarboxylatemethylene)-1, 3-dithietan-2-yl] carboxamido] 7-methoxy-3-[[(1-methyl-1 H-tetrazol-5-yl) thio]-methyl]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo [4.2.0] oct-2-ene-2-carboxylateで, 分子式はC17H15N7Na2O8S4, 分子量は619.57である1)。本剤は, Indole陽性Proteus, Citrobacter, Enterobacter, Serratia等のグラム陰性桿菌に優れた抗菌力を有し, β-ラクタマーゼにも抵抗性を示すこと, また, 静脈内投与により速やかに高い血中濃度が得られ, しかも血中半減期が約3時間と, 従来のβ-ラクタム系抗生剤の中でも最も持続的であること, さらに, Cefazolin (CEZ), Cefmetazole (CMZ) に比較し, 胆汁排泄量が多く, ヒト糞便中排泄率は11%であると報告されている2, 3)。本剤がヒトに連続投与された場合, 正常の腸内菌叢構成菌群がどのような変動を示すのかは興味深いことである。この結果は, 生体内での抗菌効果判定だけでなく, 菌交代現象による下痢・薬剤性腸炎等の副作用の検討としても意義あるものと思われる。今回, 我々は健康成人Volunteersを対象として, 本剤を静脈内注射によつて連続投与した際, 正常腸内菌叢の量的, 質的な変化, 投薬中止後の菌叢構成菌群の回復経過とその時期, 非感受性菌あるいは耐性菌の出現とその動態, 下痢等の副作用の有無及び腸内菌叢の変動と糞便中薬剤濃度との関係等について検討したので, その成績を報告する。
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