The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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36 巻, 4 号
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  • 上田 泰, 松本 文夫
    1983 年 36 巻 4 号 p. 653-677
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 抗生剤の開発はめざましく目下の開発の主流を占めるものには, Penicillin剤, Cephem剤などのβ-ラクタム抗生剤とアミノ配糖体剤がある。
    Penicillin剤はAmpicillin (ABPC) をはじめ,Carbenicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC)の開発によつて, Escherichia coli,Indole (-) Proteus感染症からIndole (+) Proteus,Pseudomonas aeruginosa感染症に適応が拡大されたが, 更に, 最近では, 抗菌力の増強や抗菌スペクトルの拡大を求めて開発が続けられている。
    富山化学工業綜合研究所で開発したPiperacillin (PIPC) は, 注射用の広域Penicillin剤で, ABPCのAmino基に4-Ethyl-2, 3-dioxopiperazinylcarbonyl基を導入したもののNa塩である (Fig. 1)。
    PIPCはGram陽性球菌, Gram陰性桿菌並びに嫌気性菌にまで抗菌スペクトルが拡大され, 特にKlebsiella, Enterobacter, P. aeruginosaに対して優れた抗菌力を有し, Cephem剤に抵抗性を示すStreptococcus faecalisにも抗菌力を有することが特長である1)。
    本剤は国内, 国外で検討され2~7), すでに欧米諸国で広く使用されているが, わが国においては, 1980年2月から発売され, 広域Penicillin剤の中でも第1級のものとして今日, 高い評価を得ている。
    以下, PIPCについてその概要を記述する。
  • 出口 浩一
    1983 年 36 巻 4 号 p. 678-688
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (CTM) は, 7位に新規のAminothiazole環を持ち, 3位にTetrazole環を有する広域合成セファロスポリン系で, いわゆる第2世代の注射剤である。
    著者は, CTMの抗菌力に関する検討結果1)として, 広汎な臨床分離株に対する検討2), 耳鼻咽喉科領域臨床分離株に対する検討3) などをすでに発表してきたが, このたび, 産婦人科領域感染症で検出頻度の高い主な菌種に対するCTMの抗菌力を知るために, 対照剤を含めたMICを測定したので, 以下報告する。
  • 石川 清文
    1983 年 36 巻 4 号 p. 689-698
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    現在まで, 我が国ではAminoglycoside系抗生物質 (AG) の注射については, 筋肉内投与だけが認められているが, 血圧低下など静脈還流の悪い場合や出血傾向を有する者, 又, 小児などでは, 経静脈投与が必要な場合が多く, 実際には医師の判断で点滴静注が行われているのが現状である。最近になり, その必要性から, AGの点滴静注について, その方法, 効果, 副作用などにつき種々検討が行われるに至つている。
    著者も第28回日本化学療法学会東日本支部総会において, Tobramycin (TOB) についての検討成績1) を発表したが, 本稿ではGentamicinについて, 同様に, 主として, 点滴静注時の腎組織内濃度及び腎の病理組織学的変化について, 筋注時の成績と比較検討を加えたので報告する。
    なお, 本実験期間は1981年11月~1982年8月である。
  • 伊藤 章, 室橋 光宇, 松村 正典, 本多 淳郎, 丸田 壱郎, 小原 侃市
    1983 年 36 巻 4 号 p. 699-708
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Mycoplasma pneumoniae 感染症は, 4年周期で流行すると言われ, 原発性非定型肺炎 (PAP) を始めとして多彩な症状を呈し1~6), 異型性肺炎の20~40%にM. pneumoniae による肺炎が含まれていると言われている7~10)。
    治療については, Mycoplasma が細胞壁を持たず内外2層の限界膜を有するだけであることから, ペニシリン系抗生物質, セフェム系抗生物質は無効で,マクロライド系抗生物質11), テトラサイクリン系抗生物質が選択される12, 13)。
    北本14) によればM. pneumoniae に対する各種抗生物質のMICはErythromycin (以下, EMと略す) が0.001μg/mlと最も小さく, Acetylspiramycin (以下, ASPMと略す) は0.01μg/mlと10倍のMICを有しているが臨床上この値の差はほとんどないものと考えられる15~17)。又, 最近マクロライド系抗生物質, 特にEMに対して耐性のM.pneumoniae 肺炎も報告されている9, 18)。
    我々は, 今回,Mycoplasma 肺炎に対しASPMを投与し, その効果並びに有用性について臨床的に検討した。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫, 松本 清幸
    1983 年 36 巻 4 号 p. 709-716
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefatrizine (CFT) は米国Bristol社とSmith Kline & French社により開発されたCephalosporin系の半合成抗生物質であり,Cephalexin (CEX) と同様に経口剤で, 消化管から吸収され, 体内では代謝されず主として尿中に排泄されると言う。又抗菌作用の面ではCEXと比較し, 数倍高い抗菌性を示したと報告1~5) されている。今回われわれは, 臨床検査としてのディスク法による感受性測定法を検討したので報告する。
    CFTのように新しく出現した薬剤の臨床的な感受性, 耐性に相当する最小発育阻止濃度(MIC)値の基準は全く不明で, 暫定的には推定される体液中有効濃度との関連から一応の基準が論ぜられたとしても最終的には多くの起炎菌について得たMIC値と,薬剤投与による臨床効果との集計の上に将来定められるべきものであり, 従つて現時点においては適当に規定された実験条件でのMIC値を推定することが臨床的感受性検査の目的と考えられる。この目的に沿うように,すでに金沢6~9) により設定されたMIC値の推定を目的とするSingle-disc法による各種化学療法剤に対する感受性測定法についてたびたび報告して来たが, CFTについても本法が適用されるかどうかを検討した。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫, 松本 清幸
    1983 年 36 巻 4 号 p. 717-724
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefaclor (CCL) は米国Eli Lilly社において開発されたCephem系抗生物質で3位にクロル原子が結合している点を除くとCephalexin (CEX) と化学構造上極めて類似した物質である。CEXと同様に経口吸収性が良好であり, 体内で大部分が変化を受けることなく尿中へ排泄され, その率は高率と言われている1~3)。又抗菌作用の面でもCEXと類似点が多いが, CEX低感受性のHaemophilus influenzae, Proteus mirabilisまで抗菌スペクトラムが拡大されたほか, CEX感受性菌に対して本剤のほうが強い殺菌作用を示すと報告4, 5) されている。今回われわれは, 臨床検査としてのディスク法による感受性測定法を検討したので報告する。
    CCLのように新しく出現した薬剤の臨床的な感受性,耐性に相当する最小発育阻止濃度 (MIC) 値の基準は全く不明で, 暫定的には推定される体液中有効濃度との関連から一応の基準が論ぜられたとしても最終的には多くの起炎菌について得たMIC値と, 薬剤投与による臨床効果との集計の上に将来定められるべきものであり, 従つて現時点においては適当に規定された実験条件でのMIC値を推定することが臨床的感受性検査の目的と考えられる。
    この目的に沿うように, すでに金沢6~11) により設定されたMIC値の推定を目的とする単一ディスク (Single-disc) 法による各種化学療法剤に対する感受性測定法についてたびたび報告してきたが, 今回は,CCLについても本法が適用されるかどうかを検討した。
  • 篠原 照男
    1983 年 36 巻 4 号 p. 725-727
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone (CPZ) は新たに本邦で開発された第3世代のセファロスポリン剤であり, グラム陽性及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを示す。特にグラム陰性菌に対する抗菌力は極めて優れ, 緑膿菌に対しても強い抗菌力を有する。又点滴静注により高い血中濃度が得られ, その半減期は約2時間で長く, 胆汁中移行が良いこともその特徴の1つとされている1)。本剤を小児感染症の治療に使用し, その臨床効果を検討したので報告する。
  • 益子 仁, 目黒 英典, 大成 滋, 金 保沫, 中條 真美子, 田島 剛, 藤井 良知
    1983 年 36 巻 4 号 p. 728-735
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学工業 (株) と科研製薬 (株) で共同開発された注射用新Cephamycin系抗生物質で, 化学名はSodium 7β-[(2R, 35)-2-(4-ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido)-3-hydroxybutanamido]-7α-methoxy-3-[(1-methyl-1H-tetrazol-5-yl) thiomethyl]-3-cephem-4-carboxylateである。化学構造式はFig.1に示すとおりである1)。
    T-1982は第4群のCephem系抗生物質に分類され, その特徴として, 従来のCephalosporin系抗生物質に比較して抗菌スペクトルが拡大され, Enterobacter, Serratia marcescem, ProteusBacteroides及びその他の嫌気性菌などにも強い抗菌力を持つことである。又諸種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して非常に安定で, in vitroよりin vivoの効果が優れているとされている1)。
    動物における急性, 亜急性毒性試験ではその安全性が確認され, 成人における臨床検討も終り, その安全性, 有効性が確認されている。
    今回我々は, 小児における本剤の安全性, 有効性について検討したのでここに報告する。
  • 青山 隆蔵, 和賀 忍, 大西 彬, 泉 幸雄
    1983 年 36 巻 4 号 p. 736-738
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学工業 (株) 及び科研製薬 (株) により共同開発された新しいCephamycin系抗生物質である。
    本剤の特長はβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広い抗菌スペクトラムを有し, 特に Enterobacter, Serratia marcescensなどに対して従来のCephem系抗生物質に比べ強い抗菌力を有している1)。
    今回我々は本剤を小児感染症に使用する機会を得たので,臨床成績につき報告する。
  • 豊永 義清, 黒須 義家, 甲田 直也, 井田 博幸, 望月 弘, 熊谷 公明, 赤塚 順一, 杉田 守正, 川村 悟朗, 岡部 武, 堀 ...
    1983 年 36 巻 4 号 p. 739-770
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin C系抗生物質の中で, いわゆる第1, 2群の薬剤であるCephaloridine (CER), Cephalothin (CET), Cefazolin (CEZ) などは, グラム陽性球菌及びある種の陰性桿菌に強い抗菌力を持ち, 毒性も比較的低く, 新生児への投与も可能であるなど, 小児科領域でも臨床的に広く使用されている。しかしβ-Lactamaseにより不活性化されるため, 最近, これらの薬剤に対する耐性株が増加しつつあるのも衆知の事実である。このような背景からβ-Lactamaseに対して安定な薬剤の開発が望まれ, Cephem環の7α 位にMethoxy基を持つCephamycin系抗生物質が登場してきた。
    T-1982 (Cefbuperazone) は7α-Methoxycephem系抗生物質としては第5番目に本邦での検討を行つた薬剤であり, 富山化学工業 (株) 及び科研製薬 (株) で共同開発され, 化学名はSodium 7β-[(2R, 33)-2-(4-ethyl2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido)-3-hydroxybutanamido]-7α-methoxy-3-[(1-methyl-1H-tetrazo1-5-yl)thiomethy1]-3-cephem-4-carboxylateで7β 位の側鎖のD-ThreonineにPiperacillin (PIPC), Cefbperazone (CPZ) に用いた4-Ethyl-2, 3-dioxopiperazineを置換した構造である。本剤の特徴は各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定なため, グラム陰性桿菌に対して優れた抗菌スペクトラムを有すると言われ, 特にEnterobacter, Serratia marcescens, Proteus sp., Bacteroides fragilisなどに対しては, 従来のCephem系抗生物質に比べ更に強い抗菌力を示し, 且つ, in vitroよりin vivoの効果が優れていると言われている。今回, 我々はT-1982を使用する機会を得たので, 本剤について抗菌力, 吸収・排泄などの基礎的検討を行うと共に, 各種細菌感染症に使用したので, それらの成績について報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 平間 裕一, 成田 章, 鈴木 博之, 中沢 進一, 近岡 秀次郎, 田添 克衛, 入野 泰一, 中田 ...
    1983 年 36 巻 4 号 p. 771-789
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は新しく富山化学工業 (株) と科研製薬 (株) で開発された注射用Cephamycin系抗生剤であり以下の特長が基礎的検討から認められている。
    1. 各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定である。
    2. グラム陽性菌, Enterobacter, Serratia, Proteusを含むグラム陰性桿菌, 嫌気性菌Bacteroidesなどに抗菌性である。
    3. 抗菌性がin vitroよりin vivoの効果が優れている。
    4. 筋注,静注によつて投与量に比例した体液並びに臓器内活性濃度が得られる。
    本剤の成人各科領域における基礎的, 臨床的検討は, 昭和56年3月以来全国94の研究施設によつて実施され, その有用性が認められると共に, 成果は昭和56年12月, 第29回日本化学療法学会西日本支部総会において報告されている1)。
    本剤の有効性と安全性が認められた結果, 今回小児科領域での検討が行われるようになり, 私等も一連の成績を得ることができたので以下今日までの概況について報告する。
  • 宮地 幸紀, 中島 崇博, 麻生 幸三郎, 小川 昭正, 屋冨祖 正光, 久野 邦義
    1983 年 36 巻 4 号 p. 790-802
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は科研製薬 (株), 富山化学工業 (株)で開発された新しい注射用抗生物質で, 化学構造トセファロスポリン核の7位にメトキシ基を有するセファマイシン系抗生物質である1)。Fig.1の構造を持ち, 各種細菌産生のβ-ラクタマーゼに安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し, 広範囲な抗菌スペクトラムを有する。特に従来のセフェム系抗生物質で無効であつたEnterobacter, Serratia marcescens, Proteusにも有効であるとされている。
    今回, 我々は小児における本剤の吸収, 排泄及び臨床的検討を行つたので報告する。
  • 岩井 直一, 種田 陽一, 佐々木 明, 溝口 文子, 中村 はるひ
    1983 年 36 巻 4 号 p. 803-825
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学工業 (株) と科研製薬 (株) によつて開発された新しいCephamycin系抗生剤である。本剤はβ-Lactamaseに極めて安定であり, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広範囲な抗菌スペクトラムを有している1)。従来のCephem系抗生剤に比較してEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Indole (-) Proteus, Indole (+) Proteus, Serratia marcescens, Haemophilus influenzae, Bacteroides fragilisに対する抗菌力が一段と優れており, 疾患によつてはEnterobacter sp., Citrobacter freundiiにも期待を持てる点が特徴である。又, in vitro効果に比べて実験的感染症で優れた効果を示し1), 臨床面にも反映されることが期待される。本剤は静注により高い血中濃度が得られ, 体内で代謝を受けることなく, 主として尿中に排泄される。しかも, 腎毒性は動物実験ではCefazolin (CEZ) より少ないと言われている1)。
    今回, 我々は小児科領域において本剤の基礎的, 臨床的検討を行つたのでその成績を報告する。
  • 数岡 一吉, 清水 信, 川村 芳秋, 神谷 斉, 桜井 実
    1983 年 36 巻 4 号 p. 826-837
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982(Cefbuperazone)は富山化学工業(株)と科研製薬(株)で共同開発されたCephamycin系の注射用抗生物質で, 構造上はCefmetazole(CMZ)等と同様, セフェム骨格の7αがMethoxy基で置換され, 又7β側鎖のD-ThreonineがCefoperazone等に用いられている2, 3-Dioxopiperazineで置換された形になつている。本剤はβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌, グラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特にKlebsiella pneumoniae,Haemophilus influenzae,Enterobacter cloacae等にCMZより強い抗菌力を有するとされている1, 3)。しかし本剤はPseudomonas aeruginosaに対しては無効であるとされており, 藤井の分類でCephemの第4群に属するものである1, 2)。
    今回我々は小児科領域での本剤の使用につき抗菌力, 吸収・排泄, 髄液内移行, 臨床効果及び副作用につき検討を行つたので報告する。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 高島 俊夫, 高木 道生
    1983 年 36 巻 4 号 p. 838-848
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質の開発, 進歩は, 細菌感染症治療に大きく貢献し, とりわけCephalosporin系抗生物質の出現は, 感染症治療の内容に, より充実性をもたらした。しかし, 近年細菌感染症も疾患によつては難治性の傾向が強くなり, 特に宿主条件によつては病因微生物に多くの変化がみられ, Cephalosporin系抗生物質に対する耐性菌も増加傾向にある。
    このような現況から, より強力な殺菌効果と薬剤耐性の打破, 特にβ-Lactamaseへの抵抗性保持を目的に新たなCephem系抗生物質の開発がすすめられ, すでにその一部は実際使用の段階に至つている。
    今度富山化学(株)と科研製薬(株)で共同開発された新しい注射用Cephamycin系抗生物質であるT-1982 (Cefbuperazone) は各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有し,特にEnterobacter,Serratia,Proteus,Bacteroides などに対して強い抗菌力を示す。
    本剤は投与後大部分が未変化体のまま尿中及び胆汁中に高濃度に排泄される1)。
    すでに, 本邦ではT-1982に関する基礎的及び成人領域における臨床検討が行われ, 第29回日本化学療法学会西日本支部総会1)において, 本剤の評価が行われた。今回著者らは, そこで得られた本剤の有効性と安全性の成績に基づいて, 小児におけるT-1982の基礎的及び臨床的検討を行つたので, その成績について述べる。
  • 小林 裕, 春田 恒和, 黒木 茂一, 大倉 完悦, 辻 新次, 筒井 孟
    1983 年 36 巻 4 号 p. 849-854
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学工業 (株) と科研製薬 (株) において共同開発された新 Cephamycin 系抗生剤で, β-Lactamase に極めて安定, Pseudomonas aeruginosa を除く各種グラム陰性桿菌に強い抗菌力を持つており, その基礎的, 臨床的研究成果は, 1981年12月の第29回日本化学療法学会西日本支部総会において新薬シンポジウムとして討議され, 成人における有用性, 安全性が認められた1)。その結果小児においても検討に値すると考えられ, 幼若動物における安全性も認められたので, 小児科領域研究会が組織され, われわれもその一員として若干の臨床的検討を行つた。
  • 宮内 吉男, 西森 緑, 浅野 恵美子, 坂口 善市, 大原 克明, 岡本 喬
    1983 年 36 巻 4 号 p. 855-861
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は本邦で開発された新しい注射用 Cephamycin 系抗生剤でその構造式はFig.1のとおりである。本剤は各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有する。特にEnterobacter, Serratia marcescens, Proteus, Bacteroidesなどに対しては従来の Cephem 系抗生剤に比べて更に強い抗菌力を示し, 且つ in vitro より in vivo の効果が優れており, 半減期が長いと言う特長がある1)。
    今回, 我々はT-1982を小児細菌感染症に対して使用する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 岡田 隆滋, 古川 正強
    1983 年 36 巻 4 号 p. 862-868
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は新しい Cephamycin 系抗生物質で, β-Lactamase に強い抵抗性を示す。又グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特にEnterobacter, Serratia marcescens, Proteus, Bacteroidesなどに対しては更に強い抗菌力を持つことが報告されている1)。
    今回, 我々は小児科領域における細菌感染症に使用する機会を得たのでその成績を報告する。
  • 関口 隆憲, 市岡 隆男, 細田 禎三, 増田 昌英, 宮尾 益英
    1983 年 36 巻 4 号 p. 869-876
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用 Cephamycin 系抗生物質である T-1982(Cefbuperazone)(Fig.1)は, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特にEnterobacter, Serratia marcescens, Proteus, Bacteroides などに対して従来の Cephem 系抗生物質に比べて更に強い抗菌力を示し, 且つin vitro より in vivo の効果が優れていることが特徴とされている1)。
    今回, われわれは小児科領域における細菌感染症患者に本剤を使用する機会を得, 基礎的検討と臨床的検討を行つたので報告する。
  • 倉繁 隆信, 喜多村 勇, 小倉 英郎, 脇口 宏, 森田 英雄, 倉光 誠, 黒岩 祥男, 利根 洋一, 三野 正博
    1983 年 36 巻 4 号 p. 877-880
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学工業 (株), 科研製薬 (株) によつて開発された新しい注射用セファマイシン系抗生物質で, 所謂第4群に分類される。
    T-1982は, 従来のセフェム系抗生物質に比べて, Escherichia coli,Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis 等のグラム陰性菌に対する抗菌活性がin vitro, in vivo 共に優れ, Enterobacter, Citzobacter, Indole 陽性 Proteus, Semtia 及び嫌気性菌にまで抗菌スペクトラムが拡大されている。
    本剤については, すでに成人での臨床評価は検討され, 有効かつ安全であることが確認されている1)。
    しかし,小児科領域における臨床評価は,充分検討されておらず, 報告が見られない。今回われわれは, T-1982を各種小児感染症の治療に使用する機会を得たので報告する。
  • 渡部 雅愛, 貴田 嘉一, 松田 博, 村瀬 光春, 石川 純一, 一宮 教伸
    1983 年 36 巻 4 号 p. 881-887
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は新しく開発されたCephamycin系抗生剤であり, その構造式はFig.1に示したとおりである。本剤は各種細菌が産生するβ-Lactamase に安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 且つ in vitro よりin vivoの効果が優れているとされている1)。
    今回, 我々は小児感染症の患者に対しT-1982を使用する機会を得たので, その結果について報告する。
  • 本廣 孝, 古賀 達彦, 冨田 尚文, 藤本 保, 西山 亨, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄, 古賀 靖敏, 高城 信彦, 荒木 久 ...
    1983 年 36 巻 4 号 p. 888-909
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学工業 (株) 及び科研製薬 (株) で共同開発された新しい注射用 Cephem 系抗生物質で Cephamycin 系に属し, その構造式はFig.1に示すようにセファロスポリン核の7α位にMethoxy基, 3位の側鎖にはThiomethyltetrazole基を持ち, 7位側鎖はPiperacillin(PIPC)及びCefoperazone (CPZ) に応用された4-Ethy1-2, 3-dioxopiperazine を有している。
    本剤はβ-Lactamaseに対し極めて安定で,その抗菌力は従来のCephamycin系抗生物質である, Cefoxitin (CFX), Cefmetazole (CMZ) に比較してProteus, Enterobacter, Citrobacter, Serratia などのグラム陰性桿菌に優れた抗菌力を示し, 且つ in vitro よりin vivoの効果が優れており, 1981年の第29回日本化学療法学会西日本支部総会の新薬シンポジウム1)で成人の種々の細菌感染症に対する有用性が論じられた。
    私たちは本剤を小児に投与し, 血清中, 尿中濃度及び回収率, 髄液中濃度を測定し, 種々の細菌の薬剤感受性試験を行うとともに, 小児の各種細菌感染症に投与してその臨床効果, 細菌学的効果及び副作用を検討したのでその成績を報告する。
  • 1983 年 36 巻 4 号 p. 910
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2013/05/17
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