The Japanese Journal of Antibiotics
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36 巻, 5 号
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  • 田口 圭樹, 成田 潤, 後藤 薫, 設楽 芳宏
    1983 年 36 巻 5 号 p. 919-924
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は, 富山化学工業 (株) と科研製薬 (株) で開発された新しいCephamycin系抗生物質である。その構造式をFig. 1に示す。本剤は各種細菌のβ-Lactamaseに安定であり, 特にグラム陰性菌に対して優れた抗菌力を示し, なかでもEscherichia coli, Klebsiella, Proteus, Serratiaに対して従来のCephem系抗生物質より強い抗菌力を有すると報告されている1)。
    今回, 我々はT-1982の産婦人科領域感染症における有効性を裏付ける目的で, 静注後の肘静脈血, 子宮動脈血清中濃度及び性器内各組織内濃度を測定し,以下の結果を得たので報告する。
  • 千村 哲朗, 小田 隆晴, 小関 憲, 三井 盾夫
    1983 年 36 巻 5 号 p. 925-931
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    β-Lactam系抗生物質の開発は, 抗菌力の増強と抗菌スペクトラムの拡大を目的としてきたが, 新しく開発されたCephamycin系抗生物質であるT-1982 (Cefbuperazone) は, 各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌, グラム陰性菌に対し広範囲な抗菌スペクトラムを有する1)。特にEntmbacter, Serratta marcescens, Proteus, Bactmidesなどに対し, 従来のCephem系抗生物質に比べてより強力な抗菌力を有し, またin vitroよりin vivo効果が優れているといわれる。
    すでに本剤の臨床各科領域での成績は全国94の研究施設で検討報告され, 本剤の有用性が示唆されている1) が, ここでは本剤の産婦人科領域での感染症に対し, その効果を検討したので報告する。
  • 八木 憲一郎, 滝田 研司, 穂垣 正暢, 荒井 清, 沖永 荘一
    1983 年 36 巻 5 号 p. 932-938
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域におけるT-1982の投与効果を基礎及び臨床から検討した。
    T-1982 1g静注で, 投与後2時間以上にわたり, 子宮各組織に10μg/g以上の移行を認めた。移行は子宮頸部, 卵巣, 卵管, 子宮腟部, 子宮内膜, 子宮筋層の順で良く, 子宮動脈血との平均濃度比 (22分から285分の平均)で, 子宮頸部は67.6%を示した。
    又10例の性器感染症に投与して, 1例の判定不能例を除きすべて有効の成績を得た。副作用及び臨床検査値異常は認められなかつたことから, T-1982 は産婦人科領域における感染症に対し, 明らかな有用性を持っものと思われる。
  • 張 南薫, 福永 完吾, 国井 勝昭, 出口 浩一
    1983 年 36 巻 5 号 p. 939-955
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学工業 (株) と科研製薬 (株) で共同開発された新しいCephamycin系抗生物質であり, 基礎的検討, 内科領域, 外科領域での臨床成績は先の日本化学療法学会1) で発表され, 細菌学的には各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対し安定であり, グラム陽性及びグラム陰性菌に対し広範な抗菌スペクトラムを有する。特にグラム陰性菌のうちEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Serratia marcescens, Proteusに対してはCefazolin (CEZ), Cefmetazole (CMZ)より強い抗菌力を示し, 且つin vitroよりin vivo効果が優れていると言う特長を有している。
    本剤の体内動態は筋注又は静注により各組織に速やかに移行分布し, 血中濃度もCMZより高く推移し, その80%は尿中から排泄される。
    臨床的検討でも各科感染症に対し臨床的有用性が認められており, 我々も前報でこれを報告した2)。
    今回我々は産婦人科病巣由来菌株の感受性試験を実施すると共に, 婦人性器組織内移行と若干の臨床的検討を行なつたので報告する。
  • 中村 英世, 岩田 嘉行, 林 茂
    1983 年 36 巻 5 号 p. 956-962
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    婦人性器感染症は複数菌や嫌気性菌の検出率が高く, 現在広く使用されている抗生剤では, その臨床効果並びに細菌学的効果の面で必ずしも十分とは言えないのが現状である。
    先に, 著者らは富山化学工業 (株) と科研製薬 (株) で新しく共同開発された注射用セファマイシン系抗生剤T-1982 (Cefbuperazone) を臨床使用する機会を得, その成績を報告1) したが, 今回更に症例を追加し, 又, 腹式子宮全摘術施行患者に術前にT-1982を点滴静注し, 血清中濃度, 子宮組織及び付属器内濃度について検討を加えたので報告する。
  • 松山 明美, 柳沢 隆, 大塚 尚之, 植村 次雄, 水口 弘司
    1983 年 36 巻 5 号 p. 963-967
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は, 富山化学工業 (株) と科研製薬 (株) により共同開発された新しいCephamycin系抗生物質で, 下記の構造を持ち, β-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトラムを有しており, Bacteroides fragilisを含む嫌気性菌に対しても強い抗菌力を持つている1)(Fig.1)。
    産婦人科領域においても, 最近起炎菌の多くがグラム陰性桿菌となりこれが重要な位置を占めるようになり2), 本剤のようにEnterobacter, Seratia marcescens, Proteusなどのグラム陰性桿菌に強い抗菌力を有し, 又Bactmidesなどの嫌気性菌にも強い抗菌力を持つ薬剤が婦人科感染症に対し優れた治療効果を発揮するものと思われる。すでに本剤は毒性が低く安全性が高いとの評価を得ており1), 当科において産婦人科領域の基礎的,臨床的検討を試みたのでその成績について報告する。
  • 東出 香二, 山野井 純子
    1983 年 36 巻 5 号 p. 968-975
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 抗生物質の開発は著しいものがあり, 実際臨床面において, その選択に苦慮することもしばしばである。T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学工業 (株), 科研製薬 (株) により開発されたFig. 1のような構造式を有する注射用広域合成セファマイシン剤である。T-1982は各種細菌産生のβ-Lactamaseに対して強い抵抗力を示し,特にグラム陰性菌のうちEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Serratia mamscens, ProteusではCefmetazole (CMZ), Cefazolin (CEZ), Cefoperazone (CPZ) より抗菌力が優れているとのことである1)。今回われわれは, T-1982の産婦人科感染症に対する有用性を, 臍帯血への移行, 感染症患者分離菌に対する抗菌力などの基礎的検討及び臨床的有効性, 安全性について検討したので, その結果について報告する。
  • 堀 悟, 細井 延行, 牧野 一郎, 稲葉 芳一
    1983 年 36 巻 5 号 p. 976-981
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は新しく開発された注射用Cephamycin系抗生物質で, その化学構造式はFig. 1のようである。本剤は各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 殺菌的に作用する。特にEscherichia coli, Enterobacter, Serratia marcescens, Proteus, Bacteroidesなどに対しては従来のCephem系抗生物質に比べて更に強い抗菌力を示し, 且つin vitroよりin vivoの効果が優れていると言う特長があり, 安全性も高い1)。
    今回, われわれは産婦人科領域の感染症に本剤を使用する機会を得たのでその臨床成績を報告する。
  • 伊藤 邦彦, 岩砂 眞一, 近藤 英明, 早崎 源基, 野田 克巳
    1983 年 36 巻 5 号 p. 982-985
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学工業 (株) と科研製薬 (株) で共同開発された新しい注射用Cephamycin系抗生物質で, その構造式はFig. 1に示すとおりである。
    本剤は各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定でグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有する。特にEntmbacter, Serratia marcescens, Proteus, Bacteroidesなどに対しては従来のCephem系抗生物質に比べて更に強い抗菌力を示し, 且つin vitroよりin vivoの効果が優れていると言う特長がある1)。
    われわれはすでに各種のβ-Lactam系抗生物質の婦人性器組織内移行について検討を行つてきた。そして得られた成績が産婦人科領域の各種感染症における薬剤投与量を決定するのに重要な指標の1つであると考えられる。
    今回われわれは, T-1982について検討する機会を得たので, 骨盤死腔浸出液への移行性を検討し, その成績を報告する。
  • 二宮 敬宇, 牧野 茂徳, 長谷川 幸生, 吉本 淑子
    1983 年 36 巻 5 号 p. 986-993
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学 (株) 綜合研究所で創製されたFig. 1の構造を有する注射用のCephem系抗生剤で, 現在科研製薬 (株) と共同開発中である。
    本剤に対する基礎的・臨床的評価は第29回日本化学療法学会西日本支部総会新薬シンポジウム (1981, 広島) において報告されている。その中で本剤はEscherichia coli, Klebsiella, Proteusに対してはもちろん, 従来のCephem系抗生剤では抗菌力の弱かつたSerratia, Enterobacter, Citrobacter, Bactmidesなどにも強い抗菌力を示し, 且つin vitroよりin vivoの効果が優れており各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対し非常に安定であることが示されている1)。
    今回本剤の産婦人科領域における有用性を検討するために, T-1982産婦人科研究会2)(世話人 高瀬善次郎博士) が組織され, 著者らも本剤の抗菌力, 性器組織への移行, 臨床成績について検討する機会を得たので, ここに報告する。
  • 桑原 惣隆, 友田 明, 杉浦 幸一, 富田 哲夫, 加藤 彰雄, 金井 晧明, 小林 秀文, 矢吹 朗彦, 朝本 明弘, 加藤 俊明
    1983 年 36 巻 5 号 p. 994-1004
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学工業 (株) 及び科研製薬 (株) で共同開発中の7位側鎖に4-Ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarbonyl基を有する新しい注射用セファマイシン系抗生物質である (Fig.1)。
    本剤は広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特にグラム陰性桿菌に対しては優れた抗菌力を示し, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対し強い抵抗性を有し, 又感染動物におけるin vivo効果が優れていることが報告されている1)。本剤の体内動態をみると, 静注あるいは筋注により高い血中濃度が得られ, 各組織への分布は良好で, 主に尿中から排泄されると報告されている1)。
    今回, 本剤を臨床的に応用する機会を得, 産婦人科領域での感染症に対する有用性, 安全性について検討を行つたので, その成績を報告する。
  • 飯田 和質, 林 恵子, 三輪 正彦, 生水 真紀夫
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1005-1009
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    富山化学工業 (株) と科研製薬 (株) で共同開発された新しいセフェム系抗生剤, T-1982 (Cefbuperazone) は広範囲の抗菌スペクトラムを有し, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Serratia marcescens, Proteusに対して特に優れた抗菌力を持ち, 又β-Lactamaseに対し強い抵抗性を示すとされている1)。今回, 産婦人科領域における本剤の有効性につき基礎的及び臨床的に検討する機会を得たので報告する。
  • 山元 貴雄, 保田 仁介, 岡田 弘二, 金尾 昌明
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1010-1017
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone)は, 我が国で開発された半合成セフェム系抗生物質である。本剤はFig. 1に示すように7位にMethoxy基を持つセファマイシン系に属し, グラム陽性菌に対する抗菌力はさほど強力ではないが, グラム陰性桿菌及び嫌気性菌に対する抗菌力は従来の同系統の薬剤に比べて更に強化されている。しかもβ-Lactamaseに対する抵抗性が極めて強くほとんど影響を受けることがないため, 従来β-Lactam系抗生物質を無力化していた耐性菌由来の感染症に対しても効果が期待される。
    又, 本剤は細菌性炎症部位への移行が良好であり, 更にはマクロファージの食作用を高める性質も認められている1)。
    Staphylococcus aureusに対するMIC値は, 有効な臨床効果を期待するには不充分と思われる6.25~12.5μg/mlにすぎないが, 実際の投与例ではかなりの症例において菌の陰性化が認められている。
    Escherichia coliに対するMIC値は極めて低く, 1μg/ml以下で臨床分離株の95%以上の発育を阻止し, 又β-Lactam系抗生物質耐性菌の発育も1μg/ml以下で良く阻止するので臨床症例でも優れた効果を示していると言う1)。
    今回, 我々は産婦人科領域における本剤の基礎的検討並びに臨床的有用性, 安全性の検討を行う機会を得たので報告する。
  • 中西 彰, 斎藤 滋, 新谷 雅史, 島本 郁子, 一條 元彦, 高嶋 啓一, 田守 陳哉
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1018-1024
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学 (株) 及び科研製薬 (株) で共同開発中の新しい注射用Cephamycin系抗生物質で, 図1に示す構造式を持つている。本剤の特長は, 1. グラム陽性菌からグラム陰性菌まで, 広範囲の抗菌スペクトラムを有し, 特にEnterobacter, Serratia marcescens, Proteus, Bacteroidesなどに対して従来のCephem系抗生物質より強い抗菌力を持つ, 2. β-Lactamaseに強い抵抗性を有する, 3. 筋注, 静注で高い血中濃度が得られ大部分が未変化で尿中, 胆汁中に高濃度で排泄される, などである1)。今回著者らはT-1982の産婦人科領域における体内移行性及び臨床効果につき検討し, いささかの知見を得たのでここに報告する。
  • 池田 正典, 手島 研作, 野田 起一郎
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1025-1032
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982は富山化学工業 (株), 科研製薬 (株) で開発された新しい注射用Cephamycin系の抗生物質である。化学構造上はCephalosporin骨格の3位側鎖にTetrazole環, 7位にMethoxy基, 7位側鎖には2, 3-Dioxopiperazine環を持つたThreonine誘導体を有する (図1)。
    本剤はβ-Lactamaseに対して抵抗性を有し, その作用は殺菌的でグラム陰性桿菌に対し従来のCephem系抗生物質剤より強力な抗菌力を持ち, 抗菌スペクトラムはSerratia,及びBacteroidesなどの嫌気性菌にまで拡大されている1)。
    今回われわれは, 本剤の産婦人科領域における体内移行, 及び臨床効果について検討したのでその成績を報告する。
  • 本郷 基弘, 清水 礼子, 林 省治, 白河 尚子, 吉野内 光男, 安藤 正明
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1033-1040
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用Cephamycin系抗生剤であるT-1982 (Cefbuperazone) は, Fig. 1に示すような構造式を持ち, 各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有する。特に, Serratia marcescens, Enterobacter, Proteus, Bacteroidesなどに対しては従来のCephem系抗生剤に比べて更に強い抗菌力を示し, 且つin vitroよりin vivo効果の優れていると言う特長があると言われている1)。
    産婦人科領域での感染症に抗生剤を使用する場合, その選択の指標として, in vitro抗菌力と共に, 抗生剤の体内動態特に性器組織内への移行性を知ることも極めて有用である。
    今回, 著者らは, 本剤の子宮及び付属器への移行性について検討したので, その成績について報告する。
  • 平林 光司, 岡田 悦子
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1041-1053
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいCephamycin系抗生物質T-1982について基礎的・臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. T-1982 1gを30分間及び1時間点滴静注した場合の血清中濃度は, 各々点滴終了後約2時間においても23.0μg/ml, 25.0μg/mlを示した。又, 約5時間追跡した組織内濃度はそれぞれ1.2~45.6μg/g, 0.9~26.8μg/gであつた。この成績からみて, 本剤は産婦人科領域において多く分離される S. aureus, E. coli, Klebsiella, Proteus, s. marcescens及び嫌気性菌のB. fragilisなどの臨床分離株を80~100%発育阻止し得る濃度を, 体内においても維持するものと思われる。
    2. 女性性器感染症14例 (子宮内感染2例, 子宮溜膿腫2例, 骨盤腹膜炎7例, 子宮附属器炎1例, 子宮附属器膿瘍1例, 腟断端膿瘍1例) にT-1982を1日2~4gを朝夕2回に分割し, 90分かけて点滴静注 (1例は1日1g1回の静注) した場合の臨床効果は著効9例, 有効4例, 無効1例で, 著効率は64.3%, 有効率は92.9%と良好であつた。
    3. 副作用は14例全例において認められず, 臨床検査値異常も認められなかつた。
  • 平池 秀和, 高島 英世, 春田 恒和, 小林 裕
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1054-1060
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は本邦で開発された新しい注射用Cephamycin系の抗生物質である。化学構造上はCephalosporin骨格の3位側鎖にはTetrazole環, 7位にMethoxy基, 7位側鎖には, 2, 3-Dioxopiperazine環を持つたThreonine誘導体を有する (Fig. 1)。
    本剤はβ-ラクタマーゼに対して抵抗性を有し, その作用は殺菌的でグラム陰性桿菌に対して従来のCephem系抗生物質より強力な抗菌力を持ち, 抗菌スペクトラムは, Serratia, 嫌気性菌にまで拡大されている1)。
    今回われわれは, 本剤の産婦人科領域における体内移行の検討及び臨床効果について検討したのでその成績を報告する。
  • 青河 寛次, 皆川 正雄, 柄川 二郎, 松山 敏子, 山路 邦彦, 野間 政敏
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1061-1072
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    富山化学工業 (株) と科研製薬 (株) で共同開発したT-1982 (Cefbuperazone) 1) の臨床価値を意義づけるため, 産婦人科領域における体内移行並びに臨床成績を検討したので報告する。
  • 土光 文夫
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1073-1078
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は科研製薬 (株) と富山化学工業 (株) とで共同開発中の新しい注射用Cephamycin系抗生物質で, その構造式はFig. 1に示すとおりである。
    本剤は各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有する。特にSemtia marcescens, Proteus, Enteromcter, Bocteroidesなどに対しては従来のCephem系抗生物質に比べて更に強い抗菌力を示し, 且つin vitroよりin vivoの効果の優れていると言う特長があると言われている1)。
    今回, われわれは, 基礎的検討として子宮頸癌広汎全摘術を施行した症例に対して手術直後に本剤を投与し, その骨盤死腔浸出液中への移行濃度を測定し血清中濃度と対比検討した。又, 臨床的検討として産婦人科領域における種々の感染症のうち, 子宮内感染, 子宮付属器炎, 骨盤内感染, 外性器感染などに対する本剤の有効性と安全性を検討したので, それらの成績について報告する。
  • 穴井 恵子, 渋谷 孝博, 熊本 有宏, 白川 光一
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1079-1086
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は新しく開発されたセフェム系抗生物質であり, 7αの位置にメトキシ基を有しており, その構造式はFig. 1に示すとおりである。本剤は各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対して強い抵抗性を有し, グラム陽性菌及びグラム陰性菌のいずれに対しても広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特にグラム陰性菌のうちEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Serratia marcescens, Proteus mirabilisに対してはCefmetazoie, Cefazolin, Cefbperazoneより抗菌力が優れている1)。
    本剤は筋注, 静注により高い血中濃度が得られ, 主として尿中に高濃度に排泄される。
    われわれは, 今回, 本剤を産婦人科領域の感染症患者に使用し, 更に本剤投与後の血中濃度, 子宮を主体とする内性器の組織内濃度を測定し, 組織への移行偉についての検討身加える機会を得たので報告する。
  • 高村 慎一
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1087-1096
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982 (Cefbuperazone) は本邦で開発された新しい注射用Cephamycin系抗生剤であり, 図1のような構造式を有する。
    本剤はβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有する。特にグラム陰性桿菌のうちEscherichiacoli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter, Serratia marcescens, Proteusなどの好気性菌及びBacteroidesなどの嫌気性菌に対して, 従来の薬剤より抗菌力が優れている。本剤は通常, 静注又は点滴静注によつて投与され, 血中での半減期は約100分で, 大部分が未変化体のまま尿中及び胆汁中に高濃度で排泄される。又毒性は低く, 安全性の高いことなどが特長である1)。今回, われわれはT-1982の提供を受け, 産婦人科領域での有用性を検討する目的で子宮, 付属器, 骨盤死腔液, 臍帯血, 及び羊水中への移行について検討を行い, 又臨床症例に対する投与を行つたので, その成績を報告する。
  • 福田 宰, 田島 朝信, 徳永 達也, 三森 寛幸, 橋本 晏理, 前山 昌男
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1097-1102
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 産婦人科領域における種々の感染症に対する抗生剤の使用は, ますますその重要性を増しつつある。
    T-1982 (Cefbuperazone) は富山化学 (株) 及び科研製薬 (株) で共同開発中の新しい注射用セファマイシン系抗生物質である。その構造式をFig. 1に示す。化学名は, Sodium 7β-[(2R, 3S)-2-(4-ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido)-3-hydroxybutanamido]-7β-methoxy-3-[(1-methyl-1H-tetrazol-5-yl) thiomethyl]-3-cephem-4-carboxylateで,分子式はC22H28N9NaO9S2, 分子量は649.63である。
    本剤は各種細菌産生のβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有する1)。
    今回, われわれは, T-1982を使用する機会を得たので, 臓器内移行の成績及び臨床成績を報告する。
  • 出口 浩一
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1103-1108
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年合成技術の進歩と相まつて, 化学構造中にβ-Lactam環を有する抗生剤の研究が重ねられ, その一環として数多くのセフェム系剤が開発され, 次々に登場してきている。しかし反面各種β-Lactamase産生菌の出現も逐次漸増しつつあり1), Haemophilus influenzaeも欧米を始め我国においても,Ampicillin (ABPC) 耐性株が着実に増加傾向にある2)。
    著者は今度, 各種β-Lactamaseに強い抵抗性を示すセファマイシン系の5剤とABPC, Cefazolin (CEZ), Cefotiam (CTM) の合計8剤を選び, 臨床分離H. influenzae100株(β-Lactamase産生16株を含む) の感受性について検討したので報告する。
  • 中山 一誠, 秋枝 洋三, 渡辺 哲弥, 鈴木 俊明, 糸川 冠治, 柏田 欣志, 河野 恵, 笹津 備規
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1109-1131
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Netilmicin (NTL) は米国シェーリング社で開発された新しい半合成アミノ配糖体系抗生物質であり, Sisomicinの1位のアミノ基をエチル化して得られた物質である (Fig.1)。
    従来の抗緑膿菌作用を有するアミノ配糖体系抗生物質と比較すると, 耐性パターンの特異性と腎毒性, 聴器毒性が少ない点に特徴がある。
    抗菌力については, 各種のグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し, 他の抗緑膿菌用アミノ配糖体系抗生物質と同様, 広範囲の抗菌スペクトルを有し, 特にGentamicin (GM)耐性菌に対しては不活化機構に対して特異的に作用する。
    すなわち耐性機構では, 特に3位のアミノ基のAcetylation, 及び2位の水酸基のAdenylylation, による不活化を阻止する点に特徴がある1, 2)。
    吸収, 排泄, 代謝などに関してはGM, Tobramycin, Dibekacin (DKB) などと類似している3, 4)。腎毒性はGMより弱く5), 聴器毒性はAmikacinと同等もしくはやや軽度である6)。
    本剤については, すでに臨床応用に必要な基礎的検討と臨床成績について報告しているが3), 今回外科領域における感染症, 特に創感染, 術後創感染, 各種膿瘍, 蜂窩織炎など皮膚・軟部組織感染症並びに術後腹膜炎などに対する本剤の有効性と安全性を客観的に評価する目的でGroupによるWell controlled studyを実施したので, その成績について報告する。
  • 清水 信義, 国方 永治, 栗田 啓, 原 史人, 寺本 滋
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1133-1136
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    肺外科手術における対象疾患として肺癌が多くを占めるが, 癌患者は担癌や高令のために免疫能の低下をきたしており感染を引き起しやすい。又, 肺内に慢性炎症や閉塞性肺炎, 慢性閉塞性肺疾患を持つ患者についても術後肺合併症を引き起しやすいと言われている1)。手術に伴つて抗生剤を投与するのは手術創の感染に対処するためと同時に, 創外感染, 肺外科の場合主として術後肺合併症の予防をも目的としている。
    肺外科患者の術前の喀痰からはStreptococcus haemolyticus, Streptococcus pneumoniae, Klebsiella pneumoniaeなどが多く検出され, これらにHaemophilus influenzae, Pseudomonas aeruginosaが続いていると報告されている1)。
    術中, 術後に使用する抗生剤はこれらの菌に優れた抗菌力を有していることが必要であるが, 更に又, これらの菌による感染炎症組織に十分な濃度が移行することも重要である。
    このたび, グラム陽性菌からグラム陰性菌にわたる広域の抗菌スペクトルを有するCephem系抗生剤Cefotiam (CTM, Pansporin®武田薬品 (株) 開発) の肺組織への移行について検討したので, その成績を報告する。
  • 中山 一誠, 秋枝 洋三, 渡辺 哲弥, 鈴木 俊明, 糸川 冠治
    1983 年 36 巻 5 号 p. 1137-1163
    発行日: 1983/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新Amoxicillin持続性製剤 (A new long-acting amoxicillin preparation, 以下L-AMPCと略す) はpHにより溶出の異なる2種の顆粒 (胃溶性顆粒, 腸溶性顆粒) を3: 7の比率で配合している。胃溶性顆粒はpHに関係なく溶解し, 腸溶性穎粒はpH6.0以上で溶解する。L-AMPCの特徴はこの胃溶性顆粒と腸溶性顆粒を配合することによりペニシリン臭がなく, 有効血清中濃度持続時間が既存のAmoxicillin (AMPC) カプセル剤の約2倍, 曲線下面積 (AUC) 値も約2倍になつている点である1, 2)。
    今回, LAMPCの主として浅在性化膿性疾患に対する臨床効果, 安全性及び有用性について検討すると共に, これらの患者から分離された菌についてAMPCに対する感受性分布も検討した。
    本試験は日本大学医学部第3外科, 秋枝病院外科, 板橋中央総合病院外科, 要町病院外科及び瀬谷中央病院外科による共同研究である。
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